臨床工学部[アニュアルレポート]

1.スタッフ(平成23年4月1日現在)

部長(教授) 三澤 吉雄(兼)
技師長 庭山 秀毅
副技師長 嶋中 公夫
主任臨床工学技士 3名
専任臨床工学技士 2名
臨床工学技士 11名

2.臨床工学部の特徴

臨床工学部は大きく医療機器管理部門・循環部門・代謝部門に分けられ、医療機器管理部門では、人工呼吸器や体外式ペースメーカと除細動器(AEDを含む)の中央管理を、循環部門では、人工心肺業務・心臓カテーテル検査・植込み型ペースメーカ関連業務を、代謝部門では、血液浄化療法を担当している。その他に臨床工学部全体で、対応可能な医療機器の管理を行っている。

医療機器管理部門

人工呼吸器管理業務

人工呼吸器管理部門は院内にある人工呼吸器105台とテストラングの中央管理をしている。日常点検をはじめ、使用中点検、定期点検、トラブル時の対応、人工呼吸器管理安全対策チームによる週一回の一般病棟での院内巡視を他職種と連携して行っている。また、人工呼吸器の取り扱い方法などの教育も行い、安全な人工呼吸療法が行われるように努力している。

ペースメーカ関連業務

体外式ペースメーカと植込み型ペースメーカについて業務を行っている。

体外式ペースメーカについては、保守・点検・管理および貸出し業務を行っている。

植込み型ペースメーカについては移植手術中、入院中、外来での作動検査の立会い業務を行っており、患者データの管理も行っている。

その他、植込み型ペースメーカ移植患者の各手術施行時や内視鏡治療時に要請があればペースメーカの設定変更および作動検査を行っている。

医療機器管理業務

病棟や外来部門で使用している除細動器、AEDは1回/月作動点検を行っている。輸液・シリンジポンプについてはリースで運用しているが全体的な台数の分布や稼働状態を把握するように巡視を行っている。モニター類については電波が混信しないようにゾ-ン管理を行っている。異常が発生した場合はメーカーと協力して原因の究明と解決策を検討している。

体外循環部門

体外循環部門は、手術室において人工心肺装置(3台)、IABP装置(2台)、PCPS装置(4台)等の保守管理や麻酔器、モニター、電気メスなどの機器管理業務を行っている。成人体外循環の特徴として、輸血回避を目的に限外濾過法による血液濃縮や心房細動に対するmaze手術では凍結凝固装置の操作、胸部下行大動脈瘤や胸腹部大動脈瘤では術後の対麻痺回避目的に、運動機能の客観的評価法である運動誘発電位(MEP)の機器操作も行っている。小児体外循環では、新たに心肺回路及び人工肺の変更や低侵襲目的に低充填化の検討を行っている。また小児ECMO回路に連続的回路内圧計を装着し、循環動態の変動が把握し易くなり安全性が向上した。
医療機器管理業務では、患者モニタリング関連物品、麻酔器関連物品、除細動器、輸液・シリンジポンプの管理を行っている。また常時担当者を配置し、麻酔器など医療機器全般、ネットワークシステム、電源設備のトラブルに対処できる体制をとっている。医療機器の故障時にはメーカーを仲介し、修理の必要性の検討や代替機の手配などを行っている。本年より始まった術野動画システムについてトラブル対応や運用改善にも取り組んでいる。DVT予防機器の中央管理では、機器管理ソフトウェアとバーコードによる入力作業の簡略化を組み合わせたシステムを採用し70台の管理を行っている。

心臓カテーテル検査業務

心臓カテーテル検査では、カテーテル検査、冠動脈形成術、カテーテル心筋焼灼術を施行する際に使用する機器の操作、点検、管理を行っている。

循環器センター部門においては、カテーテル心筋焼灼術施行時にCARTO(マッピングシステム)をほぼ全症例で使用している。

小児科部門においては、先天性心疾患の治療が増加しており他院からの緊急の受け入れも行っている。また時間外の緊急にもオンコールで対応出来るようにしている。

代謝部門

血液浄化療法業務

血液透析では20ベットに対し、病棟での透析や無酢酸透析が可能な個人透析装置4台(うち多機能機種2台)、セントラルサプライ型17台(うち多機能機種4台)、透析液供給装置2台、RO水処理装置1台、個人用RO水処理装置2台の保守・点検・操作を行っている。

血液浄化療法では、移植におけるABO血液不適合、劇症肝炎、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、天疱瘡、血栓性血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、薬物中毒、腹水症などの症例に対し、血漿交換(PE)、二重濾過血漿交換(DFPP)、免疫吸着(IAPP)、白血球除去療法(LRT)の吸着分離方式で非選択的除去(LCAP)、顆粒球・単球の選択的除去(GCAP)、血液吸着(HA)、胸・腹水還流(CART)など、アフェレシス専用装置2台を使用して行っている。

合併症や重症例など透析センターで施行できない症例については病棟で行い、夜間・休祭日ともオンコールに対応している。また、子ども医療センターの稼動にともない小児症例についても対応している。

現在、透析センターのリニューアル及び外来透析室の新設計画作業を進めている。

認定資格

透析技術認定士 9名
体外循環技術認定士 6名
3学会合同呼吸療法認定士 6名
第1種ME技術実力検定試験合格 1名
第2種ME技術実力検定試験合格 16名
臨床ME専門認定士 1名
医療機器情報コミュニケータ 3名

3.実績・クリニカルインディケーター

症例数

・人工呼吸器管理業務

日常点検 2,410件
使用中点検 9,911件

・人工心肺業務

人工心肺総数 283例
成人症例 219例
小児症例 64例
自己血回収装置使用総数 314例
人工心肺併用件数 244例
腹部大動脈瘤手術 37例
脊椎側湾症手術 17例
その他の疾患 16例
経皮的心肺補助装置(PCPS)使用総数 16例
成人症例 13例
小児症例 3例
緊急対応症例総数 120例
人工心肺 74例
自己血回収およびPCPS
(時間内、外および祝休日を含む)
46例
医療機器管理件数
臨床工学技士点検台数 76件
臨床工学技士手術室内ラウンド件数 242件
メーカー点検台数 127件
メーカー修理総件数 70件

・心臓カテーテル検査業務

成人症例総数 1,632例
診断検査 704件
治療症例
PCI(冠動脈インターベンション) 689病変
抹消血管治療(PTA) 41例
僧帽弁交連切開術 2例
不整脈治療症例
電気生理検査(EPS) 13例
カテーテル心筋焼灼術 175例
植込み型除細動器移植術 29例
ペースメーカ移植術
※心臓再同期療法(CRT)を含む
31例
補助循環症例
大動脈バルーンパンピング(IABP) 60例
経皮的心肺補助装置(PCPS)
※治療件数に重複あり
13例
小児症例総数 82例
診断検査 67例
バルーン形成術 6例
コイル塞栓術 7例
心房中隔切開術 2例
緊急対応症例総数
時間外 81件
祝休日 96件

・ペースメーカ関連業務

ペースメーカ移植術 98例
外来検査 747例
院内検査 121例
手術中の設定変更 20例
体外式ペースメーカ点検 313件

・血液浄化療法業務

血液透析(HD) 5,116例
血漿交換(PE)成人症例 68例
小児症例 17例
二重濾過血漿交換(DFPP) 9例
血漿吸着(プラソーバ) 9例
(イムソーバ) 12例
血液吸着(LCAP) 37例
(GCAP) 24例
腹水再還流 13例
病棟施行症例
(血液透析、血液浄化を含む)
70例
緊急対応症例
(時間内、外および祝休日を含む)
205例

業績

(B)学会発表

  1. 上木原友佳,木村好文,庭山秀毅:インフルエンザに合併した心筋炎に対して補助循環を施行した1例.第1回一般社団法人栃木県臨床工学技士会学術集会,宇都宮,2010年3月28日(プログラム・抄録:3,2010)
  2. 立川慶一,堰端大輔,小谷友喜,鳥越祐子,繁在家 亮,進藤靖夫,庭山秀毅,三澤吉雄:当院での人工心肺における安全装置設置基準に対する検討.第1回一般社団法人栃木県臨床工学技士会学術集会,宇都宮,2010年3月28日(会誌14:12,2010)
  3. 﨑田 翔,荒井和美,庭山秀毅:人工呼吸管理安全対策チームの活動の近況報告.第1回一般社団法人栃木県臨床工学技士会学術集会,宇都宮,2010年3月28日(プログラム・抄録:8,2010).
  4. 上木原友佳:当院でのコスト削減の取り組み.第4回日光トランスラディアル研究会,埼玉,2010年5月22日(プログラム・抄録:5,2010)
  5. 堰端大輔,鳥越祐子,立川慶一,小谷友喜,繁在家 亮,進藤靖夫,庭山秀毅,三澤吉雄:MEPモニタリングの有効性の検討.第20回日本臨床工学会通常総会,横浜,2010年5月22~23日(プログラム・抄録:111,2010)
  6. 鳥越裕子,前田孝雄,高岡尚樹,大舘孝幸,鈴木孝雄,嶋中公夫,伊澤佐世子,伊藤千春,草野英二:重篤な心不全管理下でのAPP施行方法の1例.第20回埼玉臨床工学会,大宮,2010年6月6日,(プログラム・抄録:7,2010)
  7. 鈴木孝雄,伊藤千春,橋本 徹,高岡尚樹,大館孝幸,前田孝雄,嶋中公夫,小森さと子,苅尾七臣,安藤康弘,草野英二:心拍応答ペースメーカの透析時低血圧に対する有効性の検討.第55回日本透析医学会学術集会,総会,神戸,2010年6月18-20日(日本透析医学会誌43(suppl):567,2010)
  8. 前田孝雄,﨑田 翔,椎崎和弘,大舘孝幸,鈴木孝雄,岡部絵里子,伊澤佐世子,伊藤千春,草野英二:免疫吸着療法における循環血液量モニターの有効性.第55回日本透析医学会大会,神戸,2010年6月18-20日(日本透析医学会誌43(suppl):1-510,2010)
  9. 上木原友佳:当院における業務.第1回栃木県CE研究会,栃木,2010年7月14日
  10. 大舘孝幸,秋元 哲,鳥越祐子,前田孝雄,鈴木孝雄,嶋中公夫,安藤康弘,草野英二:フサンクロット減少のための一方法.第33回栃木県透析医学会,宇都宮,2010年9月11日(プログラム・抄録:9,2010)
  11. 高岡尚樹,繁在家 亮,小谷友喜,崎田 翔,木村暁央,進藤靖夫,河田政明:新生児・乳幼児に対するECMOとその検討.第1回関東臨床工学会総会.川口.2010年11月7日(プログラム・抄録:21,2010)

(D)その他

  1. 鈴木孝雄:第1回一般社団法人栃木県臨床工学技士会学術集会,栃木,2010年3月28日,特別講演:講師.
  2. 木村好文:第20回日本臨床工学会, 横浜,2010年5月22日,一般演題(心臓カテーテル):座長.
  3. 前田孝雄:埼玉県臨床工学技士会第9回臨床工学セミナー,大宮,2010年7月4日,教育講演:司会.
  4. 嶋中公夫:第33回栃木県透析医学会,宇都宮,2010年9月11日,一般演題:座長.
  5. 前田孝雄:埼玉県臨床工学技士会第9回血液浄化セミナー,大宮,2010年10月10日,教育講演:司会.
  6. 荒井和美:人工呼吸器の基礎.呼吸器基礎セミナー,宇都宮,2010年10月31日,講師.
  7. 前田孝雄:関東臨床工学技士会協議会第1回関東臨床工学会,川口,2010年11月7日,特別講演:司会.

4.事業計画・来年の目標等

輸血細胞部での末梢血幹細胞採取、集中治療部、救急部での血液浄化療法について対応してゆく。血液浄化装置については一元管理する方向であり、さらに対応可能な機器の種類を増やし安全性や使用効率を充実させて行く。
各部門の関連認定資格(透析技術認定士、体外循環技術認定士、3学会合同呼吸療法認定士、医療機器情報コミュニケータなど)の取得を目指し、それぞれの知識および技術の向上を図り、より安全な運用に努める。
大学病院としての役割を果たすため研究面を充実させる方針である。

5.過去実績

2009年アニュアルレポート

2008年アニュアルレポート

  • 東日本大震災関連情報

自治医科大学附属病院

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1

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