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緩和ケア部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2023年4月1日現在)

部長 (教授) 丹波嘉一郎
医員 (学内教授) 清水  敦
(病院講師) 黒崎 史朗
(助教) 竹内 瑞枝
シニアレジデント(兼含め)   0名
看護師   1名
薬剤師   1名
医療ソーシャルワーカー(兼)   1名
管理栄養士(兼)   1名
作業療法士(兼)   1名
歯科衛生士(兼)   1名

公認心理師は実質兼務であるが、令和2年度からこころのケアセンターが設置され、現時点では兼務を認めないとのことで上記には挙げていない。

2.緩和ケア部の特徴

当部は、地域がん拠点病院の認可をにらみ、平成18年10月に発足した。当初から行っていた、緩和ケアチームによる一般病棟でのコンサルテーションと緩和ケア外来に加え、平成19年5月に緩和ケア病棟が開棟し、症状コントロール、レスパイト、エンドオブライフケアを行っている。

また、在宅との連携も積極的に行っている。

緩和ケアは、

  1. 疼痛、呼吸困難、悪心嘔吐その他の症状のコントロール
  2. 心理社会的、スピリチュアルな面での対応
  3. 最適な療養場所の検討とそのサポート

が大切であり、その目的は、進行して治癒の望めない疾患を持った患者様とそのご家族のQOLの維持である。

認定施設

  • 日本緩和医療学会認定研修施設

認定医

日本緩和医療学会認定医 丹波嘉一郎
清水  敦
竹内 瑞枝
日本内科学会総合内科専門医 丹波嘉一郎
黒崎 史朗
日本透析医学会専門医 丹波嘉一郎
日本外科学会専門医 清水  敦
日本消化器外科学会専門医 清水  敦
日本肝臓学会専門医 清水  敦
日本移植学会認定医 清水  敦
日本がん治療機構認定医 清水  敦
日本呼吸器学会専門医 黒崎 史朗
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医 黒崎 史朗
日本麻酔科学会専門医 竹内 瑞枝

3.実績・クリニカルインディケーター

上記のスタッフ構成により、専従医1名、専任医1名、兼任医2名、専従看護師1名、専任薬剤師1名、(専任公認心理師1名)、他は兼任の多職種参加のチームでコンサルテーションを行っている。平成24年度から、チームによる緩和ケア診療加算を入院コンサルテーション、緩和ケア外来で開始した。電子カルテと電子メールを活用しながら、緩和ケア病棟の入院患者のカンファランスを毎週月曜日午後、入院コンサルテーションと外来患者のカンファランスを毎週水曜日午後に行っている。

1)緩和ケア病棟

平成31/令和元年から4人体制となっている。平成30年10月1日から緩和ケア病棟のオープン化を行った体制はそのまま維持している。令和4年は、コロナ禍で入院数が131名(10.9名/月)と令和元年の163名(13.6名/月)から大きく減少したままである。死亡退院も、124名(10.3名/月)で、前年同様だった。また、平均在院日数は22.4±25.4日で前年より大きく短縮し、通算の平均23.7日±31.8日よりも短かった。

在宅療養及び外来への移行は4名、在宅で最期まで過ごされたのは1名で、1名は一般病棟に再入院して死亡、1名は外来通院中である。

緩和ケア病棟で、終末期に鎮静を受けた割合は、平成19年度38.1%、20年度32.6%、21年度15.0%、22年度8.4%、23年度12.4%、24年度6.9%、25年度4.4%、26年度は5.5%、27年度は5.5%、28年度は5.7%、29年度は4.3%、30年度は3.9%、H31/R1年度は2.4%、R2、R3年度は0.8%、R4年度は0%である。

なお、死亡退院に際しては、99.2%を緩和ケア病棟へ移る前に担当していた当該科の医師に看取っていただいた。

2)入院コンサルテーション

令和4年は272名のコンサルテーションがあり前年よりやや増加した。緩和ケア病棟を中心とした療養場所の検討、症状コントロール、心理面の対応を行っている。R2年度になりこころのケアセンター開設に関連して様々な調整があり心理面の対応の相談は減少したが元に復している。

需要を発掘するため、苦痛のスクリーニングを臨床腫瘍科、乳腺科、放射線治療部、婦人科にてがん性疼痛看護認定看護師が中心に行っている。さらに入院患者の中でオピオイドが適切に使われているか、オピオイド回診を強化している。

3)緩和ケア外来

医師だけでなく、外来においても、公認心理師、薬剤師、看護師、MSWとともに多職種で他科外来からの紹介患者を当該科と併診している。緩和ケア病棟を中心とした療養場所の検討、症状コントロール、心理面の対応を行っている。令和4年は145名のコンサルテーションがあった。

4)地域医療連携

緩和ケア部が置かれて以来、在宅医と何らかの連携を取った患者は1000名を越えている。令和4年は入院コンサルテーションや緩和ケア外来を通じて、在宅医と連携があったのは109名(139件)で、さらに大幅に増加した。これは、コロナ禍で面会制限が厳しくなり療養の場を自宅に求めた人が増えたためと思われる。外来から直接在宅緩和ケア医へ紹介となったもの44名、一般病棟からの紹介66名、緩和ケア病棟からの紹介3名となっている。他方、双方向性の連携も重要と考えており、在宅医から外来への紹介3名、在宅医から緩和ケア病棟への入院は12名(直接1、一般病棟経由11)、一般病棟への入院のべ22名(転棟できずあるいは希望せずに死亡4、退院4)だった。

5)教育/研修について

令和4年度は、がんプロフェッショナル養成に伴う緩和ケア講義を丹波が1回行なった。

また、平成22年度から24年度まで日本財団の寄附講座として緩和医療講座を開講し、26年度以降も事業を継承している。

M1 医療人間論 1コマ+テュートリアル4コマ
M3 地域医療学各論2 4コマ
M4 総合診療部クルズス 各BSL毎 2コマ
M5 緩和ケア 8コマ
M5-6 選択BSL(3クール) 各クール2名
M6 補講 2コマ

研修については、令和4年度は、J2またはS1の研修医14名が緩和ケア科の1ヶ月の研修を受けた。

院外から研修希望者1名が、週1回の研修を受けている。県外から月1回研修していた医師はコロナ禍で中止している。

PEACE projectに則った緩和ケア研修会が3回行われた。

6)キャンサーボードなどについて

当科では、毎週1回木曜日に新規症例についてのカンファランスを行っている。各科からは自由参加としているが、必要に応じて、他科担当医出席の上症例提示と討論を行うことがある。

また、院内開催の月1回のキャンサーボードにも可能な限り参加している。

4.2023年の目標・事業計画等

(1)住民への啓発

がんの末期ギリギリまで治療医のみに依存し、最期だけを頼るという「お看取り屋」的な考えや、オピオイドを中心とした苦痛を軽減する薬を忌避する姿勢ができる限り減るように、正しい緩和ケアの考え方を普及させていく。さらに、アドバンスケアプラニング(人生会議)の普及を図っていきたい。

(2)緩和ケア部の充実

精神科からは齋藤暢是病院助教が引き続き精神面のサポートを務めていた。令和4年度から交代となるが、精神科との連携をさらに図っていきたい。清水敦准教授が就任7年目となった。平成31/令和元年度からは黒崎病院講師が加わり、緩和ケア病棟の充実、入院および外来のコンサルテーションの発展を目指している。

(3)地域連携の強化

地域連携パスを作って、在宅医との連携をより円滑に行う必要がある。栃木県医師会が進めている「どこでも連絡帳」の活用も含め、優れた在宅医との連携を強化するとともに、外来で対応が可能な方は、近医とも連絡をしながら安心して自宅で療養できる体制を作っていく。引き続き「つるカフェ」や「みぶの会」といった地域の医療機関主催の勉強会にも可能な限り参加していく。

(4)ボランティアの養成

緩和ケア病棟での、お茶のサービス、お花、マッサージその他のボランティアの育成に努めていく。

緩和ケア部 2021年12ヶ月間の実績

A.緩和ケア病棟

(1)入院
  H19年 H20年 H21年 H22年 H23年 H24年 H25年
入院数 100名 170名 164名 142名 181名 188名 170名
入院数/月 12.5名/月 14.2名/月 13.7名/月 11.8名/月 15.1名/月 15.7名/月 14.2名/月
男性 66
(66.0%)
99
(58.2%)
88
(53.7%)
77
(54.2%)
85
(47.0%)
102
(54.2%)
85
(50.0%)
女性 34
(34.0%)
71
(41.8%)
76
(46.3%)
65
(45.8%)
96
(53.0%)
86
(45.7%)
85
(50.0%)
年齢(歳) 63.1±10.3 63.2±11.3 63.4±11.1 63.1±10.3 62.2±11.8 64.5±12.0 64.5±11.1
入院元 転科 46
(46.0%)
87
(51.2%)
83
(50.6%)
83
(58.5%)
113
(62.4%)
110
(64.7%)
113
(60.1%)
外来 48
(48.0%)
66
(38.8%)
71
(43.3%)
50
(35.2%)
53
(29.3%)
47
(27.6%)
56
(29.8%)
他院 6
(6.0%)
17
(10.0%)
10
(6.1%)
9
(6.3%)
15
(8.3%)
13
(7.7%)
19
(10.1%)
緊急入院 13
(13.0%)
39
(22.9%)
39
(23.8%)
30
(21.1%)
37
(20.4%)
32
(17.0%)
32
(18.8%)
再入院 8
(8.0%)
19
(11.2%)
20
(12.2%)
15
(10.6%)
11
(6.1%)
8
(4.3%)
7
(4.1%)

H19年は8ヶ月

  H26年 H27年 H28年 H29年 H30年 H31/R1年 R2年 R3年 R4年
入院数 171名 155名 170名 144名 130名 163名 137名 131名 131名
入院数/月 14.3名/月 12.9名/月 14.2名/月 12.0名/月 10.8名/月 13.6名/月 11.4名/月 10.9名/月 10.9名/月
男性 98
(57.3%)
77
(49.7%)
88
(51.8%)
75
(52.1%)
70
(53.8%)
91
(55.8%)
70
(51.1%)
73
(55.7%)
76
(58.0%)
女性 73
(42.7%)
78
(50.3%)
82
(48.2%)
69
(47.9%)
60
(46.2%)
72
(44.2%)
67
(48.9%)
58
(44.3%)
55
(42.0%)
年齢(歳) 65.4±11.1 65.5±11.3 66.4±11.5 67.6±10.2 65.9±11.5 68.0±11.1 70.8±10.2 71.3±10.4 69.7±10.1
入院元 転科 105
(67.7%)
110
(64.7%)
105
(61.4%)
102
(70.8%)
103
(79.2%)
151
(92.6%)
134
(97.8%)
130
(99.2%)
129
(98.4%)
外来 31
(20.0%)
34
(20.0%)
45
(26.3%)
27
(18.8%)
17
(13.1%)
7
(4.3%)
2
(1.5%)
1
(0.8%)
1
(0.8%)
他院 19
(12.3%)
26
(15.3%)
21
(12.3%)
15
(10.4%)
10
(7.7%)
5
(3.1%)
1
(0.7%)
0
(0.7%)
1
(0.8%)
緊急入院 34
(19.9%)
21
(13.5%)
25
(14.7%)
18
(12.5%)
14
(10.8%)
6
(3.7%)
4
(2.9%)
3
(2.3%)
6
(4.6%)
再入院 12
(7.0%)
4
(2.6%)
4
(2.4%)
2
(1.4%)
0
(0%)
2
(1.2%)
2
(1.5%)
1
(0.8%)
1
(0.8%)

16年間の診療科別入院患者数(重複あり)

診療科 患者数
消化器外科 700
臨床腫瘍科 653
呼吸器内科 370
婦人科 271
消化器内科 201
耳鼻咽喉科 165
泌尿器科 126
乳腺科 115
呼吸器外科 57
皮膚科 48
口腔外科 44
総合診療 28
内分泌代謝科 21
血液内科 18
循環器内科 16
整形外科 14
精神科 12
放射線科 11
脳神経外科 10
神経内科 10
麻酔科 7
腎臓内科 6
アレリウ科 6
感染症 3
心臓血管外科 2
救急部 2
形成外科 1

当院外 47

(2)退院(転科)数 平均在院日数 22.4±25.4日(総計 23.7±31.8日)
1 2 3 4 5 6 7
10 13 15 11 8 13 7
死亡 10 13 13 10 8 12 7
外来/在宅 0 0 1 1 0 1 0
転院 0 0 0 0 0 0 0
転科 0 0 1 0 0 0 0
8 9 10 11 12 小計
9 11 11 15 8 131
死亡 9 11 11 13 7 124
外来/在宅 0 0 0 1 0 4
転院 0 0 0 0 0 0
転科 0 0 0 1 1 3

看取りのDr (令和4年)124名

看取り医 患者数
緩和ケア 1 0.8
外科 53 42.7
内科 49 39.5
婦人科 12 9.7
耳鼻咽喉科 3 2.4
口腔外科 3 2.4
泌尿器科 2 1.6
皮膚科 1 0.8

外科には乳腺科、呼吸器外科も含まれる
鎮静の割合 0%(令和4年)

B. 緩和ケアコンサルテーション

1 2 3 4 5 6 7
外来 9 13 13 13 13 12 13
入院 16 25 33 15 17 24 19
院外 0 0 1 0 0 0 0
小計 25 38 47 28 30 36 32
8 9 10 11 12 小計
外来 11 12 7 13 14 143
入院 21 27 30 21 19 267
院外 0 0 0 0 0 1
小計 32 39 37 34 33 411

依頼元 診療科別内訳(重複あり)

科名 症例数
呼吸器内科 83
消化器外科 81
臨床腫瘍科 57
婦人科 55
乳腺科 50
消化器内科 32
血液内科 29
泌尿器科 17
耳鼻咽喉科 16
口腔外科 12
小児科 7
皮膚科 6
総合診療内科 5
循環器内科 4
小児脳神経外科 4
アレリウ科 4
脳神経外科 3
放射線科 3
腎臓内科 3
整形外科 2
呼吸器外科 2
神経内科 2
精神科 2
内分泌代謝科 1
形成外科 1

依頼理由(重複あり)

理由 症例数
End-of-life care 242
心理・精神 133
症状 80
家族・遺族 6
在宅移行/療養場所 0
IC/治療方針決定 0
症状の内訳 症例数 %(n=74)
疼痛 66 82.5
呼吸困難 11 13.8
悪心 7 8.8
咳嗽 2 2.5
腹部膨満 1 1.3
ふらつき 1 1.3
食思不振 1 1.3
せん妄 1 1.3
倦怠感 1 1.3
アカシジア 1 1.3
浮腫 1 1.3

予後

予後 症例数
死亡 241
 PCUでの死亡 104
 他院または他病棟での死亡 87
 在宅での死亡 50
外来通院中 89
在宅関連(死亡を除く) 14
転医(死亡を除く) 16
他科入院中 35
PCU入院中 2
中断 17
総計 417

5.過去実績