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「大型動物(ミニブタ)を用いた先進的医療技術実現化」

私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
「大型動物(ミニブタ)を用いた先進的医療技術実現化」

研究目的

自治医科大学ピッグセンターでは、これまで実験用ミニブタを医学教育・研究に用いるために、飼育管理技術、飼育実験室、研究支援体制などの関連技術の向上と充実を図ってきた。本プロジェクトでは、これらの基盤を活かし、さらに実験用ミニブタを用い種々の先進的医療の有用性・安全性を検証する。それらを効果的に実現化するためミニブタを中心とする大型動物実験専用P2A施設を整備し、解剖学的データのベース化、動物福祉に配慮した非侵襲的検査手法の充実、さらに遺伝子改変細胞へのP2対応管理を初年度の目標とし、実験用ミニブタ等を用い、学内外共同研究を基に先進的医療のためにトランスレーショナル・リサーチを遂行する。

このプロジェクトが実施されれば、前臨床研究を確実に遂行出来るとともに真の医-獣-農-工-薬の多領域の共同研究が活性化することが期待される。

研究概要

先進医療を実際の臨床で安全に行うためには、大型動物での検証が必要である。さらに注目される幹細胞を用いた再生医学の有効性・安全性を確かめるには、ESやiPS細胞などの遺伝子改変細胞が扱えるP2以上の施設と昨今の動物福祉に沿った飼養管理体制が必須である。本学は、医の倫理に徹し、高度の臨床能力を有する医師を養成するため、開学以来、実験動物として譲渡犬を用いた学生教育実習を取り入れてきた。しかし、近年の動物福祉を考慮し、全国に先駆け実験用ミニブタを医学教育・研究などの先進的医療技術開発に用いるため、総合的に検討を続けてきた。P2レベルでの飼育施設の改善、職員の飼育管理技術の向上、教育・研究の支援体制の構築、人獣共通感染症ウイルスとしてのブタE型肝炎ウイルス(HEV)の清浄化対策等を我国の先駆的役割を担ってきた。これらの施設を利用し、ミニブタを前臨床として学内外の共同研究が活性化してきたが、今後、さらに、ミニブタを実験動物として先端医科学的研究を実施するには、臨床解剖学的データベースの充実や動物福祉に配慮した非侵襲的画像診断を設置する必要がある。特に移植・再生医学研究によるトランスレーショナル・リサーチを行う上で、遺伝子改変等の細胞治療の可能な施設化が重要である。

本プロジェクトは、先端的医療技術をより早く実現化するために、大型動物専用P2A実験飼育室でミニブタを実験と術後管理を行い、これまで遂行してきた基礎となる研究の前臨床研究を行うものとする。MRI、CTスキャン、X線透視装置の設置と長期慢性試験体制が充実するとさらに、実験用ミニブタの解剖学的データベースの提供、臓器移植や各種幹細胞を用いた再生医学の研究が進展する。本プロジェクトにより外部研究機関への施設利用のオープン化と共同研究が推進され、我国のトランスレーショナル・リサーチ実現化が促進され、医-獣医-農-工-薬による学術フロンティアとしての役割を演じることが期待される。

活動報告

私立大学戦略的研究基盤形成支援事業成果発表会「自治医大ピッグシンポジウム」が開催されました

平成24年6月11日(月)午後から秋葉原コンベンションホールにおいて「自治医大ピッグシンポジウム」が開催されました。

シンポジウムは平成20年度採択文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事「大型動物(ミニブタ)を用いた先進的医療技術実現化事業」の最終年度シンポジウムとして開催され、第1部では学内研究者7名によるミニブタを用いた各分野の研究成果発表があり、第2部では学外の共同研究者の発表、第3部では慶応義塾大学の福田恵一先生並びに大阪大学の澤芳樹先生など全国でも著名な先生をお招きし、「自治医大ピッグセンターに期待する」をテーマに招待講演が行われました。また、ピッグシンポジウムの後には東京財団主催の市民公開シンポジウムが開催され、本学からも講演者として2名が参加しました。

会場には学内外の研究者や各関連企業の方々が多数参加し、活発な意見交換がなされ盛会裏に終了しました。

シンポジウムの開催にあたり、ご協力いただきました関係者の皆様にお礼申し上げます。本事業は今年度で終了となりますが、次期研究の申請に向けて引き続きご支援賜りますようお願い致します。

「先端医療技術開発センター開設記念シンポジウム」が開催されました

平成20年度文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「大型動物(ミニブタ)を用いた先進的医療技術実現化」が採択され、平成21年3月30日に先端医療技術開発センター(Center for Development of Advanced Medical Technology : CDAMTec)が完成したことを記念して、平成21年4月8日(水)13時30分から地域医療情報研修センター中講堂においてシンポジウムが開催されました。

シンポジウムは、学内外からの学生・研究者・実験用ブタ関連企業関係者など約100名の参加を得て、渡辺センター長の挨拶の後、同センター先端治療開発部門小林客員教授からの趣旨説明があり、第1部は学内から4名の研究者が、第2部は学外から6名の研究者が、ブタを用いた医学教育、再生医療の現況、医療への発展のための大型動物実験の有用性を、映像を交えながら発表し、第3部は発表者全員での討論が行われました。

発表終了後の歓談の場においても、参加者と発表者との間で、これまで取り組んできた先端医療技術開発や今後の研究を示唆する内容の意見交換もされ、シンポジウムは盛会の内に終了しました。