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健診センター【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2018年4月1日現在)

部長 (センター長・准教授) 宮下  洋(循環器内科兼務)
医員 (病院講師) 三枝 充代(消化器内科兼務)
(病院助教) 光田 清佳(呼吸器外科兼務)
(臨床助教) 吉田 友直(消化器内科兼務)
非常勤医員 13名
看護師 11名(内パート看護師9名)
保健師 1名
管理栄養士 2名(兼任)
臨床検査技師 4名
超音波技師 6名(兼任)
診療放射線技師 8名(兼任)
事務職員 7名(業務委託6名)

2.健診センターの特徴

総合健診(一日ドック)の専門施設として、以下の5つの運営方針(2017年4月改訂)の下、健診業務を行っている:

  1. くつろげる環境と高品質な健診サービスを提供します。
  2. 自治医科大学附属病院と連携した精度の高い診断とフォローアップの充実に努めます。
  3. 科学的根拠に基づく疾患予防と健康増進を目指します。
  4. 高い知識と技術レベルの健診医療人材育成します。
  5. 健診・予防医学研究による社会貢献に取り組みます。

A. 附属病院の診療とは独立した施設での最新鋭検査設備による健診サービスの提供

附属病院とは独立した建物(自治医科大学1号館)内にあり、ゆとりあるスペースと落ち着いた雰囲気の中で健診を受けることができる総合健診(日帰り人間ドック)の専門施設である。健診内容には、日本総合健診医学会および日本人間ドック学会の基準に準拠し、特定健康診査に必要な項目、労働安全衛生法による定期健診の必要項目およびがん検診に関する項目がすべて含まれる。

B. 附属病院の関連各専門診療科の協力による質の高い健診サービス

専門的な健診内容は、附属病院の産科婦人科(婦人科検診)、眼科(眼底画像読影)、循環器内科(心電図判読)、臨床検査部(腹部及び乳腺超音波判読)、病理診断部(子宮頸部および喀痰細胞診診断)、外科(マンモグラフィー読影)、中央放射線部(PET-CT読影)の各診療科専門医の協力により運営されている。また、胸部X線検査、上部消化管X線検査、頭・胸・腹部CT検査、超音波検査は読影専門医を含め3重~6重の読影を行って診断・判定の精度向上に努めている。

平成22年度(2010年)に導入された上部消化管内視鏡検査は苦痛が少ない経鼻内視鏡を基本とし、本学消化器内科の協力のもと、内視鏡専門医によるダブルチェック体制で運用され、上部消化管検診の質の向上に寄与している。検査件数は増加を続け、実施可能件数上限に達している(表1)が、さらに検査希望者が増加している状況にある。このため、本年は内視鏡検査運用効率を最大化するため、前年度に引き続き検査順案内の効率化を図るとともに、内視鏡検査の2列化の具体的検討を行いつつ、過渡的対応として週1回の午後枠での検査実施を開始し、できる限り受診者の希望に対応する努力をしている。消化器内科医は、内視鏡検査の実施の他、消化器関連の上部消化管X線検査読影や腹部CTおよび超音波検査の読影・判定の点検作業の精度向上にも貢献している。

平成24年度(2012年)導入の動脈硬化・心血管老化診断検査オプションは、2種類の血圧脈波検査機器を組み合わせて、メタボリックシンドロームや高血圧の血管硬化・血管老化への影響や心血管病のリスクを評価し、脈波解析を専門とする循環器内科医による個別の生活習慣改善アドバイスとともに結果を報告し、好評を得ている。

PET-CTでは、附属病院中央放射線部の協力によりPET-CT画像データ(CD-R)を、結果報告とともに受診者に送付して、検査結果の有効利用と受診者サービス向上に役立てている。

C. コンピュータシステムの高度利用による迅速・的確な健診の運用・管理

健診関連学会標準の判定基準を基本としながらも病歴情報を考慮した健診専門医の個別判定ロジックを組み込んだカスタムメードの健診システムは、迅速かつ精度の高い健診結果の自動判定を可能にしている。結果判定のみならず、問診による病歴、生活習慣も受診当日の結果説明までにデータとして取り込み、これらの情報を総合的に考慮した上で、標準化された指導メッセージを導出し、健診当日の医師による結果説明を支援するとともに、メタボ対策を中心とした健康指導に役立てている。この健診システムは、膨大な健診・保健指導・会計データの保存・管理を容易にし、特に最近の数年においては、旧来の紙媒体を中心とした非効率な業務を無駄の少ないペーパーレス業務に移行させることに寄与してきた。過去25年にわたる健診データもこのシステム内に保管され、必要に応じて随時参照・比較することができるため、受診時の1断面のデータのみならず、個々の受診者の経過や病歴・精査歴を考慮した特異度の高い診断と判定を可能にしている。

平成22年度(2010年)までに整備されたX線検査を中心とした検査画像のデジタル化とフィルムレス運用(PACSシステム)では、過去のフィルム画像をデジタイザで取り込み、システムのモニタ上での比較参照を可能にしている。これにより医師の読影作業効率および精度向上、フィルム保管場所の問題解決、さらには、紹介状添付画像の充実(必要に応じてCD-Rによる画像データの提供)が実現され、紹介先医療機関における精査診療への円滑な情報提供にも役立っている。平成24年度(2012年度)にオンライン化した眼底画像管理、平成25年度(2013年度)にPACSシステムに統合された超音波画像管理等により、すべての健診画像診断のデジタル化・オンライン化を実現してきたが、本年は運用面での改善により画像診断判定ならびに健診医による確認作業等の能率化・精度向上に取り組んだ。

一部のX線画像は読影精度向上のために外部専門医に委託しているが、これもPACSシステムに統合された形で運用している。健診システムのファイル入力インターフェースを活用し、PACSシステムとの所見の同期・調整・連携を可能にしている。これによりX線画像の外部読影専門医への依頼業務およびその読影所見の健診システムへの入力が半自動化され、X線画像の多重読影の効率的運用と、関連の事務作業の効率化、ヒューマンエラーリスクの低減を実現した。これらのコンピュータシステムによるデータ・情報管理は過去の履歴データや病歴情報に迅速なアクセスを可能とし、読影における異常検出感度を高めると同時に特異性の高い判断により無駄な精査紹介を減らす効果をもたらしている。

健診センターは、1993年の設立以来附属病院組織の一部でありながら、健診システムはこれまで病院情報システム(HIS)との物理的接続がない状態のまま25年間運営されてきた。しかし、特に近年受診者・患者からの健診結果や診療情報共有の欠如に対する批判も聞かれる状況となり、健診センター主導で院内遠隔読影で運用している超音波検査(臨床検査医学)、心電図(循環器内科)、眼底検査(眼科)に限定した、学内LANをインフラとしたVPN接続による健診センターと各科のデータ共有・連携の整備・改善に取り組んできた。2016年度事業として計画したHISとの接続・連携を含む健診システム・HIS同時更新は、HIS側の同時更新への対応が困難で、さらに健診システムベンダーの選定に長期間を要したため、更新時期が本年2017年度に持ち越された。現在システム更新内容とHISとの接続・連携の仕様を固めるとともにシステム構築作業を開始しているところである。

D.保健指導

特定健康診査の全項目を含む総合健診結果により、特定保健指導の「動機づけ支援」、「積極的支援」に階層化された受診者に対し、契約に基づいた特定保健指導に対応している。平成21年度(2009年)からは当センターの健診受診者以外の集合契約に基づいた特定保健指導の要請にも対応可能としている。保健指導室は、本制度開始の2008年に健診センターの2階に開設された。明るく快適な環境の中で保健指導が受けられるよう配慮されている。保健指導は、特定保健指導に関する研修を修了した保健師と管理栄養士が担当し、指導内容は医学的・科学的な根拠に基づき、活動量計による運動指導や動脈機能検査(脈波検査)を含む健診データの解析等による指導効果の科学的評価を試みている。

平成20~22年度(2008~2010年)の当センターのリピータ受診者のうち肥満の基準を満たす3410名の健診データから、肥満とメタボリックシンドロームの経過を解析した結果、特定保健指導を受けたことにより(指導を受けない場合に比べて)2倍以上の確率で肥満・メタボの改善が期待できることが示された。

本年は特定健康診査・特定保健指導保健指導の制度第2期を迎え、さらに第3期に引き継がれることが決まっているなか、さらなる健康増進効果を目指して、平成27年から開始した特定保健指導対象外受診者の食習慣改善要望に応じた管理栄養士による食事生活相談サービスの提供を継続していた。

E.健診システムと保健指導システムの連携

特定保健指導は、制度の標準としては予約による後日指導が基本とされていたが、健診当日の初回指導を希望する受診者や契約団体(保険者)の要請に応え、迅速な検査と健診コンピュータシステムによる自動判定を生かして、健診受診当日に健診結果が揃うと同時に特定保健指導対象者を自動抽出、初回指導まで提供できる体制を整えている。

F.施設認定・資格

認定施設

  • 日本総合健診医学会優良総合健診施設
  • 日本総合健診医学会認定人間ドック健診専門医研修施設
  • 日本病院学会会員健診施設

認定医

日本総合健診医学会 指導医 宮下  洋
人間ドック健診専門医 宮下  洋 他1名
日本内科学会 認定内科医 宮下  洋 他2名
日本消化器病学会 専門医 三枝 充代 他1名
日本消化器内視鏡学会 専門医 三枝 充代
検診マンモグラフィー読影医師 三枝 充代
日本外科学会 外科専門医 光田 清佳
呼吸器外科専門医 光田 清佳
気管支鏡専門医 光田 清佳
日本医師会 認定産業医 光田 清佳

3.実績・クリニカルインディケーター

総合健診は一日36名を上限として実施している。大手企業や健保組合等の団体との契約によるものが中心になっている。反復受診されるリピータが約80%を占めていることから、受診者に満足いただいていることが窺われる。受診者には本学教職員(家族を含む)も419名が含まれ、特定保健指導と併せて、本学の福利厚生施設としての役割も担っている。

基本的健診項目は、マークシート式および自由記載式問診票による病歴・症状・生活習慣等に関する詳細な問診、身体計測(身長、体重、腹囲、BMI)、視力、聴力、眼圧、眼底、血圧測定、尿検査、血液検査、呼吸機能、心電図、胸部X線検査、上部消化管X線検査、便潜血反応、腹部超音波検査などである。オプション検査としては、PET-CT検査(後日施行)、CT検査(頭部-副鼻腔を含む、胸部-甲状腺を含む、腹部-骨盤腔を含む)、胃抗体検査(ピロリ菌抗体、ペプシノーゲン検査)、腫瘍マーカー、婦人科検診(内診、子宮頸部細胞診)、乳房検診(マンモグラフィー検査、乳腺超音波検査)、骨密度検査(DEXA法)、動脈硬化・心血管老化診断検査と充実した内容となっている。

動脈硬化・心血管老化診断検査はメタボリックシンドロームが問題とされる近年の状況下、平成24年度(2012年度)にオプション検査として開始した。2種類の血圧脈波検査装置により、脈波速度(PWV)、足首上腕血圧比(ABI)、血圧増大指数(AI)、推定中心血圧、心血管老化度の評価と、健診結果を考慮した総合評価に基づいて個別化された健康アドバイスの提供を特長としている。またCTは通常の検査に比べ撮影範囲を拡げて、頭部では副鼻腔全体、胸部では甲状腺全体、腹部では経腹壁の超音波検査で描出が困難な骨盤腔全体を撮影範囲に含めて評価の対象とし、全身スクリーニングを可能にしている。さらに腹部CTでは、内臓脂肪面積の計測も全例施行してそのレポートを受診者に送付し、メタボリックシンドローム予防・改善に役立てている。

表1に主要オプション検査の実施件数推移を示した。平成29年(2017年) 1 月から12月まで( 健診実日数243日)の年間受診者延人数は、健診・保健指導含めた受付件数ベースで7813件(一日平均32件、保健指導306件)、内 総合健診受診者総数は7382人で、いずれもやや減少となった前年同等の実績であった。本年の検査件数は、装置・設備更新に伴う2カ月の休止の影響と考えられるPET-CTの減少を除けば、全体に横ばい~7%程度の軽度減少傾向がみられるなか、上部消化管内視鏡が23%の突出した有意増加となった。総受診者数の増加・回復を伴わない内視鏡増加は、内視鏡検査枠の不足に対する最大限の運用努力(検査実施枠を導入当初の7件→段階的に12件まで拡大するとともに本年2月から週1回の午後検査の運用追加)の効果と考えられるが、それでも受診者受け入れ数の制限要因となっている内視鏡枠不足の解決に至っていないことを示唆する。2列化による実施件数枠の拡大が必要と考え、その実現に向け具体的な取り組みを行った。

血圧脈波検査や骨密度検査も前年より増加し、メタボ・動脈硬化および骨粗鬆症・ロコモ関連のリスクに対する関心の高さを反映していることが窺われる。

平成19年度(2007年)から開始となったPET-CT検査、平成20年度(2008年)に導入されたデジタルマンモグラフィー、平成21年度(2009年)に多列化されたCT、そして平成22年度(2010年)開始の上部消化管経鼻内視鏡等は健診の精度向上に寄与し、癌の早期発見・診断精度向上に貢献をしている。この1年間の健診およびその後の精査で発見されたがんは42例(2018年2月までの精査結果報告例で疑い例も含む)あり、その内訳を表2に示した。本年は昨年に引き続き乳癌の発見は少なかったが、肺癌の発見が増えており、胃癌の発見も例年より比較的多かった。その要因として、本院呼吸器内科医の健診への参加による胸部読影多重チェック体制の強化や内視鏡検査件数の増加と精度向上等の効果が考えられる。

表3にはメタボリックシンドロームの判定を中心とした受診者の特徴と保健指導実績を示した。特定保健指導の利用者総数は前年比若干の減少となったが、リピータ受診者が多く、利用資格該当者が固定化していることが減少要因の一つと考えられた。

表1 受診者数と放射線画像関係および内視鏡・血圧脈波オプション検査施行実績推移(1~12月集計)

(1~12月集計)

2012 2013 2014 2015 2016 2017 対2016年比
総受診者(受付件数) 8,414 8,404 8,364 8,118 7,828 7,813 100%
総合健診受診者総数1) 7,976 7,866 7,871 7,672 7,354 7,382 100%
PET-CT 44 72 63 76 67 55 82%
頭部CT 1,354 1,372 1,330 1,363 1,305 1,211 93%
胸部CT 974 1,011 964 1,037 1,018 946 93%
腹部CT 1,130 1,161 1,093 1,164 1,136 1,060 93%
CT部位総件数 3,458 3,544 3,387 3,564 3,459 3,217 93%
マンモグラフィー 1,301 1,308 1,304 1,434 1,370 1,412 103%
骨密度(DEXA) 319 419 470 560 489 546 112%
上部消化管内視鏡 1,754 1,954 1,837 1,977 2,143 2,631 123%
血圧脈波検査2) 57 538 833 921 920 981 107%

1) 総合健診受診者総数は総受診者数から人間ドック受診日とは別に行うPET検査や後日追加検査、特定保健指導を除 いた数
2)血圧脈波検査は2012年9月~開始

表2 健診で発見されたがんの症例数(1月~12月集計)

がんの種類 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
乳癌 6 6 14 4 3
肺癌 1 4 1 4 7
食道癌 2 2 2
胃癌 4 4 4 9 7
十二指腸乳頭部腫瘍 1
大腸癌 6 7 4 3
直腸癌 1 3 1
膵癌 2
肝臓癌 1 1 1
胆嚢癌 1 2
腎癌 1 2 1
腎盂・尿管腫瘍 1
膀胱癌 1 1 2 2
前立腺癌 7 2 2 8 9
子宮癌 1 1
悪性リンパ腫/
MALTリンパ腫
1 2 1 1
多発性骨髄腫 1 4
慢性骨髄性白血病 1
間質腫瘍 1 1
転移性肺癌 1
卵巣癌 2 1
甲状腺癌 1 1
27 26 38 45 42

表3  受診者の特徴とメタボ判定および保健指導実績推移(1月~12月集計)

男性 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2011年

総合健診受診者総数1) 4497 4466 4425 4219 4126 4079
年齢(平均 標準偏差) 53.3
±9.6
53.4
±9.8
54.4
±10.0
54.6
±10.0
54.7
±10.1
55.2
±10.4



メタボ判定対象者数 4048 4000 4053 3892 3817 3743
判定 メタボ該当 1150 1128 1129 1145 1119 1102
予備軍該当 942 913 906 873 857 839
階層化 積極支援 819 711 683 659 646 606
動機づけ支援 481 438 449 440 438 410








実施
実績
積極支援 69 71 54 38 55 45
動機づけ支援 51 37 48 24 53 37
120 108 102 62 108 82
(総計)2) (249) (293) (255) (190) (228) (199)
女性 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

総合健診受診者総数1) 3479 3400 3446 3453 3228 3303
年齢(平均 標準偏差) 51.2
±9.3
52.0
±9.8
52.4
±9.7
52.9
±9.6
53.2
±9.7
53.2
±9.9



メタボ判定対象者数 3141 3074 3126 3196 3005 3050
判定 メタボ該当 238 225 223 255 252 244
予備軍該当 211 186 206 233 214 228
階層化 積極支援 105 92 88 86 95 87
動機づけ支援 226 208 220 230 210 214








実施
実績
積極支援 14 12 16 11 13 11
動機づけ支援 44 31 50 28 40 31
58 43 66 39 53 42
(総計)2) (111) (118) (114) (113) (103) (100)
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

総合健診受診者総数1) 7976 7866 7871 7672 7354 7382
年齢(平均 標準偏差) 52.6
±9.6
52.6
±9.8
53.3
±9.9
55.2
±8.6
55.2
±8.7
55.6
±8.8



メタボ判定対象者数 7189 7074 7179 7088 6822 6793
判定 メタボ該当 1388 1353 1352 1400 1371 1346
予備軍該当 1153 1099 1112 1106 1071 1067
階層化 積極支援 924 803 771 745 741 693
動機づけ支援 707 646 669 670 648 624








実施
実績
積極支援 83 83 70 49 68 56
動機づけ支援 95 68 98 52 93 68
178 151 168 101 161 124
(総計)2) (360) (411) (369) (303) (331) (299)

1)総合健診受診者総数は総受診者数から人間ドック受診日とは別に行うPET検査や後日追加検査、特定保健指導を除いた数
2) 特定保健指導の総指導件数で、初回指導+中間評価・指導+最終評価・指導件数の合計;利用券による指導(保健指導のみの利用)の件数も含む

4.2018年の目標・事業計画等

急性期医療を中心として発展してきた医療が経済的破綻に瀕している状況下、医療政策・医療システムは特定健診をはじめとする健診・予防医療へのシフトが明確となっている。このような社会情勢や多様化する受診者ニーズへ対応すべく、当健診センターは以前から「受診者満足を最優先した高い医学レベルに基づく健診・保健指導サービスと医学研究の遂行により、人類全体の健康増進に貢献する」ことを基本理念として運営を継続してきた。今後も現状維持にとどまらず常にその質を向上目指して継続的に努力していく方針である。

A.健診の課題と計画

1)健診システム更新

2016年度事業として計画した健診システムとHISの連携接続構築を含む同時更新は、前述の事情により本年2017年度に持ち越された。現在HIS接続の設定を含め新システム構築作業に入っているが、これまでにない大規模改修を含む構築内容のため開発期間が今年度末までの見込みとなっている。したがって2018年はこれまでにないHISとの接続・連携の環境下、新たなシステムを活用しての健診・保健指導業務を再構築することが最大の課題である。今回のシステム更新は以下の基本方針のもとに計画した:

  1. IT技術の利点を活かし、単なるペーパーレス化にとどまらずデジタル化のメリットである自動化・省力化・情報のリアルタイム共有を最大限に取り入れたシステムとし、次のような効果を実現する:
    • 限られた人員体制でも余裕をもった業務キャパシティー増大・健診サービスの品質向上
    • 業務でのヒューマンエラーリスクを最小化
  2. 国の特定健診や医療制度・健診関連学会の標準・ガイドライン等・健診の委託契約内容等の変更・改訂、機器の更新・追加等、様々な変化に柔軟かつ低コストで対応できるシステム
  3. これまで欠如していた附属病院HISとの連携とオーダリング機能を実現し、健診-診療間の円滑な情報共有を実現する

すなわち、単なる業務の継続・現状維持のためのシステム更新ではなく、健診サービス品質のさらなる向上とより多くの受診者にそれを提供していくことを目指している。その実現への努力は、業務内容・手順の見直し・効率化を含め、運営体制全体を見直す機会となる。その結果、限られた体制とリソースでありながら、より大きな業務キャパシティーと業務精度向上を実現し、健診品質向上とスタッフの負担減を両立する効果が期待される。

2)健診サービスの品質向上

一昨年来の受診者数減少傾向の要因は、主に1列で施行している内視鏡実施枠(9件/日)の不足によるものと考えられ(表1)、その実施枠拡大が喫緊の課題である。本年の過渡的対応として、運営努力により12件/日までの拡大は実現したが、前述の如くその効果不十分と言わざるを得ない状況である。2列化予算を要望したが、理解を得られず不採用となったが、引き続きその早期実現を目指し検討を継続していく。

今後高齢化が予想されている受診者からのより幅広いオプション検査の要望にも応えられる体制の準備と、個々の受診者にとって、受ける意味が大きいオプション検査を選択できるような個別化された情報提供・ナビゲーションを実現すべく、新システムの運用構築に含めて検討を行っていく。

2018年には、本年度活動を開始している「広報・受診者満足ワーキングサブグループ」・「環境・安全管理ワーキングサブグループ」による、組織的・現場スタッフ主導での品質改善努力を積極的に促進・継続していく。

3) 医師の健診結果の判定・画像診断における制度の向上

独自開発し9年間の運用の中でチューニングを重ねてきた医師の判定・読影業務の精度管理、ヒューマンエラーのチェック用ツール類を、2015年から複数の医師によるチェック作業にも応用し、現在では医師業務に不可欠のツールとなっている。これをシステム更新後の新システムとそれに伴い再構築される業務に対応させることが2018年の大きな課題である。

B.保健指導の課題と計画

2018年からの第3期となる特定健診・保健指導の制度変更と今回の健診システム更新に業務を対応させることが第一の課題と考えている。これにより非効率な業務を見直し、魅力ある内容で改善結果が出せる特定保健指導サービスを実現していく計画である

C.医学研究の課題と計画

前述の基本理念・運営方針にも掲げている如く、自治医科大学附属の健診施設として関連分野への医学的貢献は重要な課題と考え、25年にわたり蓄積されてきた健診データを対象とした臨床疫学的研究の活性化を図っている。本年に平成31年度まで期間延長とした疫学研究計画(「既存健診データを活用した疾病予防や健康管理に関する探索的観察研究」臨大16一変070(疫10-17 疫13-9 9変更))の下、これまでに開始している下記の複数の研究テーマを継続し、成果の発表をとおして、医学的貢献に繋げていく計画である:

  1. 血圧脈波指標・中心血圧の健診・予防医学的意義の検討
  2. 健診CT画像の応用解析として、動脈硬化の評価
  3. 健診内視鏡検査に関連の研究課題
  4. 特定保健指導効果の科学的評価
  5. 健診でのがん発見に関する各検査の感度および特異度最大化の検討
  6. 健診医の診断精度向上のためのシステム開発

健診センターにおけるこれらの研究活動は、健診医の資質や健診センター業務の価値向上、健診業務へのフィードバックによる健診サービスの質の改善、さらに結果として受診者満足の向上に繋がるものと考えている。研究結果の発信をとおして人類全体の健康増進に寄与することを目指している。

5.過去実績