臨床工学部[アニュアルレポート]

1.スタッフ

部長(教授) 三澤 吉雄(兼)
技師長 1名
副技師長 1名
主任臨床工学技士 3名
専任臨床工学技士 2名
臨床工学技士 10名

2.活動内容

臨床工学部は大きく呼吸部門、循環部門、代謝部門に分けられ、呼吸部門では、人工呼吸器の中央管理を、循環部門では、人工心肺業務、心臓カテーテル検査、ペースメーカ関連業務を、代謝部門では、血液浄化療法を担当している。その他に臨床工学部全体で、対応可能な医療機器の管理を行っている。

呼吸部門

人工呼吸器管理業務

人工呼吸器管理部門は院内にある人工呼吸器105台を中央管理している。日常点検をはじめ、使用中点検、定期点検、人工呼吸器管理安全対策チームによる週一回の一般病棟での院内巡視を他職種と連携して行っている。また、人工呼吸器の取り扱い方法などの教育も行い、安全な人工呼吸療法が行われるように努力している。2009年から人工呼吸器の動作点検に必要なテストラングの管理を開始した。

循環部門

人工心肺業務

手術室において人工心肺操作および医療機器管理を主として行っている。成人体外循環の特徴として、輸血回避を目的に限外濾過法による血液濃縮を積極的に行っている。心房細動に対するmaze手術では凍結凝固装置の操作や胸部下行大動脈瘤、腹部大動脈瘤術後の対麻痺回避目的に運動機能の客観的評価法(MEP)の機器操作も実施している。小児体外循環では症例数が年々増加傾向にあり、新たに心肺回路および人工肺の変更や低侵襲目的に回路内低充填化の検討を行っている。また、人工心肺操作の安全性を向上させるため日本体外循環技術医学会による安全装置設置基準の遵守に努めている。救急部からの要請により、交通外傷による大量出血時や小児整形外科領域での脊椎側湾症手術に対して自己血回収装置を使用している。

医療機器管理業務

患者モニタリング関連物品、麻酔器関連物品、除細動器、輸液・シリンジポンプの管理を行っている。また常時担当者を配置し、麻酔器など医療機器全般、ネットワークシステム、電源設備のトラブルに対処できる体制をとっている。医療機器の故障時にはメーカーを仲介し、修理の必要性の検討や代替品の手配などの役割を担っている。経食道エコープローブおよび電動手術台についてはメーカーの指導のもと、我々が独自に試験を行い、不具合を発見する実績を上げている。手術室で進む光学機器に関してはメンテナンス、運用のサポートに関わっている。

心臓カテーテル検査業務

心臓カテーテル検査では、カテーテル検査、冠動脈形成術、カテーテル心筋焼灼術を施行する際に使用する機器の操作、点検、管理を行っている。

循環器センター部門においては、カテーテル心筋焼灼術施行時にCARTO(マッピングシステム)を使用する症例が増加しておりその操作法習得とトレーニングを行っている。

小児科部門においては、先天性心疾患の治療が増加しており他院からの緊急の受け入れも行っている。また時間外の緊急にもオンコールで対応出来るようにしている。

ペースメーカ関連業務

体外式ペースメーカと植込み型ペースメーカについて業務を行っている。 

体外式ペースメーカについては、保守・点検・管理および貸出し業務を行っている。

植込み型ペースメーカについては移植手術中、入院中、外来での作動検査の立会い業務を行っており、患者データの管理も行っている。

その他、植込み型ペースメーカ移植患者の各手術施行時や内視鏡治療時に要請があればペースメーカの設定変更および作動検査を行っている。

代謝部門

血液浄化療法業務

血液透析では20ベットに対し、病棟での透析や無酢酸透析が可能な個人透析装置4台(うち多機能機種2台)、セントラルサプライ型17台(うち多機能機種4台)、透析液供給装置2台、RO水処理装置1台、個人用RO水処理装置2台の保守・点検・操作を行っている。

血液浄化療法では、移植におけるABO血液不適合、劇症肝炎、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、天疱瘡、血栓性血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、薬物中毒、腹水症などの症例に対し、血漿交換(PE)、二重濾過血漿交換(DFPP)、免疫吸着(IAPP)、白血球除去療法(LRT)の吸着分離方式で非選択的除去(LCAP)、顆粒球・単球の選択的除去(GCAP)、血液吸着(HA)、胸・腹水還流(CART)など、アフェレシス専用装置2台を使用して行っている。

合併症や重症例など透析センターで施行できない症例については病棟で行い、夜間・休祭日ともオンコールに対応している。また、子ども医療センターの稼動にともない小児症例についても対応している。

認定資格

透析技術認定士 9名
体外循環技術認定士 4名
3学会合同呼吸療法認定士 3名
第1種ME技術実力検定試験合格 1名
第2種ME技術実力検定試験合格 16名
臨床ME専門認定士 1名

3.実績・クリニカルインディケーター

症例数

・人工呼吸器管理業務

日常点検 1,939件
使用中点検 7,998件

・人工心肺業務

人工心肺総数 285例
成人症例 208例
小児症例 77例
自己血回収装置使用総数 338例
人工心肺併用件数 252例
腹部大動脈瘤手術 42例
脊椎側湾症手術 24例
その他の疾患 20例
経皮的心肺補助装置(PCPS)使用総数 13例
成人症例 5例
小児症例 8例
緊急対応症例総数 71例
人工心肺 47例
自己血回収およびPCPS
(時間内、外および祝休日を含む)
24例
医療機器管理件数
臨床工学技士点検台数 58件
臨床工学技士手術室内ラウンド件数 220件
メーカー点検台数 130件
メーカー修理総件数 112件

・心臓カテーテル検査業務

*成人症例総数 1,531例
1)冠動脈治療症例
バルーン形成術 56例
ダイレクトステント 60例
ステント 521例
ロータブレーター 19例
血栓吸引 102例
下大静脈フィルター 2例
僧帽弁交連切開術 1例
2)不整脈治療症例
電気生理検査(EPS) 14例
カテーテル心筋焼灼術 165例
植込み型除細動器移植術 38例
植込み型除細動器閾値試験 21例
ペースメーカ移植術
*心臓再同期療法(CRT)を含む
29例
3)補助循環症例
大動脈バルーンパンピング(IABP) 38例
経皮的心肺補助装置(PCPS) 7例
4)その他
抹消血管治療(PTA) 59例
診断補助(IVUS) 101例
*小児症例総数 108例
診断検査 93例
バルーン形成術 6例
コイル塞栓術 3例
酸素負荷 1例
心房中隔切開術 5例
*緊急対応症例数
時間内 156例
時間外 64例
祝休日 77例

・ペースメーカ関連業務

ペースメーカ移植術 112例
外来検査 738例
院内検査 126例
手術中の設定変更 25例
体外式ペースメーカ点検 290件

・血液浄化療法業務

血液透析(HD) 4,304例
血漿交換(PE)成人症例 50例
小児症例 7例
二重濾過血漿交換(DFPP) 23例
血漿吸着(LDL) 12例
(イムソーバ) 5例
血液吸着(LCAP) 5例
(GCAP) 11例
腹水再還流 45例
病棟施行症例
(血液透析、血液浄化を含む)
44例
緊急対応症例
(時間内、外および祝休日を含む)
153例

業績

(A)学会発表

  1. 小谷友喜,高岡尚樹,﨑田 翔,繁在家 亮,進藤靖夫,庭山秀毅:脊椎側湾症に対する自己血回収装置の有用性.第5回栃木県臨床工学技士会学術集会,栃木,2009年1月25日.(プログラム・抄録:12, 2009)
  2. 﨑田 翔,高岡尚樹,鳥越祐子,繁在家 亮,進藤靖夫,庭山秀毅,三澤吉雄:心臓カテーテル検査中に左室自由壁破裂をきたした一例.第5回栃木県臨床工学技士会学術集会,栃木,2009年1月25日.(プログラム・抄録:14, 2009)
  3. 鳥越祐子,高岡尚樹,﨑田 翔,繁在家 亮,進藤靖夫,庭山秀毅,三澤吉雄:妊娠後期に急性大動脈瘤破裂を発症した一例.第35回日本体外循環技術医学大会,大阪,2009年10月10日.( 日本体外循環36(3):277,2009)
  4. 三澤吉雄,斎藤 力,小西弘明,相澤 啓,進藤靖夫,繁在家 亮:わが国における血液透析患者での人工弁選択.第47回日本人工臓器学会大会,新潟,2009年11月12日.(日本人工臓器学会38(2):47, 2009)
  5. 前田孝雄,椎崎和弘,安藤康弘,斎藤 修,大舘孝幸,鈴木孝雄,石川暢夫,八木澤 隆,草野英二:ABO血液型不適合におけるアフェレシス療法.第42回日本臨床腎移植学会大会,浦安,2009年1月28~30日.(抄録集 第42回,2009)
  6. 鈴木孝雄,前田孝雄,木村曉央,立川慶一,大舘孝幸,嶋中公夫:カリウム吸着フィルターの吸着曲線への非線形回帰式のあてはめ.第19回埼玉県臨床工学技士会および通常総会,大宮,2009年5月31日.
  7. 前田孝雄,椎崎和弘,安藤康弘,鈴木孝雄,大舘孝幸,上木原友佳,嶋中公夫,石川暢夫,八木澤 隆,草野英二:ABO血液型不適合腎移植の抗体価低減化困難症例プロトコールの比較検討.第54回日本透析医学会学術集会・総会,横浜,2009年6月5~7日.(要旨集 42(suppl):1-995, 2009)
  8. 鈴木孝雄,安藤康弘,上木原友佳,大舘孝幸,前田孝雄,嶋中公夫,海野鉄夫,草野英二:HD中の循環血液量と血圧、脈圧の関係の検討.第54回日本透析医学会学術集会・総会,横浜,2009年6月5日.(要旨集 42(suppl):628, 2009)
  9. 中澤英子,鈴木孝雄,湯村和子,武藤重明,草野英二:血液透析が著効したメホルミンによる乳酸アシドーシスの一例.第54回日本透析医学会学術集会・総会,横浜,2009年6月5日.(要旨集 42(suppl):776, 2009)
  10. 大舘孝幸,安藤康弘,堰端大輔,上木原友佳,鈴木孝雄,前田孝雄,嶋中公夫,澤口 博,海野鉄夫,武藤重明,草野英二:ヘパリンワンショットの必要性について.第54回日本透析医学会学術集会・総会,横浜,2009年6月5日.(要旨集 42(suppl):11-955, 2009)
  11. 高岡尚樹,前田孝雄,大舘孝幸,鈴木孝雄,嶋中公夫,伊澤佐世子,澤口 博,伊藤千春,椎崎和弘,草野英二:重篤な心不全管理下でのAPP施行方法の一例.第32回栃木県透析医学会,栃木,2009年9月12日.(プログラム・抄録:9, 2009)

(B)著書・総説

  1. 荒井和美,鈴川正行:換気モードと設定方法.看護技術55(13):15-19, 2009.

(C)その他

  1. 繁在家 亮:ちょっと拝見!!隣の体外循環.第35回日本体外循環技術医学大会小児パネルディスカッション,大阪,2009年10月10日.
  2. 前田孝雄:日本体外循環技術医学会第16回関東甲信越地方大会,特別講演:司会.群馬,2009年3月14~15日.
  3. 前田孝雄:埼玉県臨床工学技士会第8回臨床工学教育セミナー,教育講演:司会.大宮,2009年8月5日.
  4. 前田孝雄:第35回日本体外循環技術医学会,一般演題:座長.大阪,2009年10月10~11日.

4.事業計画・来年の目標等

臨床業務については、各部門の関連認定資格(透析技術認定士、体外循環技術認定士、3学会合同呼吸療法認定士、医療機器情報コミュニケータなど)の取得を目指し、それぞれの知識および技術の向上を図り、より安全な運用に努める。

医療機器管理については、集中治療部、救急部の血液浄化装置について一元管理する方向であり、さらに対応可能な機器の種類を増やし安全性や使用効率を充実させて行く。

5.過去実績

2008年アニュアルレポート.pdf

自治医科大学附属病院

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1

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