看護学研究科 Graduate School of Nursing

看護学研究科

Graduate School of Nursing

研究科長挨拶

小原 泉

自治医科大学

看護学研究科長小原 泉

 わが国の人口は近年減少局面を迎えており、2070年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率が39%の水準になると推計されています。現役世代が減少し医療・介護専門職の確保が困難となる一方で、85歳以上高齢者の増加に伴う医療と介護の複合ニーズの高まりに対応していくためには、保健医療福祉に関わる専門職のみならず、地域住民の力を引き出しながら、新たな着想で包括的な仕組みを構築することが求められています。

 看護職はもとより保健医療福祉の多様な場で活躍していますが、このような厳しい時代を迎えてその役割の拡大や機能の強化がますます期待されるようになっています。看護の対象の尊厳を守り根拠に基づく看護を実践するに留まらず、ヘルスケアチームのキーパーソンとして機能できる高度な看護実践能力や、ヘルスケアの場の改善・改革をもたらす優れた教育研究力を有する人材の育成が、今まさに求められていると考えます。

 自治医科大学大学院看護学研究科は、高度の研究能力と豊かな学識を身に付け、看護学の進展と地域の保健医療及び福祉の向上に指導的な役割を果たす人材を養成することを目的として設置されました。

 本看護学研究科博士前期課程は、高度な看護実践力を有し、組織機能を向上拡大させながら高度医療と地域医療をつなぐチーム形成と機能向上を図ることができる人材を育成しており、実践看護学分野と地域看護管理学分野があります。実践看護学分野には、母性看護学領域、小児看護学領域、精神看護学領域、がん看護学領域の4領域があり、研究を主体として学ぶカリキュラムと、専門看護師を目指すカリキュラムのいずれかを選ぶことができます。地域看護管理学分野には、老年看護管理学、地域看護管理学、診療看護技術管理学の3領域があり、一定の要件を満たせば認定看護管理者の受審資格が得られます。また、診療看護技術管理学領域に加えていくつかの領域においては、本博士前期課程在籍中に、本学看護師特定行為研修センターにおける特定行為研修を受講することができます。

 本看護学研究科博士後期課程は、ヘルスケアシステムや看護提供システムを視野に入れつつ、看護に関する問題の全体像と本質を捉え探究し、看護学を発展させることのできる教育研究者を養成しており、広域実践看護学分野一分野を設置しています。広域実践看護学分野では、個人に提供される看護ケアの質と個人が属する地域のヘルスケアシステムの整備状況や機能性は相互に影響しあうという考えを前提に、科学的な根拠に基づく看護ケアの開発、その看護ケアを効果的かつ効率的に提供するためのケアシステム、ならびに施策・政策化に寄与する看護学の教育研究を行っています。

 保健医療福祉における課題に向き合い、なんとかしたいという改善・改革への意欲をもち、高度な看護実践能力や優れた教育研究力を得るための学修活動に挑戦する意思をもつ方々が入学されることを期待しております。

看護学研究科