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臨床研究センターとちぎ臨床試験推進部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2019年4月1日現在)

センター長 (教授) 北山 丈二
副センター長   服部  由
薬剤師   8名
看護師   4名
臨床検査技師   1名
事務職   4名

(治験・臨床研究等に関連する資格)

日本臨床薬理学会認定CRC 服部  由、菊池 明子、若松 明恵、大島  悟、小嶋 亜純、澤口 武尊、儘田  洋、鈴木久仁子、石山 裕美、石川真由美、坂田友里子
日本臨床試験学会認定GCPエキスパート 鈴木久仁子
日本臨床試験学会認定GCPパスポート 服部  由、竹林 美幸

2.臨床研究センター(とちぎ臨床試験推進部)の特徴

治験や臨床研究を実施して最先端の治療法や医療技術を確立することは、高度先進医療の一角を担う医科大学病院の使命である。その中でも治験は、既存の治療法では治癒困難な難治性疾患等に対する「新薬」の創出を目的としており、その推進は人々の健康福祉や医学の発展に大きく寄与する。また、治験の推進は本邦の重要な施策として位置付けられ、日本発の革新的な医薬品・医療機器等を創出して健康長寿社会を実現することや国際競争力を強化することは官民一体となって取り組みべき喫緊の課題となっており、「医療イノベーション」を積極的に推進することが閣議決定されている。

本院では治験を実施するための組織として現部門の原型である治験事務室が1998年に発足した。その後、治験等(一部の臨床研究を含む)の支援体制を強化するための組織として2008年には病院長直轄の臨床試験センター(とちぎ臨床試験推進部に改称)を立ち上げ、支援の要となる治験コーディネーター(Clinical ResearchCoordinator;CRC)を順次増員した。2018年度は14名のCRCスタッフが専従として従事しており、その内12名が日本臨床薬理学会認定CRCの資格を取得して質の高い治験等の支援業務を提供している。

現在は図1に示す体制により治験等に関連する業務を総合的に行っている。コーディネーター部門は、CRCが同意取得からモニタリング・監査の対応までを行っている。本院における治験の開始当初は治験担当医師が治験関連業務を全て一人でこなしていたが、現在は治験責任・分担医師の負担が非常に少なくなり、治験がやり易い環境になっている。

さらに、当部門は治験審査委員会(InstitutionalReview Board;IRB)事務局も兼ねており、事前ヒヤリング、IRBの資料作成、議事要旨の作成、治験等の契約及び治験等に関わる必須文書の保管・管理等、IRB運営の為の業務全般を法令に準拠して行っている。

図1.臨床研究センターとちぎ臨床試験推進部の組織図

とちぎ臨床試験推進部組織概要

3.実績及びクリニカルインディケーター

(1)治験実績

2013年度から2017年度までの新規治験契約数、治験の総実施件数及び治験、製造販売後臨床試験・調査の新規契約症例数の年次推移を示す(図2、3、4)。5年間(2013年度~2017年度)の治験の平均新規契約件数は31.6件(106.6症例)、製造販売後臨床試験は0.6件(3.4症例)、製造販売後調査は45.6件(227.6症例)であった。治験の新規契約件数は2014年度及び2015年度がやや低迷したが、2016年度からは30件超で推移している。治験の組入率は2018年3月時点で56.5%となっており、前年よりも組入率は低下した。治験の中で国際共同治験が占める割合は年々増加しており、2018年3月時点で治験全体の57.7%を占めており、国際標準で難易度の高い治験を積極的に行っている。

図2.新規契約件数(治験)

図2.新規契約件数(治験)

図3.総契約件数(治験)

図3.総契約件数(治験)

図4.新規契約症例数

図4.新規契約症例数

(2)医師主導治験の実施支援

医師主導治験は製薬企業治験と異なり治験に係わる業務を治験責任医師が全て行わなければならなく、その業務量は製薬企業治験の十数倍にのぼるためCRCが全面的支援を行わなければ実施困難となる難易度の高い治験である。2018年は、産科婦人科『高悪性度漿液性又は類内膜卵巣癌、卵管癌又は腹膜癌治療』、消化器・肝臓内科『重症急性膵炎に対する膵局所動注療法』、血液科『同種造血幹細胞移植後の難治性慢性移植片対宿主病治療』、リハビリテーション科『筋萎縮性側索硬化症に対する第Ⅲ相試験』、移植外科『新生児ヘモクロマトーシスに対する胎内ガンマグロブリン大量静注療法の臨床試験』、小児科『ミトコンドリア病を対象とした多施設共同試験』、小児科『自閉スペクトラム症患者におけるビタミンB6の有効性および安全性を評価する探索的医師主導第Ⅱ相試験』等の支援活動を行なっている。

(3)小児治験ネットワーク支援業務

2018年は小児治験ネットワークを通した治験を新たに1件(代謝疾患領域)受託した。

小児治験ネットワークを経由して治験の実施可能性を打診する調査は年々増加傾向にあり、本年度は7件の可能性調査に協力している。また、2015年から開始された本ネットワークのCRC教育研修プログラムでは、CRC教育研修ワーキンググループにも当院のCRCがメンバーとして参加しており、研究内容の計画・立案に従事している。

(4)市民向けの治験啓発活動

市民に対する啓発活動の一環として毎年市民公開講座を行っており、2018年度の第18回市民公開講座は宇都宮市保健センターにて2月16日に開催した。本講座は、第一部が治験・臨床研究の啓発活動、第二部が医療講演の二部構成と成っており、第一部は、①治験に関する一般的内容、②治験コーディネーター業務、について講演した。第二部は「老化と病気」と題してアルツハイマー病やパーキンソン病について講演した。約100名の市民が出席し、質問者も多数となり盛況なうちに終えることができた。

(5)薬学部学生に対するとちぎ臨床試験推進部実習

2018年は3グループの薬学部学生(各グループ8名)が当院での病院実習期間約2ヶ月半のうちの3日間を当部門で実習した。治験を行う意義、生命倫理等の講義をはじめ、CRC業務経験(患者の対応やロールプレイ)を通して治験の重要性を認識して貰った。

4.研究業績

(1)原著論文

  1. Kario K, Okada K, Yamazaki S, et al.:24-HourBlood Pressure-Lowering Effect of an SGLT-2Inhibitor in Patients with Diabetes and UncontrolledNocturnal Hypertension: Results from theRandomized, Placebo-Controlled SACRA Study.Circulation(in press)
  2. Kario K, Yamazaki S, et al.:Effect of suvorexant onnighttime blood pressure in hypertensive patientswith insomnia: the SUPER-1 study. The Journal ofClinical Hypertension(in press)
  3. 澤口武尊,山崎晶司,他:細胞障害性抗がん薬の治験参加中に被留置者となった一例.臨床薬理 49巻3号 Page 135-138(2018)

(2)学会発表

  1. 山崎晶司,他35名:臨床研究法の課題について.日本臨床試験学会 第9回学術総会 in 仙台,2018.
  2. 儘田 洋,他2名:人道的見地から実施される治験(拡大治験)への取り組み.日本病院薬剤師会関東ブロック第48回学術大会,2018.
  3. 石山裕美, 他2 名:High Qualityなのか? OverQualityなのか?.第18回CRCと臨床試験のあり方を考える会議 in 富山,2018.
  4. 大澤美千代,他8名:CRCと専門他職種との連携について.第18回CRCと臨床試験のあり方を考える会議 in 富山,2018.
  5. 若松朋恵,他2名:GCP第52条に規定する同意文書等へ記載する「日付」は何時なのか.第18回CRCと臨床試験のあり方を考える会議 in 富山,2018.
  6. 儘田 洋,他4名:拡大治験における今後の課題.第18回CRCと臨床試験のあり方を考える会議 in 富山,2018.

5.2019年の目標・事業計画等

(1)新規治験積極的受入・治験実績アップ

診療科の間で治験受け入れにばらつきがある。治験の受託実績が少ない診療科には新規治験の受け入れを要請して行く。

2018年度の患者の治験組入率は61.1%となっており、厚労省が目標としている80%を下回っている。治験実施に関連する治験責任・分担医師の負担を軽減し、患者の組み入れがし易くなるような環境を整え、支援体制を強化して行く。

(2)小児治験ネットワーク関連の小児治験活性化

小児科領域では小児適応のない医薬品を使用することも少なくなく、その適応外使用が社会的問題にもなっている。小児治験ネットワークは小児科領域のこれら課題解消に向けて活動しているが、当院も本ネットワークに参加して積極的な活動を行う。

(3)地域住民の治験に対する意識変化

2019年も引き続き市民公開講座『薬が誕生するまでを知りたくありませんか?』を開催する予定である。日程、場所等は現時点では未定となっている。

(4)当推進部スタッフによる治験業務関連研究推進

引き続き治験業務に関連した研究を積極的に行い、学会発表・論文投稿につなげて行く。

6.過去実績