病理診断部[アニュアルレポート] | 病院のご案内 | 自治医科大学附属病院
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病理診断部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2021年4月1日現在)

部長 (教授) 福嶋 敬宜
副部長 (準教授) 河田 浩敏
医員 (教授) 仁木 利郎(兼務)
田中  亨(兼務)
(学内准教授) 仲矢 丈雄(兼務)
(講師) 天野 雄介(兼務)
木原  淳(兼務)
(助教) 廣田 由佳(兼務)
辻 賢太郎
(病院助教) 丹波 美織
シニアレジデント   2名
非常勤医員   4名
技師 (副技師長) 鈴木 智子(兼務)
(主任) 本望 一昌(兼務)
山本 昌代(兼務)
二階堂貴章(兼務)
柳田 美樹(兼務)

ほか、技師 12名、メディカルクラーク1名、受付事務 2.5名

2.病理診断部の特徴

病理診断部は、自治医科大学附属病院の中央施設部門に属し、自治医科大学附属病院で採取された検体について生検診断、細胞診断、術中迅速診断、外科切除検体の病理診断、および剖検診断などを行っている。

病理診断部では、提出されたすべての検体について病理医による適正な標本処理、必要充分な切り出し、病理検査技師による質の高い標本作製を行い、最終的に病理診断専門医による顕微鏡標本の観察、ダブルチェック過程を経て病理診断報告(電子カルテ上)を行っている。

また、必要に応じて免疫組織化学的検索、蛍光抗体法、電子顕微鏡検索なども追加し、精度の高い診断を行えるようにしている。

診療における病理診断の関与が特に大きい呼吸器、消化管、肝臓、膵胆道、乳腺、口腔・耳鼻科系などを中心に、臨床病理合同カンファレンスを行う他、卒後臨床研修センターに協力して共同で病院CPC(年3回)を行うなど、病院の診療レベルの向上に寄与している。

医学部教育の一部も担当し、臨床病理カンファレンス(CPC)(M4)全15回を行い、必修BSL(M4)、選択必修BSL(M5、M6)の学生も受け入れている。

また、消化器内科からの希望で、医師1名を週1日、病理診断研修のために受け入れている。

さらに、各科の研究支援の一環として、病理パラフィンブロックや組織スライドガラス標本の貸し出しや管理を行っている。

・施設認定

日本病理学会認定施設

臨床細胞学会認定施設

・認定医

日本病理学会専門医:福嶋 敬宜 ほか8名
(内、口腔病理専門医2名)

臨床細胞学会専門医:福嶋 敬宜 ほか7名

3.実績・クリニカルインディケーター

1)病理診断件数の動向:

2020年は、COVID-19感染拡大により、一時的な診療制限、体制変更などがあり、病理診断が関わる検体数は全体的に前年に比べて減少傾向(組織診断15,522件→15,206件、細胞診15,116件→14,468件)となったが、術中迅速組織診断(944件→952件)、電子顕微鏡検査(309件→323件)、免疫組織化学(3279件→3885件)、剖検(22件→26件)などは、増加を見せた。特殊検査の増加の原因は、新たな検査法の追加、診療科の体制変更に伴うものなどが影響していると考えられた。剖検は微増したが、客観的に見れば、研修指定病院としては依然少ない。

2)部門統計(2020年)

病理組織診断件数 15,206件
  生検 10,806件
内視鏡 4,186件
手術 3,965件
借用 435件
標本ブロック数 66,105個
迅速診断 952件
  ブロック(検体)数 1,846個
細胞診件数 14,468件、35,029枚
  パパニコロー染色 29,093枚
特殊染色 6,089枚
<検体別の件数>
婦人科関連 7,456件
呼吸器 1,309件
泌尿器 1,312件
甲状腺 262件
乳腺 161件
消化器
(EUS-FNA)
884件
(131件)
リンパ節 249件
体腔液 2,460件
375件
セルブロック 174件
電子顕微鏡検索 323件
  腎臓 294件
その他 29件
免疫組織化学染色 3,885件
19,878枚
  Her2蛋白検査件数 535件
ER&PR 507件
ALK 133件
PD-L1 11件
蛍光抗体法検索 288件
EBER1検索 151件
FISH法検索 126件
病理解剖診断 26件

3)病理診断精度管理について:

  1. 気づきメモ:日常の業務の間に気づいたことを書きこむ「気づきメモ」用紙を準備、その都度、書き留めるようにしている。また、2020年4月から後述の病理部門内コミュニケーションシステムslackを導入し、ある程度リアルタイムに気づきメモを全員に情報共有することができるようにしている。そこで出された内容は、医師と技師のリスクマネージャーと副技師長がすべてに目を通し、まとめて月1回の連絡会で情報共有している。
  2. 医師・技師間情報共有:毎週水曜日の午前8:20から部長、副部長、副技師長、主任技師および病理学講座各部門の病理医代表1名による連絡会を行ってその週の予定などの確認や問題点の抽出などを行い、さらに毎月第1週目の木曜日午後5:15からは技師全員参加による病理診断部連絡会議を開き、検体の流れや業務環境の改善に関する検討などを行っている。その内、年一回(2月)は、各部門の業務実績報告会を行って、病理診断部全体の業務量やその動向などの情報を共有している。また、何か連絡事項がある際、これまでは医師、技師に一斉に周知するのは難しい面があったが、情報共有システムslackの導入により、情報共有感が大きく高まったと考えている。
  3. 小手術検体や生検検体の検体処理および切り出し:病理医と臨床検査技師が相互に検体と検査申込書を確認しながら共同で行なっている。
  4. 外科手術検体の検体処理と切り出し:手術室から届いた未固定検体は、病理医がホルマリン固定などを行っている(必要に応じて写真撮影、割入れ)。また、固定後検体の切り出しも、病理医が検査申込書を参照しながら全て行っている。
  5. 組織診断報告:全症例について、准教授以上の専門病理医によるダブルチェック体制で行っている。
  6. 免疫組織化学染色標本:担当技師が、毎日、その日のすべての標本について、染色の妥当性について評価した後で診断医に渡すようにしている。
  7. 細胞診:スクリーナーによりダブルチェックを行い、少しでも異常所見のある標本(クラスⅡ以上)については全ての症例をスクリーナーと認定病理専門医とのディスカッションを経て、最終報告している。

4)臨床病理カンファレンス

1) 剖検肉眼所見検討会:

毎週水曜日9:00。なるべく臨床担当医の参加のもと、剖検症例の肉眼所見の検討会を行っている。

2) 剖検症例総合検討会:

毎月原則第2・第4水曜の17:00。

3) 病院CPC(臨床病理カンファレンス):

卒後臨床研修センター主催で年3回ほど病院の全職員を対象とした剖検症例検討会が行われており、症例の選択、病理解剖所見の提示や討論で主要な役割を果たしている。

4)放射線科・病理カンファランス:

隔週金曜日17:00。放射線科カンファレンス室で行っている。

5) 呼吸器内科カンファレンス:

毎週火曜日8:00。病理医が参加し、必要に応じて症例の病理像を解説している。

6) 消化器外科・内科・病理合同胆膵カンファレンス:

毎月1回原則第3水曜日18:30。

7)乳腺カンファレンス:

毎月1回、木曜日16:00

8)肝臓生検カンファレンス:

概ね隔月、木曜日17:00

4.研究業績(医師以外)

◎学会・研究会発表

  1. 飛田野清美、二階堂貴章、本望一昌、小瀬川順幸、芳賀美子:透過型電子顕微鏡を用いた心筋生検の観察-2013年から現在までの軌跡-、第69回日本医学検査学会(Web開催)、2020年10月1日~31日、宮城
  2. 二階堂貴章、木原 淳、柳田美樹、郡 俊勝、中村香織、鈴木智子、織田智博、芳賀美子、天野雄介、松原大祐、仁木利郎、福嶋敬宜:腹水中にemperipolesisがみられた悪性リンパ腫の1例、第34回関東臨床細胞学会学術集会(Web開催)、2020年10月22日~11月4日、栃木

5.2021年の目標・事業計画等

1)業務向上

2018年1月に業務改善のためのワーキンググループ(WG)*を立ち上げて活動しているが、2020年は、2021年の取得を目指す国際的な認証であるISO15189に掛かる整備のため、通常業務以外の多くの時間をそれに費やすことになった。ただ、それまでに業務改善のWGで行ってきたことと重なることもあり、また究極の目標は安全、迅速、精度保障のしっかりした病理検査、病理診断で共通しており、ISO取得の準備で、そのような作業が加速したとも言える。

<*ワーキンググループ概要>

Group A:病理診断部全体の業務改善、業務環境改善に関する案件を扱うグループ

Group B:病理診断部全体の技術・学術向上に関する案件を扱うグループ

Group C:病理診断部の社会性向上に関する案件を扱うグループ

2)次世代自治病理プロジェクト

昨今のゲノム医療の発展の中で、腫瘍センター内に「がんゲノム医療部」が新設され、当部からは医師(部長)1名、臨床検査技師2名を委員として登録している。現在は、当院が東京大学病院の連携病院という役割の診のため、当該患者のゲノム解析用未染標本作製が主なものであるが、当院のがんゲノム医療の拠点病院認定も視野に入れて、分子病理専門医、専門技師の育成も考えていく必要がある。

3)臨床病理カンファレンスの充実

院内各診療科との臨床病理カンファレンスは、臨床各科への情報提供の機会であると同時に、臨床相関についての考察、臨床科との良好な信頼関係の構築そして病理診断の精度向上のためにも重要であり、今後もなるべく臨床科の要望には応えて行ける体制を考えて行きたい。ちなみに、2021年から、乳腺カンファレンスを新たな体制で再開した。

4)部内セミナーの充実

JICHI病理診断セミナーは外部講師を招聘し、標本の供覧と講演を行ってもらうものである。2020年は新型コロナウイルス感染症のため全く開催できなかったが、今後は、webセミナーの開催も視野に入れて検討している。ただ、病理診断レベルの向上に加え、臨床各科との診療連携もその目的の一つであり、そこをどのような形にするかの検討が必要である。

5)病理診断部からの情報発信

病理診断部からの部外への情報発信はホームページ、スタッフブログ、ニュースレター(PATHO News)によって行ってきたが、2020年4月から新たにTwitterによる発信も加えた。ニュースレターは主に学内/院内の関係部署への病理診断業務についての情報提供を目的として行っており、今後も関係科の方々の理解が得られるように今後も継続していきたい。ホームページは一昨年リニュアルし更新を随時行っているが、引き続き、閲覧者の目的に合わせた情報取得が容易になるような工夫をしていきたい。

6.過去実績