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「マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究」
私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
「マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究」
研究目的
- iPS細胞技術を始め新規技術の臨床応用には、マウスでproof-of-concept取得後、大型動物を用いた有効性・安全性の検証が欠かせない。これこそ本学がかねてから推進してきたことであり、本プロジェクトはこれを推進させる役割を担う。
- 本プロジェクトは、本学の基礎から臨床まで計19の講座・部門が参加する全学的プロジェクトである。
- 本学ピッグセンターは、大学のブタ利用研究施設として全国初のものであった。ここが本研究プロジェクトの基盤形成拠点となる。また、当センターは世界最高水準のブタ利用研究施設として、学内外共同研究および医-獣医-農-理-工-薬の連携母体としての役割を担う。なお、平成25年度に増築を予定している。
研究概要
新知見の臨床応用には、大型動物を用いた有効性・安全性の検証が欠かせない。これは、本学がかねてから推進してきたことである。とくにサル・ブタ・ヒツジを用いた本学の研究実績は他に類を見ない。
今までに本学は、P2A対応・AAALAC準拠・MRI/CT完備のピッグセンターを開設、優れた実験用ブタ系統を導入し、ブタiPS細胞・クローンブタ・心筋梗塞ブタ・血友病ブタの作製など、ブタ利用研究で卓越した実績を挙げてきた。ブタ以外にも、サル心筋梗塞・パーキンソン病の幹細胞治療モデル、ヒトの血液をもつヒツジの作製など、大型動物の利用研究を積極的に行ってきた。本プロジェクトでは、大型動物を利用してマウスからヒトへの橋渡し研究を推進し、有効かつ安全な医療技術の実現をめざす。
具体的には以下のとおりである。
- ヒト化動物:ヒトの臓器・組織をもつ大型動物 (ヒト化ブタ・ヒツジ)を作製する。ヒト化ブタは、すでに長嶋らにより作製された膵欠損ブタやSCIDブタをベースにして作製する。ヒト化ヒツジは、ヒツジ胎仔にヒト幹・前駆細胞を移植することによって作製する。これらは、移植治療における臓器不足解決の切り札と考える。
- 遺伝子改変ブタ:クローン技術・iPS技術を応用し、トランスジェニックブタや遺伝子ノックアウトブタを実現し、さまざまな疾患モデルをブタで作製する。
- 病態モデル動物:大動脈縮窄・頻脈ぺーシング等によって高血圧・心不全ブタを作る。2、3の結果、今までマウスで行っていた(マウスでしか行い得なかった)医学研究がブタの系でも可能になる。
- デバイスやインターベンションの開発・検証:本学は、ニッケルフリーステントやダブルバルーン内視鏡などデバイス開発で卓越した成果を挙げてきた。本研究では膵管・胆管のニッケルフリーステントを開発しブタで検証する。また、難治性高血圧症に対する新しい治療として腎動脈アブレーション法をブタで検証する。
- 手術の低侵襲化:ブタを用いて心臓手術・肝臓移植・微細手術等の術式改良・低侵襲化を図る。なお、ピッグセンターには、ブタ専用ダ・ヴィンチを設置予定であり、ダ・ヴィンチを利用した低侵襲手術開発研究をブタで進められるのは本学だけである。
- レギュラトリーサイエンス:最近、核磁気共鳴(MR)対応性を謳う医療用デバイスが売り出されているが本当に大丈夫か。心臓ペースメーカーや胆道ステントを例にとり、そのMR対応性についてブタを利用して検証する。MR対応性をブタで検討できる大学は本学だけである。
活動報告
キックオフ全体会議が開催されました
平成25年10月23日(水)平成25年度私大戦略基盤事業「マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究」キックオフ全体会議が開催されました。
本会議は事業開始に伴う研究プロジェクト全体の連携を計るため実施されたもので、永井学長、渡辺先端医療技術開発センター長の参加のもと、各分担研究者から研究計画の概要が発表され、研究成果・目的について活発な意見交換が行われました。
平成25年度私立大学戦略基盤事業「マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究」研究成果進捗状況報告会が開催されました
平成26年3月31日(月)平成25年度私立大学戦略基盤事業「マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究」研究成果進捗状況報告会が開催されました。
本報告会は、本事業各参加講座・研究部門における平成25年度の進捗状況報告と分野間の連携強化を目的に開催されたものです。出席者は、永井学長、渡辺・先端医療技術開発センター長を始め、本事業の代表・分担研究者が勢揃いしました。その他、ポストドクターや大学院生といった若手研究者も、発表及び聴講者として参加しました。16名の研究者から発表があり、活発なディスカッションが行われ、研究プロジェクト2年目に向けて勢いをつける報告会となりました。
平成27年6月29日(月)私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究」の中間報告会が開催されました
本報告会は、研究プロジェクト開始から約二年半を経過した折り返しの時期に、各参加部門間の連携、進捗状況を確認する目的で開催したものであり、合計18名の分担研究者の発表が行われ、多くの意見が交わされました。
出席者には、永井学長を始めとした多くの学内研究者が参加し、発表の中には、大型動物を用いた様々な研究成果の報告があり、今後の展開に期待のできる集会となりました。
平成29年11月20日(月)自治医科大学先端医療技術開発センターシンポジウム2017
(文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究」)が開催されました
本シンポジウムは、各参加研究部門における研究成果の公表と学外研究者との交流、研究評価の向上を目的として開催され、学外からは「ゲノム編集技術によるモデル動物開発研究」をテーマに大阪大学・大学院医学系研究科の真下知士先生を、また「モデルブタ作出のための生殖補助技術」をテーマに農業・食品産業技術総合研究機構・動物衛生研究部門の吉岡耕治先生をお招きし、特別講演が行われました。
また、学内からは参加部門のうち8部門が研究成果の発表を行い、研究プロジェクト全体の推進に繋がるシンポジウムとなりました。
文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業-マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究- 研究成果報告書について
2013(平成25)年度に採択された私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「マウスからヒトへ:大型動物を利用する橋渡し研究」は、2017(平成29)年度をもって終了となりました。本研究推進にあたりご支援いただいた学内外の関係者の皆様に御礼申し上げます。
なお、研究成果は、研究成果報告書(1944KB) よりご覧いただけます。