小児脳神経外科[アニュアルレポート] | 病院のご案内 | 自治医科大学附属病院
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小児脳神経外科【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2020年4月1日現在)

科長(学内教授) 五味  玲
臨床助教 小熊 啓文

2.診療科の特徴

脳腫瘍、先天奇形(二分脊椎、水頭症など)、脳血管障害(もやもや病など)、外傷、てんかん・痙直などの機能的疾患など、小児脳神経外科疾患全てをまんべんなく扱っている。五味以外は脳神経外科からのローテーションであったが、小熊が脳神経外科との兼務ながら固定した。2019年は手術数も入院患者数も前年より減少した。

①脳脊髄腫瘍

手術、放射線、化学療法を含めた総合的な治療体制を確立して治療に当たっている。小児脳脊髄腫瘍全般を対象としている。

2019年は腫瘍関連の手術数は10例と例年になく非常に少なく、初発例は4例であった。第四脳室上衣腫、松果体ジャーミノーマ、神経線維腫症2型患者の傍矢状同部髄膜腫、脊髄硬膜外神経芽腫であった。再発例は、上衣腫と髄芽腫、頭蓋咽頭腫、延髄上位頚髄神経膠腫であった。

AYA世代の患者の治療をどこが担当するかは難しい問題だが、脳神経外科に入院した高校生の松果体胚細胞腫瘍の症例に対しては、五味が指導的術者で関与し、術後の放射線・化学療法は小児科が担当し、入院患者は中学生以下が基本である子ども医療センターで治療を行った。基準の枠を越えて、適切な治療を提供できる体制となっている。

橋神経膠腫の児が再燃し在宅でお看取りした。悪性脳腫瘍患児に対しては治療の初期段階から小児緩和ケアチームカンファレンスで検討し、看護師・心理士・地域支援などの他職種と一体化して対応する体制が確立している。今回も地域の在宅訪問診療医にお看取りをお願いし、訪問看護ステーションとも連携するなどして、スムーズなお看取りができた。

化学療法は小児脳神経外科単独で行ったものとしては、再発上衣腫・髄芽腫に対する経口VP-16療法、再発髄芽腫に対するMTX髄注療法などの外来治療である。再発例のQOL維持に寄与している。

放射線治療についても、放射線治療部と週1回カンファレンスを行い、綿密な連携体制のもと施行している。定位放射線治療は、2018年から宇都宮セントラルクリニックにサイバーナイフが導入され、当院放射線治療部の先生たちが治療に携わっていることから、上衣腫播種病変に対してサイバーナイフ治療を選択した。

②先天性疾患(二分脊椎、水頭症など)

脊髄髄膜瘤の修復術が2年ぶりに1例あった。初発の潜在性二分脊椎は4例で円錐部脂肪腫2例、終糸脂肪腫2例であった。

一方、脊髄髄膜瘤あるいは脊髄脂肪腫の術後再係留が昨年同様4例あった。手術時の年齢は11-33歳と幅広い。そのうち2例は初回手術は他院で施行された症例で、二分脊椎外来に紹介受診した例であった。2008年に開設した二分脊椎外来も12年目となり、認知度が上がり他施設からの紹介でfollow upを依頼される例も増えている。小児脳神経外科、小児泌尿器科、小児整形外科、小児外科、小児科などの多科が協力して診療を行っており、治療方針の決定も毎月の二分脊椎カンファレンスで検討している。その過程で再係留症状が早期に発見されることも多くなり、手術例も増え、手術による症状の改善度も上る、という良好な結果になっている。

水頭症関連手術が4例と2018年の25例から大幅に減少した。乳児水頭症が2例で、脊髄髄膜瘤後と先天性水頭症でシャント手術施行し、上衣腫術後水頭症に対する内視鏡的第三脳室底開窓術と、シャント不全の再建の計4例であった。

この水頭症手術の減少は、シャント技術の向上によるシャント不全症例の減少や、小児人口の減少のためもあろうと思うが、胎児診断の発達による早期介入など、他にも要因があるのかもしれない。

頭蓋骨縫合早期癒合症の手術は主科は形成外科であるが、手術はほぼ全例小児脳神経外科との共同手術で行われている。2019年はMCDO法を4例、頭蓋形成術を1例共同で手術を行った。

その他の先天性疾患では、くも膜嚢胞手術例が2例あり、1例は小開頭顕微鏡下に1例は内視鏡下に嚢胞脳槽開窓術を施行し有効であった。

③脳血管障害

一方脳血管障害の手術例は昨年より増加した。もやもや病のバイパス手術は昨年は1例だったが今年は6例あった。間接血行再建術2例、直接&間接血行再建術を4例と、直接&間接の症例の比率が増加した。ただし、治療成績に関しては、今のところ両者に差はない。これに関しては、臨床研究を計画している。

その他に、脳動静脈奇形からの出血例が1例あった。

④頭部外傷

頭部外傷の手術例は1例だけだったが、急性硬膜外血腫の開頭摘出術で、術後創部の出血が止まらず、精査したところ血友病が判明するという、貴重な経験であった。

社会的に虐待が問題となっているが、本年は当科では対象となる例はなかった。

⑤機能的疾患(てんかん、痙直)

2016年から小児のてんかん手術が本格的に開始され、当院小児科や他施設からの紹介例も増加してきている。本年は3例の手術を行った。1例が全脳梁離断術で、2例が迷走神経刺激装置留置術であった。当院が全国8施設のてんかん拠点病院であることもあり、今後も一定数の症例が続くと考えられる。

また痙直・痙性麻痺に対する髄腔内バクロフェン持続髄注ポンプ埋込術も1例施行した。

・認定施設

日本小児血液・がん専門医研修施設

・専門医

日本脳神経外科学会専門医 五味  玲
日本小児神経外科学会認定医 五味  玲
日本神経内視鏡学会技術認定医 五味  玲
日本がん治療認定医機構がん治療認定医 五味  玲

3.診療実績・クリニカルインディケーター

1)新来患者数・再来患者数・紹介率

新来患者数 43人
再来患者数 1,231人
紹介率 91.7%

2)入院患者数 (病名別)

病名 患者数
頭部外傷 10
脳腫瘍 12
二分脊椎 9
水頭症 3
キアリ奇形 2
機能(てんかん・痙直など) 4
血管(もやもや病・AVMなど) 15
その他 4
合計 59

3)手術症例病名別件数

病名 症例数
脳脊髄腫瘍 9
血管奇形 1
もやもや病 6
頭部外傷 2
頭蓋・脳奇形 10
脊髄奇形(二分脊椎等) 9
シャント手術 3
内視鏡手術 2
機能 4
その他 9
合計 55

4)化学療法症例病名別・数

病名 症例数
髄芽腫 2
橋神経膠腫 1
胚細胞腫瘍 2
上衣腫 1
合計 6

化学療法マニュアル

CARE:CBDCA+VP-16
CBDCA+VCR(外来で可能)
VBL単独  (外来で可能)
TMZ単独  (外来で可能)
アバスチン単独(外来で可能)
経口VP-16療法(外来で可能)
MTX髄注療法(外来で可能)
その他の化学療法は小児科転科で施行している。

5)放射線療法症例・数

上衣腫2例(1例は他院でサイバーナイフ)
髄芽腫1例
胚細胞腫瘍2例

6)悪性腫瘍の疾患別治療成績

橋神経膠腫 平均生存期間9.7ヶ月
髄芽腫 5年生存率 83%

7)死亡症例・死因・剖検数・剖検率

死亡症例は脳腫瘍1名(橋神経膠腫)

在宅で死亡

8)カンファランス症例

二分脊椎カンファレンス
第一水曜日(2019年3月までは第二、祝日は休み)

2/13 症例検討会
3/13 症例検討会
4/3 症例検討会
6/5 症例検討会
7/10 二分脊椎研究会予演会
9/4 症例検討会
10/2 症例検討会
11/6 症例検討会
12/4 症例検討会

その他は脳神経外科と同様に行っている。
小児緩和ケアチームカンファレンス(隔週火曜日)
虐待についてのカンファレンス:適宜開催

4.2020年の目標・事業計画等

  • スタッフの増員による診療の充実を目指す。
  • JCCG脳腫瘍グループとしての共同研究の継続。
  • もやもや病の臨床研究(術前術後評価としての超音波検査法の確立を目指す:神経内科との共同で)。
  • 「頭のかたち外来」の新設をめざす。

5.過去実績