医学部 School of Medicine

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メッセージ リレーエッセイ

地域とのつながり

上勝町診療所(徳島33期)

幸田朋也 徳島県

私は2010年に自治医科大学を卒業し、徳島県立中央病院で初期研修を終え、徳島県立中央病院で外科医として2年間勤務し、那賀町立日野谷診療所を2年間、後期研修で徳島県立中央病院に1年間戻り、現在の上勝町診療所に勤務し2年目を迎え義務年限の最後の年を送っています。
リレーエッセイはこの9年間での地域医療との関わりについて主に現在勤務している上勝町に書かせていただきます。散文駄文にご容赦頂ければ幸いです。

8年目に上勝町診療所に所長として赴任してきました。上勝町診療所は常勤1名で支援医師2名が週1日ずつ別々に来てくれています。上勝町は人口約1500人で高齢化率52%の山間の町です。「いろどり」という葉っぱ(つまもの)ビジネスの発祥の地でまた「ゼロ・ウェイスト」というごみの分別・リサイクルをしっかり行い、ごみゼロを目指す町の取り組みが行われています。

タブレットを片手に注文を取り、いろどりの出荷を計画するおばあちゃんや40種以上のごみの分類に驚きながらも、温かく優しい住民の方々の協力のもと、徐々に慣れていきました。
町の夏祭りや運動会に参加しながら、交流していく中で住民の方から、いろいろな課題が見つかっていきました。

一つ目は救急体制についてです。上勝町は常備消防(消防署、救急隊)がない町村の一つで県下では3町村で全国でも31町村(平成26年調べ)しかありません。
そのため、地元有志の消防団と役場職員による救急患者輸送車での搬送を行っています。現状は救急患者が発生した場合、役場に連絡が入り、搬送員が現場まで行って救急患者輸送車に乗せ、救急医療機関に搬送するという状態です。
ドクターヘリへのランデブーが可能になり、晴れた日の日中は搬送時間が短くなりましたが、ほかの状態では搬送に最低40分はかかるという状態のため、搬送中の安全が確保しにくい状態となっています。
救急救命士の確保や民間の救急患者搬送などの導入も視野に入れ計画していますがなかなか難しい状態で搬送員の人と連携して安全な搬送を心掛けています。
防災では消防団、地元の介護施設などと協力して避難訓練などを行い連携強化に努めています。より安全な救急搬送と南海トラフ地震などの災害に対する備えを構えています。
また、山間であり小児医療特に、発達障害についての課題が町の保健師から挙げられました。乳児検診によるスクリーニングや診断はつかないが発達の遅れなどが気になる児がいるとのことでした。学校検診に歯科衛生士からも飲み込む力が弱いや口呼吸をしているなど口腔機能の発達に問題がある児が増えているとのことがあり、保健師、歯科衛生士と支援に来てくれていた作業療法士とチームを結成し、乳幼児検診ではチームで多面的な視点から観察しよりいいスクリーニングを行い、気になる児に対しては親子で参加できる勉強会などを月1回開催し子育て支援に取り組んでいます。遊びを通した発達を促すこと、口腔内や口腔周囲緊のマッサージで子育て支援を貢献しています。
ただ、療育になると車で1時間程度かかる病院までいかないと受けられないため、続けられないといった新たな課題も見つかってきています。
次なる課題に解決に向けてチームで動き始めています。温かくパワフルな地域住民と地域をよりよくしようと取り組んでいる人と協力しやりがいを感じつつ地域医療に取り組めています。
多くの課題も見つかりなかなか解決しないこともありますが、診療所スタッフを巻き込んで進んでいっています。振り返ってみると多くの人に支えられつながり、歩んでいるんだなと感じました。

最後になりましたが、改めて地域とのつながりについて考える機会を与えていただいた同窓会報編集の方々、徳島県5期森俊明先生、感謝申し上げます。

上勝町診療所スタッフ

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