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腎臓センター内科部門(腎臓内科)[アニュアルレポート]

1.スタッフ(平成23年4月1日現在)

科長 (教授) 草野 英二
副科長 (教授) 武藤 重明(透析部教授兼任)
外来医長 (病院助教) 岩津 好隆
病棟医長 (助教) 森下 義幸
医員 (教授) 湯村 和子
(地域医療支援センター教授兼任)
(学内教授) 竹本 文美
(地域医療支援センター教授兼任)
(学内准教授) 濱野 慶朋(派遣中)
(地域医療支援センター准教授兼任)
(学内准教授) 齋藤  修
(講師) 井上  真(派遣中)
佐々木信博(派遣中)
秋元  哲
(助教) 高橋 秀明(派遣中)
伊藤 千春(派遣中)
井岡  崇(派遣中)
椎崎 和宏(留学中)
病院助教   武田 真一(派遣中)
山本 尚史(派遣中)
小林 高久(留学中)
増田 貴博(派遣中)
堀越 亮子(派遣中)
中澤 英子(派遣中)
小倉  学(派遣中)
シニアレジデント   11名
(うち2名派遣中、3名短時間勤務)

2.診療科の特徴

当科の診療は、外来、入院、透析を含む血液浄化の3部門より構成され、内科的腎・尿路疾患(急性・慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、急性・慢性腎不全、高血圧、水・電解質・酸塩基平衡異常、透析関連合併症など)や中毒性疾患等の診療を行っている。
外来診療は毎日2~3診で、初診患者の多くは県内または近隣の県外医療機関からの紹介である。
入院ベッド数は、腎臓内科として32床で、糸球体腎炎やネフローゼ症候群に対し積極的に腎生検による組織診断を行ない、総括的治療指針を得ている。その他、保存期慢性腎不全患者の教育入院や末期腎不全患者の透析導入のための入院、二次性副甲状腺機能亢進症などの長期透析合併症のための入院が大半を占めている。特に糖尿病性腎症患者の入院が急増している。
透析室のベッド数は20床で、月、水、金は午前と午後の2クール、火、木、土は午前のみの1クールの血液透析を行っている。腹膜透析(CAPD)患者はこれまで毎週火曜日に行っていたが患者数の増加に応え、腹膜透析外来を火、木週2回に増やし診療している。当科の新規透析導入患者数は県内導入患者総数の約1/4を占め、透析導入施設として中核を担っている。また、重篤な合併症や手術のため、当科のみならず他科へ入院する長期透析患者数が年々増加し、これに比例して緊急透析や出張透析の件数も増加している。
近年、本邦では、糖尿病性腎症や腎硬化症を原因とする透析導入患者数が急増しており、これを阻止すべく、臨床面においては医師会や行政とタイアップした住民検診からの腎疾患患者の同定と追跡システムの確立や、糖尿病専門医と連携した日常診療を行なうとともに、基礎研究面においては、糖尿病性腎症や腎硬化症動物モデルを用いた病態解析と再生医学的手法を用いた治療法の開発に着手している。また、近年老化調整蛋白として注目されているKlotho蛋白の腎における機能等を自治医大客員教授でもあるテキサス大学、黒尾教授と共同で研究している。
その他、医学会への貢献としては平成22年第40回東部腎臓学会を宇都宮で主催し約1,300人の腎臓内科医を集めた学術集会を主管した。

認定施設

日本腎臓学会研修施設
日本透析医学会認定施設

認定医、専門医、指導医

日本内科学会認定内科医 草野 英二 他26名
日本内科学会認定内科専門医 竹本 文美 他13名
日本腎臓学会認定腎臓専門医 草野 英二 他18名
日本腎臓学会認定指導医 草野 英二
湯村 和子
武藤 重明
安藤 康宏
竹本 文美
齋藤  修
井上  真
日本透析医学会認定専門医 草野 英二 他20名
日本透析医学会認定指導医 草野 英二
湯村 和子
武藤 重明
安藤 康宏
竹本 文美
齋藤  修
American Society of Nephrology,
Corresponding member
草野 英二
武藤 重明
安藤 康宏
竹本 文美
椎崎 和宏
森下 義幸
増田 貴博
International Society of Nephrology,
Active member
草野 英二
湯村 和子
武藤 重明
安藤 康宏
竹本 文美
井上  真
椎崎 和宏

3.診療実績・クリニカルインディケーター

1)新来患者数・再来患者数・紹介率

新来患者数 647人
再来患者数 14,714人
紹介率 55.1%

2)入院患者数 499人(病名別)

病名患者数
慢性腎不全 125
急性腎不全 36
慢性糸球体腎炎 114
急性糸球体腎炎 0
急速進行性糸球体腎炎 25
ネフローゼ症候群 39
心不全 8
悪性高血圧 2
尿路感染症 7
副甲状腺機能亢進症 10
シャントトラブル 35
電解質異常・脱水 9
PD合併症 15
感染症・発熱 18
糖尿病関連 33
膠原病関連 3
多発性嚢胞腎関連 3
移植腎関連 3
腫瘍 4
その他 14
計(重複あり) 503

3)手術症例病名別件数

ブラッドアクセス関連(腎臓外科) 128
腹膜透析カテーテル関連(腎臓外科) 23
副甲状腺摘除+一部移植(腎臓外科) 10
腎摘出(腎臓外科) 3
腎嚢胞切除術(腎臓外科) 1
開放腎生検術(腎臓外科) 4
口蓋扁桃摘出術(耳鼻咽喉科) 19
188

4)治療成績

1)IgA腎症に対する扁摘パルス療法

当科ではIgA腎症に対し、2004年4月より扁摘パルス療法(扁桃腺摘出術+副腎皮質ステロイド薬パルス療法)を施行している。2009年末までの施行総数は146例で、その内訳は、2004年8例、2005年21例、2006年34例、2007年25例、2008年33例、2009年25例、2010年21例、施行時年齢は平均31.0歳(16~63歳)であった。2009年12月にまとめた治療開始後2年までの成績では、治療前、1年後、2年後の血清クレアチニン値は、それぞれ0.89、0.82、0.84mg/dl、また尿蛋白量は、それぞれ0.82、0.27、0.36g/gクレアチニンで、両者とも1年後、2年後の値は治療前と比較して有意に改善していた。また、尿潜血反応陰性症例の比率は、治療1年後で81.6%、2年後で84.3%にみられた。一方、尿蛋白陰性症例の比率は、治療1年後で67.3%、2年後で54.4%であった。両者陰性の寛解症例は、治療1年後で53.9%、2年後で54.4%に認められた。扁摘パルス療法の殆どは初回発症症例に対し施行されたが、2010年には扁摘パルス療法後再燃による再治療例が2例あり、うち1例には扁桃腺再摘出術を施行した。

2)尿毒症に対する透析療法の導入

昨年1年間に尿毒症に対して行った新規透析導入患者数は117人で、2009年の116人とほぼ同数であった。うち、5人が腹膜透析導入、また49人(42%)の透析導入原疾患が糖尿病性腎症であった。

5)合併症例

「該当なし」

6)死亡症例・死因・剖検数・剖検率

敗血症 4
肝不全 1
肺梗塞 1
心不全・不整脈 3
肺炎 2
肺気腫 1
腫瘍 1
全身性血管炎 1
14

(1)剖検数:1人;剖検率:7.1%

7)主な検査・処置・治療件数

(1)腎生検

IgA腎症 39
非IgAメサンギウム増殖性腎炎 3
紫斑病性腎炎 0
膜性腎症 11
微小変化群 10
急性糸球体腎炎 3
膜性増殖性糸球体腎炎 1
半月体形成性糸球体腎炎 12
巣状分節性糸球体硬化症 2
腎硬化症 4
糖尿病性腎症 7
ループス腎炎 5
間質性腎炎 2
基底膜菲薄化症候群 1
骨髄腫腎・アミロイドーシス 4
その他 12
116例

(2)透析療法(延べ数)

透析療法
透析総数 3,607 内訳  
入院 2,906   血液透析 3,291
外来 701 腹膜透析 224
  特殊透析 92
病棟
出張透析
54  
夜間休日
緊急透析
150

(3)新規透析導入患者数117人

(4)特殊血液浄化法(延べ数)

単純血漿交換法 43
二重膜濾過血漿交換法 24
顆粒球吸着法 20
血漿吸着法 10
腹水再灌流法 13
LDL吸着法 5
総施行数 115
原因疾患
潰瘍性大腸炎 5
腎疾患 10
肝疾患 5
血液疾患 2
膠原病 3
神経疾患 2
総症例数 27

8)カンファランス症例

(1)診療科内

・腎生検カンファランス:毎週火曜午後、腎病理医・小児科との合同カンファランスで、週1~4例、合計116例。 
・リサーチカンファランス:毎週火曜夕方:臨床研究・基礎研究に関する討論会。

(2)症例検討会

・治療抵抗性MPGNの一例
・PTRAを施行した一例
・TMA症例の予後決定因子
・ヘパリン誘発性血小板減少症の病態と治療
・ネフローゼと過凝固・静脈血栓症
・パルボウイルス感染症と自己免疫現象
・HIV感染症関連腎症の一例
・抗基底膜病とTTPの一例
・TMAと難治性腔水症の一例
・周期性発熱の一例 他

(内科モーニングカンファランス)

月 日症例
1月25日 腹膜透析液混濁・腹痛
2月18日 下肢浮腫・呂律緩慢
3月4日 浮腫
5月31日 口渇・いらいら感
6月8日 浮腫
7月5日 浮腫
9月9日 発熱・皮疹
10月4日 間質性腎炎
10月28日 発熱・難聴
11月18日 かゆみ・乏尿
12月13日 下腿浮腫
(3)他職種との合同

透析室では毎日14時30分より医師、看護師、臨床工学技士を交え当日施行した入院および外来患者の透析療法を含む血液浄化法の問題点や患者の病態等につきミニカンファランスを行なった。

4.事業計画・来年の目標等

  1. 慢性の腎機能障害が存在すると狭心症や心筋梗塞といった心血管病の発症リスクが増大することから米国で提唱された『慢性腎臓病(CKD)』は日本腎臓学会でも取り上げられ、CKD診療ガイドの作成と一般医への配付、講演会を通した一般医への啓発により大きな盛り上がりを示した。しかしながら、未だ一般医に十分理解されていないのが現状である。末期腎不全への進展を防ぎ透析患者数の増加を抑制するためには、小グループの勉強会といった形式で、一般医に対してより一層啓蒙活動を行なう必要がある。このような会を通して、一般医と腎臓専門医が良好なコミュニケーションを図り、どのように連携すべきか具体策を講じなければならない。また、CKDがどのような機序で心血管病を引き起こすのか、その機序の解明とそれらを抑制または予防する方法を、臨床医学並びに基礎医学の両面より検討していく予定である。
  2. 腹膜透析(CAPD)の重篤な合併症として被嚢性腹膜硬化症(EPS)が挙げられる。EPSは致死率が極めて高いため、早期診断・早期治療が必要である。我々は企業とのコラボレーションでこれを目的とした腹膜透析排液検査システムを確立しつつある。また、わが国の慢性透析患者の約97%は血液透析療法を受けていること、透析患者の死因の過半数は心筋梗塞などの心血管病であること、腹膜透析は血液透析に比べ心血管系への負担が少ないことなどを考え併せると、心疾患合併症例やブラッドアクセス作成困難な高齢の末期腎不全患者へのCAPD療法の積極的導入が望まれている。今後も更なる普及・推進を行う予定である。新規CAPD導入症例の原動力の1つである透析部看護師による腎臓病教室は、CKD患者とその家族、最大20名を集め月1回、保存期または腎代替療法についてさまざまな情報を提供するもので、これまで参加者から高い評価を得て来た。来年度もこの腎臓病教室をより充実した内容にしたいと考えている。また、新規CAPD患者数の増加に伴い、近隣の透析中堅病院や訪問看護ステーションとの連携システムが必要となってきた。この目的で他院のCAPD症例を対象とした診療、地域のCAPD症例サポートのための技術指導をより充実させたい。
  3. 2005年に発足した『腎臓センター』は、一部の疾患については別々の病棟で診療を行っていたが、2008年6月に病棟が本館2階東病棟に移設されたことを契機に、同じ病棟で腎臓内科医と外科医が緊密な連携のもとで診療可能となった。これにより医療圏内における透析診療センター病院としての機能が能率化され、ブラッドアクセストラブルや透析合併症症例への対応に役立っている。来年度には、維持透析診療への基盤が確立する予定であり、これまでと同様に緊密な連携を取りながら個々の患者に最適な医療を提供していきたい。

5.過去実績

2009年アニュアルレポート

2008年アニュアルレポート

  • 東日本大震災関連情報

自治医科大学附属病院

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1

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