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自治医大のブランド力

森下義幸

自治医科大学附属さいたま医療センター 腎臓内科(岡山19期)

森下義幸 岡山県

岡山県19期生の森下義幸です。「研究・論文こぼれ話」の執筆のご依頼を頂きました。自分なりに通勤中や休日などにあれこれ考えてみましたが、どうにも適当な内容がうかびませんでした。申し訳ありません。しかし原稿を提出しないわけにもいきませんので、今回は私が自治医大を卒業してから臨床や研究で、自治医大同窓生の先生方に間接的に大変お世話になったことを書かせて頂きご容赦願いたいと思います。もちろん臨床や研究をご指導頂いたり、私生活や進路の相談にのって頂いたことなど、直接的にお世話になったことは数えきれないほどあることはいうまでもありません。そのような直接的なつながりの他に忘れられない印象深かったエピソードを少し述べさせて頂きます。

私が自治医大を卒業して岡山赤十字病院で初期臨床研修を始めたのは1996年です。その際、他大学出身の指導医の先生方から「自治医大の卒業生は優秀じゃから、あんたも優秀なはずでしょう(笑)。せいぜい頑張んなさいよ(笑)」と岡山弁で言われました。最後の(笑)の部分には善意だけではないものを感じました。患者さんからも「自治医大卒業ですか?じゃ優秀なはずでしょう。よう診てくださいよ。」と何回も言われました。その後も岡山で地域医療をしている時も、後期研修中も、岡山市内でバイトしている時も自治医大の卒業生ということで、地域の人にも、医療関係者の方々にもずいぶん好意的によくして頂きました。日本各地で同様なことがおこっていると思います。これは自治医大卒業生の先生方の築かれた実績と評価のおかげに他ならないと思います。

研究では岡山大学大学院にいる頃、O阪大学出身の先生と一緒になりました。その先生は初期臨床研修で自治医大卒業生の先生が指導医だったらしいです。そのO阪大学出身の先生は非常に真面目でした。ご自分ではやや内向的とのことでしたが、他人からみても大いに内向的でした。それはどうでもいいのですが、その先生は指導医によく飲み屋(詳細は割愛いたしますが)に連れて行かれ場違い感満載で座っていると、「それやからお前はあかんのや。コミュニケーション能力を磨け」といわれ、厳しい指導をうけたと話していました。話しぶりや表情からはいやな思い出という感じではなかったです。それがきっかけで、その後話が弾んだのはいうまでもありません。

最後は研究留学の面接の時です。ボストンにポスドク留学する際、インターネットで選んだのがハーバード大学の島岡要先生の研究室でした。事実上の採用面接のため夏休みにボストンに行きました。研究室のポスドクと一人ずつ面談したあと、島岡先生と夕食をご一緒しました。夕食という名の面接です。場所はレッドソックス本拠地のフェンフェイパークの近くのレストランでした。その当時、島岡先生は接着分子インテグリンの研究で世界No1のTimothy A. Springer博士のラボから独立したばかりでした。しかしすでにTop journalに成果を出していて、RO1をはじめ研究費も潤沢で、nature誌にもポスドク求人をだし相当の応募が来ているとのことでポスドク採用もなかなか激戦のようでした。「うちは人手に困ってへんし、あんたなんかどうでもええんやで、やる気次第では考えてあげてもええで」という雰囲気満載でした。それはそうでしょうね。ただ話の端々に背景が分かるポスドクを採用したがっているのかなとは思いました。食事面接では自分をアピールするため(日本語で)話を弾ませないといけないわけですが、なかなか話をもりあげることができませんでした。その時、一人の自治医大卒業生の先生の話しになりました。島岡先生は大阪大学の麻酔科出身ですが、どこかの病院に勤務している際に、自治医大卒業生の先生と関わりがあったとのことです。詳細は忘れてしまいましたがその卒業生の先生との勤務の時の楽しいエピソードだったと記憶しています。その話しをきっかけに会話が大いに盛り上がり、会食後ほぼ採用が決まりました。島岡先生は自治医大卒業生に好印象を持っていたのです。その時話題になって間接的に助けて頂いた先輩には大変感謝しております。

似たようなエピソードは北海道から沖縄まで全国で多数あると思います。このような全国的な繋がりや広がり口コミの高評価が医学部偏差値ランキングでは表しきれない自治医大のブランド力だと思いますがどうでしょうか。私もそれなりの年齢ですし、今までいい思いをさせてもらったわけですので、今後は微力ではありますがこのようなブランド力を落とさぬよう臨床に研究に精進していきたいと思っております。今後とも御指導御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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