緩和ケア部[アニュアルレポート]

1.スタッフ(平成23年4月1日現在)

部長 (教授) 丹波嘉一郎 昭和59年自治医大卒
医員 (准教授) 岡島 美朗(兼) 昭和63年山梨医大卒
(助教) 田實 武弥 平成3年自治医大卒
(講師) 井上荘一郎(兼) 平成4年慈恵医大卒
病院助教   中山 竜司(兼) 平成12年日大松戸卒
看護師   1名  
臨床心理士   1名  
薬剤師 (兼) 2名  
医療ソーシャルワーカー (兼) 1名  
管理栄養士 (兼) 1名  
作業療法士 (兼) 1名  
歯科衛生士 (兼) 1名  

2.緩和ケア部の特徴

当部は、地域がん拠点病院の認可をにらみ、平成18年10月に発足した。当初から行っていた、緩和ケアチームによる一般病棟でのコンサルトと緩和ケア外来に加え、平成19年5月に緩和ケア病棟が開棟し、症状コントロール、レスパイト、エンドオブライフケアを行っている。また、在宅との連携も積極的に行っている。
緩和ケアは、

  1. 疼痛、呼吸困難、悪心嘔吐その他の症状のコントロール
  2. 心理社会的、スピリチュアルな面での対応
  3. 最適な療養場所の検討とそのサポート

が大切であり、その目的は、進行して治癒の望めない疾患を持った患者様とそのご家族のQOLの維持である。
なお、緩和ケアの領域にも、平成21年4月1日から、日本緩和医療学会の緩和医療専門医制度が始まった。当院も丹波が暫定指導医として認められたので認定施設なり、2年間の研修で専門医の取得が可能となっている。

認定施設

日本緩和医療学会認定研修施設

認定医

日本内科学会総合内科専門医 1名(丹波 嘉一郎)
日本緩和医療学会暫定指導医 1名(丹波 嘉一郎)
日本透析医学会専門医 1名(丹波 嘉一郎)
日本心身医学会専門医 1名(岡島 美朗)
日本総合病院精神医学会専門医 1名(岡島 美朗)
日本精神神経学会指導医 1名(岡島 美朗)

3.実績・クリニカルインディケーター

上記のスタッフ構成により、専任医3、他は兼任の多職種参加のチームでコンサルトを行っている。平成23年度からは診療報酬を得るためのスタッフ(専従医師1、専任医師1、専従看護師1、専従薬剤師1)を構成することができる見込みである。電子カルテと電子メールを活用しながら、緩和ケア病棟の入院患者のカンファランスを毎週火曜日午後、入院コンサルトと外来患者のカンファランスを毎週木曜日午後に行っている。

1)緩和ケア病棟

平成22年度は、145名(12.1名/月)と前年度の157名(13.1名/月)から減少した。これは、常勤医の退職、看護師数の変動などにより、十分な医療スタッフ数が常時確保できなかったことが主因である。その一方、死亡退院は、131名(10.9名/月)で前年度と同数、平均在院日数も、25.4±28.3日と前年度の24.1±24.1日とほぼ同等である。しかし、中央値でみると、今年度は13日で前年度17日よりかなり短くなっている。これは、死亡退院数はそれほど変わらず、死亡までの日数の短いケアをより必要とする患者が多いことを示している。
在宅療養への移行は、のべ11名で、在宅で最期まで過ごされたのは1名に過ぎない。
症状コントロールはかなりなされているが、終末期の苦痛のコントロールのために、鎮静を受けた割合は、初年度は38.1%、一昨年度は32.6%、昨年度は15.0%であったのに比し、今年度は8.4%(11/131例)と大幅に減少している。
なお、死亡退院に際しては、約45%を緩和ケア病棟へ移る前に担当していた当該科の当直医に看取っていただいている。

2)入院コンサルト

平成19年度、20年度、21年度はそれぞれ、132名、145名、154名の入院コンサルトがあり、今年度は183名のコンサルトがあった。緩和ケア病棟を中心とした療養場所の検討、症状コントロール、心理面の対応を行っているが、心理面の対応のコンサルトが激増している。

3)緩和ケア外来

医師だけでなく、外来においても、臨床心理士、薬剤師、看護師、MSWとともに多職種で他科外来からの紹介患者を当該科と併診している。緩和ケア病棟を中心とした療養場所の検討、症状コントロール、心理面の対応を行っている。平成19年度、20年度、21年度はそれぞれ、97名、129名、125名のコンサルトがあり、今年度は142名の外来コンサルトがあった。他院からの紹介は平成19年度、20年度、21年度はそれぞれ、5名、23名、29名だった。今年度は23名で増加傾向はない。

4)地域医療連携

緩和ケア部が置かれて以来、在宅医と何らかの連携を取った患者は100名を越えている。
今年度は入院コンサルトや緩和ケア外来を通じて、計約20名が在宅医による往診へと療養を切り替えており、エンドオブライフの在宅療養を積極的に進めている。また、在宅から緩和ケア病棟への受け入れも行なっている。

教育/研修について

平成22年度は、がんプロフェッショナル養成に伴う緩和ケア講義を8回シリーズで行なった他、アルバータ大学の緩和ケア部門のWatanabe教授をお招きして遠隔緩和ケアの講義を行っていただいた。
また、今年度から、日本財団の寄附講座として緩和医療講座が開講し、医学生教育として、より充実した講義、BSLを行うことができた(セミナーを除く)。

M1 医療人間論 1コマ
M3 緩和ケアⅠ 4コマ
M4 総合診療部クルズス 各BSL毎
M5 緩和ケアⅠ 6コマ
M5 臨床講義 1コマ
M5-6 選択BSL 各クール1名

来年度は、さらに4コマ増やし、より充実した緩和ケア講義を予定している。
研修については、平成21年度は、2ヶ月の研修が計4名だった。また、外科のDrに2週間の研修を4名行なっていただいた。大学院(週1回の見学・研修)2名で、内1名は、主科目で緩和ケアを選択している。
PEACE projectに則った緩和ケア研修会が平成23年2月6日、20日に行なわれた。研修医から教授にいたるまでの広い年齢層の医師と看護師、薬剤師など多職種が参加した充実した研修会であった。平成23年度は10月9日、10日に予定している。
また、日本財団に特別共催をいただき、平成22年11月27日に東京で、「在宅緩和ケアの教育・研修のための国際シンポジウム」を行なった。多数の方にお集まりいただき、最後まで白熱した議論が続いた。詳細は報告書をご高覧頂きたい。
それ以外の、啓発として、さいたま医療センター緩和ケアチームとのTV電話会議などを行ってきている。

4.事業計画・来年の目標等

(1)住民への啓発

がんの末期ギリギリまで治療医のみに依存し、最期だけを頼るという「お看取り屋」的な考えや、オピオイドを中心とした苦痛を軽減する薬を忌避する姿勢ができる限り減るように、正しい緩和ケアの考え方を普及させていく。

(2)緩和ケア部の充実

平成23年度は、医師が1人増員となり、看護師も専従でチーム活動を行えるようになる予定である。緩和ケア病棟の充実だけでなく、入院および外来のコンサルトもより実り多い活動が行えると期待している。

(3)地域連携の強化

優れた在宅医との連携を強化するとともに、外来で対応が可能な方は、近医とも連絡をしながら安心して自宅で療養できる体制を作っていく。

(4)ボランティアの養成

緩和ケア病棟での、お茶のサービス、お花、マッサージその他のボランティアの育成に努めていく。

緩和ケア部 2009年度12ヶ月間の実績

A.緩和ケア病棟
(1)入院
  H19年度
(11ヶ月)
H20年度
(12ヶ月)
H21年度
(12ヶ月)
H22年度
(12ヶ月)
入院数 134名 181名 157名 146名
ひと月の入院数 12.2名/月 15.1名/月 13.1名/月 12.1名/月
男性 90
(67.2%)
102
(56.4%)
85
(54.1%)
73
(50.0%)
女性 44
(32.8%)
79
(43.6%)
72
(45.9%)
73
(50.0%)
年齢 62.9±
10.5歳
63.3±
11.4歳
63.2±
10.6歳
62.6±
10.8歳
入院元他科から
転棟
78
(58.2%)
94
(51.9%)
80
(54.1%)
94
(64.4%)
外来から 42
(31.3%)
70
(38.7%)
63
(40.1%)
75
(28.8%)
他院から 14
(10.5%)
17
(9.4%)
14
(8.9%)
10
(6.6%)
緊急入院 17
(12.7%)
45
(24.9%)
38
(24.2%)
28
(19.2%)
再入院 9
(6.7%)
21
(11.6%)
24
(15.2%)
12
(8.2%)
4年間の診療科別入院患者数(重複あり)
診療科患者数診療科患者数診療科患者数
臨床腫瘍科 246 皮膚科 14 腎臓内科 2
外科 146 総合診療部 9 アレリウ科 1
呼吸器内科 70 放射線科 5 形成外科 1
婦人科 59 口腔外科 5 神経内科 1
消化器内科 34 脳神経外科 5 感染症 1
耳鼻咽喉科 29 血液内科 4 内分泌 1
泌尿器科 28 精神科 3 なし 13
呼吸器外科 16        
(2)退院(転科)数 平均在院日数 25.4±28.3日
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 小計
10 12 10 13 14 10 13 13 13 15 9 13 145
死亡 10 10 9 11 13 9 11 13 12 15 6 12 131
在宅 0 2 1 1 1 1 2 0 1 0 2 0 11
転院 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 2
転科 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1
(3)看取りのDr(H22年度)
看取り医患者数
緩和ケア 53 44.5
外科 33 27.7
内科 14 11.8
婦人科 10 8.4
耳鼻咽喉科 2 1.7
呼吸器外科 2 1.7
皮膚科 2 1.7
脳神経外科 2 1.7
泌尿器科 1 0.8
総計 119 100.0

(オ)鎮静の割合 8.4 %( H22年度)

B.緩和ケアコンサルト
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 小計
外来 9 6 15 17 12 14 11 14 14 12 8 12 142
入院 18 12 15 10 13 13 19 18 21 17 12 17 183
院外 1 0 1 4 1 2 3 2 3 2 1 3 23
小計 28 18 31 31 26 29 33 34 38 31 21 32 348
依頼元 診療科別内訳(重複あり)
科名症例数科名症例数
外科 93 泌尿器科 5
臨床腫瘍科 74 呼吸器外科 5
婦人科 41 脳神経外科 3
呼吸器内科 36 総合診療部 2
血液科 34 精神科 2
消化器内科 19 救急部 2
耳鼻咽喉科 12 放射線 2
口腔外科 7 内分泌代謝科 2
皮膚科 6 なし 13
予後
予後症例数
死亡 163
外来通院中 81
中断 15
転医 17
他科入院中 21
緩和ケア病棟入院中 12
緩和ケア病棟から退院 1
総計 310

5.過去実績

2009年アニュアルレポート

2008年アニュアルレポート

  • 東日本大震災関連情報

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