循環器センター外科部門(心臓血管外科)【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2022年4月1日現在)
科長 | (教授) | 川人 宏次 |
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病棟医長 | (学内教授) | 相澤 啓 |
外来医長 | (CCU講師) | 楜澤 壮樹 (循環器センター外科本務) |
医員 | (講師) | 友保 貴博 |
(助教) | 菅谷 彰 | |
(病院助教) | 上杉 知資、斎藤 翔吾 土井 真之、堀越 崚平 |
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兼務 | (教授) | 岡 徳彦 (とちぎ子ども医療センター) |
(講師) | 荒川 衛 (血管内治療部) |
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(助教) | 林 秀憲 (とちぎ子ども医療センター) |
2.診療科の特徴
心臓血管外科学教室では原則として循環器センターで高校生以上、子ども医療センターで中学生以下の患者さんを対象として診療しています。循環器センターでは弁膜症、虚血性心疾患、急性大動脈解離、大動脈瘤、成人先天性心疾患、閉塞性動脈硬化症などを中心として診療し、とちぎ子ども医療センターでは新生児を含めた先天性心疾患を治療の対象としています。
とちぎ子ども医療センター分を含めた心臓血管外科分野の総手術件数は569件でした。
以後本欄では循環器センター(小児/成人先天性を除く)での実績のみを詳記します。循環器センターでの開心術・胸部大動脈手術及び体外循環非使用下冠動脈バイパス術は255件で、腹部大動脈瘤や末梢動脈の手術などを含めますと2020年1年間の総手術件数は466件でした。
循環器センターとして、内科医師との連携を強化し同一病棟で有機的・効率的に診療しています。また術前術後症例を中心として循環器内科医師・小児科医師や臨床工学士を含めて合同カンファランスを行っています。さらに循環器センターとしては、弁膜症症例での心エコーカンファランス、血管内治療症例を中心とする血管カンファランス、虚血性心疾患症例を中心とする心臓カテーテルカンファランスをそれぞれ担当する内科・外科医師間で定期的に開催して症例を検討しています。また低侵襲手術として胸部や腹部大動脈瘤治療でのステントグラフト治療も積極的に行っています。ステントグラフト等血管内治療は67件(胸部14件、腹部53件)でした。
2014年11月1日に循環器センター内に重症心不全治療部を立ち上げ、同部門は相澤啓が学内教授を部長とし、内科・精神科医師や看護師・薬剤師・臨床工学士・理学療法士・栄養士など多職種から成り、植え込み型及び体外式人工心臓など機械的補助循環を中心とした診療を行っています。循環器センターでは、2021年度から大腿動脈からの経皮的アクセスが可能なカテーテルVAD(ImpellaⓇ)を導入したため、開胸を要する補助人工心臓植込み手術は減少し、2021年度は体外型補助人工心臓1例の手術のみでした。
施設認定
- 日本外科学会外科専門医制度修練施設
- 日本胸部外科学会認定医認定制度指定施設
- 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構認定基幹施設
- 日本成人心臓血管手術データベース機構認定施設
- 関連11学会構成ステントグラフト実施規準管理委員会認定ステントグラフト実施施設
- 下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療実施施設
- 植込型補助人工心臓実施施設
指導医・専門医・認定医
日本心臓血管外科修練指導医 | 川人 宏次 |
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岡 徳彦 | |
相澤 啓 | |
荒川 衛 | |
日本胸部外科学会指導医 | 川人 宏次 |
日本心臓血管外科専門医 | 川人 宏次 |
岡 徳彦 | |
相澤 啓 | |
友保 貴博 | |
荒川 衛 | |
楜沢 壮樹 | |
阿久津博彦 | |
林 秀憲 | |
日本外科学会指導医 | 川人 宏次 |
日本外科学会専門医 | 川人 宏次 |
岡 徳彦 | |
相澤 啓 | |
荒川 衛 | |
楜澤 壮樹 | |
阿久津博彦 | |
林 秀憲 | |
菅谷 彰 | |
上杉 知資 | |
斎藤 翔 | |
日本血管外科学会認定血管内治療医 | 荒川 衛 |
The Asian Society for Cardiovascular and Thoracic Surgery | 川人 宏次 |
植込型補助人工心臓実施医 | 川人 宏次 |
相澤 啓 | |
胸部ステントグラフト実施医・指導医(TALENT Thoracic Stentgraft、Gore TAG Thoracic Endoprosthesis, Variant Captiva, Relay Plus) | 荒川 衛 |
腹部ステントグラフト実施医・指導医(Zenith AAA Endovascular Graft, Gore Excluder Endoprosthesis, Powerlink Stentgraft System, TALENT Abdominal Stent Graft, Endurant Stentgraft System, AORFIX AAA Stentgraft System) | 荒川 衛 |
下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術実施医 | 荒川 衛 |
3.診療実績・クリニカルインディケーター
1)新来患者数・再来患者数・紹介率
新来患者数 265人
再来患者数 4,198人
紹介率 43.5%
2)入院患者数:総数587例
3)手術術式別件数
3)-1 成人先天性心疾患
(とちぎ子ども医療センターで報告)
3)-2 後天性心疾患
3)-2-a.弁膜症手術 146例
弁置換術 | 97例 |
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弁形成術 | 19例 |
カテーテル的大動脈弁置換術 | 30例 |
3)-2-b.虚血性疾患 45例
単独冠動脈バイパス術 | 43例 |
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心筋梗塞合併症手術 | 2例 |
3)-2-c.胸部大動脈疾患 57例
大動脈解離/真性瘤(開胸手術) | 43例 |
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ステントグラフト治療(胸部) | 14例 |
3)-2-d. その他の心臓手術 7例
(補助心臓、心臓腫瘍等)
3)-3 末梢血管 168例
3)-3-a.
腹部大動脈瘤(開腹) | 27例 |
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血管内治療 | 51例 |
3)-3-b.末梢動脈手術 27例
3)-3-c.静脈瘤 25例
3)-4 その他 38例
4)主たる疾患別術後合併症
心嚢水貯留・ドレナージ | 2例 |
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術後肺炎 | 5例 |
脳梗塞/出血 | 2例 |
創感染 | 3例 |
術後膵炎 | 2例 |
PCPSを要する心不全 | 1例 |
対麻痺 | 1例 |
NOMI | 1例 |
腹腔内血出 | 1例 |
肺塞栓 (HIT陽性) | 1例 |
5)化学療法症例・数
該当症例はありません
6)放射線療法症例・数
該当症例はありません
7)悪性腫瘍の疾患別および臨床進行期別ならびに治療法別治療成績
該当症例はありません
8)死亡症例・死因・剖検数・剖検率
(1)治療成績
弁膜症手術(緊急症例を含む) | 1/146(0.7%) |
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単独冠動脈バイパス術(緊急症例を含む) | 0/43(0%) |
急性大動脈解離 | 1/21(4.7%) |
真性胸部大動脈瘤/慢性解離 | 0/22(0%) |
(2)在院死亡症例
A.術後死亡症例の診断、術式および死因
- 85歳女性 急性下肢動脈閉塞:術前はほぼ寝たきり状態。来院時、既に下肢虚血が進行した状態であった。血栓除去術を施行したが、術後1か月に誤嚥性肺炎で死亡した。
- 52歳男性 急性心筋梗塞、ショックで循環器内科入院。PCI後も左心機能が回復しないため、LVAD(体外型左心補助人工心臓)を導入したが、術後2か月目に脳出血で死亡した。
- 82歳男性 右冠動脈閉塞を伴う急性大動脈解離症例で術前心停止となり、蘇生後に緊急手術をおこなったが、心機能が回復せず、2週間後に心不全、多臓器不全で死亡した。
- 78歳男性 2014年に僧帽弁/大動脈弁置換術、ペースメーカー植え込み術を施行されていた患者で、半年前からペースメーカーリード感染による菌血症が持続し、人工弁感染となった。僧帽弁再置換術を行ったが、1か月後に敗血症で死亡した。
B.非手術死亡症例及び死因
なし
C.剖検数と剖検率
0例
D.死亡症例カンファランス・経過報告
症例:A-1・2・3・4
(3)退院後6週間以内の予期せぬ再入院
なし
9)主な処置・検査
9-1)開心術後補助循環症例
大動脈弁位感染性心内膜炎、感染性大動脈瘤に対する、基部置換術+冠動脈バイパス術後人工心肺離脱困難例にPCPS補助を行いましたが、手術2日目に離脱し、軽快退院しました。
9-2)VAC療法(創部感染に対する持続吸引療法)
縦隔炎や創離開・VAD後のカテーテル刺入部の治癒促進および感染予防目的で、肥満・糖尿病・緊急手術・心不全例など創部感染リスクの高い症例に対し本療法を実施しました。
9-3)心筋シンチ
腹部大動脈瘤の術前検査や虚血性心疾患の術前後検査として施行しました。
10)カンファランス・回診
(1)診療科;手術例、術前検査入院例、死亡例、合併症発症例を対象にしています。
(2)他科(循環器内科・小児科・臨床工学部など)との合同カンファランス:手術適応例などを中心として術前術後カンファランス・心エコー検査カンファランス・血管カンファランス・心臓カテーテル検査カンファランスを開催し、各部署とのコンセンサスを得た治療を目指しています。
(3)他職種との合同(臨床工学部・麻酔科);全手術例を対象として周術期の注意点を共有しています。
(4)その他;随時、他診療科・他施設からの問い合わせやセカンドオピニオンに対応しています。
(5)教授回診・チャートラウンド・抄読会:週1回
(6)主治医らによる夕回診:休日を除く毎日
(7)人工心臓装着症例のカンファランス:該当症例が入院中は週1回重症心不全治療部を中心として医師・看護師・理学療法士・臨床心理士・薬剤師・臨床工学士など多職種の参加により開催しています。
(8)TAVIカンファランス:隔週で1例/日のTAVIを行っており、毎週金曜日17:00に関係多職種でカンファレンスを開催しています。
4.2022年の目標・事業計画等
1)内科・外科が同一病棟の循環器センターとして機能的に診療いたします。
2)診断から手術までの期間を短縮し、手術待機期間の短縮を目指します。
3)急性大動脈解離、大動脈瘤破裂などの循環器救急疾患に対し、迅速に治療できる体制を構築します。
4)植込み型補助人工心臓施設認定を更新しましたので、引き続き重症心不全に対する外科治療を進めてゆきます。
5)カテーテルVAD(ImpellaⓇ)の実施認定施設となり、2021年度に1例目を実施しました。今後、臨床使用を進めていきます。
6)当院では周術期輸血量が多い傾向にありましたので、輸血量削減に努めてゆきます。
7)Covid-19感染症の影響で、手術症例が若干減少しました。来年度は感染状況をみながら、手術症例数の回復に努めて参ります。