小児画像診断部[アニュアルレポート]

1.スタッフ(平成29年4月1日現在)

部長(教授) 相原 敏則
副部長(講師) 古川 理恵子
医員(病院助教) 中田 和佳

2.小児画像診断部の特徴

医療が臓器別に専門分化が進む現在、全身を診る唯一の診療科が小児科であるが、我々小児画像診断部もそれにならい、全身の疾患を画像診断の対象としている。その特徴を一言で言えば「適応から判断し検査計画の立案から始まる画像診断」となる[注1]。そのために、附属病院本院では放射線科が担当していない超音波検査も装置を自前で所有し引き受けている[注2]。

小児画像診断部は自前のカンファレンス室を有している。JUMP(電子カルテ)、PACS(画像診断電子保存供覧システム)を大画面プロジェクター(DICOM対応)で映写し、出席者に供覧して議論することが可能である。このカンファレンス室ではとちぎ子ども医療センターの医師と定期画像診断カンファレンス[3-2)参照]を開催し、依頼医との関係が「オーダーと読影レポートの往復」で終わらない工夫をしている。

注1:
詳しくは子ども医療センターホームページの「小児画像診断部」をご覧いただきたい。(学校法人自治医科大学HP→自治医科大学附属病院→とちぎ子ども医療センター→診療科等のご案内→小児画像診断部)

注2:
小児画像診断部放射線科医が、超音波検査が必要と判断した症例に限って検査をお引き受けしている。そのため予約枠は開示していない。

認定医

日本医学放射線学会放射線科診断専門医 相原 敏則
古川 理恵子
中田 和佳

3.実績・クリニカルインディケーター

(2016年1月1日~12月31日)

1)読影件数

単純X線写真 5,151
造影検査(X線透視) 140(内診療時間外1件)
CT 621(同8件)
超音波 689(同23件)
MRI 1,172(同3件)

注1:
  鎮静を試みたが入眠剤せずMRIを行った検査実績を下に示す:
  鎮静を試みた検査件数 672件
  入眠せず検査が中止(のべ) 116件
  中止割合 10.3%
  1日平均中止件数 0.48件
  検査中止までの平均拘束時間 88.3分(約2時間半)
  検査中止までの最大拘束時間 180分(3時間)
  検査中止2回以上かつ2時間以上の待機を要した患者数
                7件
  検査中止と判断するまでに要した全時間
                8,370分(約140時間)
注2:
  麻酔科医による全身麻酔下でのMRI 13件

2)画像診断カンファレンス

(会場:小児画像診断部カンファレンス室)

小児科 月曜、木曜 12:45から
小児外科 月曜 16:00から
尿路(小児科、小児泌尿器科) 火曜 17:30から
小児整形外科 月曜 17:30から
Tumor Board 毎月第3月曜日 15:30から

その他症例により関係各科が随時時間を調整し集まっている。2016年実績は、小児科腫瘍班による記載をご参照いただきたい。

小児画像診断ミニレクチャー
2013年11月から、小児画像診断ミニレクチャーを行っていたが、"研修医教育"という所期の目的が果たせていない状況が常態化したため、2016年11月10日をもって休止した。現在のところ、再開の予定はない。

3.附属病院放射線科との関係

血管造影検査、血管内治療、IVRは附属病院放射線科が担当している。

4.機器更新

超音波診断装置、X線透視装置、X線撮影装置、MRI対応生体情報モニターの更新が実現した。それぞれ、GE LOGIQ E-9 XDclear、東芝Ultimax-i、東芝MRAD-80S、Philips Expressionとなった。X線撮影装置更新に伴い、撮影媒体がCR(ComputedRadiography)からFPD(Flat Panel Detector)に変更となった。

4.2017年の目標・事業計画等

1)X線CTの新規導入

子ども医療センターでは、その性格上重症患者が増加することは避けられない。しかしCT検査室は、子ども医療センターから最も離れている。院内での搬送に伴う患者の負担を軽減すべく、CTの導入を目指して予算要求している。

2)MRIの更新

子ども医療センターは2016年9月で開設後10年の時間が経過した。小児の脳神経の画像診断検査には3T(テスラ)-MRIが欠かせない装置となっているが、附属病院中央放射線部では入眠まで患者と家族が待機する部屋やMRI対応生体モニターの装備がなく、鎮静下での3T-MRIを使った検査が困難な状況にある。

MRIの大口需要家である小児科は初代からの診療科長4人のうち3人が神経学を専門としている。現診療科長の山形教授もご専門は神経学である。また小児脳神経外科は自治医科大学とちぎ子ども医療センターの標榜科の1つとなっており、五味教授が孤軍奮闘しておられる。

県内医療機関からの紹介患者が3T-MRIで撮影された画像持参で来院することが稀でなくなっている。北関東における小児医療の拠点との役割が自負で終わらせないために、3T-MRI装置への更新は急務であると考えている。

3)検査時鎮静を少しでもグローバル・スタンダードへ近づける。

2013年に小児関連三学会(日本小児科学会、日本小児麻酔学会、日本小児放射線学会)が共同でMRI検査時の鎮静に関する提言を行ってから3年が経過した。幸い前述のごとく、MRI対応生体情報モニターの更新が実現しことにより、この提言で強く推奨されているカプノメーター(呼気炭酸ガス濃度計)を使用しての監視が、鎮静下でMRI検査を行う患者の全てに対し、確実に行うことが可能になった。また、同じ提言で強く推奨されている鎮静薬服用前の飲食制限の目安である"2-4-6ルール"も、2016年秋からの準備・周知期間を経て、2017年1月から実運用に供されるめどが付いた。自治医科大学とちぎ子ども医療センター開院当初から、麻酔科専門医による全身麻酔下でMRI検査が可能な体制が整備されており、グローバル・スタンダードに近い状態が形の上では整ったと考えている。

しかし形の上で整い、めどが付いたとは言え、検査に際しての鎮静にともなう危険を軽く考える医師たちが、その考えを一朝一夕には変えるはずはない、との覚悟はしている。軽く考える医師たちの言い分の多くは:満腹の方が眠りやすい

今まで事故は起きなかったといった、個人の限られた経験に基づくもの。あるいは、

鎮静剤服用前6時間(検査開始時刻を基準とすると7時間)も絶食にするのは非常識だといった、"2-4-6ルール"の「6」の部分のみをことさら取り上げて強調し、清澄水なら2時間前まで摂取可であることを敢えて無視する強弁である。巷間叫ばれて久しい、Evidence Based Medicine (EBM)の対極に位置するものばかりであると言ってよい。言わずもがなのことではあるが、Evidenceは以下のようなものだ:

鎮静剤は例外なく咽頭、喉頭の反射を抑制し、気道誤嚥の危険を増す。Controlled sedationとDeep sedationの境界は曖昧で、Controlled sedationからDeep sedationの状態にいつ移行するか、あるいはいつ移行したかを知るすべはない。

2016年7月に、アメリカ小児科学会から診断や治療に伴う鎮静についての新たなガイドラインが出た[Guidelines for Monitoring and Management of Pediatric Patients Before, During, and After Sedation for Diagnostic and Therapeutic Procedure: Update2016. Pediatrics 138, (1) July 2016]。そこには鎮静前の絶飲食は全身麻酔のガイドラインに従うべきであると明確に記載されている。しかし残念ながら、鎮静剤投与に伴うルールの基礎となるEvidenceに対する、理路整然とした反論は寡聞にして知らない。

これは言葉を換えれば、EBMを掲げて説得しても、経験主義で武装する医師たちとは話が噛み合うはずがない、ということだ。

このような足下の状態から目をそらさないなら、「検査時鎮静を安全に」、との試みは、我が国ではようやく真夜中を過ぎたに過ぎず、いまだ夜明け前の状態だと言わねばならない。

" 検査時鎮静を少しでもグローバル・スタンダードへ近づける"歩みは、ごく小さな歩幅で一歩足を踏み出したに過ぎない。"事業"以前の問題であるが、検査時鎮静を少しでもグローバル・スタンダードへ近づける努力を続けて賛同者を増やし、小児の画像診断検査をより安全で質の高いものにすることを、3番目の事業計画・目標とする。

5.過去実績

2015年アニュアルレポート

2014年アニュアルレポート

2013年アニュアルレポート

2012年アニュアルレポート

2011年アニュアルレポート

2010年アニュアルレポート

2009年アニュアルレポート

2008年アニュアルレポート

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