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小児科【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2023年4月1日現在)

(専門)
科長 (教授) 田島 敏広 内分泌代謝
副科長 (教授) 小坂  仁 神経
副科長 (教授) 熊谷 秀規 消化器・肝臓
外来 医長 (講師) 中村 幸恵 内分泌代謝
病棟 医長 (講師) 青栁  順 腎臓
病棟 医長 (講師) 関   満 循環器
医員 (教授) 村松 一洋 神経
嶋田  明 血液・腫瘍
(学内教授) 河野 由美 新生児
(准教授) 矢田ゆかり 新生児
門田 行史 神経
金井 孝裕 腎臓
田村 大輔 感染症
小島 華林 神経
(講師) 川田 雅子 神経
川原 勇太 血液・腫瘍・免疫
西村  力 新生児
(助教) 俣野 美雪 新生児
下澤 弘憲 新生児
別井 広幸 腎臓
岡  健介 循環器
古井 貞浩 循環器
鈴木  峻 循環器
三谷 忠宏 神経
浅倉 佑太 神経
岡田 優子 消化器
小太刀 豪 アレルギー
森田 裕介 循環器
吉成 裕紀 血液
若林  慶 新生児
病院助教 横溝亜希子 循環器
新島  瞳 血液
小森 咲子 新生児
相樂 昌志 新生児
山上 彩香 新生児
浅井 秀哉
北村  薫
福田 真也
堀口明由美 神経
若江 惠三
奥村 一輝
永井 康平 神経
五味  遥
月田貴和子 神経
レジデント 9名

2.診療科の特徴

当科は小児の総合診療、および、専門診療(神経、発達、心臓、肝臓・消化器、腎臓、内分泌・代謝、血液・腫瘍、膠原病、喘息・アレルギー、遺伝、新生児、感染、心理)を担当している。また、子ども医療センター内の、他科専門診療医と連携をとって診療にあたっている。

救急医療では地域医療機関と連携し、二次・三次救急医療を中心に行っている。

担当病棟は、小児内科として2病棟、周産期センター新生児集中治療部門として1病棟を有し、それぞれ38床、38床、36床の計112床のベッドを備え、必要に応じて小児集中治療室で治療も行う。

患児と家族に寄り添う治療を目指し、医療を提供している。

関連領域専門医認定施設

  • 日本小児科学会専門医研修施設(支援施設)
  • 日本小児神経学会 小児神経専門医研修認定施設
  • 日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医制度認定研修施設
  • 日本てんかん学会 てんかん専門医認定研修施設(附属病院)
  • 日本小児循環器学会 小児循環器専門医修練施設(子ども医療センター)
  • 日本胎児心臓病学会 心臓超音波検査専門施設(小児科)
  • 日本成人先天性心疾患学会 成人先天性心疾患学会認定総合修練施設(附属病院)
  • 日本血液学会研修指定施設(附属病院)
  • 日本小児血液・がん学会 小児血液・がん専門医研修施設(附属病院)
  • 日本造血・免疫細胞療法学会認定移植研修施設(附属病院)
  • 日本周産期・新生児医学会認定基幹施設(附属病院)
  • 日本内分泌学会認定教育施設(小児科)
  • 日本腎臓学会認定研修施設(附属病院)
  • 日本透析医学会認定教育関連施設(附属病院)
  • 日本消化管学会 胃腸科指導施設

認定医

日本小児科学会小児科認定指導医 小坂  仁 他24名
日本小児科学会小児科専門医 小坂  仁 他76名
日本小児神経学会認定小児神経科専門医 小坂  仁 他12名
日本てんかん学会認定臨床指導医 小坂  仁 他1名
日本てんかん学会認定臨床専門医 小坂  仁 他1名
日本人類遺伝学会臨床遺伝指導医 田島 敏広 他2名
日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医 田島 敏弘 他6名
日本小児循環器学会専門医 佐藤 智幸 他4名
日本胎児心臓病学会胎児心エコー認証医 岡  健介
日本循環器学会専門医 関   満
日本成人先天性心疾患学会専門医 関   満
日本臨床腎移植学会認定医 金井 孝裕
日本腎臓学会腎臓指導医 金井 孝裕
日本腎臓学会腎臓専門医 金井 孝裕 他2名
日本透析医学会指導医 金井 孝裕
日本透析医学会専門医 金井 孝裕
日本内分泌学会内分泌代謝(小児科)指導医 田島 敏広
日本内分泌学会内分泌代謝(小児科)専門医 田島 敏広
日本消化管学会 胃腸科指導医 熊谷 秀規
日本消化管学会 胃腸科専門医 熊谷 秀規
日本消化管学会 胃腸科認定医 熊谷 秀規
日本小児栄養消化器肝臓学会認定医 熊谷 秀規、横山 孝二
日本血液学会指導医 嶋田  明 他2名
日本血液学会専門医 嶋田  明 他4名
日本造血細胞移植学会認定医 嶋田  明 他2名
日本小児血液・がん学会 小児血液・がん指導医 嶋田  明 他2名
日本小児血液・がん学会 小児血液・がん専門医 嶋田  明 他2名
日本がん治療認定医機構認定医 嶋田  明
日本遺伝性腫瘍学会専門医 嶋田  明
日本血栓止血学会認定医 嶋田  明
日本肉腫学会指導医 嶋田  明
日本肉腫学会専門医 嶋田  明
日本周産期・新生児医学会周産期指導医(新生児) 矢田ゆかり 他2名
日本周産期・新生児医学会周産期専門医(新生児) 矢田ゆかり 他4名
日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法「専門」コース
インストラクター
矢田ゆかり 他2名
日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法「専門」コース 河野 由美 他4名
PALS Provider 村松 一洋 他8名
PALS Instructor 伊東 岳峰
日本医師会認定産業医 横山 孝二 他5名
ICD制度協議会認定ICD(インフェクションコントロールドクター) 青栁  順、伊東 岳峰
日本小児感染症学会小児感染症認定医 青栁  順、山岸 裕和
日本リハビリテーション医学会認定臨床医 1名
日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医 1名
日本アレルギー学会アレルギー専門医 3名
日本東洋医学会専門医 1名
日本内科学会認定 1名
日本小児科医会地域総合小児医療認定医 1名
日本超音波医学会超音波専門医 1名

3.診療実績・クリニカルインディケーター

とちぎ子ども医療センターの1年間の小児科総合診療部、専門診療部および入院診療実績について報告する。なお周産期母子総合医療センターのNICUについても一部併記する。

3-1.外来診療

1)新来患者数・再来患者数・紹介割合

新来患者延べ数 1,994人
再来患者延べ数 36,110人
外来患者延べ数 38,104人
紹介率 69.0%

2)小児科総合診療部外来

医師:

山形 崇倫(部長・兼)、小坂  仁(兼)、田島 敏広(兼)、熊谷 秀規(兼)、嶋田  明(兼)、門田 行史(兼)、金井 孝裕(兼)、村松 一洋(兼)、田村 大輔(兼)、川田 雅子(兼)、中村 幸恵(外来医長、兼)、桒島 真理(兼)、田中 大輔(兼)、横溝亜希子(兼)、黒川 愛恵(兼)、岡田 優子(兼)、月田貴和子(兼)、小野真里花(兼)、福田 真也(兼)、北村  薫(兼)

診療実績:

総合診療部では、午前中の総合診療部外来と午前・午後の救急患者対応、リハビリ前診察などを行っている。小児科専門医がそれぞれの専門診療部と兼務で診療を行っている。原則として初診は紹介患者と救急搬送患者に限定している。

今年度は、小児においてもCOVID-19流行があり、同時にRSウイルスやインフルエンザなど、各種ウイルス感染症が流行した。そのため、感染症関連の脳症といった重症患者の受診も目立った。摂食障害、適応障害といった心理精神分野の紹介も引き続き多くみられ、年間総受診数は維持出来ていた。

小児科の診療では常に総合的判断を必要とするため、総合診療部で問題を拾い上げ、的確な診療方針を迅速に立てて、検査や初期治療を実施し、必要に応じて、病棟や各専門診療部への振り分け、総合診療部外来での診療を継続しつつ、軽快あるいは症状安定した場合には紹介元やかかりつけ医に逆紹介している。

1月 2月 3月 4月 5月 6月
607 483 659 571 576 669
7月 8月 9月 10月 11月 12月
698 790 738 640 691 716

年間総受診数 7,838人

3)小児神経外来

医師:

山形 崇倫、小坂 仁、門田 行史、村松 一洋、桒島 真理、山岸 裕和、川田 雅子、三谷 忠宏、溝部 吉高、植田 綾子、小林 瑞、若江 恵三、池田 尚広

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
813 751 905 806 817 941
7月 8月 9月 10月 11月 12月
836 868 860 871 825 846

年間総受診数 10,140人

主な診療対象:

てんかん、脳性麻痺や脳炎等による痙性麻痺、先天代謝異常症、染色体異常、中枢神経形成異常、神経皮膚症候群、筋ジストロフィー、重症筋無力症、神経変性疾患、脊髄性筋萎縮症、自閉スペクトラム症、知的障害、学習障害や注意欠陥多動性障害等の発達障害、チック障害、吃音、頭痛等の診療をしている。特に、てんかんは難治例の紹介あるいは相談目的の受診が多い。その他、人工呼吸器外来において、70人余の在宅人工呼吸器患者や気管切開患者を診療している。SENDA/BPANは全国から患者が受診している。

4)遺伝外来

医師:野崎 靖之、松本 歩

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
78 73 92 81 92 74
7月 8月 9月 10月 11月 12月
106 108 99 76 84 57

年間総受診数 1,020人

主な診療対象:

Down症候群、 染色体異常症候群、 Marfan症候群、Williams症候群などの先天奇形症候群や遺伝子検査、遺伝相談など。なお、染色体異常、遺伝性疾患は、神経外来に通院している患者も多い。

5)小児循環器外来

医師:関 満、佐藤 智幸、松原 大輔、岡 健介、鈴木 峻、古井 貞浩

診療実績:

心臓外来

1月 2月 3月 4月 5月 6月
268 269 369 311 270 349
7月 8月 9月 10月 11月 12月
291 366 342 288 282 274

年間総受診数 3,679人

シナジス外来(心疾患患者のみ)

1月 2月 3月 4月 5月 6月
1 - - - - -
7月 8月 9月 10月 11月 12月
10 10 11 16 11 6

年間総受診数 65人

主な診療対象:

先天性心疾患 (心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、完全大血管転位症、Fallot 四徴症、肺動脈閉鎖症など) の術前と術後、川崎病、不整脈、心筋症、心雑音の精査などを中心に外来診療している。

6)胎児心エコー外来

医師:岡  健介

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
4 8 4 9 8 7
7月 8月 9月 10月 11月 12月
8 7 14 6 7 10

年間総受診数 92人

主な診療対象:

胎児の心室中隔欠損症、左心低形成症候群、肺動脈閉鎖症、三尖弁閉鎖症、両大血管右室起始症、Fallot四徴症、無脾症候群、多脾症候群、完全大血管転位症、血管輪、不整脈など。

院内あるいは院外の産科から紹介された、胎児に先天性心疾患や不整脈を持つ妊婦において、胎児心エコー図検査による出生前診断を実施し、出生後の計画的治療につなげている。

7)小児腎臓外来

医師:

金井 孝裕、伊東 岳峰、齋藤 貴志、青栁 順、別井 広幸、黒﨑 雅典、丸 智美、小野真里花

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
189 178 239 208 186 187
7月 8月 9月 10月 11月 12月
196 246 201 228 197 135

年間総受診数 2,390人

主な診療対象:

小児特発性ステロイド感受性ネフローゼ症候群、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、IgA腎症、紫斑病性腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、ループス腎炎、急性糸球体腎炎、Alport症候群、腹膜透析例、腎移植症例、保存期慢性腎不全、多発性嚢胞腎、ネフロン癆、水腎症、間質性腎炎、尿細管アシドーシス、シスチン尿症、腎血管性高血圧、HUS、補体介在性TMA、などを診療している。

外来の特色:

急性血液浄化療法から、維持透析療法・生体腎移植前後の管理まで、小児腎疾患のほぼすべてを診療対象としている。また、他の小児専門診療科、他科からの依頼を受けて、CHDFや血漿交換療法などの血液浄化療法も行っている。院外との連携では、県内はもとより、群馬・埼玉・茨城・福島などからも、紹介を受けている。

8)小児内分泌外来

医師:田島 敏広、中村 幸恵

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
156 164 229 185 198 192
7月 8月 9月 10月 11月 12月
169 325 165 267 198 228

年間総受診数 2,476人

主な診療対象:

新生児マススクリーニング検査の2次精密検査(先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症)、および成長障害(成長ホルモン分泌不全性低身長など)、副腎疾患、甲状腺疾患、カルシウム・ビタミンD関連疾患、骨系統疾患、性分化疾患、思春期発来異常などの内分泌疾患、高コレステロール血症、糖尿病、肥満などの糖・脂質代謝異常疾患が主体である。

また下垂体近傍の腫瘍摘除後、あるいは放射線治療後の内分泌障害にも対応している。

9)小児消化器・肝臓外来

医師:熊谷 秀規、横山 孝二、岡田 優子、桃谷 孝之

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
140 140 190 160 130 140
7月 8月 9月 10月 11月 12月
120 140 150 120 130 140

年間総受診数 1,700人

主な診療対象疾患:

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、胃・十二指腸潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ感染症、消化管ポリポーシス、若年性ポリープ、機能性胃腸症(機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群など)、B型・C型肝炎ウイルス感染症、胆道閉鎖症、肝内胆汁うっ滞症(アラジール症候群、原発性硬化性胆管炎など)、肝硬変(胆道閉鎖症術後など)、特発性門脈圧亢進症、慢性肝炎、急性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、肥満症、代謝性肝疾患(ウィルソン病、シトリン欠損症、糖原病など)、胆石症、膵炎、膵胆管合流異常症、先天性胆道拡張症などの検査や診断、内科的治療を行っている。消化管内視鏡検査は主に小児科医が施行している。

急性虫垂炎、ヒルシュスプルング病、メッケル憩室、肥厚性幽門狭窄症、胃食道逆流症、胆道閉鎖症、膵胆管合流異常症などの外科的疾患、経皮的または腹腔鏡下肝生検、ダブルバルーン小腸内視鏡検査や内視鏡治療に関しては、麻酔科、小児外科、移植外科、消化器内科と連携を取りながら診療している。

10)新生児フォローアップ・新生児シナジス外来

医師:河野 由美、矢田ゆかり、俣野 美雪、下澤 弘憲、相楽 昌志

診療実績:

新生児フォローアップ

1月 2月 3月 4月 5月 6月
164 157 162 149 151 193
7月 8月 9月 10月 11月 12月
160 168 168 144 127 160

年間総受診数 1,903人

新生児シナジス外来

1月 2月 3月 4月 5月 6月
2 - - - -
7月 8月 9月 10月 11月 12月
26 10 15 11 10 16

年間総受診数 90人

主な診療対象:

新生児フォローアップ外来は、NICU退院児を主な対象とし、退院後2週間から小学生まで長期フォローアップを行っている。診療内容は早産・低出生体重児の成長・発達の評価、合併症の治療や精査、必要な養育支援である。染色体異常、先天奇形症候群も多く、気管切開、在宅酸素療法や経管栄養などの在宅医療の管理も行っている。外科系診療科、心理、リハビリテーション部門等と連携して包括的な診療を心がけている。新生児難聴スクリーニングの精査・フォローも行っている。RSV重症化予防のためのパリビズマブは、新生児外来とシナジス外来で、今年度は流行に合わせて7月から2月まで接種した。

11)小児血液・腫瘍外来

医師:嶋田 明、翁 由紀子、川原 勇太、新島 瞳、吉成 裕紀

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
131 124 157 123 115 130
7月 8月 9月 10月 11月 12月
130 199 132 122 133 139

年間総受診数 1,635人

主な診療対象:

急性リンパ性白血病(ALL)や急性骨髄性白血病(AML)、若年性骨髄単球性白血病、悪性リンパ腫(NHL)、ホジキン病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)などの血液腫瘍疾患、神経芽腫や腎芽腫、肝芽腫、網膜芽腫、横紋筋肉腫、脳腫瘍などの悪性固形腫瘍、ランゲルハンス細胞組織球症や血球貪食性リンパ組織球症の組織球症、血友病や特発性血小板減少性紫斑病、遺伝性血栓症や血友病などの血液凝固異常症、再生不良性貧血や遺伝性球状赤血球症、サラセミアなどの赤血球系疾患、慢性良性好中球減少症や重症複合型免疫不全、慢性GVHDなどの白血球・免疫疾患。

2022年の入院で化学療法を行った主な新規腫瘍性疾患は、ALL5例、AML1例、NHL1例、 BPDCN1例、JMML1例、神経芽腫1例、肝芽腫1例、横紋筋肉腫2例、Ewing肉腫1例、骨肉腫2例、Rhabdoid腫瘍1例、線維腫1例、線維肉腫2例、網膜芽細胞腫1例、脳腫瘍4例の計25例であった。

12)小児がん経験者の長期フォローアップ外来

医師:嶋田 明

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
2 8 6 5 5 11
7月 8月 9月 10月 11月 12月
7 11 8 3 3 8

年間総受診数 77人

主な対象疾患:

小児期に、白血病などの血液腫瘍性疾患、神経芽腫などの固形腫瘍に対して、化学療法や放射線療法を受けた、18歳以上の患者。

13)子ども化学療法外来

医師:

嶋田 明、熊谷 秀規、横山 孝二、川原 勇太、新島 瞳、吉成 裕紀、五味 玲(小児脳神経外科)

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
30 28 30 26 30 32
7月 8月 9月 10月 11月 12月
28 29 30 28 23 32

年間総受診数 346人

主な対象疾患:

ALLやLCHの維持療法、脳腫瘍などのイリノテカン/テモゾロミド療法、JIAや炎症性腸疾患などのトシリズマブやインフリキシマブ療法など。

14)アレルギー外来

医師:熊谷 秀規、渡邉 知佳、佐藤 優子

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
99 114 138 110 90 104
7月 8月 9月 10月 11月 12月
71 105 112 79 112 104

年間総受診数 1,238人

主な診療対象:

食物アレルギー、新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症、食物依存性運動誘発アナフィラキシー、花粉-食物アレルギー症候群、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、薬物アレルギーなど。

*食物アレルギー、アナフィラキシー
原因食物の特定や除去食導入を行い、栄養指導、誤食予防の指導を行っている。アナフィラキシー症例は、エピペン®(アドレナリン自己注射)を導入している。診断および耐性獲得確認のため、経口食物負荷試験を行っている(2022年は22件)。

*気管支喘息
中等症ないし重症持続型の患児が大半を占める。心疾患や神経疾患など基礎疾患をもつ児も多く、他の専門領域と連携をとって診療をしている。

*アレルギー性鼻炎
通年性アレルギー性鼻炎・季節性アレルギー性鼻炎に対し、ダニ・スギアレルゲンの舌下免疫療法を行っている。

15)小児免疫外来

医師:川原 勇太、新島 瞳、吉成 裕紀

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
84 80 101 93 97 89
7月 8月 9月 10月 11月 12月
89 109 99 73 74 84

年間総受診数 1,072人

主な診療対象:

若年性特発性関節炎(JIA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己炎症性疾患(AID)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、周期性・発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎(PFAPA)症候群、ベーチェット病など。

2022年の主な新規症例は、JIA 5例、MCTD 2例、SLE 1例、PFAPA 1例、ぶどう膜炎 1例であった。

16)感染症外来

医師:田村 大輔

診療実績:

1月 2月 3月 4月 5月 6月
26 21 23 22 26 28
7月 8月 9月 10月 11月 12月
35 38 22 32 38 41

年間総受診数 352人

主な診療対象:

2018年4月から、新たに小児感染症外来を開設した。対象疾患及び患者は、集中治療を要した難治性感染症、先天梅毒、先天性CMV感染症、EBV感染症、肺膿瘍、肺結核、潜在性結核、慢性骨髄炎などや、ワクチン接種スケジュールから逸脱した接種プラン相談、基礎疾患による抗菌薬予防内服など。また、小児科以外の各診療科から、抗菌薬の使用・選択についてのコンサルタントを行っている。2022年9月からは、COVID-19後遺症患者、新型コロナワクチン接種後に遷延する症状患者のフォローを行っている。

17)生後1か月健康診査

原則として当院産科を退院した児を対象とする。発育と発達の評価のほか新生児マススクリーニングの結果説明、便色の確認、育児相談を行っている。

1月 2月 3月 4月 5月 6月
79 61 82 62 61 62
7月 8月 9月 10月 11月 12月
53 82 52 59 59 56

年間総受診数 768人

18)夜間・休日診療

診療実績:夜間、休日に受診し、小児科医が診療した患者数

1月 2月 3月 4月 5月 6月
90 53 86 72 67 73
7月 8月 9月 10月 11月 12月
112 134 106 148 102 130

年間総受診数 1,173人

3-2.小児科入院診療

小児科は主として、2A病棟と4A病棟で診療し、重症児は、小児集中治療室(PICU)で集中治療を行っている。また、総合周産期母子医療センター(NICU、GCU)で新生児の診療を行っている。

1) 小児科の月別新入院患者数(総合周産期母子医療センターを除く)

1月 2月 3月 4月 5月 6月
90 83 101 102 90 90
7月 8月 9月 10月 11月 12月
99 104 100 113 110 107

総計年間入院患者数 1,189人

2) 入院患者の疾患別内訳(人数;小児科退院患者大分類別疾病統計(ICD-10ベース)、総合周産期母子医療センターを除く)

章名称 件数 件数(%) 在院日数 在院日数(%) 平均在院日数
01.感染症及び寄生虫症 48 4.0 500 2.8 10.4
02.新生物 119 10.0 4059 23.0 34.1
03.血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 25 2.1 358 2.0 14.3
04.内分泌、栄養及び代謝疾患 48 4.0 665 3.8 13.9
05.精神及び行動の障害 21 1.8 919 5.2 43.8
06.神経系の疾患 131 11.0 1261 7.1 9.6
07.眼及び付属器の疾患 6 0.5 46 0.3 7.7
09.循環器系の疾患 38 3.2 678 3.8 17.8
10.呼吸器系の疾患 131 11.0 2147 12.2 16.4
11.消化器系の疾患 59 5.0 1398 7.9 23.7
12.皮膚及び皮下組織の疾患 8 0.7 96 0.5 12.0
13.筋骨格系及び結合組織の疾患 38 3.2 522 3.0 13.7
14.腎尿路生殖器系の疾患 54 4.5 714 4.0 13.2
16.周産期に発生した病態 4 0.3 12 0.1 3.0
17.先天奇形、変形及び染色異常 201 16.9 1769 10.0 8.8
18.症状、徴候および異常臨床所見・異常臨床所見で他に分類されないもの 76 6.4 1001 5.7 13.2
19.損傷、中毒及びその他の外因の影響 25 2.1 224 1.3 9.0
21.健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用 1 0.1 5 0.0 5.0
99.不明 156 13.1 1281 7.3 8.2
総計 1189 100 17655 100 14.8

3)総合周産期母子医療センター(NICU・GCU)

詳細は別掲。

年間入院患者数は、367名(再転科・転入7名を除く)だった。内訳は、院内出生332名(母体搬送24名、飛び込み分娩4名を含む)、院外出生35名(自宅分娩2名を含む)。なお、県内のCOVID-19感染母体から出生した児を16名管理した。詳細は、総合周産期センター新生児集中治療部に別掲の通り。

在胎週数(GA)別、出生体重(BW)別入院数および死亡数を示す。

GA(W) 入院 生存 死亡 生存率(%)
22 0 -
23 0 -
24 1 1 0 100
25 3 3 0 100
26 4 4 0 100
27 3 3 0 100
28 1 1 0 100
29 4 4 0 100
30 1 1 0 100
31 11 11 0 100
32 13 13 0 100
33 15 15 0 100
34 26 26 0 100
35 39 38 1 97.4
36 36 36 0 100
37以上 210 208 2 99.0
367 364 3 99.2
BW(g) 入院 生存 死亡 生存率(%)
<500 1 1 0 100
<1000 15 15 0 100
<1500 15 15 0 100
<2000 49 49 0 100
<2500 95 94 1 98.9
≧2500 192 190 2 99.0
367 364 3 99.2

3-3.主な検査・特殊治療

1)心臓カテーテル検査・治療

心臓カテーテル検査・治療の総数は 153件(カテーテル治療76件、うち成人症例 9例)であった。カテーテルアブレーション、成人症例は循環器内科と合同で検査、治療を行った。対象疾患は、心室中隔欠損22件、心房中隔欠損25件、ファロー四徴症16件、肺動脈弁欠損症1件、両大血管右室起始症7件、大動脈縮窄症3件、房室中隔欠損症1件、左心低形成症候群(亜型含む)2件、純型肺動脈閉鎖4件、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症7件、単心室5件、三尖弁閉鎖症1件、フォンタン手術後24例、完全大血管転位症5件、修正大血管転位症6件、総動脈幹症2件、大動脈肺動脈中隔欠損症1件、動脈管開存症7件、大動脈弁狭窄症1件、肺動脈弁狭窄症1件、末梢性肺動脈狭窄症1件、冠状動脈瘻1件、エプスタイン奇形1件、腎動脈狭窄症1件、肝血管腫1例、心筋炎1件、川崎病2件、不整脈4件であった。

カテーテル治療76件の内訳は、バルーン血管形成術29件、血管塞栓術(コイル塞栓など)10件、心房中隔欠損閉鎖術21件、動脈管閉鎖術7件、バルーン弁形成術2件、ステント留置術1件、心房中隔裂開術2件、カテーテルアブレーション4件であった。

2)心臓超音波検査

心臓専門外来、病棟患者、スクリーニング検査を含め、3091件施行した(NICUでの施行分は含まない)。

3)腎生検、急性血液浄化、血漿交換

腎生検を19件施行した(内訳;エコー下10、開放8、後腹膜鏡下1)。
急性血液浄化を3例に行った(血漿交換3例)。

4)造血細胞移植

2009年以降に当科で造血細胞移植を受けた患者の初回移植後3年の生存率(2020/12/31時点)

同種移植(腫瘍性疾患) (N=30) 78.7% (95%CI, 63.5-93.8)

同種移植(非腫瘍性疾患)(N=8)87.5% (95%CI,64.6-100)

自家移植(腫瘍性疾患)(N=16)93.8% (95%CI,81.9-100)

造血細胞移植

5)消化器・肝臓系検査

検査実績:

A)消化管系 件数
上部消化管内視鏡検査 26
大腸内視鏡検査 41
小腸内視鏡検査 ダブルバルーン法(経口) 11
ダブルバルーン法(経肛門) 9
カプセル内視鏡 4
B)肝・胆・膵系 件数
肝生検 1

6)生体腎移植

2022年は適応患者がおらず、施行なし。

7)経口食物負荷試験

外来と入院とを合わせて22件実施した。

8)遺伝子治療

AADC欠損症患者に対する遺伝子治療として2型アデノ随伴ウイルスベクターにAADC遺伝子を組み込んだベクターを定位脳手術により両側被殻に注入した結果、運動機能が改善した。これまで計8名に臨床試験で治療を実施し、全例運動機能が改善した。その後に治験として2名に実施し、経過観察中である。

脊髄性筋萎縮症に対してはこれまでに3名の患者にオナセムノゲンアベパルボベクを投与した。うち、1例は新生児スクリーニングにより診断した発症前患者であった。

3-4.小児科カンファレンス

毎週火曜日、水曜日、金曜日の朝に新入院患者の紹介と討議、水曜午後の総回診で入院患者の病状報告と討議を行った。

小児科における症例検討会(CC)は毎週水曜日16時から子ども医療センター2階カンファレンスルームで、入院例を中心に検討した。以下症例検討会のテーマと担当を示す。

日時 演題 担当
1月20日 COL2A1遺伝子の新規変異によるdysspondyloenchodromatosis(異常脊椎内軟骨腫症)の1例 下澤(NICU)
1月27日 小児腹膜透析 当院のまとめとトラブルシューティング ~ハンズオンで腹膜透析を身近に~ 丸、黒﨑、別井、青栁、齋藤、伊東、金井(腎臓班)
2月3日 高心拍出性心不全を機に診断されラパリムスが有効であったびまん性乳児肝血管腫の一例 古井、谷本、宮崎、鈴木(峻)、岡、関(循環器班)
2月17日 先天性血小板減少を来したvon Willebrand病 type 2B の新生児例 相楽(NICU)
3月3日 もはや希少疾患ではない炎症性腸疾患:ご存知?カルプロテクチンの保険適用 熊谷、横山、岡田、橋本(消化器班)
4月27日 外傷性乳び胸に乳び心膜症、静脈血栓を合併した一例 山岸、橋口、倉根、堀越
5月18日 乳児血管腫 UP TO DATE 田中、新島、吉成、川原、嶋田(血液腫瘍班)
5月25日 精神疾患合併妊婦から出生したNICU入院患者についての検討 山上(新生児班)
6月1日 熱湯を浴びて受傷した熱傷の2例 小野、丸、北村、大橋、大江、本田、三谷、溝部、青栁
6月15日 脳動脈解離により脳梗塞を生じた2症例 箕浦、洪、神田、若江、橋口、宮内
6月22日 小児のCOVID-19 関連心筋炎-2つの成員:感染後ワクチン接種後- 鈴木(峻)
6月29日 母子間輸血症候群の一例 三谷、相楽
7月6日 重症脱水を主訴に来院し、FPIES(Food Protein-Induced Enterocolitis Syndrome)と診断した21trisomyの1例 大久保、堂福、福田、大橋、山岸(2A)
7月20日 前半まとめの会
9月21日 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血で死亡した、腎血管性高血圧合併のAllagile症候群の11歳男児例 森田、鈴木(峻)、古井、岡、小野(悠)、松原、関(循環器班)
9月28日 新型コロナウイルスの molecular virology~明日から実践できるPCRに関すること~ 田村(感染症班)
10月5日 2022年に入院した先天性横隔膜ヘルニア(congenital diaphragmatic hernia: CDH)5例のまとめ 小森(NICU)
10月19日 がんゲノム検査で治療につながった乳児線維肉腫 新島、吉成、奥村、川原(4A)
10月26日 思春期早発症について学ぶ 中村、田島(内分泌代謝班)
11月2日 歩けなくなった中学生たち 瀬戸、木村、高梨、北村、橋口、三谷(4A)
11月16日 当院における在宅移行 橋口、山岸、三谷、永井、甲州、若江(神経班)
12月7日 入院中の偶発的骨折 小野、田中、堂福、岩井、福本、井上(2A)
12月16日 後半まとめの会

3-5.キャンサーボード

1)小児緩和ケアカンファランス

 患者さんとその家族のQOL向上を目指し、小児科医、小児脳神経外科医、緩和ケア医、看護師、心理士、理学療法士、養護教諭、地域医療連携部などの多種職による「小児緩和ケアチーム」のカンファランスを開催した。

1月 2月 3月 4月 5月 6月
2 2 2 2 2 2
7月 8月 9月 10月 11月 12月
2 2 2 2 2 2

年間総開催数 24回

2)小児腫瘍カンファランス

腫瘍性疾患の集学的治療のため、小児血液腫瘍チーム、小児放射線診断部、外科系各科(小児外科、小児脳外科、小児泌尿器科、移植外科、歯科口腔外科、形成外科など)、放射線治療部と腫瘍カンファランスを開催した。

1月 2月 3月 4月 5月 6月
1 1 1 1 1 1
7月 8月 9月 10月 11月 12月
1 1 2 2 1 1

年間総開催数 14回

3)栃木がんセンターとの肉腫などのカンファレンス

2021年10月より栃木県立がんセンターと肉腫患者に関するカンファレンスを月1回第3月曜日に行っている。

4.2023年の目標・事業計画等

2023年の当科の目標として、ポストコロナ・ウィズコロナ時代における、①小児科各専門診療部門における小児高度医療のさらなる推進、②急性・慢性疾患児に対する地域医療機関とのシームレスな連携の強化、③医育機関としての小児科専門医育成の推進、④オピニオンリーダーとしての臨床研究の推進、を掲げる。

5.過去実績