小児耳鼻咽喉科[アニュアルレポート]

1.スタッフ(平成29年4月1日現在)

科長(教授) 伊藤 真人
シニアレジデント(兼) 1名

2.診療科の特徴

1)小児耳鼻咽喉科の特徴

小児耳鼻咽喉科の発祥の地はヨーロッパで、その歴史は耳鼻咽喉科全般がひとつの独立した診療科となった頃に遡る。海外では耳鼻咽喉科のサブ・スペシャリティーのひとつとして確立している小児耳鼻咽喉科であるが、わが国での認知度はいまだ高くはない。とちぎ子ども医療センターでは平成26年4月から新たな診療科となった。主として、人と人とのコミュニケーションのための、「聴いて」「話す」ために欠かせない聴覚器と発声器、「呼吸をして」「食べる」ための上気道の病変を扱っている。特に得意分野は耳科学で、中耳手術(鼓室形成術などの聴力改善手術)/耳科外側頭蓋底外科手術(聴器癌、側頭骨内腫瘍手術)や、高度難聴に対する「人工内耳手術」を積極的に行っている。聴覚の障害を改善し「全てのひと(子ども)が、聴くことができる」ようになることこそが、私たち小児耳鼻咽喉科医・耳科医の大きな目標の1つである。

本センターは、欧米型の大学病院併設型の小児病院であり、併設型である利点を生かして大学病院本院との密接な連携のもと、高度な小児医療を実践している。小児耳鼻咽喉科外来は、子ども医療センターで、月曜日午前と水曜日午前中に一般外来診療を行っている。また、水曜午後に口蓋裂外来(鼻咽腔閉鎖機能評価)と本院耳鼻咽喉科外来で耳科手術外来を行っている。また、月1回の「口蓋裂カンファレンス」も子ども医療センター各科と連携して行っている。

2)当科の得意分野

慢性中耳炎(穿孔性中耳炎、真珠腫性中耳炎)、先天性難聴(高度難聴、先天性中耳・内耳奇形)などに対する鼓室形成術などの耳科手術や、側頭骨・外側頭蓋底腫瘍に対する耳科外側頭蓋底手術を得意分野としている。人工内耳手術も手術困難例や重複障害例に対しても積極的に行っている。また小児滲出性中耳炎については、本邦の「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン」作成委員長として、ガイドラインの作成・改定にあたり、エビデンスに基づいた適正治療に勤めている。さらに、上記ガイドラインの適正使用について、日本全国・海外に向けて発信している。

・中内耳、聴力改善手術/耳科外側頭蓋底外科

慢性穿孔性中耳炎、真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術など、安全・確実に病変を治すとともに、聴力改善を目指した手術治療を行っている。科長の伊藤はこれまでに2000例を超える中耳・内耳・耳科外側頭蓋底外科手術の経験をもち、より安全で確実に遂行できる中耳・側頭骨手術を実践している。特に、小児の真珠腫性中耳炎は一般に再発率が高く、手術で完全に摘出しないと何度も再発を繰り返すことがあり、高度な専門性が要求される。手術中に可能な限り良好な視野と術野を得ることで、再発率を低下させるとともに、良好な術後聴力改善成績を得ている。

・高度難聴に対する「人工内耳手術」

特に中・内耳奇形など人工内耳の手術困難例や重複障害のある場合にも、積極的に手術を行なっている。人工内耳によって得られる言語発達面での効果は様々であるが、それまでほとんど聞き取れなかった音が聞こえるようになり、人の言葉を聴き取れるようになってくる。人工内耳は聴力を失った方(あるいは生まれつき聴こえない子)にとって、最後のそして最良の医療であるといえる。

・耳科外側頭蓋底外科

側頭骨・外側頭蓋底腫瘍(成人の錐体部真珠腫なども含む先天性真珠腫進展例、聴器癌など)に対する手術を積極的に行なっている。耳科頭蓋底外科の世界的権威である、スイスのU. Fisch教授らが主催する、側頭骨手術ワークショップのアクティブ・メンバーとして貢献している。

・日帰り手術

滲出性中耳炎、穿孔性中耳炎の一部、その他の小手術に対しては、入院期間の短縮のため、一泊入院の日帰り手術も行っている。

・専門医

日本耳鼻咽喉科学会専門医 伊藤 真人

3.診療実績・クリニカルインディケーター

1)新来患者数・再来患者数・紹介率

新来患者数 226人
再来患者数 1,419人
紹介率 101.9%(耳鼻咽喉科全体のデータ)

(外来担当医師)
伊藤真人(教授):耳科学、側頭骨・頭蓋底外科、小児耳鼻咽喉科全般

2)手術症例 術式別件数

鼓室形成術 60件
(内訳:真珠腫性中耳炎 34件、慢性中耳炎 23件、外耳道狭窄・閉鎖症 1件、その他)
鼓膜形成術 3件
人工内耳埋込み術 3件
アブミ骨手術 5件
外耳道腫瘍摘出術 2件
外リンパ漏閉鎖術 2件
顔面神経減圧術(顔面神経腫瘍) 1件
内リンパ嚢解放術 1件
鼓膜チューブ留置術 99件
口蓋扁桃摘出術 46件
アデノイド切除術 43件
気管切開術 3件
耳瘻孔摘出術 14件
鼻内視鏡手術 1件
気管孔形成術 1件
下咽頭梨状窩瘻 1件
頸嚢摘出術 5件
ガマ腫(OK-432注入) 1件
合計 290件

4.2017年の目標・事業計画等

紹介外来患者も少しずつ増加してきている。今後の課題としては以下の点が挙げられる。

1)小児耳鼻咽喉科スタッフの充実

スタッフの増員による診療の充実をめざす。

2)学生教育

3年生系統講義(耳科学聴覚系、小児耳鼻咽喉科)、5年生臨床講義(耳科学聴覚系、耳鼻咽喉科のガイドライン)、6年生総括講義(耳科学)と、5年生の必修BSLのクルズスを担当する。

3)臨床面での発展

次年度も、専門性と難度の高い疾患の治療を継続していくことを目標に考えている。

4)研究面での発展

他大学との共同研究を含む、研究テーマを発展させていく。

5.過去実績

2015年アニュアルレポート

2014年アニュアルレポート

自治医科大学附属病院

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1

地図

お問合わせ電話番号

0285-44-2111(代)

ページトップへ