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総合周産期母子医療センター(産科部門)[アニュアルレポート]

1.スタッフ(平成29年4月1日現在)

センター長 (教授) 山形 祟倫
副センター長 (教授) 松原 茂樹
分娩部部長 (准教授) 大口 昭英
母体胎児集中治療部部長 (准教授) 薄井 里英
院内助産所部長 (准教授) 薄井 里英
医員 (講師) 馬場 洋介
(講師) 高橋 宏典
(講師) 鈴木 寛正
病院助教 18名
シニアレジデント 14名

2.特徴

当センター産科部門は母体・胎児集中治療部と分娩部、院内助産所の3部門で構成されている。

獨協医大同センターと協力し栃木県の周産期医療の中心的施設として診療にあたっている。病床は58床(母体胎児集中治療ベッド12床、一般ベッド46床)で運営している。さらに、栃木県の周産期連携センターでもあり、母体搬送の受け入れ先を確保する業務を担っている。3次施設としてのセンター機能を十分に果たすと共に、地域医療施設としての一般妊産婦診療まで幅広く行っている。また院内助産所ラ・ヴィでは大学病院という安全な環境のもとに妊婦主体のアットホームな分娩産褥サポートを提供している。

施設認定、専門医・認定医は産科アニュアルレポートに掲載

3.クリニカルインディケーター

Ⅰ.母体・胎児集中治療管理部

1)入院患者総数

平成28年(2016年)の入院患者総数は1709人であった。

2)入院の適応(表1)

分娩のための入院の内訳は、分娩誘発目的(妊娠41週を過ぎた症例や合併症妊娠など)57例、選択的帝王切開術目的(骨盤位や既往帝切後妊娠など)174例、未受診妊婦の飛び込み分娩3例を含んでいる。他科疾患管理症例には50例のDM、GDM症例が含まれる。その他の分類には、子宮動脈仮性動脈瘤10例(疑いを含む)、子宮瘢痕部妊娠3例、他DVT、急性腹症、交通事故後の経過観察などが含まれる。

表1 入院の適応(実数)

順位 適応疾患 2016年
1 分娩のための入院 625
2 新生児 346
3 切迫早産 104
4 多胎妊娠管理(TTTSを含む) 83
5 他科疾患合併妊娠管理 72
6 流産、人工妊娠中絶 64
7 羊水検査 64
8 妊娠高血圧症候群 62
9 前置胎盤、低置胎盤 45
10 胎児発育不全(FGR) 37
11 産褥異常 23
12 胎児形態異常 20
13 切迫流産 17
14 妊娠悪阻 15
15 頚管縫縮術目的 15
16 羊水量の異常 13
17 前期破水 13
18 卵巣腫瘍合併妊娠(手術を含む) 12
19 胎児機能不全・胎盤機能不全 10
20 常位胎盤早期剥離 6
21 子宮内胎児死亡(22週以降) 5
22 その他 58
合計 1709

3)診療実績(表2)

分娩総数は951件であった。帝王切開率は全体で50.7%だった。

多胎分娩は75件(多胎率7.8%)であり微減した。

表2 産科部門診療実績

2016年
分娩総数 951
単胎 876
双胎 75
品胎 0
多胎率 7.8%
帝王切開術 483
帝王切開率 50.7%
吸引分娩 53
鉗子分娩 0
頚管縫縮術 25
 マクドナルド手術 (23)
 シロッカー手術 (2)
流産手術 24
 自然流産 (16)
 人工流産 (8)

4)センター母体搬送受け入れ実績

母体搬送要請は213件であった。内4件は救急隊からの直接の搬送依頼だった。

当院で受け入れた症例は131件であり、残りについては、週数、病状に応じて、連携センターとして受け入れ先を探した。

5)母体搬送時診断(表3)

未受診妊婦の飛び込み分娩の搬送は3件だった。

表3 母体搬送時診断

2016年
1.切迫早産 34
2.産褥異常 25
3.妊娠高血圧症候群、HELLP症候群、子癇 17
4.他科疾患合併 7
5.前置(低置)胎盤 7
6.胎児機能不全 7
7.胎児発育不全(FGR)  6
8.前期破水 4
9.常位胎盤早期剥離 3
10.切迫流産・流産 3
11.羊水量の異常 2
12.急性腹症 3
13.妊娠悪阻 2
14.卵巣腫瘍合併妊娠 2
15.子宮内胎児死亡 0
16.分娩異常 0
17.婦人科(外妊含む)  0
18.その他 9
(内、未受診妊婦の飛び込み分娩)  (3)
合計 131

6)母体搬送時妊娠週数(表4)

表4 母体搬送時妊娠週数と搬送時診断

~21週 22~24週 25~27週 28~30週 31~33週
1.切迫早産 13
2.産褥異常*
3.妊娠高血圧症候群、HELLP症候群、子癇
4.他科疾患 1
5.前置(低置)胎盤 1
6.胎児機能不全
7.胎児発育不全(FGR) 1 3
8.前期破水 1 1 1
9.常位胎盤早期剥離 1
10.切迫流産・流産 3
11.羊水量の異常 1 1
12.急性腹症 2
13.重症妊娠悪阻 2
14.卵巣腫瘍合併妊娠 2
15.その他 ** 3 1 1
合計 16 19 13 12 22
34~36週 37週~ 産褥 不明 合計
1.切迫早産 1 34
2.産褥異常* 25  25
3.妊娠高血圧症候群、
HELLP症候群、子癇
1   17
4.他科疾患 1 2   7
5.前置(低置)胎盤 1   7
6.胎児機能不全 7
7.胎児発育不全(FGR) 6
8.前期破水 1 4
9.常位胎盤早期剥離 2 3
10.切迫流産・流産 3
11.羊水量の異常 2
12.急性腹症 1 3
13.重症妊娠悪阻 2
14.卵巣腫瘍合併妊娠 2
15.その他 ** 4 9
合計 14 9 26 131

*産褥異常25症例の詳細
大量出血8件、腟外陰血腫6件、子宮動脈仮性動脈瘤5件(疑い症例を含む)、DVT疑い3件、胎盤遺残1件、腹壁血腫1件、感染症疑い1件

**その他の症例9症例の詳細
未受診妊婦飛び込み分娩3件、帝王切開後瘢痕部妊娠 3件、交通外傷2件、その他1件

7)母体搬送受入れ不可(reject)症例の転帰(表5)

受け入れが困難だった症例のうちNICUが満床のためが32件、産科もしくは産科とNICUどちらも満床のためが29件あった。また当直帯において、他科の重症症例が複数手術中のため中央手術部が対応できなかったために6件受け入れができなかった。地域周産期センターでの管理が適切な症例だと判断し、受け入れ先を探した症例は15件あった。

表5 reject症例の転帰(県内・県外)

県内からの依頼(a) 県外からの依頼 合計
依頼総数 189 24 213
 受け入れ件数 116(61%) 15(63%) 131(61%)
 3次施設から 1
 2次施設から 19
 1次施設から 92 15 107
 救急隊から
 飛び込み分娩
3+1 9(37%) 82(38%)
Reject件数 73(39%)

Reject症例の転帰

紹介先 獨協医大 23(5+18)+2* 1 26
済生会宇都宮病院 18(3+15) 2 20
佐野厚生病院 13(0+13) 0 13
芳賀赤十字病院 7(0+7) 1 8
国際医療福祉大学附属病院 3(1+2) 0 3
那須赤十字病院 2(0+2) 2
自施設で待機 2 2
県外へ紹介 3 3
その他 5** 5

(a)括弧内は(依頼元:県内2次施設+県内1次施設)
*救急隊から
**その他:搬送元の県に依頼

8)近県との連携(表6)

栃木県から県外へ搬送した症例 3件
(当院で対応が難しかったため、患者居住地から判断して群馬県の施設へ搬送した)
栃木県外から当院へ受け入れた症例 15件

表6 県別母体搬送

依頼総数 受け入れ数 Reject数
栃木県 189 116 73
県外合計 24 15 9
(内4件県内紹介)
 茨城県 22 13 9
 埼玉県 1 1 0
 群馬県 1 1 0
合計 213 131 82

9)当院からの母体搬送

当院からの母体搬送は13件あった。

  1. 当院患者搬送5件:33~35週の双胎5件を地域周産期センターへ搬送した。いずれも入院管理中の症例で病状の悪化により分娩の必要性があったが、NICUが満床であったこと、週数の浅い重症患者の分娩がひかえていたことが理由である。
  2. 戻し搬送7件:当院へ母体搬送後、搬送元で管理ができる状態になったため戻し搬送を行った。
  3. 2次病院への三角搬送1件:1次病院から当院へ母体搬送されたが、自宅近くの2次病院で管理できる週数となったため搬送した。

重症症例のベッドの確保のために、2次施設で管理可能な症例は、地域周産期母子医療センターに搬送をコーディネートしている。搬送受け入れ率は例年通りである。双胎症例が集中するとNICUの受け入れが困難となり、当院の患者を搬送せざるを得ない状態がここ数年続いている。

Ⅱ.分娩部

2016年の総分娩数は951件であり、単胎876件、双胎75件となっている。その内VBAC(vaginal birth aftercesarean)は9件、双胎経腟分娩は2件だった。

表7 帝王切開

単胎 876
 帝王切開数 410
 帝王切開率 47%
双胎 75
 帝王切開数 73
 帝王切開率 97%
総分娩数 951
 総帝王切開数 483
 総帝王切開率 51%
 緊急帝王切開数 232
 緊急帝王切開率 48%
  • 1.帝王切開の適応(表8)は、カルテ記載から主な適応症1つを選んでいる。その他の項目には母体合併症例、胎児形態異常例が含まれる。

表8 帝王切開の適応

件数
1.既往帝切 136
28%
2.多胎 72
15%
3.胎児機能不全 52
11%
4.前置胎盤
(低置胎盤を含む)
43
9%
5.妊娠高血圧症候群
(HELLP、子癇を含む)
42
8%
6.胎位異常 33
7%
7.分娩停止 26
5%
8.既往子宮手術、筋腫 25
5%
9.児頭骨盤不均衡 12
2.50%
10.絨毛膜羊膜炎 8
1.70%
11.常位胎盤早期剥離 7
1.50%
12.胎盤機能不全、FGR 3
0.60%
13.その他(※) 24
5%
483
100%
  • 2.単胎分娩週数は(表9)早産が126件(14.3%)だった。
    34週未満の分娩は54(6.1%)、28週未満の分娩は、11件(1.2%)だった。妊娠41週以降の分娩は76件(9.3%)、過期産(妊娠42週以降)は6件(0.6%)あった。

表9 単胎分娩週数分布

出産週数 件数
22~27 11
28~33 43
34 18
35 21
36 33
37 151
38 218
39 153
40 146
41 76
≧42  6
不明 0
876
  • 3.単胎出生体重(表10)は、低出生体重児は191例(21%)、巨大児は10例(1.1%)であった。そのうち1500g未満の児は41例(4.6%)、1000g未満の児は17例(1.9%)であった。

表10 単胎出生児体重分布

出生児体重(g) 件数
~499 1
500~999 16
1,000~1,499 24
1,500~1,999 22
2,000~2,499 128
2,500~2,999 308
3,000~3,499 292
3,500~3,999 75
4,000~ 10
876
  • 4.双胎分娩週数(表11)では、早産が44件(58.6%)、34週未満分娩は14件(18%)、28週未満の分娩はなかった。

表11 双胎分娩週数分布

出産週数 件数
22~27 0
28 0
29 1
30 1
31 5
32 1
33 6
34 5
35 12
36 13
37 31
38 0
≧39 0
75
  • 5.双胎出生体重(表12)では、低出生体重児は113例(75.3%)であった。1500g未満の児は14例(9.3%)、1000g未満の児はいなかった。

表12 双胎出生児体重分布

出生児体重(g) 件数
~499 0
500~999 0
1,000~1,499 14
1,500~1,999 33
2,000~2,499 66
2,500~2,999 36
3,000~3,499 1
3,500~ 0
150
  • 6.出産年齢の分布は(表13)の通りである。10代出産の割合はここ数年かわっていない。高年出産は441例(46.3%)と年々増加傾向となっている。40歳以上も117例(12.3%)と今年も多かった。

表13 年齢別分布 (括弧内は多胎)

年齢 件数
総分娩数 951(75)
若年
(19歳以下)
11(0)
1.1%
35-39歳 324(24)
34.1%
40歳以上 117(10)
12.3%
高年
(35歳以上)
441(34)
46.3%

4.2017年の目標・事業計画等

周産期連携センターとして、獨協医大と当院が良好な関係を保ちながら、栃木県内の母体搬送はスムーズに行われている。今後も行政や、総合・地域周産期母子医療センターと協力し、栃木県の周産期医療の発展に努めたい。

5.過去実績

2015年アニュアルレポート

2014年アニュアルレポート

2013年アニュアルレポート

2012年アニュアルレポート

2011年アニュアルレポート

2010年アニュアルレポート

2009年アニュアルレポート

2008年アニュアルレポート

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