看護学研究科 Graduate School of Nursing

看護学研究科

Graduate School of Nursing

小児看護学

Child Nursing

領域の特色

小児看護学領域では、小児看護専門看護師を目指す場合と研究を主体として学ぶ場合の教育カリキュラムがあります。
小児看護専門看護師をめざす場合、子どもの健康レベルや状況に応じたケアについて考えを発展させるために、主要な理論、研究の動向、最近の知見、ケアシステム、ケアマネージメント、社会資源の活用などを踏まえて小児看護の現状を分析し、小児看護専門職としての課題および役割について学習します。また、診断・治療のプロセスを含み、小児看護専門職として必要な子どものヘルスアセスメントについて学び、看護実践に活用できる能力を修得します。これらを踏まえて、高度医療および地域医療の場において、小児看護を実践できる看護実践能力を修得します。さらに課題研究では、小児看護専門看護実習を通して明らかになった課題を探究し、修士論文を作成します。
研究を主体として学ぶ場合、講義・演習・特別演習を通して明らかになった小児看護の実践的課題のなかから、小児看護の対象となる人々へのケアの改善・改革に関連する研究課題を設定し、その課題について特別研究で個別指導や研究ゼミによる研究指導を受けながら研究活動を展開し、修士論文を作成します。

担当教員

准教授 田村 敦子

履修モデル

標準の履修モデルの場合 専門看護師を目指す場合
1年次 前学期 (共通科目)看護管理・政策論
(専門科目)小児看護学講義Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ/小児看護学演習Ⅰ
(共通科目)看護管理・政策論/病態生理学特論/フィジカルアセスメント特論/臨床薬理学特論/コンサルテーション論
(専門科目)小児看護学講義Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ/小児看護学演習Ⅰ
共通科目における必修科目と小児看護に求められる基盤となる概念や理論をゼミ形式で学びます。 専門看護師教育課程の共通科目として認定されている科目と、医学的知識、小児看護に求められる基盤となる概念や理論をゼミ形式で学びます。
後学期 (共通科目)看護倫理/看護継続教育論/地域調査法
(専門科目)小児看護学演習Ⅱ/小児看護学演習Ⅲ
(共通科目)看護倫理/看護継続教育論
(専門科目)小児看護学演習Ⅱ/小児看護専門実習Ⅰ/小児看護学演習Ⅲ・Ⅳ
学生の関心がある共通科目と、小児看護実践の提供に必要な専門的看護支援について、ゼミ形式で学びます。 専門看護師教育課程の共通科目として認定されている科目と、小児看護高度実践の提供に必要な専門的看護支援について、ゼミ形式で学びます。
2年次 前学期 (専門科目)小児看護学演習Ⅳ、小児看護学特別演習 (専門科目)小児看護専門看護実習Ⅱ
小児看護高度実践に求められる臨床推論を演習で学びます。また、小児看護における現状を分析して課題を見出し、課題の改善・改革の方法について学びます。 小児看護高度実践に求められる臨床推論を演習で学び、実習では専門看護師の役割(実践・相談・調整・倫理調整・研究)を理解し、求められる実践能力を修得します。
後学期 (専門科目)実践看護学特別研究 (専門科目)小児看護専門看護実習Ⅱ/小児看護学課題研究
実践的課題の中から、実践看護学分野の対象となる人々へのケアの改善・改革に関連する課題を設定し、その課題について研究活動を展開し、修士論文を作成します。 実習では、子ども特有の疾病の診断・治療のプロセスについて実践を通して学び、高度看護実践に必要な能力を修得します。課題研究では、実習等で見出された課題をもとに研究を行い、論文を作成していきます。

修了生の研究テーマ

出都道府県アレルギー疾患医療拠点病院の外来におけるアトピー性皮膚炎の患児と養育者への看護実践の現状 特別研究 2022
出生直後より2回以上転科・転棟を余儀なくされる先天性心疾患の子どもの母親への看護実践の検討 課題研究 2019
医療的ケアが必要な子どもの初めての退院に向けた家族内役割調整のための看護実践 課題研究 2019
生体肝移植をうけた子どもの療養行動に対する母親の関わりのプロセス 特別研究 2018
救急外来看護師が軽症乳幼児の養育者に行う支援の現状~子育て支援に焦点をあてて~ 特別研究 2017
小児がん患児・家族への告知における看護実践の現状と影響要因 特別研究 2016
小児看護におけるやりがいの関連要因 特別研究 2015
小児血液腫瘍をもつ思春期の子どもの療養行動の継続に影響を与える要因と看護支援 課題研究 2015
苦痛を伴うために鎮痛・鎮静下で検査・処置を受ける子どもの体験 課題研究 2014
摂食・嚥下に問題のある子どもの経口摂取における看護支援の検討 課題研究 2014
健康障害のある新生児や乳児への看護実践の必要性と実施の認識およびやりがいとの関連 特別研究 2011
重症心身障害児となる可能性について説明を受けた母親が在宅療養を選択する過程での体験 特別研究 2011
幼児への点滴処置に関する熟練看護師の行動の意図 特別研究 2008
小児集中治療室の子どもの主体性に関する研究 特別研究 2008
慢性疾患を持つ子どもの自立に向けた親への支援に関する小児外来看護師の思い 特別研究 2007

学修の実際

谷㟢 知里

谷﨑 知里 さん

専門看護師を目指している
2019年度修了

Q.進学した動機は何ですか?

A.看護師としての視野の狭さや知識の少なさを感じたこと

私は大学院進学まで8年間新生児集中治療部で勤務していました。様々な疾患をもつ子どもとその家族へ看護支援を行う中で、子どもと家族がよりよい状態で過ごすためにはどうすればよいのか、関係する医療職者はどのように連携を図り関わっていくことが必要なのかを考えるようになり、看護師としての視野の狭さや知識の少なさを感じ、進学を決めました。

Q.大学院での学びはいかがですか?

A.意見交換をしながら新たな視点を得ること

進学後、 講義や演習科目では学習課題についてのプレゼンテーションを通して、自分の思考を言語化し、 他者に伝えることの大切さと難しさを学びました。共通科目では、小児看護学以外の様々な領域の院生と意見交換を行う機会が多くあり、新たな視点を得ることもできました。また、小児看護学領域の講義や演習科目では、小児看護の基盤となる概念や理論の学修や、小児看護専門看護師の方々から講義を受ける機会を通して、小児看護専門看護師に求められる知識、看護実践上の視点や思考を学ぶことができました。小児看護専門看護実習では、担当させていただいた子どもとその家族に対する看護実践を通して高度看護実践とは何かを探究しました。多面的に物事を捉え、課題を明確化し、専門看護師の役割・機能を用いて課題解決のために看護実践を行うことの重要性を学びました。

Q.大学院で学ぶことの意味を教えてください。

A.臨床現場では味わえない学びの多い充実した日々を送れること

2年間での専門看護師課程の修了は、取得単位数も多く大変でしたが、学びの多い日々を過ごすことができました。臨床現場にいただけでは味わえない充実した日々を送ることができたと感じます。子どもとその家族が疾患をもちながらもよりよい状態で療養生活を送る看護実践を提供できるよう、大学院での学びを活かしていきたいと思います。

田野井 寛子

田野井 寛子 さん

専門看護師を目指している
長期履修制度を利用
2021年度修了

Q.進学した動機は何ですか?

A.高い専門性、看護実践能力を習得したかったから

私は地域医療支援病院で、小児アレルギーエデュケーターとしてアレルギー疾患を持つ子どもと家族への看護支援を行ってきました。その中で、育児への不安や医療不信など、様々な問題を抱える家族に関わり、自分の知識不足や視野の狭さなどを感じていました。そこで、高い専門性と優れた看護実践能力を修得したいと思い進学を決めました。

Q.大学院での学びはいかがですか?

A.専門看護師の活動を学ぶことができる貴重な時間です。

専門領域では、子どもの健康レベルや状況に応じた看護ケアなどを学び論理的に考察し判断することを学修しました。フィールド演習では市町村の子ども家庭課や児童相談所など社会のサポートシステムを実際に学び、小児専門看護師の方々からの講義では、専門看護師の役割・機能について学びました。進学するまで専門看護師と直接会う機会がなかった私には、専門看護師の看護実践や活動を学ぶことができるとても貴重な時間でした。

Q.大学院で学ぶことの意味を教えてください。

A.論理的に考え、思考を言語化する力を学修することです。

自身の看護実践を振り返り、論理的にまた多角的に考える力、思考を言語化し伝える力を学修することです。また、様々な領域の院生と意見交換を行い、新たな視点と多くの刺激を受ける貴重な時間となります。