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総合診療内科【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2022年4月1日現在)

(ローテート中および派遣中を除く)
科長 (教授) 松村 正巳
副科長・病棟医長 (教授) 畠山 修司
(准教授) 森澤 雄司
(感染制御部・兼)
外来医長 (講師) 石川由紀子
(講師) 山本  祐
(助教) 白石 裕子
(助教) 神谷 尚子
医員 (教授) 奥田  浩
(総合教育部門数学・兼)
小谷 和彦
(地域医療学部門・兼)
石川 鎮清
(情報センター・兼)
松山  泰
(医学教育センター・兼)
シニアレジデント   9名

2.診療科の特徴

外来診療:総合診療内科外来では診断困難例の紹介は増加傾向であり、高度先進医療機関として地域のニーズに応じている。また、午前中の新患受付時間帯には、看護部と協力し、予約および紹介状を持たない外来患者への診療科案内を担当し、患者の多様な訴えを聴き適切な専門科へ案内している。不適切な診療科への受診が減少し、患者・医療側の双方にとって有用である。午後は内科系疾患の急患当番として、救急搬送以外で受診される救急患者の振り分けも担当している。本院を受診する患者の円滑な診療の下支えができるよう努力している。

入院診療:2017年春から入院診療を「内科総合病棟」と位置づけ、内科学講座と協働して診療を行う場としている。病床数は20床を運用した(2022年は18床)。内科学講座から医師が交代で派遣され、総合診療内科の医師と協働し、研修医と併せ診療チームを組み診療を行うシステムである。内科総合病棟における診療対象は、多臓器疾患患者、診断困難患者、救急患者を主とし、教育目標は診療の基本を学ぶ場とし、総合医育成のための教育・研修を行っている。内科総合病棟創設の効果として、救急・紹介患者への迅速な対応が促進され、地域医療連携の円滑化、診療科決定への労力軽減がある。また、専門科への迅速なコンサルテーションが可能となり、診断後は臓器別診療科へ転科し治療する。目標とする診療と研修の場が実現できるように努力してきた。しかし、2020年からは新型コロナウイルス感染症による地域での受診控えの影響を受けた。特に第3波、第5波のときに新型コロナウイルス感染症以外の入院患者数は、受入れの抑制をかけていないにもかかわらず減少した。一方、当科は附属病院に入院する新型コロナウイルス感染症例の1/3以上を担当した。この2年間で本院入院の新型コロナウイルス感染症142例のうち22%にあたる31例を診療し、重症70例のうち34%にあたる24例を診療した。重症24例のうち2例は亡くなられたが、22例は退院した。2022年度も状況に応じて診療を行う。

カンファレンス:外来では診療の質向上のために、毎日15時~16時、その日の初診患者についてカンファレンスを行い、不十分なアセスメントになっていないかを相互にチェックしている。入院診療では、水曜日を除く毎朝8〜9時まで入院患者カンファレンスを行い診療の質を高め、それを通じて医学生・研修医に指導を行っている。

総合診療内科は医学教育において以下の役割を担っている。BSLでは医療面接・身体診察の指導を重視し、幅広い知識と実践知に基づいた臨床推論能力の獲得を指導目標としている。外来診察実習は新小山市民病院と茨城県西部メディカルセンターにて行っていたが、2020年度からは新型コロナウイルス感染症のため中止となり、附属病院での実習に切り変えている。2022年度は感染状況に応じての判断となる。病棟実習では、チームの一員としてカンファレンスやチーム内の議論に参加し、担当患者のプレゼンテーションを行っている。医療面接・身体診察・鑑別診断・治療方針にいたる診療のプロセスを学生自ら考えさせ、学習への動機づけを図っている。附属病院内でも対面でのBSLが実施できないときはオンライン実習に切り替え、臨機応変に教育の質が低下しないように工夫している。

そのほか、総合診療内科は特定行為看護研修の基礎実習の指導を行っている。2015年10月期から2020年10月期までの基礎実習10回分において、附属病院、さいたま医療センターで受け入れた計268名の4割にあたる105名は当科で研修指導を行い本研修事業に貢献している。

認定施設

  • 日本プライマリ・ケア学会認定研修施設
  • 日本プライマリ・ケア学会認定家庭医療後期研修プログラム認定施設
  • 日本感染症学会認定研修施設

認定医・指導医

日本内科学会指導医 松村 正巳 他2名
日本内科学会総合内科専門医 松村 正巳 他6名
日本内科学会認定内科医 松村 正巳 他9名
日本プライマリ・ケア学会指導医 小谷 和彦 他4名
日本プライマリ・ケア学会認定医 小谷 和彦 他4名
日本腎臓学会腎臓専門医 松村 正巳
日本透析医学会専門医 松村 正巳
日本感染症学会指導医 畠山 修司
日本感染症学会専門医 畠山 修司
日本呼吸器学会専門医 畠山 修司
日本エイズ学会指導医 畠山 修司
日本消化器病学会消化器病専門医 山本  祐
日本医師会認定産業医 小谷 和彦 他2名
日本小児科学会指導医 白石 裕子
日本小児科学会専門医 白石 裕子
日本小児科学会認定医 白石 裕子

3.診療実績・クリニカルインディケーター

1)新来患者数・再来患者数・紹介率

新来患者数 712人
再来患者数 7,182人
紹介率 89.5%

2)入院患者数(病名別)

2021年入院患者疾患内訳
病名 患者数 割合
感染症 144 44%
血液疾患 33 10%
自己免疫性疾患 30 9%
悪性腫瘍 18 6%
電解質異常 15 5%
消化器疾患 12 4%
内分泌・代謝疾患 10 3%
循環器疾患 6 2%
精神疾患 6 2%
医原性(薬剤の副作用) 5 2%
神経疾患 2 1%
その他 44 14%
合計 325人  

3)手術症例病名別件数

記載事項なし。

4)治療成績

記載事項なし。

5)合併症例

記載事項なし。

6)死亡症例・死因・剖検数・剖検率

総合診療内科では高齢者の感染症が多く、悪性腫瘍の患者も少なくない。総合診療内科(内科総合病棟)の2021年入院患者における死亡退院症例は18人(入院患者合計の5.5%)であった。原因としては、感染症7人、血液疾患5人、悪性腫瘍2人、その他4人であった。剖検例はなかった。

7)主な検査・処置・治療件数

記載事項なし。

8)カンファランス症例

診療科内

地域医療学センター合同会議、病棟カンファレンス、外来カンファレンス
病棟カンファレンス、外来カンファレンス
外来カンファレンス
病棟カンファレンス、外来カンファレンス
病棟カンファレンス、外来カンファレンス

4.2022年の目標・事業計画等

当科は2020年度から新型コロナウイルス感染症の診療を行ってきた。2022年度も感染状況に応じて診療を行い附属病院の診療に貢献する。また、医療従事者に感染が広がることないよう標準予防策の徹底を継続する。

総合診療内科を受診する患者の病態の多くは複雑であり、診断困難を伴うことが少なくない。そのため各診療科との連携をさらに深め、適切な判断・治療の促進に努める。

入院診療の特徴として予定入院は少なく、多くは紹介後に緊急入院となる。緊急入院の割合は入院患者の4割にあたる。このうち高齢者の感染症による入院が多い。このような入院は冬場に増加する季節変動を伴う。こうした緊急入院が多数を占めると安定した病棟運営に支障をきたす。ゆえに、待機的に入院可能な患者群を増加させ、病棟診療の負荷を平均化する努力を継続する。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響による受診控えや地域における新型コロナウイルス感染症以外の感染症動向には変化がみられ、全体を俯瞰して対応する必要がある。8階西病棟には当科と内分泌代謝科の2科が入っている。紹介患者の入院受け入れを円滑に行えるよう、看護スタッフ、内分泌代謝科とは連携し、病棟運営を行う。また、在院日数短縮のため、退院後のケアを円滑に進めることができるよう、地域医療連携をさらに促進する。

外来診療においては、新来患者数は総数が減少、紹介率は上昇傾向である。これは選定療養費および新型コロナウイルス感染症による受診控えの影響であろう。2022年も新型コロナウイルス感染症の状況をみつつ、患者数の増加を目標とする。

当科は新型コロナウイルス感染症対応も含め診療内容は多様で、さまざまな障壁もある。しかし、これからの超高齢社会での医療需要を鑑み、特に未分化、多様な医療ニーズ、新興感染症にも対応可能な柔軟な姿勢と能力を有する総合医の育成に向けて、医学生・研修医に質の高い臨床医学を指導するよう心がけ、これからの総合診療の模範となるよう努力する。

5.過去実績