集中治療部[アニュアルレポート] | 病院のご案内 | 自治医科大学附属病院
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集中治療部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2021年4月1日現在)

2.集中治療部の特徴

1)目的

集中治療部は、内科系、外科系を問わず、呼吸・循環・代謝系その他の重篤な急性臓器機能不全の患者を収容し、診療科の垣根を超えて総合的に強力かつ集中的な治療および看護を行い、その回復を図ることを目的とした中央診療部門である。

2)入室基準

日本集中治療医学会が想定している集中治療の適応疾患は以下の通りである。

  1. 意識障害または昏睡
  2. 急性呼吸不全
  3. 慢性呼吸不全急性増悪
  4. 急性心不全(心筋梗塞を含む)
  5. ガス、睡眠薬、その他の急性薬物中毒
  6. ショック、急性循環不全
  7. 重篤な代謝性疾患(肝不全、腎不全、重症糖尿病を含む)
  8. 大手術後
  9. 救急蘇生後
  10. その他、多発外傷、広範囲熱傷、破傷風など

ただし、伝染病疾患や精神病患者は、原則として収容しない。

自治医科大学附属病院は1,132床、46診療科を標榜する総合病院であるが、このうち集中治療部ベッド数は現在16床であることから、上記の目的を効率よく達成するために、現在のところ、以下の病態を具体的な収容対象患者としている。

  • 侵襲の大きな手術後:心臓・大血管手術、食道腫瘍手術、肺切除術、大量出血後、ASA status3以上の術前合併症を持つ患者の開胸・開腹術後、中枢神経手術、臓器移植
  • 急性呼吸不全、慢性呼吸不全の急性増悪
  • 急性心不全
  • ショック、急性循環不全
  • 播種性血管内凝固症候群(DIC)
  • 薬物中毒、ガス中毒など各種の重症中毒
  • 回復の可能性のある意識障害患者、あるいは神経系疾患
  • 重篤な外傷、重症熱傷
  • 重度の酸塩基平衡異常、代謝異常
  • 心肺蘇生後
  • 法的脳死判定目的
  • その他種々の臓器障害のため、人工臓器によるサポートが必要なもの

なお、附属病院には別に10床の心疾患治療部(CCU)および30床の救命救急センター(救急部)があり、さらに併設のとちぎ子ども医療センターには小児集中治療部(PICU:8床)が運用されている。そこで、心疾患を主徴とする重症患者および院外発生救急患者はそれぞれCCUおよび救急部へ収容し、小児重症患者はPICUで対応することを原則とするが、当該部署での対応が困難な場合は集中治療部へ収容することとしている。また、2018年度より附属病院内にHCU16床が開設されたことから、集中治療部からのstep-down unitとしての利用が開始されている。

3)退室基準

基本原則

  1. 入室の直接原因となった病態が回復もしくは改善がみられ、全身状態が安定しているとき
  2. 原則として14日以上の入室を避けること

細目

  1. 呼吸状態の安定が得られたとき
    原則として人工呼吸を必要とせず、抜管してあること。ただし、人工呼吸管理下であっても、呼吸状態が安定していれば退室する場合もある。
  2. 循環動態の安定が得られたとき
    カテコラミン等の微量点滴が必要な薬剤は、投与を中止もしくは漸減可能であること。
    侵襲的な循環系モニタリングは、原則として不必要であること。
  3. 意識は清明で、応答可能であるとき
    意識レベルが清明でなくても、安定していれば退室する場合もある。
  4. 血液浄化などの特殊治療が不要となったとき
    特殊治療の継続が必要な場合でも、一般病棟もしくはHCUで管理可能と判断されれば退室する場合もある。

4)沿革

昭和49年4月の附属病院開院と同年10月からの開心術開始に伴い、翌11月、術後管理のために臨時の1床が開設されたのが本院集中治療部の始まりである。その後、附属病院における高度医療の発展と質の向上のため、独立した集中治療ユニットとその専門医師の必要性から昭和52年8月、「ICU-CCU部」として正式に4床で開設され、昭和60年に7床、平成2年に13床へと増床を繰り返し、平成5年には「集中治療部」と名称を替えている。この間、集中治療専任医師の増加に伴い、平成元年12月、麻酔科との兼任を発展的に解消することによって独立した診療ユニットとしての体制を確立し、名実ともに日本における「集中治療医学」のパイオニア的存在となった。

その後は平成14年の新館開設に伴う移転、平成30年の新館南棟開設に伴う移転を繰り返しながら増床している。

5)現状

本院集中治療部の最大の特色は、集中治療の適応があるあらゆる年齢層のあらゆる疾患を収容対象とし、関連各科とのチーム医療の下、集中治療専任医師グループが核となって24時間体制でその管理を遂行している点にある。すなわち、単なる術中管理の延長としての術後管理にとどまらない、呼吸・循環管理や血液浄化、代謝・栄養管理、感染管理などを駆使した、専門医によるgeneral ICUの実現である。このような専門医集団による独立診療ユニットとしてのスタイル(closed system ICU)は本邦でも次第に増えつつあるが、本邦におけるclosed ICUの先駆け的存在である当部署に対する院内各診療科の評価は高く、このことが年間1,000名を超える入室患者数と患者背景の多様性に現れており、その内訳は外科系成人患者の術後管理のみならず、内科系、小児系と幅広く分布している。

重症患者管理の基本となる呼吸管理は本院集中治療部の得意分野であり、死亡患者に占める急性呼吸不全の割合が少ないことももう一つの特徴であるが、近年では人工呼吸管理を受ける患者ケアの精神面からのアプローチもさかんに行われており、その成績は関連学会などでも注目を集めている。

6)主治医および担当医等の位置付け

集中治療専従医は、患者主治医の依頼を受け、集中治療部内での患者管理に当たる。その際、主治医グループとの連絡を密にし、合議の上、診療方針の決定を行なう。

ICU担当医は、指導医の指導の下、直接患者診療を行なう。

7)施設認定

  • 日本集中治療医学会認定専門医研修施設
  • 日本呼吸療法医学会認定専門医研修施設
  • 日本内科学会認定教育施設

8)専門医

3.実績・クリニカルインディケーター

1)部門統計(2020年1月~12月)

入室患者数(診療科系列別)

(死亡例数)

主な入室理由別患者数

平均在室日数

特殊治療施行症例数

4.2021年の目標・事業計画等

2020年は、COVID-19の流行によって全てが一変した一年であった。

当部門は流行初期から県内の最重症患者を受け入れ、治療に当たった。2017年より患者管理の向上と安全性の確保、そして診療の効率化を目指し、臨床・医療機器情報の集約化と中央化、治療の自動化、監視モニターの設置等を進めてきたが、これらはCOVID-19患者管理においても非常に有用であった。また、これまで積み重ねてきた重症呼吸不全に対する最新の治療戦略の実装も、COVID-19の治療成績に良好な結果をもたらしたと思われる。

このような事前の対策があったにも関わらず、COVID-19の診療がICUスタッフに与える心身のストレスは非情に強いものであった。

2021年は"After Corona"として、世界が変わりはじめる年になることが予想される。医療側も変動する世界に合わせた変革が必要となるであろう。コロナ禍は、本邦における数々の医療体制の問題点も浮かび上がらせた。一施設、一部門で改善できることには限界があるが、目指すべきは医療人材・資源配備の適正化と診療の効率化と同時に、様々な局面に対応できる臨床能力の育成と、突発的な負荷に対応できるcapacity(余裕)の確保と考える。

以上から、2021年はICUスタッフの充実とICUシステムの継続整備、研修医・看護スタッフの教育を目標とする。

2020年は、重症部門管理システムと、日本集中治療医学会が運営するICU患者データベース(JIPAD)を連携するシステムを構築することができた。2021年から本格的な稼働を予定している。

COVID-19の流行に対して行った入室調整と救急患者の減少により、2020年のICU入室患者数は例年と比較して2割程度減少した。2021年は、流行の終息が得られ、例年の入室患者数を達成することを期待したい。

研究に関しては、人工知能を用いた重症患者の循環管理、急性呼吸不全に対する画像評価や人工呼吸管理、敗血症性臓器障害の評価、せん妄の評価と画像診断等を主要テーマとしている。2020年は、敗血症性凝固障害や急性呼吸不全に対する人工呼吸管理の新概念について、学会発表を行った。引き続き研究成果を発信していく方針である。

5.過去実績