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循環器センター内科部門(循環器内科)【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2018年4月1日現在 派遣者除く)

科長 (主任教授) 苅尾 七臣
副科長 (教授) 新保 昌久
医局長 (准教授) 河野  健
外来医長 (准教授) 星出  聡
病棟医長 (病院講師) 小森 孝洋
(教授) 今井  靖
(准教授) 船山  大
(准教授) 原田 顕治
(講師) 甲谷 友幸
(講師) 小形 幸代
(講師) 高橋 政夫
(助教) 渡部 智紀
(助教) 清水 勇人
(助教) 鳥海 進一
(助教) 滝  瑞里
(助教) 水野 裕之
(病院助教) 横田 彩子
(病院助教) 小古山由佳子
(病院助教) 石山 裕介
(病院助教) 久保田香菜
(病院助教) 新島  聡
(病院助教) 脇  広昴
シニアレジデント   11名

2.診療科の特徴

自治医大循環器内科には栃木県のみならず、茨城県、さらには群馬県、埼玉県などの隣県からも多くの患者が紹介来院され、昨年の外来患者総数は新患が1,377人、再来は26,976人だが、救急搬送の数が増加したため、紹介率は103.3%と大幅な増加となり、多くの患者の診療を行った。外来診療では初診専門が1診、一般再診外来が3診、特殊外来が1~2診で行っている。特殊外来には高血圧外来、血管外来、ぺースメーカー・ICD外来、冠疾患外来、成人先天性心疾患外来、SAS外来、肺高血圧外来を行っている。入院診療は、循環器センターとしては定床78床(内CCU10床)で、外科部門と混合となっている。入院患者は急性心筋梗塞、心不全、不整脈が中心であるが、近年は肺塞栓、慢性閉塞性動脈硬化症などの末梢血管疾患、血栓疾患も増加してきている。心臓カテーテル検査、経皮的冠動脈形成術は増加の一途であり、薬剤溶出ステントの使用は全病変の60%を超え、その生命予後改善効果も含め、外科治療と肩を並べられる成績が得られてきている。さらに、末梢動脈の血管形成術は近年増加の一途で、良好な治療成績を収めてきている。心不全患者に対しては基本的薬物療法の徹底と運動、食事、生活指導を多職種連携して行っている。両室ペースメーカー(CRT)および両室ペースメーカー機能付き植込み型除細動器(CRT-D)なども適応を見極めて導入している。カテーテルアブレーションは心房細動に対する肺静脈隔離術の症例数が大幅に増加、全体の約半数に達している。クライオバルーンを用いた肺静脈隔離術を積極的に行い、安全性を担保しつつ手技時間の短縮化と治療効果の最適化を目指した心房細動治療に取り組んでいる。ペースメーカー治療においてはMRI対応機種を基本的に植え込み、心室ペーシング部位も右室中隔を第一選択としている。心臓弁膜症治療では、経カテーテル的大動脈弁置換術が、内科、外科、麻酔科からなるハートチームにより定期的に実施されるようになった。マルチスライスCTによる非侵襲的な冠動脈評価はその地位を確立し、冠動脈形成術後やバイパス術後などの評価にもその力を発揮している。さらにMRIを用い、特殊心筋病変の描出にも力を入れている。また、成人先天性心疾患センターの心疾患患者も増加している。今後、地域連携をさらに強化し、栃木県南、茨城県西地区の総括的循環器診療を目指したいと考えている。

認定施設

  • 日本内科学会認定施設
  • 日本循環器学会認定循環器専門医研修施設
  • 日本老年医学会認定老年病専門医認定施設
  • 日本心血管インターベンション治療学会研修施設
  • 日本高血圧学会専門医認定施設
  • 日本不整脈心電学会認定不整脈専門医研修施設
  • 経カテーテル的大動脈弁置換術実施施設

認定医・専門医(派遣者含む)

日本内科学会認定総合内科専門医 苅尾 七臣 他22名
日本内科学会認定指導医 苅尾 七臣 他23名
内科認定医 苅尾 七臣 他40名
日本循環器学会専門医 苅尾 七臣 他25名
日本高血圧学会専門医 苅尾 七臣 他2名
日本老年医学学会指導医 苅尾 七臣 他1名
日本心血管インターベンション治療学会専門医 船山  大
日本心血管インターベンション治療学会認定医 船山  大 他9名
日本不整脈学会専門医 今井  靖 他2名
植込み型除細動器(ICD)治療認定医 今井  靖 他4名
ペーシングによる心不全治療(CRT)認定医 今井  靖 他4名
日本超音波学会認定超音波専門医 原田 顕治 他2名
日本脈管学会認定脈管専門医 小形 幸代
日本臨床遺伝専門医 今井  靖
心臓リハビリテーション指導士 星出 聡 他1名
日本プライマリケア連合学会認定医 河野 健 他1名

3.診療実績・クリニカルインディケーター

1)新来患者数・再来患者数・紹介率

新来患者数 1,377人
再来患者数 26,976人
紹介率 103.3%

(紹介率は、平成26年4月施行の医療法に基づく特定 機能病院として算出した)

2)入院患者数

入院患者数  1,883人
男性1,285人 女性598人
平均在院日数 9.4日

3)急性心筋梗塞(AMI)128名

発症24時間以内 111名
急性心筋梗塞(AMI)患者における
入院当日若しくは翌日のアスピリン投与率 100%

4)病名別入院患者人数

分類 略語 病名 患者数
心不全 CHF 心不全 299
虚血性心疾患 AMI 急性心筋梗塞 128
(24時間以内のAMI発症) 111
OMI 陳旧性心筋梗塞 372
AP 狭心症 521
post-CABG CABG術後 48
弁膜症 MVD 僧帽弁疾患 73
AVD 大動脈疾患 156
先天性心疾患 ASD 心房中隔欠損症 11
VSD 心室中隔欠損症 1
心筋症 DCM 拡張型心筋症 20
HCM 肥大型心筋症 34
HOCM 閉塞性肥大型心筋症 5
心サルコイドーシス 14
不整脈 SSS 洞不全症候群 53
WPW WPW症候群 15
AVNRT 2
AV-block 房室ブロック 87
Vf 心室細動 32
VT 心室頻拍 86
AF/AFL 心房細動・心房粗動 374
PSVT 上室性頻拍症 47
Pacemaker交換 52
感染症 IE 感染性心内膜炎 16
pericarditis 心外膜炎 4
myocarditis 心筋炎 5
血管、血栓症 Aortitis 大動脈炎症候群 1
DAA 解離性大動脈瘤 47
TAA 胸部大動脈瘤 7
AAA 腹部大動脈瘤 23
PE 肺塞栓症 22
IPAH 特発性肺動脈性肺高血圧症 2
ASO 閉塞性動脈硬化症 84
Buerger バージャー病 1
高血圧症 HT 高血圧 597
HHD 高血圧性肥大心 11
PA 原発性アルドステロン症 3
合計(重複あり) 3,364

5)治療実績

1.冠動脈インターベンション

PCI 539 件

2.カテーテルアブレーション

208例

6)死亡退院症例病名別リスト(2017年)

病名 人数
急性心筋梗塞 8
心不全 15
肺塞栓 0
不整脈 4
その他 21
合計 48

7)主な検査・処置・治療件数

①カテーテル検査・治療

心臓カテーテル検査 1,392件

PCI 539件
  AMI/UAP 225件
STENT 485件
Rotablator 33件
OCT 53件
AMI/UAP 生存退院 217件

TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術) 22件

カテーテルアブレーション 208件
(内訳)

※心房細動 98件(うち、74件がクライオバルーン)
心房粗動・心房頻拍 30件
房室結節リエントリ-性頻拍(AVNRT) 26件
房室回帰性頻拍・WPW症候群 22件
流出路起源期外収縮・心室頻拍 13件
左室起源特発性心室頻拍 2件
心室頻拍(器質的心疾患に伴うもの) 1件
房室結節アブレーション(デバイス植込み後) 2件

※ 心房細動(肺静脈隔離:症例により三尖弁下大静脈峡部、上大静脈隔離を追加)

末梢動脈疾患のカテーテル治療 70病変

インターベンション数 60病変

大動脈腸骨動脈領域 15病変
大腿膝窩動脈領域 22病変
下腿動脈領域 6病変
腎動脈領域 13病変
鎖骨下動脈領域 1病変
その他 3病変

②CT・核医学検査

マルチスライスCTによる心臓(冠動脈)診断 348件

心臓PET-CT 42件

心臓MRI 154件

心筋シンチ 611件

テクネ負荷心筋(合計) 412件
  (運動負荷) (144件)
(薬剤負荷) (268件)
安静タリウム心筋 3件
心筋(タリウム+BMIPP) 54件
BMIPP心筋シンチ 0件
MIBG心筋シンチ 110件
安静テクネ心筋 19件
心筋ピロリン酸シンチ 13件

③デバイス関連手術

デバイス植込み・交換 145例

ペースメーカー 新規 58 房室ブロック 32
洞不全 22
徐脈性AF 4
交換 25 房室ブロック 10
洞不全 14
徐脈性AF 1
ICD/CRT 新規ICD植込み 21
ICD交換 17
新規CRT-D植込み 9
新規CRT-P植込み 1
CRT-D,-P交換 7
ILR 7

(新規合計 96件、交換合計 49件)

④生理機能検査

トレッドミル負荷試験 198件

循環器内科(外来) 157件
循環器内科(入院) 8件
他科 33件

心肺運動負荷試験(CPX件数) 116件

循環器内科 (外来) 44件
循環器内科 (入院) 69件
他科 3件

ABPM  105件

心臓エコー検査 7,080件

  循環器内科 心臓血管外科 他科 合計
外来 3,378件 418件 53件 3,849件
入院 2,078件 544件 342件 2,964件
総合計 5,456件 962件 395件 6,813件

(経食道エコー 267件)

血管エコー(頸動脈、腎動脈、末梢動脈の評価) 567件

Holter心電図検査 1,636件

循環器内科(外来) 768件
循環器内科(入院) 236件
その他 632件

late potential検査 86件

循環器内科(外来) 44件
循環器内科(入院) 40件
その他 2件

⑤リハビリテーション

心臓リハビリテーション 7,425件

8)教室内カンファランス

  1. 1月18日(水)DPCに関する説明会
  2. 1月25日(水)症例検討会「あの患者さんは今...」
  3. 2月1日(水)「TAVI前後の血行動態の評価」
  4. 2月8日(水) sever ASによる左室肥大HCMの鑑 別について」
  5. 2月15日(水)「原因不明のPHとSevere AS」
  6. 2月22日(水) 卒後臨床研修センター主催 第3回CPC
  7. 3月1日(水)・ 症例検討会「劇症型心筋炎の治療:経皮的人工心肺補助装置の導入タイミング及び病理像について」・ 研究成果報告「GLP-1 と中枢性循環調節」
  8. 3月8日(水)第81回日本循環器学会予演①
  9. 3月15日(水)第81回日本循環器学会予演②
  10. 3月22日(水)「 植え込みデバイスの周術期合併症」 ~当院の成績を踏まえて~
  11. 3月29日(水)・ 特別講演「効率的なデータ公表と論文作成、それとPTRASの現状」岸和田徳洲会病院 藤原昌彦先生・治験進捗報告
  12. 4月5日(水)お花見
  13. 4月12日(水)今井 靖教授就任祝賀会
  14. 4月19日(水)「 災害医療・救急医療・医療教育」 ~DMATの活動より~
  15. 4月26日(水)「 循環器内科業務:内容・規則の確認」各担当者による説明
  16. 5月10日(水)「 ステント内再狭窄を繰り返す症例 ―ステントアレルギーの疑い―」
  17. 5月17日(水)「収縮性心膜炎の症例について」
  18. 5月24日(水)「国内留学報告会(東大附属病院)」
  19. 5月31日(水)「TAVI施行8症例のreview」
  20. 6月7日(水)心カテレポシステムについて
  21. 6月14日(水)治験説明会
  22. 6月21日(水)Journal Clubのみ
  23. 6月28日(水)「国内留学報告会(土浦協同病院)」
  24. 7月5日(水)「 エキシマレーザー 使用症例の振り返り」
  25. 7月12日(水) 卒後臨床研修センター主催 第1回CPC「長期生存可能であった特発性肺動脈性肺高血圧の1例」・治験説明会
  26. 7月19日(水)BBQ
  27. 9月6日(水)大学院生 研究進捗状況報告
  28. 9月13日(水)医局説明会(J1、J2 勧誘会)
  29. 9月20日(水)第65回心臓病学会予演
  30. 9月27日(水) ・臨床治験説明会・第65回心臓病学会予演3演題
  31. 10月4日(水)医局の新体制に関する説明
  32. 10月11日(水)・ 病棟スタッフ合同カンファ「病棟急変事例の検討」・「慶応病院でのTAVI超音波見学報告」
  33. 10月18日(水) 第21回日本心不全学会より「超高齢社会と心不全治療」
  34. 10月25日(水) 人事課主催 「ハラスメント防止に係る研修会」
  35. 11月1日(水)AHA予演会①
  36. 11月8日(水)AHA予演会②
  37. 11月15日(水) 卒後臨床研修センター主催 第2回CPC
  38. 11月22日(水) 海外招聘講演会 Ramin Ebrahimi先生
  39. 11月29日(水)・腎デナベーションについて・「 The Safety and Efficacy of Trans-catheter Aortic Valve Implantation ―Learn More from Evidence and Experience―」
  40. 12月6日(水)「僧帽弁閉鎖不全症の三次元診断」
  41. 12月13日(水)「 Severe AS, PAH 合併症例 膠原 病科合同カンファ」
  42. 12月20日(水)「CCUにおけるCHDF症例の検討」

その他のカンファレンス

  • 毎週月曜日 17:00~ 心不全カンファ
  • 毎週月曜日 17:30~ 心不全多職種カンファ
  • 毎週月曜日 アブレーション後 不整脈カンファ
  • 毎週火曜日 18:00~ 血管カンファ
  • 毎週水曜日 17:30~ 成人先天性心疾患カンファ
  • 毎週木曜日 16:30~ 心臓エコーカンファ
  • 毎週木曜日 17:00~ 心臓カテーテルカンファ
  • 毎週金曜日 17:00~ TAVIハートチームカンファ

4.2018年の目標・事業計画等

  1. 心疾患治療部の今年度の目標としては、①急性冠症候群に対する迅速なカテーテル治療の実践として、全症例でのdoor-to-balloon時間90分以内の達成、②Poly-vascular diseaseの増加に伴い、全身血管の包括的インターベンションの実践、③ハートチームが結成され、手術リスクの高い大動脈弁狭窄症患者に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)が開始となった。地域連携を強化し、TAVIの良好な成績を目指す。
  2. カテーテルアブレーションにおいてはカテーテルアブレーションの適応疾患(WPW症候群、房室結節リエントリー性頻拍、典型的心房粗動、特発性心室頻拍など)の症例数を維持しつつも、需要が著増している薬剤治療抵抗性発作性・持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションが徐々に増加し、全体の約半数を占めるに至っております。それと並行し、クライオバルーンによる心房細動カテーテルアブレーションを2016年11月に当院でも導入(栃木県初)しましたが、今後、これらの新しい治療器具を活用しつつ安全で確実、かつ手技時間の短縮がはかれる形で肺静脈隔離の症例数を重ねていきたいと思います。また器質的心疾患・心臓外科手術後、および増加する成人先天性心疾患に関連した頻脈性不整脈に対する治療を積極的に進めることが今後の課題でありますが、3次元マッピング・イリゲーションカテーテル・コンタクトフォースモニタリング、また心腔エコー、CT・MRIとの画像融合といった最新の技術を活用しつつ、それら疾患の治療実績を重ねて参りたいと思います。また小児科との連携により小児に対するカテーテルアブレーションも展開していく予定です。
  3. 植え込みデバイスについて、ペースメーカーはMRI対応機種を原則としている。またICD、 CRT-Dといったハイパワーデバイスについては県内における中核施設として症例数を維持しながら遠隔管理システムを活用したデバイス管理を行っている。ペースメーカー、ICD、CRT合わせて150例程度の手術を安全に行いながら、集積されたデータベースを活用して学術活動を推進していきたい。また、レーザーシースを用いたリード抜去や、皮下型除細動器(S-ICD)の準備を進めている。また植え込み型ループ心電計(ILR/ICM)が原因不明の心原性脳塞栓の原因検索と適応が拡大され、かつデバイスが大幅に小型化したこともあり、神経内科との連携を強化し植え込みを積極的に進めている。
  4. 心臓超音波検査部門は、検査件数は年々右肩上がりである。今後さらに質的向上に努めるべく、より詳細な「構造的評価」「血行動態評価」を目指し、ますます複雑化する心疾患の治療方針の決定や治療効果判定の中心的な役割を果たしたい。そのために、弁膜症等の経食道心エコー検査における3D解析、ストレインイメージングや負荷心エコー法を用いた心機能評価を日常の検査でも積極的に取り入れていきたい。また、当院でもTAVIが施行され一年が経過する。術中・術前後における心エコー検査は不可欠であり、今後もハートチームの中で積極的に介入していきたい。以上のように、昨今の心臓超音波検査は時代と共により高度な専門的知識や技術が要求される。心臓血管外科との合同カンファレンスでの情報共有や、若手を対象にした勉強会を定期的に行い、全体的なレベルアップを行っていく。
  5. 核医学検査部門は負荷試験を合併症無く安全に行うことを第一の目標とする。虚血をより明確に鑑別するために、負荷試験は充分な運動量を行い、目標心拍数到達だけではなく心筋酸素消費量と良く相関する、収縮期血圧と心拍数による二重積(Doubleproduct)を25,000以上を到達するようにして、虚血の精度を改善した。施行件数は増加している。負荷心筋シンチの際テクネシウムシンチとCT同時撮影によるfusion画像により冠動脈の走行に合わせて虚血部位を同定できる。また、テクネシウムによるQGSシンチグラフィをルーティン化し、左室容量および駆出率を客観的に評価している。また、TlとBMIPPによるdual SPECTによる虚血や二次性心筋症の評価、更に心不全におけるMIBGによる心筋交感神経障害評価も増加している。国内のMIBGコホート研究より死亡リスクの多変量モデルが作成され、心不全の重症度評価のみならず、心不全死および重症不整脈のリスク層別化、心不全治療効果の判定、長期予後の評価として、MIBGは有効であり、施行件数も増加している。さらにFDG-PETを用いた心サルコイドーシスや炎症性心疾患の診断も行っている。
  6. 心臓CT検査では、被ばく低減に配慮し、冠動脈病変の評価はもとより、大動脈弁狭窄症や成人先天性心疾患を含む心構造疾患(structural heart disease)の評価における精度向上を目指す。また、 MRIを用いた心機能解析、心筋障害の質的診断を引き続き積極的に行う。
  7. 全身性血行動態アテローム血栓症症候群(SHATS)の評価、すなわち血管機能検査、末梢動脈エコー等を用いた動脈硬化病変の評価を積極的に行い、症状や生活の質の改善のみならず予後の改善を目指す。末梢動脈インターベンションは、安全でより効果的な治療手技の確立に努力する。重症虚血肢の診療における他科連携による集学的診療体制(フットケアチーム)を確立する。
  8. 心臓リハビリテーションでは、循環器内科疾患から心臓外科手術後の症例も多く導入することが出来、延べ件数として7,000件/年を超えることができた。医療側の認知度も高まってきたことがうかがえる。来年度以降も、心不全予防外来などと連携し、QOLの改善や再発予防に努める。
  9. 心不全患者や虚血性心疾患、治療抵抗性高血圧に合併する睡眠呼吸障害のスクリーニングを積極的に行う。心不全治療としての陽圧治療を積極的に導入し、心不全のQOL、予後の改善を目指す。
  10. 高血圧については、以前より高血圧専門外来を設けている。高血圧の最先端の治療である治療抵抗性高血圧に対する腎交感神経デナベーションの治験が行われている。循環器内科外来に通院する症例のほとんどが対象となる、循環器リスク患者における心臓・血管関連の予後に関する前向き研究が開始され、本院で1000名以上の症例が登録された。今後も継続の予定である。
  11. 成人先天性心疾患センターとして先天性心疾患症例の成人例の外来での診療および心房中隔欠損症、動脈管開存症に対するカテーテル治療を積極的に進めている。特に後者のカテーテル治療は最近まで北関東で唯一の治療実施機関であったこともあり、今後もさらに充実した診療体制を構築していく予定である。また先天性心疾患の治療ガイドとして事前に実施した画像検査を元に 3-D 模型を作製したのちに手技シュミレーションを行うといった試みを開始している。
  12. 心不全治療に関しては、至適薬物療法(OptimalMedical Therapy)を確実に導入することを改めて実行した。すなわち、β遮断薬、RAS系阻害薬、抗アルドステロン拮抗薬の導入である。これらを基軸治療として、実地医療の先生方と病診連携を図り、心不全再入院を抑制できた。病態については個々において異なりOMTに加えて更なるオーダーメイドな治療が求められる。これらの病態把握のために、心臓超音波をはじめ、核医学、MRIといった画像解析を積極的に行った。
    重症心不全症例では心臓血管外科や他職種でハートチームを結成し、補助人工心臓 (VAD)導入、管理を行った。今後心臓移植を念頭に件数が増加すると予想される。また、移植後症例の管理も当院で求められており、必要な知識(免疫抑制剤の使用など)を改めて学ぶ必要がある。

5.過去実績