看護部【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2021年4月1日現在)
看護職員 | 1,640人 |
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看護師 | 1,410人 |
助産師 | 60人 |
保健師 | 5人 |
看護補助員 | 165人 |
2.看護部理念
安心感と温もりのある患者中心の看護を提供します
3.基本方針
- 患者さんの意思を尊重し、「いのち」と「暮らし」を守る看護を提供します。
- 患者さんと家族とともに、地域関係機関や院内の多職種と協働した質の高いチーム医療を行います。
- 地域医療における看護を牽引できる人材を育成し、社会に貢献します。
- 高度先進医療を推進する実践力と生活の視点をもち、最善の看護が想像できる専門職業人を目指して、自己研鑽に努めます。
4.2020年度看護部重点目標
2020年度の看護部の重点目標を4つ挙げ、活動を行った。
- 変化する保健医療制度や患者のニーズに対応し、患者満足度の向上を図る
- 安全で質の高い看護を提供するために看護職員を育成する
- 安心して働き続けられる職場環境を構築し、職員満足度の向上を図る
- 質の高い看護実践と看護体制整備により病院収益の向上を図る
5.委員会と連絡会
看護部の目標達成に向け、委員会を中心に活動している。次の9つの委員会と5つの検討会で以下の活動を行った。
【委員会の活動】
1)研修・看護職キャリア支援委員会
本委員会の目的は「質の高い看護を提供するために看護職員を育成する」である。
今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、集合研修の開催は危惧されたが、研修方法の変更や感染対策を徹底し予定通り全ての研修を開催することができた。
主な活動内容として「①看護職キャリア支援センターと協働し、看護部職員に対するラダー研修全体の企画立案する②各々の研修会の目的・目標に沿った企画と運営、研修会ならびに受講者の評価を行う」であり、以下の2項目の目標を設定し活動を行った。
(1) 看護師長、主任看護師によるレポート評価が、部署での教育につながるための活動を行う。
①マネジメント研修・実践教育研修【1】看護師長のレポート評価
2019年度より継続し看護師長による評価を実施した。企画担当者と看護師長のレポート評価の結果を比較し、平均点数の差異は0.4以下であり、t検定では有意差はなかった。評価票を細分化し4段階評価から3段階評価にしたこと、看護師長研修会で委員会からの説明後にペアで評価を実施する機会を設けたことにより、評価がしやすくなったと考える。
②看護倫理研修【2】主任看護師のレポート評価
2019年度より継続し主任看護師による評価を実施した。主任看護師研修会で、今年度の様式の修正点と、前年度の評価結果を伝達し、ペアで評価を実施する機会を設けた。委員会と主任看護師のレポート評価を比較したところ、評価の合致率は97%(2019年度85%)であり主任看護師の評価は妥当であると判断した。
受講生の初回合格率は75%(2019年度67.5%)と昨年より上昇し、主任看護師がレポートを評価することが、部署の受講生への支援につながったことが示唆された。
(2)研修を効果的に行うための企画・運営・評価を行う。
① マネジメント研修・実践教育研修【1】の企画変更
今年度から講師を外部講師から委員会担当班へ変更し、研修時間も1日から半日へ短縮した。講義内容は、昨年度のものを踏襲している。レポート合格率は100%であった。
② 実践教育研修【2】の企画変更
実践教育研修【1】からの積み上げと、実践教育研修【3】(インストラクショナルデザイン)への継続性のある研修とするため、研修内容と課題を変更した。成人教育とリフレクションを主にした講義、ペアワークでの演習を行った。リフレクションについては、リフレクティブサイクルの各段階に対するリフレクションを模擬事例とその後に、個々の事例で実施した。再提出辞退2名と再提出不合格者2名であったが、合格率は92.7%だった。
③ 看護倫理研修【3】新規開講
初年度のため受講者条件(マネジメント研修【3】実践教育研修【3】両方の修了者)を設定した。申請者は35名、2名は辞退となり、レポート提出は33名であった。合格率は96.9%である。
【資料1】ラダーⅡAからラダーⅣ対象の研修運営状況(2020年4月~2021年3月の実施状況)
ラ ダ ー Ⅱ A 申 請 者 対 象 |
研修名 | 研修内容 | 時期・期間 | 受講人数 | |
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集 合 技 術 研 修 |
注射Ⅲ研修 | 抹消静脈留置針の挿入 血液培養検査 |
①②6月3日又は ③④6月4日又は 4時間コース 6回開催 |
①②③④ 受講生109名 |
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フィジカルアセスメントⅡ研修 | 患者の症状から予測し、適切に観察・アセスメント・対応トレーニング講義と演習とグループワーク | ①②2021年1月13日又は ③④2021年1月14日又は ⑤⑥2021年1月15日 4時間コース 6回開催 |
①②③④⑤⑥ 受講生109名 |
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ス キ ル ア ッ プ 研 修 (選 択 制) |
心理ケア1コマ70分 | 会話の場面を観察し、患者の感情についてアセスメントするための講義 看護カウンセリングにおける基本的姿勢 |
①6月17日又は ②2021年1月8日 70分コース 2回開催 |
①②合わせて 計112名 |
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スキンケア*eラーニング | 皮膚の解剖・皮膚の機能・ドライスキンについて・浸軟・洗浄方法の注意点等の講義 | ①7月1日~31日又は ②10月1日~31日 2期間(1カ月)開催 |
①②合わせて 計111名 |
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家族ケア 1コマ90分 *事前課題 eラーニング |
家族の定義・家族看護の目的・家族機能・家族のアセスメント、看護問題・看護計画立案・事例展開(GW) | ①8月26日又は ②12月8日 90分コース 2回開催 |
①②合わせて 計112名 |
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血糖管理ケア*eラーニング | 糖代謝に影響を及ぼす要因・あらゆる場面においての適切な血糖管理についての講義 | ①8月1日~31日又は ②11月1日~30日 2期間(1カ月)開催 |
①②合わせて 計112名 |
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摂食ケア*eラーニング | 摂食・嚥下障害看護の基本・食事場面のリスクと援助の講義 | ①9月1日~30日又は ②12月1日~31日 2期間(1カ月)開催 |
①②合わせて 計111名 |
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ラ ダ ー Ⅱ B 申 請 者 対 象 |
集 合 研 修 |
マネジメント研修【1】・実践教育研修【1】 | エンパワーメント・チームビルディング・コミュニケーション技法・自己分析・後輩育成についての外部講師による講義・演習・グループワーク 研修後の課題:部署の看護の質向上に取り組むことに対する企画立案と実践報告のレポート |
①6月5日又は ②6月16日又は ③6月30日 4時間コース 4回開催 |
①②③合わせて 計109名 |
集 合 研 修 |
看護展開研修【2】 | 日々の看護の疑問を持ちより、患者を身体・心理・社会・スピリチュアルの側面から情報収集し、統合し、研究疑問の焦点化を図るグループワーク 看護研究と文献検索についての講義研修後の課題:文献検索を通して解決できなかったことを研究疑問として特定するレポート |
①12月9日又は ②12月16日 4時間コース 3回開催 |
①②合わせて 計81名 |
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個 人 学 習 |
看護倫理研修【2】 | 課題レポート:職場での倫理的な問題を事例で取り上げ、分析ツールにそって振り返り、倫理的問題抽出と倫理綱領との照らし合わせ | 9月お知らせ 課題提出11月4日 個人学習、集合研修なし |
79名 | |
ラ ダ ー Ⅲ 申 請 者 対 象 |
集 合 研 修 |
マネジメント研修【2】 | 看護管理の基礎の講義とグループワーク | ①②7月8日又は ③7月13日 4時間コース 3回開催 |
①②③合わせて 計70名 |
集 合 研 修 |
実践教育研修【2】 | 成人教育について学び、看護実践の場面をリフレクティブサイクルに沿って展開するペアワーク 部署の教育的課題に合わせ、対象者に対しリフレクションを実践しレポートにまとめる |
①②8月3日又は ③④8月4日 4時間コース 4回開催 |
①②③④合わせて 計60名 |
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集 合 研 修 |
看護展開研修【3】 | 研究計画書に対するグループワーク | ①10月2日又は ②10月7日又は 8時間コース 2回開催 |
①②合わせて 計46名 |
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ラ ダ ー Ⅳ 申 請 者 対 象 |
集 合 研 修 |
マネジメント研修【3】 | 【Part1】事前課題で部署分析に必要なデータを持参し、クロス分析手法を用いた現状分析の実施 【Part2】分析結果から看護の方向性と自己の役割課題の明確化を図る |
①5月11日・6月22日午前 ②5月11日・6月22日午後 4時間2回で1コース 2回開催 |
①②合わせて 計43名 |
集 合 研 修 |
実践教育研修【3】 | 部署の現状を分析し必要とされる教育を成人教育の概念に基づいて企画する講義と演習 | ①②7月22日 4時間コース 2回開催 |
①②合わせて 計42名 |
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個 人 学 習 |
看護倫理研修【3】 | 患者・家族の複雑な状況を整理し、倫理的問題や課題を明確にする。意思決定モデルを用い考察し、実践する | 4月お知らせ 課題提出9月30日 個人学習、集合研修なし |
33名 | |
個 人 学 習 |
看護倫理研修【4】 | 部署の看護師長・主任看護師、スーパーバイザーの支援による看護研究の実践 | 修了者10名 |
2)看護基準委員会
看護基準・手順は当院の看護の質を担保する上で大切なものである。本委員会の目的は、「看護の質を担保するための看護実践の基準を整備する」であり、以下の4項目の目標を設定し、活動を行った。
(1)IC同席基準に沿った実践の支援をする。
各部署のBSCに「IC同席」に関してどのような目標値が設定されているのかを確認し、中間評価と最終評価の確認を行った。最終的に35部署中26部署が目標を達成していた(達成率 74.2%)。
「意思決定支援項目別入力件数」のデータを分析したところ、「意思決定支援」の実施入力はあるがSOAP記録のない部署があることが分かった。そこで、主任看護師研修会で「意思決定支援」を実施した場合には、SOAP記録をするように周知した。また、標準看護計画の項目やクリニカルパスに「意思決定支援」の項目が残っている部署は、項目を削除するように周知した。
(2)「理解・納得状況の確認」における看護記録の質の監査を実施し、質を高めるための支援をする。
委員会で「IC同席」「理解納得状況の確認」の叙述記録監査票を作成した。この監査票を用いて、年に2回(2020年8月と2021年1月)に監査を実施した。
第1回目の監査結果は全体評価として看護部連絡会議で報告した。その際、「IC同席」「理解納得状況の確認」の看護基準・手順の再周知をした。また、それぞれのSOAP記録の留意点を説明した。
第2回目の監査結果は、全体的に「IC同席」「理解納得状況の確認」の基準に沿ったSOAP記録に修正されていた。一部改善が必要な部署には、監査結果にコメントを付けてフィードバックした。
(3)看護の質を維持・向上するために看護業務基準・手順の作成や見直しを行う。
①新規作成(1件):【看護業務基準・手順作成の手順】
② 修正した基準・手順(9件):
【手術室入室】基準手順、【スタンダードプリコーション】手順、【手浴・足浴】手順、【排泄介助・便器】手順、【膀胱留置カテーテル】手順、【中心静脈カテーテル・PICC管理】基準手順、【生食陽圧ロック】手順、【点滴静脈内注射】手順、【経口的与薬】手順
③看護基準・手順の確認
・新生児集中治療部から依頼のあった基準・手順の確認(16件)
【経口的与薬:経管】手順、【手術室入室】手順、【低体温療法・全身冷却】手順、【陰部洗浄】手順、【気管吸引】基準手順、【気管吸引:閉鎖式吸引】手順、【コット移床】手順、【非薬理的緩和法】手順、【退院に向けての指導:個室宿泊】手順、【入院時の援助】手順、【退院時の援助】手順、【超低出生体重児の看護:手術室での初期ケア】基準・手順、【手術室入室】基準、【転院時の援助】手順、【転科転出】手順
・看護業務委員会から依頼のあった基準・手順の確認(3件)
【経口的与薬:抗がん薬】手順、【経口的与薬(経管)・抗がん薬】手順、【点滴静脈内注射:抗がん薬】手順
・加算に関係する基準・手順等の確認(3件)
【せん妄ハイリスク患者ケア加算算定】基準・手順、【せん妄ハイリスク患者ケアフロー】、【外来排尿自立指導料算定】手順
(4) 標準看護計画の新規作成および見直しを支援する。
標準看護計画の新規作成の際に患者の状況に合った患者アウトカム・成果指標となっている達成率の上昇につながるものであるかを意識して確認した。
・中央放射線部からの依頼(2件):「化学放射線療法による有害事象がコントロールできる」「治療計画通りに放射線治療が受けられる」
・認知症看護認定看護師からの依頼(1件):「せん妄の症状・所見がない」
3)看護研究委員会
本委員会の目的は「看護の質の向上に努める」である。重点目標として「1.各部署が計画的に看護研究に取り組めるように支援する」「2.看護展開研修【2】を見直し、患者の全体像をとらえ、アセスメントする力を高めることのできる企画・運営を行う」として活動を行った。
(1)看護展開研修【2】について
アセスメント力の向上に向けて、事前ワークシートを変更したことで、以前と比べて研修生は患者の情報を整理し、把握することができている印象であった。しかし、事後課題では「患者をアセスメントして全体像を把握できる」の評価が平均点6.9点であり、目標点8.0を達成できなかった。今年度より新規追加した評価であり、設定した目標値に明確な基準がなく評価が難しかった。次年度は情報をアセスメントする力を向上させるために、グループワークの方法を検討する。
『文献レビュー』と『疑問の明確化』を混同し、記載できていない受講生が多かった。受講生が理解して記載できるように、講義内容の修正やルーブリック評価を参考にした評価票の検討を行う。
(2)看護展開研修【3】について
①目標「看護研究につながるような看護研究計画書が作成できるように支援する」については、研修後に看護研究へ取り組む意向は68.2%と昨年より上昇した。実際に看護研究が行えるように継続して支援していくことが課題である。
②目標「『研究背景』のすべての項目に0点の受講者がいない」については、目標を達成することができなかった。講義だけでは理解が難しいため、事前学習に『totara』を活用することを検討していく。
(3)部署の看護研究支援について
部署の担当者を決定し、年2回の部署訪問を行った。
①今年度、看護研究の進捗目標を設定し取り組んだ人は49名である。その中で21名(43%) は目標を達成することができた。目標に至らなかった28名中8名は進行中である。20名については、テーマの選択から進めることができていない。
②看護師長研修会のアンケート調査、「部署訪問を受けることで、部署の看護研究の取り組みが変化したか」では、「研究進捗確認の機会」「意欲の継続」「研究取り組みの機会」で変化があったとの回答があった。部署訪問の一定の効果はあったと考える。
(4)次年度への課題
部署訪問や看護師長・主任看護師研修会を利用した看護研究の研修企画は、看護研究を支援する側の動機づけや知識の習得としては効果がある。しかし、今年度の部署支援の方法だけでは、看護展開研修【3】から看護展開研修【4】へのステップアップは難しい。委員会としての具体的な支援として、研究に対する相談窓口の開設や継続的な支援を行う。
4)看護記録委員会
本委員会の目的は「看護記録の質の向上を図る」であり、以下の4項目の目標を設定し、活動を行った。
(1)看護記録についての理解を深め、看護過程がわかる記録ができる。
①看護記録監査の「SOに対して根拠に基づいた判断が【A】に記録されている」の項目の評価点数が3以上である。
評価点数の平均が6月2.86点、12月2.97点であり目標は未達成であった。質的監査を意識したことが影響していると考えられる。
② 看護記録監査の部署平均と委員会の点数差が1回目監査より少なくなる。
6月監査では、スタッフ監査3.9点、委員会監査3.43点で点数差は0.47であった。
12月監査では、スタッフ監査4.03点、委員会監査3.39点で点数差は0.64であった。
部署平均と委員会の点数差が1回目より0.17微増し、目標は未達成であった。しかし、点数差は近年減少傾向であり、0.5以内の差に留まり増加していない。
看護職員の入職後の6月監査で点数差は大きくなり、フィードバックや勉強会を経た12月監査では小さくなることが過去2年間で確認できる。今後は、新しい監査票を使用し質の評価を行う。
③ 看護記録監査の「SOに対して根拠に基づいた判断が【A】に記録されている」の項目の部署内監査の差が少なくなる。
各部署のばらつき度は、6月1.07、12月0.86で減少しているため目標は達成した。
(2)看護展開研修【3】について
「看護展開研修【4】に繋がるように看護研究計画書の作成を支援する」を目標とした。課題レポートの評価では、80点以上が17名(目標10人)、受講生が「今後、看護研究へ取り組む意向がある」と回答した割合は62%(目標20%)であった。結果値では目標を達成しているが、今後、看護展開研修【4】に継続して取り組んでいるのかを把握しながら支援していく。
(2)患者アウトカム達成率89.5%以上、成果指標達成率86.6%以上である。
患者アウトカム達成率93.2%、成果指標達成率90.5%で目標は達成した。
(3)看護記録連絡員の活動計画の実施率が80%以上である。
看護記録連絡員の活動計画の実施率平均は91.3%であり目標は達成した。
(4) 看護記録の効率化を進めるための、各部署への支援を行う。
各部署のBSCから目標を確認したが、連絡員への支援には限界があった。せん妄予防の看護パスの提案やテンプレートの作成をすすめ、テンプレートは44件登載できた。テンプレートを作成した部署は、時間外勤務の「看護記録」の割合がやや減少し、一定の成果があったと評価した。
5)看護業務委員会
本委員会の目的は「1.効果的、効率的に業務を遂行するための業務改善、職場環境の整備を支援する。2.タスクシフティング、タスクシェアリングを推進するため、他職種との調整を図る。」であり、以下の5項目の目標達成を設定し、活動を行った。
(1)各部署の業務改善への取り組みを支援する。
訪問聞き取り調査(2020年9月)、紙面調査(2020年10月)の実施により、「指示出し・指示受けに関する基準」の周知状況・運用状況の確認を行った。調査結果の報告書を作成し、2020年11月の看護部連絡会議で報告した。
また、入院診療運営部会議や研修医医療安全セミナーで医師にも、「指示出し・指示受けに関する基準」の再周知を行った。
各部署で医師と定期的な話し合いを持ち、看護師・医師の双方の業務負担軽減に向けて検討してほしいことを伝えてきたが、今後も定着するための働きかけが必要である。
他職種との連携を図り、看護師の負担軽減に向けたタスクシフティング、タスクシェアリングを1つ以上提案する。
① 看護師採血・ルート確保・血液培養検査の実施の支援
2020年度から2年目看護師が行っている血管確保の研修時に、血液培養検査の方法も研修に取り入れた。また、2019年度作成した血液培養の実施基準では、血液培養検査を実施できるのは採血ができる看護職員になっていたが、研修時に清潔操作ができていない看護師が多かったことから「採血・静脈注射・末梢静脈留置針挿入の実施基準」の改正をした。
血液培養検査の実施状況や困っていることを把握し、回答できる内容を返答した。2020年度の看護師の実施率は、採血68.9%、ルート確保81.5%、血液培養検査43.3%と前年度よりすべて上昇した。
②臨床検査技師による入院患者採血の拡大について
新型コロナウィルス感染症の影響による臨床検査部の人員の問題があり、実施に至らなかった。今後、状況が落ち着いてからの課題となる。
③病棟薬剤師との連携の強化について
薬剤部にコンサルティング会社が介入中であるため保留となった。
現在の病棟薬剤業務を確認し、看護師側から今後依頼したい業務を検討した。
連携の強化は次年度の課題である。
(3)3部署以上に新たなオムツを導入し、排泄ケアの質の向上を図る。
2社のオムツ製品の安全性・利便性・コスト比較を行い、白十字に決定した。用度課・総務課・医事課・SPDと導入準備を行い、2021年3月から7階西・7階東病棟の2部署に導入となった。
排泄ケアの質の向上と看護師の業務負担軽減を目指して、他部署にも導入していくことが今後の課題である。
(4)安全性を考慮した「抗がん薬曝露防止対策」ができるように支援する。
抗がん薬に関する基準・手順が2019年度に更新されたガイドラインに沿った内容になっているかを、がん専門看護師や薬剤部の協力のもと確認した。抗がん薬に関する手順・基準を見直し、看護基準委員会の承認を得た。
(5)新規の医療・看護材料を検討する。
経腸栄養関連の新規格製品(ISO)の導入に向けて検討し、清掃のためのスワブの導入を決定した。また、看護基準【食事援助技術:経管栄養】手順を、看護基準委員会と共同して改正することができた。
6)看護情報システム委員会
本委員会の目的は「1.電子カルテ、看護支援システムの円滑な運用を支援する。」「2.看護の質向上のための電子カルテデータの活用を推進する。」「3.重症度、医療・看護必要度を正確に評価できるよう支援する。」であり、以下の3項目の目標を設定し、看護情報システム連絡員とともに活動を行った。
(1)「病院情報システムの適切な運用への支援と効率的な活用のための提案をする。」
各部署から病院情報システムの問題点および改善案を、システム提案報告書を活用して検討してきた。2020年度の提案事項は60件であった。提案事項は安全に関わるものか、業務の効率に関わるものか、緊急性があるかに分類し内容を検討した。マスタ変更で対応した提案内容や電子カルテの操作方法の周知不足が原因の提案もあり操作方法の再周知をした。提案によって明らかになった不具合は不具合報告で対応できた。提案事項の対応をタイムリーに部署にフィードバックすることで業務の効率化につなげられた。8件の提案内容については仕様変更依頼が必要か話し合い、そのうちの2件については業務の効率化の繋がると考え仕様変更依頼をした。今年度提案された内容と対応については資料を作成し各部署へ周知し、ポータルサイトに登載した。
(2)電子カルテデータを利用し、看護の質指標を提示する。
昨年度から継続し「認知症高齢者日常生活自立度評価」を使用した認知症ケアの指標について検討した。さらに今年度は①転倒転落の発生率、②内服インシデントの発生率、③行動制限実施率について看護の質指標として検討した。①②については、発生したインシデント・アクシデントを把握し対策を講じながら看護を行っていることから、その発生率が看護の質指標になると考えた。③については、行動制限は「やむを得ない場合」のみに実施する行為であり、その実施率を知ることは看護の質を考える目安となると考えた。いずれも当院で現在提供している看護の質について考えていくうえで参考になる指標となる。
(3)重症度、医療・看護必要度の評価と入力が正しくできるよう支援する。
2020年4月の診療報酬改定で、重症度、医療・看護必要度の評価方法が変更になった。変更された評価方法を効率的に学べるようにtotaraシステムでの学習環境を整えた。対象看護師全員にtotaraでの学習とテストを実施してもらい、期限内に全員が満点を取得することができた。totaraの実施結果からテスト問題の正誤の傾向を分析し、解釈を間違いやすい問題の資料を作成した。資料をもとに各部署にテストの結果のフィードバックと解説を行ない、重症度、医療・看護必要度の評価と入力が正しくできるよう支援した。
毎月の重症度、医療・看護必要度のデータから算定状況の推移の確認と前年度との比較をおこない妥当性を判断した。
7)在宅移行支援委員会
本委員会の目的は「特定機能病院の役割を踏まえた、質の高い退院支援、在宅支援が実践できるよう支援する」であり、以下の目標を設定し、活動を行った。
(1)必要な患者に「退院支援フロー」に沿って退院支援、在宅移行支援ができる。
① 在宅移行支援連絡員の活用
在宅移行に向けた適切な支援をおこなうための知識の向上を目的に、各部署の在宅移行支援連絡員を対象とした勉強会を実施した。
在宅移行支援連絡員の1年間の活動内容を年度始めに提示してもらい、それに沿って実施ができているかを確認し、定期的に支援を行った。
その結果、退院支援の着手をしたが退院支援計画書交付までに至らなかったケースが2019年度は1627件(42%)あったが、2020年度は787件(23%)に減少した。退院支援が必要な患者に、適切な支援が提供できたと評価する。
(2)「退院支援フロー」の見直しと「入退院支援マニュアル」の作成
入退院支援は、患者サポートセンターと病棟の連携をとり、入院前から取り組んでいくことが重要である。患者サポートセンターが行っている入院前面談を効果的に活用するため、既存の「入退院支援フロー」を入院前面談からスタートする表示に変更した。また、入退院支援加算3(NICU・GCU)の表示も追加した。
入退院支援を行ううえで、その概念や判断基準などを理解し、質の高い入退院支援につなげるため、入退院支援の定義やカンファレンスのポイントなどをまとめた「入退院マニュアル」を作成に着手した。2021年度の始めの完成を目指す。
(3)トリアージカンファレンス実施率・退院支援計画書交付率のデータ抽出
2020年度は退院支援の「質」の向上を図るため、退院支援が「必要」と判断した患者のトリアージカンファレンスの実施率、退院支援計画書を交付率のデータを毎月提示した。
各部署が、データから自部署の取り組みの成果を確認し、他部署との比較を行うことで課題を見出し、課題の克服のために積極的に取り組むことができた。その結果、退院支援が「必要」と判断した患者のトリアージカンファレンス実施率は73%から84.7%へ、退院支援計画書交付率は82%から88.0%へ上昇した。
(4)療養支援計画書の作成及び活用
入院時支援の実施体制を構築することで、入院時支援加算の取得につながる。入院時支援加算は入院の決まった患者に対し、入院前に診療報酬で定められた要件を実施し、療養支援計画書を作成し、入院前又は入院日に、患者又はその家族などに説明を行い交付する必要がある。加算取得につなげるためにも、現在検討中である。
今後、益々高齢化が進み、自治医科大学附属病院においても高齢患者の社会復帰や自宅療養への移行、早期退院調整の実施が大きな課題となる。医療処置の継続、介護方法等の指導や社会資源の利用調整が必要となるケースが多く、入院早期から退院に向けた支援が求められる。在宅移行支援委員会として、今後の退院支援の在り方を考えながら、活動を行っていく。
8)看護部患者サービス委員会
本委員会の活動目標は「患者満足度の向上を図る」であり、以下の3項目の目標を設定し活動を行った。
(1)患者からの意見について関係部署と連携し、対応策を検討する。
患者満足度向上のために部署担当を決め3回にわたり部署を訪問(身だしなみチェックを含む)し、看護師長と部署のBSCを確認しつつ、他部署の取り組み等の情報を共有しながら目標達成にむけ支援を行った。その結果、すべての項目で満足率は前年度より上昇した。今回の調査において、患者サービス委員会と調査内容の検討を行い、「普通」の評価を外したことにより評価が明確となったと考える。満足率の向上は数値的にはわずかであったが、「満足」の割合が「やや満足」より高値で上昇しており、満足の質が向上したと考える。
また、今回の調査では各項目に自由記載を設けたことや調査期間を延長したことで、多くの回答を頂いた。中には、清掃に関する意見も含まれており、清掃業者の教育等、検討も必要と考える。
次年度は自由回答の内容を分析後、改善が必要な内容は委員会内で検討し部署へのフィードバックや患者サービス委員会と連携等、さらなる患者満足度向上に向けた活動を実施しこの高値を維持できるように活動していく。
(2)患者の外来受診及び入院生活の質向上のための取り組みを行う。
2019年度患者満足度調査の「環境・設備」に関する意見を踏まえ、患者が使用する環境状況の把握と改善につなげる目的で巡視を行った。改善を要すると考えられる現状を写真撮影し、患者サービス検討委員会に報告し改善を依頼した。
次年度も、今回の調査に寄せられた意見をもとに現状を把握し、患者サービス委員会と連携を図りながら、外来受診及び入院生活の質を向上させるよう活動していく。
(3)患者サービス委員会と連携し、患者のためのイベントの協力をする。
2020年度は新型コロナウィルス感染拡大によって患者のためのイベントはすべて中止された。
次年度も引き続き患者サービス委員会と連携し、患者のためのイベントに対し協力を行っていく。
9)看護部安全推進委員会
本委員会の目的は「安全な看護業務の推進と、災害対策や感染予防対策が院内で統一して実践できるように支援する」であり、以下の目標を設定し<安全グループ><災害グループ>で活動を行った。
(1)目標:患者と看護職員の安全を守るための行動が遵守できるよう支援する。
① QSセンターと連携してインシデント分類影響レベル3A以上のインシデントを減少する取り組みを支援する。<安全グループ>
看護部BSCの「インシデント分類影響レベル3A以上の件数が各部署前年度より減少する」という目標に対する各部署での取り組みを支援した。
「インシデント内容の分析と取り組みレポート」や部署訪問、KYT事例への相談対応など各部署での取り組み状況の把握を行い、連絡員を支援した。数部署においてインシデント分類影響レベル3A以上の発生が前年度より増加した。しかし、全部署でインシデント発生時には速やかに原因を分析して対策を検討し周知することができていた。また、自部署のインシデント内容をもとにしたKYTの実施などの対策を講じることができていた。看護部全体でのインシデント分類影響レベル3A以上の報告件数は2019年度266件、2020年度256件と減少した。
② 各部署において効果的な災害訓練ができるように支援する。<災害グループ>
各部署において効果的な災害対策学習会が実施できるように「火災発生時の初動フロー」のDVD・火災訓練シナリオ、火災アクションカードを活用した災害訓練を推奨し、連絡員を支援し全看護職が災害対策学習会に参加することができた。
院内の「災害対策マニュアル」に記載されている内容から「災害に関するテスト(10問)」 作成して、全看護職へ実施を推奨し、マニュアルの周知と理解のための支援を行った。「災害に関するテスト」は全看護職員が実施し、正解率は91.1%であった。
今後は、院内の「災害対策マニュアル」更新に向け、看護職が活用できるマニュアルとなる内容の検討や、災害訓練がさらに習慣化できるよう支援方法を検討していくことが課題である。
③ 病院機能評価受審に向けてQSセンター、感染制御部と連携し安全、感染に関する基準や手順を見直し整備する。
病院機能評価第2領域部会より依頼を受けた「誤認防止」「転倒・転落防止」「身体抑制・行動 制限」の3つの項目についてマニュアルの見直しと作成を行った。
「誤認防止」については、部署での実施状況をアンケート調査で確認し、新たに【輸液ルート・カテーテル類の誤認防止策】基準・手順を作成した。
「転倒・転落防止」については、2019年度のインシデント分類影響レベルで3A以上となる割合が最も多かったため、2019年度より【転倒・転落防止ケア】基準・手順の見直しを開始している。転倒・転落予防のための使用物品の説明や各部署での保有一覧も追加した。
「身体抑制・行動制限」については【安全確保のための身体拘束】基準・手順の見直しを行った。身体拘束物品を使用する場合の適応基準の項目を追加した。今後は看護基準委員会の承認後、2021年度は全部署への周知予定である。
感染制御部と連携した「感染性医療廃棄物容器」の設置場所に関する対策としては、「感染性医療廃棄物容器」は大部屋には設置しないことを再度周知し、2020年9月までに全部署の大部屋から撤去することができた。
【検討会の活動】
1)固定チームナーシング検討会
本検討会の目的は「各部署が固定チームナーシング体制を維持し、継続できるよう支援する。」であり、以下の2項目の目標を設定し、活動を行った。
(1)1年間で実践可能な目標設定ができ、チーム目標達成率が80%以上になるよう支援する。
① 中間評価や部署訪問時にチーム目標設定について確認し、現場の考えを理解したうえで助言した。
② チーム目標の中間評価の達成度から、部署への必要な支援をした。
上記活動により、全部署のチーム目標達成率平均は97.9%であり目標を達成できた。
(2)固定チームナーシングの質的な評価を実施し、支援する。
①固定チームナーシングのチェックリストとは別に、固定チームナーシングの質を上げるためのチェック表を作成し、評価した。
②チームリーダー・サブリーダー連絡会参加者の自己評価の達成率を評価した。
前年度に比べ全体平均が11.7%上昇した。
固定チームナーシングの運用を質的に評価できるように、チェックリストを改正した。
2)専門・認定看護師検討会
本検討会の目的は、専門看護師及び認定看護師が専門性を高め相互研鑽することにより、質の高い看護を提言することであり、以下の3項目の目標を設定し、活動を行った。
(1)各分野の院内のリソースとしての活動を検討・実践する。
院内における各分野の強み・弱みを分析し目標を設定、計画を立案して活動した。
年2回の検討会で、実践状況、実践における課題等について情報交換することで今後の活動の方向性を検討でき、自身の役割発揮のための相互研鑽をはかった。また、専門看護師及び認定看護師が対応可能な日を示したカレンダーを作成、院内各部署へ配布することで、院内における専門看護師及び認定看護師の活用促進をはかった。
(2)経営的視点を持ち院内における活動を再考する。
検討会で、各分野に関連する加算や管理料等の取得状況について情報交換し、加算や管理料等の取得をするための専門看護師及び認定看護師としての活動を検討した。
(3)各分野の後進育成をする。
検討会で、後進育成における問題点や課題等について情報交換することで、各分野における後進育成のための活動を検討した。
3)地域実践研修支援検討会
2020年度の地域実践研修者は、日光市民病院8名(出向管理者1名)、那須南病院5名、西吾妻病院4名である。
本委員会の目的は「地域実践研修において研修者が課題を達成できるように支援する」であり、今年度は、以下の2つの目標を設定し、活動を行った。
(1)研修者が計画的に課題達成できるよう継続した支援を行う。
今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、例年行っていた5月の全体指導者会議、6月の交流会が中止となり、新年度初めの研修者の大切な時期に支援することができなかった。
急遽、7月に研修施設を訪れて指導者会議、研修者全員との集団面談を行い、研修施設の状況、研修者の生活・研修状況、困っていることなどを直接確認し支援を行った。
9月の個別面接は予定通りに実施でき、中間評価から下半期の課題への助言を行うことができた。研修者は、研修施設の状況を加味して、個人目標シートを活用し、地域実践研修における個人目標、研修施設・部署での目標を立案することができ、目標達成に向けて活動していた。
例年と異なる状況ではあったが、検討会の活動としては、研修施設と連携しつつ、柔軟に対応して研修者の支援が継続できたと評価する。
(2)地域検討会の活動をまとめ、2021年度の発表に向けて計画的に進める。
2019年度第14回日本ルーラルナーシング学会学術集会に「検討会の支援活動が研修者の目的達成に与えた影響」について発表した。その内容を再考し、第18巻自治医科大学看護学ジャーナルに投稿することができた。
4)臨床実習指導検討会
本検討会の目的は、「臨地実習が効果的に行われるよう実習環境を整える」である。今年度は、新型コロナウイルス感染の影響により実習日程の延期や期間の短縮等、例年と異なる状況下にあるため、目標を「実習期間の短縮の中でも実習の目標達成ができるように環境を整える」と設定し、以下の活動を行った。
(1)臨床実習指導者のワークショップの開催
9月中旬、本格的な実習が開始になる直前に開催し62名が参加した。「今年度の実習で予測される課題を解決し、自己の具体的な取り組みを見出すこと」を目標とした。
予測される課題を、臨床実習指導者の視点、学生の視点、スタッフの視点、患者の視点に分けて考えグループワークで共有した。その後、予測される課題についての対策をグループワークで検討し、全体で意見交換を行った。また、看護学部教員から学生の状況を直接聞く機会を設けたことで、学生の現状が分かり指導時の留意点などが明らかになった。ワークショップ後のアンケート項目の「今回のワークショップを通して、自己の具体的な取り組みが見いだせたか」では、61%が「そう思う」、39%が「ややそう思う」と回答しており目標を達成できたと評価した。
(2)臨床実習指導者役割達成のための取り組みシートの活用
臨床指導者が課題をもって実習指導に取り組めるように、年間を通して活用する取り組みシートを作成した。ワークショップを通して、自己の具体的な取り組みを見出し、取り組みシートに目標、実践計画を立案することができていた。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により臨床実習の中止もあり、実践・評価まで行えた臨床実習指導者はワークショップ参加者62名中42名であった。臨床実習指導の実践を行った人は、ほぼ全員が計画通りに実践し、目標を達成することができていた。例年と異なる実習状況であったが、臨床実習指導者が役割達成するために取り組みシートの活用は、効果的であったと評価した。
次年度の臨床実習も例年通りには行うことは難しいことが予測できる。状況に合わせて、より良い臨床実習指導ができるように支援していく。
5)特定行為看護師活動検討会
本検討会の目的は「特定行為研修修了者の活動環境を整える」であり、以下の2項目の目標を設定し、活動を行った。
(1)特定行為看護師の活動を院内に啓蒙する。
2020年度は特定行為看護師が21人、行為別手順書は24行為になった。実践可能な特定行為看護師の活動は、毎月のスケジュールを決めることで活動日を確保し、継続した結果2019年度の655件から2020年度は1459件に増えた。毎月の活動状況については病院運営審議会や診療代表者会議、看護部連絡会議等で報告した。また特定行為看護師の紹介と活動を周知するため、特定行為看護師通信(第1号)を発行した。検討会や特定看護師の働きかけにより、徐々に医師やコメディカルへの周知でき、特定看護師の実践活動が上昇したと考える。
(2)特定行為看護師の活動を支援する。
実践可能な特定看護師の活動は、毎月のスケジュールを決めることで活動日を確保した。特定行為の対象となる患者を把握する目的で、入院患者の特定行為対象者の報告(人数とID)を受けている。病棟看護師と特定行為看護師で患者情報の共有ができ実践の件数の維持に繋がっている。一つの特定行為に対して複数の特定行為看護師が活動しているため、行為毎に特定行為を実践するための課題について話し合いを行い、医師との連携、手順書の運用についての再確認をすることで体制を継続することができた。
人工呼吸器やPICC挿入に関連する特定行為は一般病棟からの活動要請も増え、横断的な活動ができた。
当院では医師から直接指示受けることが多く、薬剤関連の特定行為が実践できていない現状があるが、定期的なミーティングを開催し、医師から助言を受け活動の拡大につなげることが今後の課題である。
6.専門看護師の活動
専門看護師は、「複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護学の向上をはかること」を目的とした日本看護協会が定める制度である。当院の専門看護師の分野別人数を表1に示す。専門看護師の役割は「実践」・「相談」・「調整」・「教育」・「研究」・「倫理調整」の6つであり、2020年度の各分野における活動は以下の通りである。
表1 専門看護師の分野と人数(2021年4月1日現在)
専門看護師の分野 | 人数 |
---|---|
がん看護 | 5名 |
小児看護 | 4名 |
母性看護 | 1名 |
急性・重症患者看護 | 5名 |
合計 | 15名 |
1)がん看護
(1)院内活動
- 外来治療センター内で緩和ケア認定看護師とともに看護師外来を運営
- 多職種カンファレンス参加
- 外来治療センターカンファレンス 毎日
- Cancer Board Conference 月1回
- 緩和ケアチームカンファレンス 週1回
- 泌尿器科ケースカンファレンス週1回
- がん相談支援センター兼務
- 薬物療法部会構成員、薬物療法部会参加 年間2回
- がんゲノム医療部構成員 がんゲノム医療部会参加 年間4回
- 新人看護職臨床研修 看護基礎技術研修 講師
- ラダーⅡAトライ研修 スキルアップ研修「心理ケア」・「家族ケア」講師
- ラダーⅣトライ研修 看護展開研修【4】アドバイザー
(2)院外活動
- 栃木県立衛生福祉大学校非常勤講師「終末期看護方法論」講義 1コマ
- 看護師特定行為研修センター研修指導補助者
- 自治医科大学看護学部「がん看護学」講義 3コマ
- 第20回日本口腔ケア協会学術大会 シンポジウム「多職種の視点から口腔ケアを考える―現状と今後の課題―」シンポジスト
- 下野市医療介護連携事業に基づく社会福祉部会への協力(エンディングノート作成内容の検討)
(3)実習受け入れ
- 国立がん研究センター東病院 がん放射線療法看護認定看護師教育課程実習における退院支援部門の見学(令和2年11月5日~令和2年12月1日)
(4)学会参加
- 第5回日本がんサポーティブケア学会・第25回日本緩和医療学会・第33回日本サイコオンコロジー学会合同学会
- 第35回日本がん看護学会
(5)研究活動
- 第35回日本がん看護学会学術集会 示説1件
- ラダーⅣトライ研修 看護展開研修【4】アドバイザー研究サポート9件
(6)雑誌等の執筆
なし
2)小児看護
(1)院内活動
- 院内の看護師と小児に携わる専門職を対象とした勉強会 1件
- 小児緩和ケアチームのコアメンバー(カンファレンスは26回/年実施)
- ラダーⅣトライ研修 看護展開研修【4】アドバイザー
- ラダーⅢトライ研修 看護展開研修【3】インストラクター
- ラダーⅡトライ研修 看護展開研修【2】インストラクター
(2)院外活動
- 自治医科大学大学院看護学研究科 非常勤講師
- 自治医科大学看護学部 非常勤講師
- 看護師特定行為研修センター 研修指導補助員者
- とちぎ小児看護研究会 事務局
- 日本看護協会小児在宅移行支援指導者育成施行事業研修 ファシリテーター
- 栃木県医療的ケア児等コーディネーター養成研修 講師
- 第40回日本看護科学学会学術集会交流集会「慢性疾患患者の移行支援(TransitionとTransfer)-小児医療施設に通院する成人患者のケアを考える-」パネリスト
(3)実習受け入れ
- 自治医科大学大学院看護学研究科小児看護学演習、母性看護学演習
(4)学会参加
2件(第30回日本小児看護学会学術集会、第40回日本看護科学学会学術集会)
(5)研究活動
- 研究サポート4件
- 第30回日本小児看護学会学術集会 示説発表 2件
- 2017年~2022年度科学研究費助成事業(基盤研究C)肝移植後の思春期患者に向けた多職種連携による自立支援フログラムの構築・研究協力者
- 2019年~2022年度科学研究費補助金(基盤研究C) 小児に関わる外来看護における倫理的課題に対する外来看護師への学習方略.研究協力者
- 2019年~2021年度科学研究費補助金(基盤研究C) 小児を対象とした診療科に通院する成人期の小児期発症慢性疾患患者と家族の通院及び入院に関する思いと要望.研究協力者
(6)雑誌等の執筆
- 黒田光恵:専門看護師の思考過程と実践 意思決定支援の実践,小児看護,43(6), p683‒687, 2020.
- 黒田光恵, 大塚香,半田浩美(編):小児看護の意思決定・家族の意思決定支援,見てできる臨床ケア図鑑 小児看護ビジュアルナーシング,東京:学研メディカル潤社,p54‒59, 2020.
- 黒田光恵,吉羽希実子:代謝性疾患、神経疾患患者の移行期支援 子どもと家族のケア,15(5), p66‒71, 2020.
3)母性看護
(1)院内活動
- NCPR Aコース3回
- 2週間健診に関する勉強会 1回開催
- 妊娠糖尿病に関する勉強会 1回開催
- 母性の心理に関する勉強会 1回開催
- 精神障害合併患者の事例振り返り 1回開催
(2)院外活動
- 栃木県看護協会 助産師相互研修 講師
- 日本母性看護学会 糖代謝異常妊産褥婦への看護支援セミナーファシリテーター
- 日本母性看護学会 GDMセミナー部会委員
- 自治医科大学大学院看護研究科非常勤講師
- 自治医科大学看護学部非常勤講師
- 晃陽栄養看護専門学校 助産専攻科講師
- 日本助産師会 勤務部会
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
- 第36回日本糖尿病・妊娠学会
- 第51回日本看護学会学術集会
- 第76回日本助産師学会
(5)研究活動
- 研究サポート2件(ラダーⅣトライ研修 スキルアップ研修【3】アドバイザー)
- 共同研究1件(自治医科大学看護学部とともに研究実施中)
(6)雑誌等の執筆
なし
4)慢性疾患看護
(1)院内活動
- 腎臓センターでの「末期腎不全の緩和ケア」の勉強会の企画・運営
- 腎臓センターでの腹膜透析ワーキンググループの企画・運営
- 病棟看護師対象勉強会 5件
(2)院外活動
- 獨協医科大学大学院看護学研究科 非常勤講師
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
- 第7回日本CNS看護学会
- 第15回日本慢性看護学会学術集会
- 第26回日本腹膜透析医学会学術集会・総会
(5)研究活動
- 研究サポート3件
(6)雑誌等の執筆
小倉 綾子:看護師主導で防ぐ!一般病棟と重症患者に役立つせん妄ケア「せん妄スクリーニングを行った上で、早期発見・早期対応するのは?」,看護技術,67(3), p46-50.
5)急性・重症患者看護
(1)院内活動
- 看護職キャリア支援センターメンバー(プログラム部門)
- ラダー研修:看護展開Ⅱ研修「フィジカルアセスメント2」企画・講義
- 看護基礎技術研修:「心肺蘇生法」の企画・講義
- 人工呼吸管理安全対策チームメンバー
- 医療機器安全管理部会メンバー
- 院内急変時ワーキンググループメンバー
- 一般病棟看護師対象勉強会 4件
(2)院外活動
- 獨協医科大学大学院看護学研究科 非常勤講師
- 自治医科大学看護学部 チーム医療論 講義
- 日本看護協会認定看護師教育課程 集中ケア学科非常勤講師
- 日本集中治療医学会 評議委員および査読員
- 日本集中治療医学会関東甲信越支部運営委員会 委員
- 日本集中治療医学会看護師将来計画委員会 委員長
- 日本集中治療医学会学術集会あり方検討委員会 委員
- 日本クリティカルケア看護学会 評議員および査読員
- 日本クリティカルケア看護学会せん妄ケア委員会委員
- 日本クリティカルケア看護学会利益相反委員会 委員
- 日本呼吸療法医学会理事および査読員
- 日本手術医学会 教育委員
- 日本手術医学会 評議員
- 日本麻酔科学会 周術期管理チーム試験問題WGメンバー
- 日本小児麻酔学会 評議員
- 日本手術看護学会 指名理事
- 日本手術看護学会 認定看護師委員会 関東甲信越地区代表
- 北関東手術看護研究会 代表
- とちぎ手術看護情報交換会役員
- 日本臨床救急医学会 評議員
- 日本救急看護学会倫理委員会 委員
- 日本救急看護学会 評議員および査読員
- 日本救急医学会関東地方会 評議員
- AHA BLSファカルティ
- JPTEC地域世話人
(3)実習受け入れ
- 東京慈恵会医科大学看護学専攻修士課程クリティカルケア看護専門看護実習Ⅱ
(4)学会参加
- 第22回日本救急看護学会学術集会
- 第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会
- 第15回医療の質・安全学会学術集会
- 第42回日本呼吸療法医学会学術集会
- 第34回日本手術看護学会年次大会
- 第42回日本手術医学会総会
- 第16回日本医学シミュレーション学会学術集会
- 第48回日本集中治療医会学術集会
- 第4回日本集中治療医学会関東甲信越支部学術集会
- 第40回日本看護科学学会学術集会
計14件
(5)研究活動
- 研究サポート 11件
- 口演発表 3演題
- 共同発表 2演題
(6)雑誌等の執筆
- 谷島雅子:PADIS ①痛みの評価,重症集中ケア,日総研出版,19(3), p42-46, 2020.
- 谷島雅子:第7章直接的臨床実践高度実践看護,総合的アプローチ,第2版,へるす出版,p158-197, 2020.
- 阿久津美代:第4章高度実践看護師の役割開発,高度実践看護 総合的アプローチ 第2版,へるす出版,p85-93, 2020.
- 茂呂悦子:オープン病床と個室病床(オープン病床派),重症集中ケア,日総研出版,p219(3), 54-59, 2020.
7.認定看護師の活動
認定看護師は、「特定の看護分野において、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践のできる認定看護師を社会に送りだすことにより、看護現場における看護ケアの広がりと質の向上を図ること」を目的とした日本看護協会による制度である。認定看護師の役割は、「実践」・「指導」・「相談」の3つであり、各分野と人数は表2に示す通りである。
表2 認定看護師の分野と人数(2021年4月1日現在)
認定看護師の分野 | 人数 |
---|---|
救急看護 | 1名 |
皮膚・排泄ケア | 2名 |
集中ケア | 4名 |
緩和ケア | 3名 |
がん化学療法看護 | 1名 |
がん性疼痛看護 | 2名 |
糖尿病看護 | 2名 |
新生児集中ケア | 2名 |
透析看護 | 1名 |
手術看護 | 1名 |
乳がん看護 | 2名 |
摂食・嚥下障害看護 | 1名 |
小児救急看護 | 1名 |
認知症看護 | 2名 |
がん放射線療法看護 | 1名 |
慢性心不全看護 | 1名 |
合計 | 27名 |
1)救急看護
(1)院内活動
- 看護基礎技術研修:心肺蘇生法の企画・講義 計4回
- 救急蘇生法に関する勉強会の実施 1件
- RRS:院内急変事例の検証 108件
(2)院外活動
- AHA BLS ファカルティ、JPTEC 地域世話人
- メディカル情報サービス主催 看護師教育セミナー講師
- 日本救急看護学会倫理委員会 委員
- 日本救急看護学会 評議員および査読員
- 日本臨床救急医学会 評議員
- 日本救急医学会関東地方会 評議員
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
- 第22回日本救急看護学会学術集会
- 第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会
- 第15回医療の質・安全学会学術集会
(5)研究活動
- 研究サポート2件
(6)雑誌等の執筆
- 谷島雅子:PADIS ①痛みの評価,重症集中ケア,日総研出版,19(3), 42-46, 2020.
- 谷島雅子:第7章直接的臨床実践,高度実践看護,総合的アプローチ 第2版,へるす出版,p158-197, 2020.
2)皮膚・排泄ケア
(1)院内活動
- 褥瘡予防ケア 4290件
- 褥瘡ハイリスク患者ケア加算算定 3415件
- 褥瘡処置 414件
- 創傷処置 288件
- 瘻孔ケア 23件
- 失禁ケア 110件
- ストーマケア 850件
- ストーマサイトマーキング 104件
- ストーマ外来受診患者数 715件
- コンサルテーション 970件
- 院内勉強会 9件
- 褥瘡対策委員会
- 褥瘡対策チーム回診
- 褥瘡回診(ハイリスク)
- 二分脊椎カンファレンス
- ストーマ連絡会
- 排尿自立支援チーム回診
- 経肛門洗腸療法指導
- 新人看護職員臨床研修 看護基礎技術研修
(2)院外活動
- 日本褥瘡学会評議員
- 栃木ストーマリハビリテーション講習会実行委員、講師
- 栃木ストーマ研究会幹事
- 栃木県看護協会「スキンケアの基礎知識」講師
- 日本小児排泄・ストーマ・創傷管理研究会世話人
- 栃木県オストミー協会講習会 講師
- コンバテックジャパン株式会社 ケースレポート動画UP
(3)実習受け入れ
- 看護師特定行為研修生 演習サポート
(4)学会参加
- 第38回 日本ストーマ排泄リハビリテーション学会
- 第22回 日本褥瘡学会
- 第29回 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
- 第17回 日本褥瘡学会関東甲信越地方会
- 第17回 日本フットケア学会
- 第50回 日本創傷治癒学会
(5)WEBセミナー参加
- スミス&ネフュー株式会社「手術室と一般病棟での褥瘡対策の実際と結果」
「腹臥位手術におけるスキントラブルはこの対策で改善した」 - メンリッケヘルスケア株式会社「医療関連機器圧迫創傷」
- スミス&ネフュー株式会社「クリティカルケア領域における褥瘡発生予防の取り組み」
「クリティカルケア領域における褥瘡・スキントラブル対策」 - コンバテック株式会社「古くて新しい創傷衛生-何が異なるか?」
- コンバテック株式会社「改定DESIGN-R2020を用いた創評価と褥瘡管理」
- ホリスター株式会社「面板と腹壁の微妙なカンケイ」
- コンバテック株式会社「ウロストミーケアセミナー2021」
(6)雑誌等の執筆
なし
3)集中ケア
(1)院内活動
- ラダーⅡAトライ研修 看護展開研修【2】「フィジカルアセスメント2」企画・講義
- 新人看護職員基礎技術研修 フィジカルアセスメント(呼吸・循環) 企画・講師
- 院内勉強会講師 4件
(2)院外活動
- 社団法人 集中ケア認定看護師会 監事
- 栃木県臨床工学技士会主催 第11回呼吸器基礎セミナー 講師
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
- 日本集中治療医学会第4回関東甲信越支部学術集会
- 第48回日本集中治療医学会学術集会
(5)研究活動
研究サポート1件
(6)雑誌等の執筆
- 神山淳子,脳腫瘍,道又元裕(編):臨床で実際に役立つ疾患別看護過程 Part2脳神経・筋疾患,東京:総合医学社,p107-131, 2021.
4)緩和ケア
(1)院内活動
- 緩和ケアリンクナース勉強会 3回/年
- 緩和ケアチーム看護師活動
- 緩和ケアに関する部署のカンファレンスへの参加 2件/li>
- 「がん患者と家族のためのサロン 虹」企画
- 7部署の病棟のオピオイド回診 1回/月
- 院内勉強会 講師4件(「腎不全患者の終末期看護」「終末期がん患者の看護」「アドバンスケアプランニングについて」「エンゼルケア」)
- 外来治療センター内の看護師外来
(2)院外活動
- 「第23回 日本在宅ホスピス協会全国大会in宇都宮」実行委員
(3)実習受け入れ
- 岩手医科大学附属病院高度看護研修センター緩和ケア認定看護師教育課程臨地実習
(4)学会参加
- 「緩和・支持・心のケア 合同学術大会2020」
- 「認知症の緩和ケアに関する研修会」
- 「第23回 日本在宅ホスピス協会全国大会in宇都宮」
(5)研究活動
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
5)がん性疼痛看護
(1)院内活動
- 12部署の病棟の回診(1回/週)
- 緩和ケアリンクナース勉強会 ファシリテーター
- 院内勉強会 講師12件 (「疼痛緩和」「非薬物的症状緩和」「小型シリンジポンプ」「コミュニケーション」「意思決定支援」「医療用麻薬」など)
(2)院外活動
なし
(3)実習受け入れ
- 岩手医科大学附属病院高度看護研修センター緩和ケア認定看護師教育課程臨地実習(実習生1名)
(4)学会参加
- 第25回日本緩和医療学会
- 第35回日本がん看護学会
(5)研究活動
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
6)感染管理
発表なし
7)糖尿病看護
(1)院内活動
- 在宅療養支援(注射・血糖自己測定含む) 1083件
- フットケア実施 76件
- 家族ケア 5件
- 外来CGM実施(FGM含む) 16件
- コンサルテーション 7件
- 新人看護職臨床研修 看護基礎技術研修 講師
- 新入職レジデント集合研修「インスリン」講師
- 入院SAP導入指導 1件
- 病棟看護師対象カーボカウント勉強会 1回
- 病棟看護師対象CSII導入指導勉強会(6回に分けて全員に実施)
(2)院外活動
- 栃木県糖尿病療養指導士講習会 講師
- 栃木県立衛生福祉大学校 非常勤講師
- 自治医科大学看護学部 非常勤講師
- 糖尿病フォーラム栃木 講師
- Diabetes&Incretin Seminar 講師
- 小山薬薬連携研修会 講師
- 進化する糖尿病治療研修会 講師
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
- 第63回日本糖尿病学会
- 第25回日本糖尿病教育・看護学会
(5)研究活動
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
8)新生児集中ケア
(1)院内活動
- 新生児蘇生法 Aコース インストラクター 3回
- 新生児蘇生法 Sコース インストラクター 4回
- 新生児の基本レクチャー 循環(心雑音) 3回
- 新生児の基本レクチャー 呼吸(努力呼吸) 2回
- 勉強会の開催 5回
「NICUの赤ちゃん」「ディベロプメンタルケア」「ファミリーセンタードケア」「呼吸循環の適応生理」「NICUにおける家族ケア」 - ディベロプメンタルケアミニレクチャー実施
- 挿管介助レクチャー 2回
- 体温低下防止用スーツの使用方法についての検討
- 超低出生体重児のおむつ交換方法の検討
- NICUの光環境調整
- 胃チューブ経口挿入の固定方法の検討
(2)院外活動
- 自治医科大学看護学部 周産期実践看護学Ⅱ 講師
- マロニエ医療福祉専門学校 小児看護 講師
- 栃木県看護協会 NCPR Aコース インストラクター
- 晃陽看護栄養専門学校 非常勤講師
- とちぎ医療センター 小児実習 講義
- パンパースオンラインセミナー パネリスト
「ちいさな奇跡のために繋がる看護の心」
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
なし
(5)研究
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
9)透析看護
(1)院内活動
- 腎臓病教室・とちまめ会運営
保存期25名/年 腎代替療法選択34名/年 - 腎臓内科入院患者を対象とした慢性腎臓病保存期集団指導 3回
- 医師の依頼を受けた療法選択支援 2件 (腎代替療療法選択指導管理)
(2)院外活動
- 茨城県結城看護専門学校 「成人看護学援助論Ⅳ(体液調整)」講師
- 自治医科大学附属病院看護学部 「チーム医療の実際」講師
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
- 1件(腎不全看護学会)
(5)研究
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
10)手術看護
(1)院内活動
- 急性疼痛管理チーム(J-TAPS)サブリーダー
- 病棟看護師対象の勉強会 2件
(2)院外活動
- 学会 講師・パネリスト
・第42回 日本手術医学会総会 ガイドラインセッション
・ 第16回日本医学シミュレーション学会学術集会
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
- 第34回日本手術看護学会年次大会
- 第42回日本手術医学会総会
- 第16回日本医学シミュレーション学会学術集会
(5)研究活動
- 院内看護師 研究サポート1件
(6)雑誌等の執筆
なし
11)乳がん看護
(1)院内活動
- 患者支援
告知時支援 68件
意思決定支援 172件
治療継続支援 33件
ボディ変容の支援 53件
リンパ浮腫支援 198件
家族支援 1件
在宅療養支援 2件
リハビリ支援 1件
その他 29件 - 他職種からの相談・指導 3件
(2)院外活動
- 栃木BCN 研究会 世話人
- 看護学部講義(がん看護学)講義
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
- 第28回乳癌学会学術総会
(5)研究活動
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
12)摂食・嚥下障害看護
(1)院内活動
- 嚥下スクリーニング 6件
- 口腔ケア関連 63件
- 嚥下リハビリ支援 40件
- ポジショニング 3件
- 栄養管理 6件
- 精査同席 1件
- 家族ケア 4件
- 意思決定支援 15件
- 在宅療養支援 11件
- 嚥下チームカンファレンス 15回/年
- 院内勉強会講師 2件
- がん患者指導管理料(イ) 10件取得
(2)院外活動
- 第20回日本口腔ケア協会学術大会シンポジスト
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
なし
(5)研究活動
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
13)小児救急看護
(1)院内活動
- 実践314件(小児集中治療部内における急性期ケア、家族ケア、成長発達支援など)
- 新人看護臨床研修 看護基礎技術研修 フィジカルアセスメント【呼吸・循環】
企画リーダー・インストラクター - 新人看護臨床研修 看護基礎技術研修 「心肺蘇生法」インストラクター
- 中央放射線部における小児患者急変シミュレーション活動の相談対応 3回
- 中央放射線部における小児一次救命処置に関する勉強会 講師 1回
- 救命救急センターにおける院内トリアージ・電話トリアージに関する勉強会 講師 1回
- 子ども医療センター主催 子どもの急変予兆に関する勉強会 講師 1回
(2)院外活動
- 保育施設において小児一次救命処置方法と急病時の対応について指導(宇都宮市二葉幼児園)
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
- 日本小児看護学会第30回学術集会(オンライン開催)
(5)研究活動
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
14)認知症看護
(1)院内活動
- 看護実践
・安心できる環境作り、フィジカルアセスメントと症状緩和、せん妄、BPSDの予防と悪化予防ケア、もてる力を生かした日常生活活動支援、療養環境調整・療養先の意思決定支援・インスリン注射の家族支援などの退院支援 - せん妄ハイリスクケア加算の運用、標準看護、クリニカルパスの作成
- 精神科リエゾンチームに依頼のあった患者の支援:カンファレンス・チームラウンド1回/週 対象患者76名
- 講義・勉強会 2回
新人看護職員研修「認知症看護」企画・運営・講師
(2)院外活動
- 地域社会振興財団中央研修会 第48回看護師研修会 講師
- 2020年度地域ケアスキルトレーニングコース 高齢者看護3(認知症) 講師
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
15)がん放射線療法看護
(1)院内活動
- 看護実践(オリエンテーション、有害事象ケア、意思決定支援、治療継続支援、電話相談) 953件
- リンパ浮腫ケア 277件
- がん患者指導管理料1取得件数 261件
- 有害事象ケアについての相談対応と指導 25件
- リンパ浮腫ケアコンサルト 49件
- カンファレンス参加(放射線治療計画カンファレンス、放射線科・耳鼻科合同カンファレンス、放射線科・口腔外科合同カンファレンス、口腔外科病棟多職種カンファレンス、キャンサーボードカンファレンス、耳鼻科病棟放射線療法看護カンファレンス)
- 院内教育活動
・放射線治療見学会 3回
・放射線治療勉強会 5回
・リンパ浮腫ケア講義 1回
(2)院外活動
- 自治医科大学看護学部「チーム医療論」講義
- 東京医療保健大学がん放射線療法看護認定看護師教育課程講師
- 放射線治療談話会第428回例会講演講師
(3)実習受け入れ
- 静岡県立静岡がんセンター認定看護師教育課程(がん放射線療法看護)臨地実習
- 自治医科大学看護学部成人看護学統合実習 外来看護見学実習
(4)学会参加
2回(第33回日本放射線腫瘍学会学術大会、第35回日本がん看護学会学術集会)
(5)研究活動
- 研究サポート1件
(6)雑誌等の執筆
- 臨床放射線 放射線治療談話会第428回例会講演内容
16)慢性心不全看護
(1)院内活動
- 看護実践
在宅療養支援 10件
意思決定支援 8件
多職種カンファレンス 34件
その他 1件 - 心不全教室運営(2回/月)
- 心不全医療チームによるカンファレンスの実施(1回/週)
- 重症心不全治療部カンファレンスの実施(1回/週)
(2)院外活動
- 栃木心不全看護研究会参加
(3)実習受け入れ
なし
(4)学会参加
なし
(5)研究
なし
(6)雑誌等の執筆
なし
8.看護部の重点課題に対する取り組みの経過と今後の課題
看護部の重点課題についてBSCを活用して取り組んだ。主な項目についての経過は以下のとおりである。
(1)顧客満足度の向上
- 患者満足度の向上
患者満足度調査は外来10月、入院11月に実施し、従来の5段階評価から4段階評価に変更した。入院患者には2020年11月11日~15日まで実施した。入院患者の満足度調査回収数は6150件(前年3274件)であった。外来患者には例年1日のみの実施を2020年10月8日~16日まで約1週間実施した。外来患者の回収数は14634件(前年2915件)であった。
「看護師の対応」の結果は、<入院全体> の満足率は98.6%(前年度+0.1%)、<外来全体>の満足率は98.8%(前年度+1.5%)であった。「看護補助員の対応」の結果は、<入院全体>の満足率は99.0%(前年±0)であった。
看護師の対応項目別では、<入院全体>は①挨拶や身だしなみ(満足89.9%、やや満足9.4%)、②不安や心配事の相談(満足85.7%、やや満足13.2%)、③話しかけやすさ(満足84.7%、やや満足13.7%)、④看護師の看護行為(満足83.7%、やや満足14.7%)、⑤看護師の態度(満足85.5%、やや満足12.4%)、⑥検査や処置の説明(満足83.9%、やや満足15.0%)、⑦ナースコールへの対応(満足87.2%、やや満足11.1%)であった。7項目中すべてで「満足」の割合が80%以上であり、上昇した。
<外来全体>は①挨拶や身だしなみ(満足81.1%、やや満足18.3%)、②不安や心配事の対応(満足77.2%、やや満足21.4%)、③話しかけやすさ(満足77.3%、やや満足21.0%)、④看護師の看護行為(満足77.2%、やや満足21.6%)、⑤看護師の態度(満足78.9%、やや満足19.7%)で、5項目すべての満足の割合が上昇した。
今年度は最重要課題として看護部全体で取り組んだ結果であり、看護職員が向上をめざし意識的に関わることで良い結果を得ることができたと考えている。次年度も優先課題として取り組み、モチベーションを維持し、さらなる向上につなげていきたい。 - 職員満足度の向上
職員満足度調査は毎年看護部独自で調査している。2020年は12月に実施した。
2020年度は1,288名に配布し、1235名から回答が得られ、回収率は95.9%であった。総合満足度は2019年度2.76からと2.80向上し、他大学平均2.50、他事業所2.29より高く、前年度より0.04上昇した。
今年度目標値である総合満足度:2.76以上(2.80)、仕事量が適切:2.5以上(2.52)、業務サポート2.66以上(2.72)は達成できた。各看護師長が前年度同様に「ヘルシーワークプレイス」ということを意識し取り組んだ結果が反映していると考える。
多様性が拡大、社会情勢の変化が激しい中でいかに現場の意見吸い上げていくかが課題である。組織全体に関わることはタイムリーな改正ができないこともあるが、速やかに対応していけるように心がける。
(2)病院経営への貢献
病床稼働率の目標は全体で90%以上であった。病床稼働率3月末時点で、7対1病棟:89.4%(平均在院日数11.6日)、子ども一般:67.5%、緩和ケア病棟:45.3%、特定病床:NICU105.4%、MFICU97.7% PICU86.3%、CCU109.5%、EMC52.2%、ICU73.1%、HCU86.4%であった。
新型コロナウィルス感染症拡大の影響で一部病床閉鎖や患者受け入れによる病床削減のため目標値には達することができなかった。また今年度は病床の効率的な活用の観点からの病床数の見直しも行えなかった。
新型コロナウィルス感染症患者受け入れによる看護師の応援体制を敷いた関係で、一般病棟の看護師体制に変動があったが、入院基本料7対1、看護職員夜間12対1配置加算取得は維持した。これは患者制限による患者数の減少や一般病棟配属の時短者が夜勤協力している影響も大きい。看護補助体制加算夜間配置100対1について、看護補助員が定着せず、入れ換わりがあったが、コンサルのBCGや派遣会社の協力があり維持することができた。
新たな加算取得のための体制整備を積極的に行い、せん妄ハイリスク患者ケア加算、入院時支援加算、排尿自立指導料、がん患者指導管理料等の加算取得に貢献した。看護部全体で経営への貢献に対して病院長賞を受賞した。
(3)質の高い看護の提供
質の高い看護の提供では、「患者の安全の確保」、「看護の質の可視化」、「看護職員の確保」、「人材の活用」、「看護師の負担軽減」を柱に取り組んだ。
- 患者の安全の確保
2020年4月から2021年2月までのインシデント分類影響レベル3A以上256件であった。看護職からの報告(3A以上)で最も多かった内容は、ドレーン・チューブ類の使用管理に関するもの(18件)、ついで、転棟・転落(12件)であった。
各部署のレポートの最終評価では、目標達成ができた部署は20部署(全38部署中37部署回収)であった。目標達成ができなかった部署もインシデントの原因分析を行い対応することができていた。
インシデントレポートの分析と対策については、今後も継続が必要な課題であるため、来年度も同じ形式で継続したい。報告されたインシデントの種類も毎年同じ傾向であり、患者の状態のアセスメントやカンファレンスの充実、薬剤のチェック方法について具体策を提示する必要がある。 - 看護の質の可視化
看護の質の可視化では、固定チームのチーム目標の達成、意思決定支援の実施、患者アウトカムの達成、成果指標達成を柱に取り組んだ。
固定チーム目標達成状況は3達成率80%1部署、90%3部署、100%24部署であり、全対象部署が目標を達成できた。
患者アウトカム達成率は93.2%で目標達成した。89.5%に満たない部署はMFICU・8S・2B・HCU・EMCであった。自部署で設定した目標を達成している部署は1ブロック:7部署中7部署、2ブロック:7部署中7部署、3ブロック:7部署中6部署、4ブロック:7部署中6部署、5ブロック:5部署中3部署であった。全体では目標値を達成できた。各部署の設定で、患者アウトカムの低い背景をデータに基づいて分析して活動した結果であると思われる。
成果指標達成率90.5%で目標達成した。達成できなかった部署は13部署(内、70%台がNICU・GCU・MFICU・EMC・5W)である。チーム目標に掲げ、成果指標を段階的に設定したことで達成率が上昇している部署もある。患者の状況に即した成果指標の設定を検討していく必要がある。
「理解・納得状況の確認」の質確保については、2021年1月に監査を実施した。対象記録なしは5部署(3S・4E・8S・中央放射線部・PICU)であり、監査対象は30部署であった。対象記録がなかった場合は、IC同席していたから確認には至らなかった。30部署中「理解・納得状況の確認」の基準に該当しない記録は4件であった。2020年10月の14件より減少した。 - 看護職員の確保
看護師の確保に関しては、「看護職募集広報活動ワーキンググループ」の活動により、順当な応募数があり、過去最高の232名の応募があった。内定者は142名で目標まで7名足りなかった。新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、各地での合同就職説明会が中止となったが、Web開催を企画し補った。Web説明会を8回開催、インターンシップ・病院見学会は7月30日から再開(1月中止) 15回開催、参加者数220名であった。
離職者については3月末までの退職者数109名(前年118名)、主な理由は結婚19名(前年33名)、育児21名(前年9名)、能力12名(前年11名)等であった。職場風土や人間関係を理由とした離職者は0人であった。今後も離職防止や人材確保に努めることが必要である。 - 人材の活用
人材活用では、看護師特定行為研修修了者(以下、特定行為看護師)の活用体制を整え、2021年3月までに実際に活動している者は22名(前年+1名)、行為別手順書は24行為(前年+3行為)となった。
実践可能な特定看護師の活動は、毎月のスケジュールを決め、活動日を確保することを継続するとともに、病棟から対象患者となる患者の紹介を報告してもらうことを継続している。特定行為別実施件数は累計1459件(前年同月比較+724件)となった。 - 看護師の負担軽減
今年度の看護師の負担軽減策としては、看護補助員の業務拡大、検査技師による入院患者採血拡大、看護業務手順の見直し(排泄ケア)、病棟薬剤業務に関すること等に取り組む予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、新たな業務を担う必要もあり、計画通りには行えなかった。制約がある中でも各部署で業務の見直しに取り組んだ。
「申し送り時間の短縮」では自部署で設定した目標に到達した部署は、1ブロック:7部署中5部署、2ブロック:7部署中6部署、3ブロック:7部署中5部署、4ブロック:7部署中5部署(未達成2部署は80%以上達成)、5ブロック:3部署中3部署であった。
「看護記録の効率化」では看護記録の効率化のためにテンプレートを作成したのは15部署(さらに特定行為・呼吸器ケアチーム等が4チーム)で、2019年度15作成に対して本年度は44件の作成。テンプレート作成した半数の8部署では時間外勤務のうち看護記録に占める割合が低下している。目標を達成している部署は、1ブロック:7部署中4部署、2ブロック:7部署中6部署、3ブロック:7部署中3部署、4ブロック:7部署中5部署(未達成2部署は90%達成)、5ブロック:5部署中2部署であった。
「排泄ケアの見直し」では2020年10月に白十字のオムツのトライアルを7W・Eに実施した。花王との製品の品質・コストなどを評価し、白十字のオムツに決定した。2021年3月22日より、7W・E病棟に新たなオムツを導入できた。2021年3月29日以降、他の病棟のストックオムツが無くなり次第白十字のオムツに切り替えることになった。 - 看護人材の育成
2021年度4月期は新規7名、再入構者2名である。附属病院が推進している「外科術後病棟管理領域パッケージ」に2名、「術中麻酔管理領域パッケージ」に2名。新規開設となった「外科系基本領域パッケージ」2名、「集中治療域パッケージ」3名受講となった。2020年10月期の募集がなかったため、4月期受講に向けてパッケージの周知や看護師長の面接等を通してキャリアップの支援などの活動を行ったが、目標の15名には至らなかった。
認定看護師の確保では、目標とした4領域のうち、「皮膚・排泄ケア」については、希望者1名あり。所属看護師長および該当領域の認定看護師からの推薦も得られている。しかし、2021年度の入学試験は例年より早く行われ準備が整わず受験ができなかった。2022年度の入学試験に向けて準備を進められるように支援していく。他の3領域についての希望者はいない。感染看護認定看護師については、本人のキャリアアップを確認し9月から適正な人事配置を行い、部署において計画的な受験の準備を進めている。
看護管理者の育成について、「主任看護師のラダーⅣ研修修了の支援」は前年度に引き続き行い、今年度は観修了者19名中3人が修了できた。他に主任看護師と看護師長の個人目標達成をKPIに初めて設定した。
主任看護師は83人中期限までに達成率を提示した者は68人だった。68人中80%目標達成率は49人、72%。総数では59%。60~70%達成者は12人、17%。50%以下は8人、9%という結果だった。
看護師長は41人中、期限までに達成率を提示した者32人だった。32人中80%目標達成者は22人、68%。総数では53%。60~70%達成者は、6人、18%。50%以下は4人、12%という結果だった。
マネジメントラダーの活用として、マネジメントラダーⅠの評価指標を作成した。次年度は実際に活用し評価していく。マネジメントラダーⅡの評価指標を作成していくこととした。
災害対策の強化として、災害対策マニュアルの整備や災害関連看護師(災害支援ナース)の育成を計画した。災害対策マニュアルはコンサルを導入し9月から災害対策マニュアル・BCPの見直しが始まった。年度内の完成には至らなかった。新型コロナウィルス感染拡大により研修が中止となったため、災害支援ナースの増員は図れなかった。
9.看護部の教育実績
1)看護職の教育
看護職の院内研修は、看護部の教育方針のもと、看護職キャリア支援センターにおけるラダー研修プログラムに沿って研修を実施した。今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、集合研修の開催が危惧されたが、研修方法の変更や感染対策を徹底し予定通り全ての研修を開催することができた。
主任看護師研修会は、隔月で6回開催した。今年度は、担当主任看護師が所属するそれぞれの委員会の活動とリンクした内容の企画とした。看護倫理力、看護研究など部署の人材育成に直接活かせるもの、感染管理、災害医療など、部署での実践や対策を考える内容とした。講義による基礎知識の習得やグループワークでの意見・情報交換などを通して、主任看護師の人材育成能力や看護実践の向上に繋がったと考える。(表3参照)
表3 主任看護師研修会実施状況
日程 | 参加者 | テーマ | 目的 | 目標 | |
---|---|---|---|---|---|
第1回 | 5月15日(金) | 80名 | 看護研究 | 主任看護師が看護研究を指導する上で必要な知識を学ぶ | 講義を通して看護研究を指導する上での具体的な方法がわかる。 |
第2回 | 7月10日(金) | 80名 | 感染管理とマネジメント・感染予防の基本 | 感染管理分野において看護実践を通して看護職に対して、指導する能力を育成する | 1)経路別感染対策の基本・薬剤耐性菌感染者の管理を再認識できる。 2)講義内容を踏まえて、感染対策に各部署で取り組むための方法を見いだせる。 |
第3回 | 9月11日(金) | 76名 | ラダーⅡB研修 看護倫理研修【2】について | 主任看護師として、倫理的行動力の高い人材育成に必要なスキルを身につけ、部署での人材育成に活かすことができる。 | 1)ラダーⅡBに求められる看護倫理力とその評価の視点が理解できる。 2) ラダーⅡB研修看護倫理研修 【2】のレポート評価ができる。 |
第4回 | 11月16日(金) | 78名 | 災害看護について | 災害時に直面する被害を具体的にイメージし、主任看護師としての判断能力を養う。 | 1)災害時の看護の基礎を学ぶ。 2)主任看護師としての災害発生時の具体的な対応を考えることができる。 |
第5回 | 1月8日(金) | 78名 | 看護研究について | 主任看護師が看護研究を指導する上で必要な知識を学ぶ | 1)GWを通して実践的なスタッフ指導方法を見出す。 2)臨床研究等倫理審査受審のための手順を理解し、スタッフ指導に活かす。 |
第6回 | 3月12日(金) | 79名 | 主任看護師として必要な能力を考える | ファーストレベル修了者の活動報告より、主任看護師としての実践を学ぶ。看護管理者のマネジメントラダーについて学ぶ。 | 1)次年度の主任看護師としての自己の取り組みを見出すことができる。 2)マネジメントラダーⅠで求められる能力について、自己課題を見出すことができる。 |
新主任 看護師 研修会 |
5月15日(金) | 9名 | 主任看護師の役割 | 主任看護師としての役割を理解する | 1)主任看護師に期待されていることについて理解する。 2)看護部組織における主任看護師の役割について理解する。 |
新主任 看護師 研修会 |
11月27日(金) | 9名 | マネジメントリフレクション | リフレクションを活用し、主任看護師としての看護管理者能力を高める | 1)部署における主任看護師としての自己の課題を明確にできる。 2)自己の課題に対して、解決するための行動を明確にできる。 |
また、今年度新たに主任看護師に昇任した9名を対象として、新主任看護師研修会を5月と11月に実施した。第1回は主任看護師の役割について、第2回は主任看護師としてのマネジメントリフレクションを行った。2回の研修会を通して、主任看護師としての役割や、看護実践のモデルとしてどのように活動するか自己の課題も明確にすることができた。今年度は、全員が部署異動せず同部署で昇任しているため、急に立場が変化することでの難しさを感じていたが、新主任看護師同士での情報交換など、交流を深める良い機会となっていた。
看護師長研修会は、看護部の重点目標を達成するために「看護師長として人材育成能力を高めることができる」を年間目標とし隔月で6回開催した。(表4参照)
日本看護協会のマネジメントラダーの理解、人材育成に関する内容とともに、年間を通して主任看護師育成に取り組み、GWで実践の評価と情報交換を行った。研修を通して看護師長として自己研鑽しながら互いに学び、刺激し合いより高めあう機会となった。
看護部講演会は、災害拠点病院である当院の役割を理解し、災害医療の理解のために「災害医療を考える」とした講演会を開催した。約300名の参加者があり、多くの職員が実際に災害医療に携わる医師・看護師の講話を聴き理解を深めることができたと考える。
表4 看護師長研修会実施状況
日程 | 参加者 | テーマ | 目的 | 目標 | |
---|---|---|---|---|---|
第1回 | 5月20日(木) | 43名 | 看護研究 | 看護師長が看護研究を指導する上で必要な知識を学ぶ | 講義を通して看護研究を指導する上での具体的な方法がわかる。 |
第2回 | 7月16日(木) | 43名 | 看護倫理 | スタッフが自部署の倫理的課題を日常的に議論できるような組織文化をつくることができる |
1)「看護倫理」において Jonsen らの4分割法を理解できる。 2)看護倫理研修【3】受講者へ教育的に関わり指導の役割を果たすことができる。 |
第3回 | 9月17日(木) | 42名 | 主任看護師育成 | 看護師長として主任看護師の育成方法を見出すことができる | 病院看護管理のマネジメントラダーⅠの6つの能力を踏まえて、個々にあわせた強化・育成する方法わかる。 |
第4回 | 11月19日(木) | 41名 | 研修評価 | 看護師長として人材育成能力を高めることができる | マネジメント研修【1】&実践教育研修 【1】の研修レポートの評価ができる。 |
第5回 | 1月21日(木) | 42名 | 看護研究クリティーク | 看護師長として看護研究を指導するうえで必要な知識を学ぶ | 論文のクリティークを行い、研究論文の構成(序論・目的・方法・結果・考察)にそって必要な要素を理解する。 |
第6回 | 3月18日(木) | 43名 | 主任看護師育成 | 看護師長として主任看護師の育成方法を見出すことができる | 自己の取り組みを評価し、また他者との情報交換を通して、今後の主任看護師育成の課題が明確になる。 |
2)認定看護師の育成
今年度は、「感染看護」「手術看護」の2領域で1名ずつ認定看護師教育課程の研修を修了し、次年度の資格取得を目指している。「皮膚・排泄ケア」については、2021年度に1名が受講準備を進めている。日本看護協会の認定看護師教育課程のカリキュラムも整備されたため、今後は、各領域での複数の人材育成を中長期的な計画のもとで進めていく。
3)認定看護管理者の育成
今年度は認定看護管理者研修【ファーストレベル】を6名、【サードレベル】を2名が受講した。【セカンドレベル】は新型コロナウイルス感染症の影響により研修が中止となった。現在ファーストレベル修了者は114名、セカンドレベル修了者は56名、サードレベル修了者は14名、認定看護管理者は9名である。今後も計画的に認定看護管理者研修の受講を支援していく。
4)臨床実習の教育体制
新型コロナウイルス感染症の影響により、当看護学部も含め、臨床実習の受け入れは大幅に減少した。前期は全て実習中止となり、後期についても、実習期間の短縮や一部中止となり十分な実習環境を提供することはできなかった。
認定看護師教育課程の実習は、「緩和ケア」1校、「がん放射線治療看護」1校を受け入れた。また、専門看護師教育課程の「クリティカル」の領域において他大学院生の実習を受け入れた。感染防止対策を徹底し、最大限の受け入れられる範疇で臨床教育の指導に貢献している。(表5参照)
表5 実習受け入れ実績
学校名 | 日数 | 人数 | |
---|---|---|---|
1 | 栃木県衛生福祉大学校(小児・母性) | 23 | 33 |
2 | 栃木県県南高等看護専門学院(小児) | 9 | 12 |
3 | 国際医療福祉大学(母性・急性期) | 28 | 23 |
4 | マロニエ医療福祉専門学校(助産科) | 8 | 16 |
5 | 国立病院機構栃木医療センター附属看護学校 | 1 | 34 |
6 | 東京慈恵会医科大学 | 30 | 2 |
7 | 岩手医科大学附属病院高度看護研修センター(緩和ケア) | 20 | 1 |
8 | 静岡県立がんセンター(がん放射線看護認定看護師) | 17 | 2 |
9 | 栃木県医療的ケア児等コーディネーター養成研修 | 1 | 12 |
合計 | 137 | 135 |
5)看護師特定行為研修
今年度は4月期に新規7名、科目追加5名が入校した。新規者のうち2名は、新設された「術中麻酔領域パッケージ」を選択した。10月期は受け入れ中止となった。研修修了生も29名となり、その中で実践可能な特定行為看護師は22名となった。臨床で行為が実施できるように院内の環境と体制を整備し、少しずつ実践が行えるようになってきた。引き続き計画的に受講者を確保するとともに、更に実践を増やしていけるように支援していく。
10.院外への講師派遣
看護師養成機関6施設からの依頼により、看護部職員を講師として派遣し、看護基礎教育に協力した。(表6参照)また、看護協会関係や県内外の医療機関、行政機関からの依頼を受け県内外幅広く看護職の教育に貢献した。
表6 院外講師派遣の実績
学校名 | 人数 | |
---|---|---|
1 | 栃木県立衛生福祉大学校(本校・専科) | 14 |
2 | 栃木県県南高等看護学院 | 1 |
3 | マロニエ医療福祉専門学校 | 3 |
4 | 茨城結城看護専門学校 | 5 |
5 | 晃陽栄養専門学校 | 3 |
合計 | 26 |
11.学会・研究会および院外研修会の参加実績
新型コロナウイルス感染症拡大により、前期は院外の研修会、学会、研究会等ほぼ中止となった。後期は、感染対策の徹底により、一部参加人数を削減し開始された。また、多くの研修会、学会、研究会がインターネットを活用した方法での開催となった。上記により今年度は大幅に院外の研修会等への参加は激減している。学会・研究会および院外研修への参加は、62件、195名、述べ689名である。また、院外の学術集会や研究会など発表の機会も減少した為、演題発表は18演題であった。
今回を機会に、多くの研修等が開催方法を変更している現状がある。集合研修でない場合、時間、人数、費用等から逆に多くの看護職員が受講することも可能と考える。近年、自己のキャリアアップ、看護管理に関することなど幅広い領域の研修会に参加する看護職員が増えてきている。今後は状況に合わせて柔軟に対応し、より多くの看護職員が自己研鑽できるように支援していく。