小児泌尿器科[アニュアルレポート]

1.スタッフ(平成29年4月1日現在)

科長 (教  授) 中井 秀郎
医員 (助  教) 川合 志奈
(病院助教) 日向 泰樹

2.診療科の特徴

1)当院小児泌尿器科の特徴

小児泌尿器科学は比較的新しい医学分野で、米国でも専門診療領域boardとして確立されたのは2006年である。我が国では、従来から泌尿器科医の一部と小児外科医の一部が、診療実務を担当してきたが、小児泌尿器科の専従スタッフを有する大学は当学のみである。当科スタッフは、成人を含む泌尿器科学の全般を修めた医師により構成され、泌尿生殖器の発生・機能・解剖への習熟が強みである。同時に、子ども医療センター医師として、成長発達過程への理解、両親への配慮などの十分な訓練を積んでいる。近年の小児医療全般の問題として、transition(慢性疾患の成人期移行医療)が取り上げられることが多いが、大学病院との相互乗り入れが可能な当科は、その領域における先駆的な医療を提供する立場にある。

全国大学における唯一の小児専門の泌尿器診療科であるため、当該診療・研究に関する指導力を国内外に発揮することも任務である。これまで、2013年7月、第22回日本小児泌尿器科学会、2014年11月、第16回アジア太平洋小児泌尿器科学会を主催した。

2)整備状況

外来は週3日で診療枠数は適正であるが、外来看護スタッフの小児泌尿器看護の専門性をさらに向上させる必要がある。病棟枠現状4床は適正と思われる。手術枠は週1.75日で最近は適正である。入院待機患者は約30名。 当初より積極的に病病連携を構築し、診療圏は北関東のみならず、首都圏、東北に広がっている。外来診療は、慢性疾患の管理や難治性尿失禁の診療、在宅自己導尿管理などの比重が増加し、外来ケア(看護を含む)キャパシティの増大が課題である。

昨今の、関連領域の技術革新(ロボット、軟性鏡など)を小児泌尿器科領域に導入する必要があり、低侵襲技術の小児での一層の普及を目的として、大学病院泌尿器科・腎臓外科と専門医トレーニングの連携強化を図っている。このようなトレーニングの連携は、小児医療が直面するtransition(移行医療あるいは成育医療)の問題解決とも整合性がある。

開設以来、小児泌尿器科の専門独立性が担保されてきたため、国内外で有数の小児泌尿器専門施設としての現在の地位が築かれてきたが、そのような独立性とともに、専門医教育面においては、(成人)泌尿器科・腎臓外科との連携体制が整備されているのが当科の特長である。

3)当科対象疾患のあらまし

対象疾患の三つの柱は、乳幼児、小児の①腎・上部尿路疾患、②性腺生殖器疾患、③排泄障害、である。先天性疾患が多い。また小児疾患の成人症例は子ども医療センター外来を受診し、大学病院病棟に入院、子ども医療センターにて手術を行う。①は、有熱性尿路感染症や胎児超音波検査を契機とすることが多く、②は、出生直後から気づかれる男女外陰奇形、③は、神経因性膀胱や難治性夜尿症・尿失禁が多い。

全身性多発性奇形の一部分症としての泌尿器奇形も多く認め、関連各科とのチーム診療が不可欠である。他院での治療困難例、中断例に治療を追加し完了させる任務もしばしばである。

認定施設

日本泌尿器科学会専門医教育施設

専門医

日本泌尿器科認定専門医・指導医 中井 秀郎
川合 志奈
日向 泰樹
日本小児泌尿器科認定医 中井 秀郎
川合 志奈
日向 泰樹
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医(指導医) 日向 泰樹

3.診療実績

1)新来患者数・再来患者数・紹介率

新来患者数 333人
再来患者数 4,485人
紹介率 96.9%

2)入院患者数

203人

3)手術実績

全手術症例数 187例
全手術件数 193件

3-1)手術症例病名別件数

先天性水腎症 13
膀胱尿管逆流症 28
停留精巣 39
尿道下裂 30
先天性尿道狭窄 11
陰嚢水腫 9

3-2)術式(合併症)

腎盂形成術 10
腎摘除術 3
膀胱尿管新吻合術 24
内視鏡的逆流防止術 4
精巣固定術 39
尿道下裂形成術 30
女児外陰形成術 5
内視鏡尿道切開術 11
尿失禁手術  
  膀胱頚部形成術 0
  膀胱頚部注入療法 3
  腸管利用膀胱拡大術 0
  腹壁導尿路作成術 0
腹腔鏡手術 9

4)主な処置・検査

排尿時膀胱尿道造影、排尿機能検査(ウロダイナミクス)、膀胱尿道内視鏡検査、上部尿路機能検査、 ラジオアイソトープ検査、超音波検査

5)カンファレンス

  • 外来患者・手術患者カンファレンス(水曜)
  • 小児画像カンファランス(火曜)
  • 二分脊椎カンファレンス(月1回月曜)
  • 小児成人合同カンファレンス(月1回木曜)
  • 栃木小児泌尿器科症例カンファレンス(TPUCC)(不定期)

6)キャンサーボード

小児血液腫瘍グループ、小児外科、小児診断部などと合同で、年2~3回開催。

4.2017年の目標・事業計画等

1)重点診療疾患

診療が十分体系化されていない分野に今後も積極的に関わっていきたい。

第一に、難治性尿失禁の内視鏡治療、再発性乳幼児尿路感染症の治療、小児尿禁制手術(とくに膀胱頸部形成術)下部尿路生殖器奇形の形成手術(とくに会陰型尿道下裂の一期的形成術、膀胱外反、総排泄腔外反)を確立する。

第二に水腎症、上部尿路奇形、尿失禁に対する低侵襲手術(ロボットを含む)を早期確立し、症例数を増加する。

第三に性分化疾患に対する外科系専門診療科として、年間手術症例数を増加する。

2)チーム診療における目的意識の共有

  1. 腎機能障害、腎盂腎炎などの精査治療に関して、小児科(腎臓)や小児画像診断部との定期的カンファレンを継続し、共著論文を発表する。
  2. 性分化疾患において、性別不明外性器に対しては社会心理的緊急疾患として、新生児科、小児科(内分泌代謝)と連携診療し、思春期青年期症例に対しては、婦人科との連携診療を強化。
  3. 腎尿路奇形の出生前診断例を対象とした新生児科との連携診療の強化
  4. 二分脊椎専門外来において、小児脳神経外科、小児整形外科、小児外科、リハビリテーション技師、看護師などと、外来診療時間を同一日に調整し患者利便性を図るとともに、診療効率を増加させる。二分脊椎研究会で共同発表する。

3)臨床的医学研究

  • 臨床研究「保存的治療抵抗性尿失禁男児における先天性尿道閉塞性病変に関する研究」(担当:日向泰樹)
  • 臨床研究「保存的治療抵抗性尿路感染症または尿失禁症の女児における先天性尿道閉塞性病変に関する研究」(担当:日向泰樹)
  • 臨床研究(B12-74号)「小児の過活動膀胱患者に対する抗コリン剤の安全性と有効性の検討」(担当:川合志奈)
  • 臨床研究(A14-058号)「小児有熱性尿路感染発症症例の臨床的検討」(担当:川合志奈)
  • 臨床研究(A14-056号)「軽度停留精巣症例の臨床的検討」(担当:日向助教)
  • 厚労省科研費分担研究 「腎・泌尿器系の希少・難治性疾患群に関する診断基準・診療 ガイドラインの確立」(診療ガイドライン作成への参画)(担当:中井秀郎)

4)治験

(計画書番号A0221047)「神経学的疾患に伴う排尿筋過活動の症状を有する、6歳から16歳、体重25kgを超える患者に対するフェソテロジンの安全性および有効性」

5.過去実績

2015年アニュアルレポート

2014年アニュアルレポート

2013年アニュアルレポート

2012年アニュアルレポート

2011年アニュアルレポート

2010年アニュアルレポート

2009年アニュアルレポート

2008年アニュアルレポート

自治医科大学附属病院

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1

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