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新専門医制度 ―外科専門医―について

自治医科大学 総合医学2 附属さいたま医療センター 一般・消化器外科(富山8期)

清崎浩一 富山県

新専門医制度の発足によって様々な方面で混乱をきたしています。特に自治医科大学卒業生の専門医取得は今まで以上に困難が予想されます。そこで自治医科大学では卒後指導委員会が新専門医制度を考えるワーキンググループを立ち上げ、新専門医制度への本学の対応を検討してきました。そのなかで外科専門医に関して携わらせていただきましたので、その現状を報告させていただきます。

自治医科大学卒業生の義務年限内の問題点として地域医療従事(僻地勤務)のために限定された期間で外科研修の機会を得ることが可能であっても、継続して外科研修を行えないことが最も大きな問題であると思われます。

以下、外科専門医研修プログラム整備基準より抜粋

「専攻医は、外科専門研修プログラム整備基準に沿ってそれぞれのプログラムで規定した研修期間以内(3年以上)に経験症例数などをすべて満たさなければならない。
(1)3年間の専門研修プログラムにおける休止期間は最長120日とする。1年40日の換算とし、プログラムの研修期間が4年のものは160日とする。
(2)妊娠・出産・育児・疾病その他正当な理由による休止期間が120日以上になる場合は専門研修終了時に未終了扱いとする。原則として、引き続き同一の専門研修プログラムで研修を行い、120日を越えた休止日数分以上の日数の研修を行う。」

という文言があります。自治医科大学の卒業生の外科研修以外の地域医療従事の期間はこの文言のその他正当な理由による未終了扱いに含まれることになることを確認しております。従って、継続して研修できなくても最終的に基準の期間を研修すれば取得が可能であると判断します。必ずしも義務年限内に取得はできないとしても、少し長い目で外科専門医の取得を考慮してみるのが良いのではないかと思います。

今回の初回のプログラム作成にあたって、自治医科大学附属さいたま医療センター(基幹施設)の連携施設として富山県にあります、かみいち総合病院(戸島雅宏 院長:1期生)に加わっていただきました。かみいち総合病院は地元の富山大学と自治医科大学附属さいたま医療センターの2つの基幹病院と連携を組んでいただく体制を取っていただきました。それにより卒業生の希望により後期研修等を考慮して専攻医の申し込みが可能になるのではないかと思われます。

もちろん、地元の基幹施設と関連施設とのプログラムに参加されることも可能性の一つでしょうし、自治医科大学附属病院や附属さいたま医療センターのプログラムに参加されるのも可能性の一つだと考えられます。

渡邉淨司先生(鳥取県:25期)と清崎とで全国の外科を標榜し、義務年限を終了した卒業生に対しアンケート調査をさせていただく機会がありました。その結果、9割以上が現行の外科専門医を取得できており、半分弱の卒業生が消化器外科専門医や学位を取得している現状が確認できました。この結果がすべてを反映しているかどうかはわかりませんが、ありきたりな言葉ではありますが頑張れば専門医の取得はある程度叶ってきたと思われます。繰り返しますが、新専門医制度に移行しても少し長い目で外科専門医の取得を目指してみられてはいかがでしょうか。われわれ卒業生にとってはそれ以上に義務年限内の地域医療に従事することで得られる経験は多く、何ものにも替えられない貴重なものであると信じております。

参考文献:
渡邉淨司、池口正英、清崎浩一. 自治医科大学卒業外科医のキャリア形成と地域外科医療の現状. 自治医科大
学紀要38: 85-89, 2015.

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