看護学研究科 Graduate School of Nursing

看護学研究科

Graduate School of Nursing

母性看護学

Maternity Nursing

領域の特色

母性看護学領域では、研究を主体として学ぶ場合と母性看護専門看護師を目指す場合の教育カリキュラムがあります。
研究を主体として学ぶ場合、講義・演習・特別演習を通して明らかになった課題・探求方法等をもとに、母性看護学、女性の健康看護学、助産学に関連する研究課題の改善・改革の方法について、特別研究として研究活動を展開し、修士論文を作成します。
母性看護専門看護師をめざす場合、周産期の母子やその家族、各ライフステージにある女性とその家族の状況を理解し、高度看護実践に必要なアセスメントの方法と支援について探求します。高度医療機能とその周辺およびへき地の医療機関における高度看護実践、コンサルテーション、コーディネーション、倫理調整について実習し、また施設スタッフに対する教育および研究的なかかわりを実践してチーム医療における医師との協働を踏まえた、専門看護師としての基礎的能力を養います。主として課題研究で、講義・演習・実習から見出された課題・探求方法等をもとに、母性看護学、女性の健康看護学、助産学に関連する実践的課題の改善・改革の方法について検討し、修士論文を作成します。

担当教員

教授 川野 亜津子
教授 角川 志穂

修了生の研究テーマ

加重型妊娠高血圧腎症で早産となった褥婦への産後1ヶ月までの生活を支える看護実践と課題 課題研究 2023
ローリスク産婦における助産所分娩の安全性の検討 ~院内助産との比較~ 特別研究 2022
NICUにおける父子の愛着形成を助けるための看護実践の実際 特別研究 2022
東日本大震災直後における被災地の医療施設 での助産師による分娩介助の実態 特別研究 2022
助産師・看護師双方が働く母体胎児集中治療室(MFICU)における看護管理の実際と課題 特別研究 2020
不育症を経験し出産に至った女性の妊娠期の体験 特別研究 2019
周産期メンタルヘルスの悪化を予防するための看護実践 課題研究 2019
切迫早産で入院した母親の母乳育児の意向を支える看護の検討
―出産前から出産後1か月前までの継続的な母乳育児支援を通して―
課題研究 2016
初めて妊娠糖尿病と診断された妊婦の自己管理上の課題と助産師の支援の検討 課題研究 2015
助産外来から産科混合病棟への継続看護システムの検討 課題研究 2015
女子受刑者のリプロダクティブヘルスの実態とそのケアニーズに関する検討 特別研究 2014
初めての子どもが早産児である母親の母乳育児を通じた体験 課題研究 2014
両親が双子を育てるために行った調整に関する体験 課題研究 2012
初めての子どもが胎児異常を診断された妊婦の夫の妊娠・出産を通した体験 課題研究 2012
早産児の母親が長期間搾乳を継続する過程で直面する困難と搾乳継続を支えた要因 課題研究 2010
精神疾患をもつ妻とその夫にとっての妊娠、出産、育児を通しての夫婦の体験-第2子出産後のふり返りから- 課題研究 2010
女性にとっての性と生殖にかかわる体験 特別研究 2009
Late Preterm児を出産した母親の授乳と育児に関連する困難と乗り越えるのに影響した要因 特別研究 2009
緊急母体搬送になり、その後に出産し、さらに逆搬送になった母親の体験 特別研究 2008
幼児後期の子どもとの距離感についての母親の体験 特別研究 2008

学修の実際

二宮 美由紀

二宮 美由紀 さん

2021年度修了

Q.進学した動機は何ですか?

A.臨床で指導経験を重ねる中で、看護基礎教育への興味が芽生えたこと。

臨床で助産師として勤務していた際には、出産の瞬間に立ち会えることに大きなやりがいを感じていましたが、徐々に臨地実習指導者や新人指導、教育委員などを担当する機会が増える中で、助産師や看護師の教育についてきちんと学びたいという思いが強くなりました。また、学生や新人、経験の浅い看護師や助産師の指導に携わる中で、彼女ら、彼らが成長していく姿を見ることにもやりがいを感じるようになりました。このような経験を通じて、看護基礎教育に対する興味が芽生え、教員への道を視野に大学院進学を考えるようになりました。進学した場合、学んでいけるのか不安でしたが、説明会に参加した際には教授の先生方がとても親身に対応してくださり、その姿勢に感銘を受け、進学を決意しました。

Q.大学院での学びはいかがですか?

A.働きながらでも、じっくり学ぶことができた。

非常勤として在職しながらの大学院生生活でしたが、学びやすく大変充実していました。大学院では、教授や学生とのディスカッションを通じて学ぶ講義や、課題をまとめてプレゼンテーションを行ったり、先生方にご指導を受けながら学生同士でも学び合ったりするスタイルの講義が多くあり、良い経験となりました。また、オンラインによる指導も受けることができ、働きながら学ぶことをバックアップしてくださる環境が整っていると感じました。このような環境で学ぶことで、学習が継続でき、自己の研究課題に関することや看護倫理などについて深い学びを得ることができました。さらに研究について基礎からじっくりと学ぶことができ、現在の研究活動の礎となっています。

Q.大学院で学ぶことの意味を教えてください。

A.思考力、研究能力、批判的思考力を養えること。

自ら課題を設定し、文献検討、研究計画立案、調査などを行い、論文にまとめるというプロセスを通じて、研究能力が身につくことです。また、研究過程や論文執筆では、問題意識を持ち、様々な視点から調査・分析する力が養われます。これにより、批判的思考力が身につき、広い視野で物事を考えることができるようになりました。さらに大学院では、同じ母性看護学という分野に興味を持つ仲間や指導教授とのつながりはもちろん、他の分野の大学院生や教授とのつながりも生まれました。日々刺激を受ける環境であったことが自己の成長につながり、大きな意味をなしています。

斎藤あゆみ

斎藤あゆみ さん

2022年度入学

Q.進学した動機は何ですか?

A.今までの実践の意味付けと、自信をつけるためです。

臨床、教育機関での経験を重ねる中で、実践と教育の双方の重要性を感じ、その取り組みができる資格がCNS(専門看護師)であることを知りました。また、ケアの保証のためにも実践していることの見える化やシステムづくりについて学びたい、そして何よりこれまでの活動を振り返り、実践の意味付けや自信をつけて今後の活動に取り組みたいと思ったことが進学の理由です。受験準備と学業に専念するため、仕事を退職して大学院へ進学しました。

Q.大学院での学びはいかがですか?

A.専門看護師としての今後の活動に結びつけて学んでいます。

学ぶ内容一つひとつをCNSとして今後どのような活動ができるかに結び付けて学んでいます。他領域の学生と意見交換をして他者の活動や考え方を聞き、視野を広げ、楽しいことも辛いことも共有しながら学んでいます。また、研究は、テーマに迷いながらの入学でしたが、多くの論文に触れ、一つひとつの研究のプロセスを踏みながらその重要性を実感しています。苦戦する部分もありますが、丁寧な指導を受けながら考えを整理し取り組んでいます。

Q.大学院で学ぶことの意味を教えてください。

A.多職種と対話できる知識・思考力が身につくことです。

医師や薬剤師など多職種と対話・ディスカッションできる知識や思考を身につけられる学修です。病院内外はもちろん、グローバルな視点で対象とケアを考え、実践を向上させる能力を養う場となると思います。自分の視野と活動範囲の狭さを実感することが多いですが、ここで気づけたからこそこれからの医療者としての役割や支援のあり方に対する新たな視点や期待も見出せています。迷っている方はぜひチャレンジすることをお勧めします。