小児脳神経外科[アニュアルレポート]

1.スタッフ(平成23年4月1日現在)

科長(学内教授) 五味 玲
シニアレジデント 1名

2.診療科の特徴

先天奇形(二分脊椎、水頭症など)、脳腫瘍、脳血管障害(もやもや病など)、外傷、難治性てんかんなど、小児脳神経外科疾患全てをまんべんなく扱っているが、2010年は脳腫瘍症例の増加が目立った。

①先天奇形(二分脊椎、水頭症など)

二分脊椎外来及び二分脊椎カンファレンスが2年を経過し、順調に運営され、他施設からの紹介患者も増加している。小児脳神経外科、小児泌尿器科、小児整形外科、小児外科、小児科などの関連各科医師だけでなく排泄などを専門に扱う看護師やリハビリの療法士なども含め患者情報を共有した包括的な診療体制により、二分脊椎患者のQOL向上をめざし、排尿訓練・指導、下肢変形のリハビリ・装具・手術、排便コントロールなど総合的なフォローアップ体制が確立した。
最近は新生児の腰仙部皮膚異常(皮膚陥凹)に対する積極的なアプローチを行っている。潜在性二分脊椎患者が見過ごされないために、どのような皮膚陥凹の場合に留意が必要かの重要なデータが集積されてきており、その結果について小児科医に発信している。
水頭症に対しては、シャント手術の他にも十分な適応の判断のもとに、神経内視鏡による脳室内手術も積極的に行っている。水頭症を合併した腫瘍症例に対する、内視鏡手術(生検+開窓)の症例も増えてきている。

②脳腫瘍

手術、放射線、化学療法を含めた総合的な治療体制を確立して治療に当たっている。神経膠腫(グリオーマ)、胎児性腫瘍(髄芽腫、ATRT)、胚細胞腫瘍、頭蓋咽頭腫などの小児脳腫瘍全般を対象としている。
放射線診断部と協力し、より有効な術前のシミュレーション画像の作成に取り組んでいる。血管造影を回避でき患児への負担も少なく、しかも手術操作が安全にできる様になってきている。
2009年からは難治性腫瘍の複雑な化学療法を小児科血液腫瘍班と共同で施行するようになり、2010年は、さらに末梢血幹細胞輸血を併用した化学療法も開始した。また、術前術後の内分泌障害についても小児科内分泌班による緻密な管理が行えるようになった。これによって、化学療法の幅も格段に拡がり、バリエーションにとんだ治療法が可能となり、患者一人一人の状況に合わせて使い分けている。
下垂体病変における硬性神経内視鏡を用いた経蝶形骨洞的手術も脳神経外科の専門スタッフとともに開始し、またてんかん発症の脳腫瘍治療は、脳神経外科てんかん班の協力のもと、術中脳波モニタリングなどの詳細なモニタリング下に、理論的で効果的な摘出を行えるようになった。
放射線治療は、幼児にとっては精神的な負担になり、多くは鎮静を要するが、これに関しても医師(小児脳神経外科・放射線治療部)・看護師・放射線技師などの協力のもと、鎮静なしでも負担なく治療を継続できるように様々な工夫を行っている。

③脳血管障害

もやもや病に関しては、適切な術前診断・治療計画のもと、様々な間接的血管吻合術を中心に治療している。脳動静脈奇形に対しては、脳血管内治療部による血管内治療、放射線治療部による定位放射線治療と当科での外科手術を症例により選択し、合併症なく治療効果が上がるように努めている。

④てんかん外科

難治性てんかんに対する焦点切除術を中心とした外科手術を、本館脳神経外科病棟と協力のもと、十分な治療適応の検討のもとに行っている。2009年から子ども医療センター小児科病棟でも、てんかんのモニタリングが可能となり、術前の評価に有用となった。

専門医

日本脳神経外科学会専門医 五味 玲
日本神経内視鏡学会技術認定医 五味 玲
日本がん治療認定医機構がん治療認定医 五味 玲
日本外科学会認定医 五味 玲

3.診療実績・クリニカルインディケーター

1)新来患者数・再来患者数・紹介率

新来患者数 109人
再来患者数 1,136人
紹介率 74.7%

2)入院患者数(病名別)

病名 人数
頭部外傷 24
脳腫瘍 20
二分脊椎 7
水頭症 9
もやもや病 6
脳脊髄動静脈奇形 2
キアリ奇形 1
頭蓋骨縫合早期癒合症 1
合計 70

3)手術症例数

脳腫瘍 14
脊髄腫瘍 2
二分脊椎 9
Chiari奇形 1
もやもや病 6
脊髄血管奇形 1
水頭症 15
外傷 3
その他 18
(うち内視鏡手術) 6
合計 69

4)化学療法症例・数

髄芽腫 6
PNET 1
胚細胞腫瘍 3
上衣腫 1
視神経膠腫 1
LCH 1

化学療法マニュアル

PE CDDP+VP16
CARE CBDCA+VP16
ICE IFM+CDDP+VP16
CBDCA + VCR  
VBL単独  
TMZ単独  

5)放射線療法症例・数

脳腫瘍 5例

6)悪性腫瘍の疾患別治療成績

脳幹部神経膠腫 平均生存期間15ヶ月
髄芽腫 5年生存率 83%

7)死亡症例・死因・剖検数・剖検率

1名 脳幹部神経膠腫 剖検なし

8)カンファランス症例

二分脊椎カンファレンス 第二月曜日(休日の時は第一)

月日 症例
2月8日 「二分脊椎症児における排尿管理~外科的治療~」について
3月8日 症例検討会
4月12日 「べんぴ」について
5月10日 症例検討会
6月14日 無症候性脊髄脂肪腫の治療指針
7月12日 「日本本二分脊椎研究会」予演会
9月13日 症例検討会
10月4日 最近の小児泌尿器科手術症例
11月8日 最近の小児脳神経外科手術症例
12月13日 症例検討会

その他は脳神経外科と同様に行っている。

4.事業計画・来年の目標等

潜在性二分脊椎や脳腫瘍について遅滞なく治療が行えるよう、その早期症状についての啓蒙を小児科や眼科の一般医に対して行う。
小児脳神経外科症例、特に小児脳腫瘍や先天奇形はバリエーションが豊富で一例一例が貴重な経験である。北関東道の全面開通によって相互交流がしやすくなる事から、北関東3県の施設間で、小児症例の知識と経験の共有や、若手医師の教育などでの協力体制の構築を目指す。

5.過去実績

2009年アニュアルレポート

2008年アニュアルレポート

  • 東日本大震災関連情報

自治医科大学附属病院

〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1

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