脳神経センター内科部門(脳神経内科)【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2023年4月1日現在)
科長 |
(教授) |
藤本 茂 |
医員 |
(教授) |
田中 亮太(兼務) |
(学内教授) |
小出 玲爾 |
(特命教授) |
村松 慎一(兼務) |
(学内教授) |
森田 光哉(兼務) |
(講師) |
松薗 構佑 |
益子 貴史 |
(助教) |
阿南 悠平 |
(病院講師) |
秋本 千鶴 |
(病院助教) |
鈴木 雅之 |
シニアレジデント |
|
10名 |
2.診療科の特徴
脳神経内科の対象疾患は、脳血管障害、神経感染症、神経変性疾患、神経免疫疾患、神経機能疾患(頭痛、てんかん等)、末梢神経疾患、筋疾患と多岐にわたる。現在、脳神経内科外来は、毎日3〜4診で、年間15533人、うち新患が646人である。病棟は7階西病棟に31床あり、年間592人受け入れた。脳血管障害や脳神経感染症、てんかん重積発作、脳炎などの緊急入院の患者が過半数を占め、地域医療の拠点病院としての役割を担っている。
脳神経外科、救命救急センターとの連携を重視しており、スムーズな急患対応が可能となっている。脳血管障害では専門医を中心に超音波診断を重視し、急性期に頸動脈エコー、経食道心エコー、下肢静脈エコー、経頭蓋カラードプラなどを病棟で施行し、正確な病態診断に基づく迅速な治療選択が可能となった。また、学生教育、レジデント教育にも力を注いでおり、診療・教育・研究が一体となったチームを目指している。
施設認定
- 日本内科学会認定医制度教育病院
- 日本神経学会教育施設
- 日本脳卒中学会認定研修教育病院
- 日本脳卒中学会認定一次脳卒中センター
学会専門医
日本神経学会認定専門医 |
藤本 茂 他8名 |
日本脳卒中学会専門医 |
藤本 茂 他3名 |
日本内科学会認定総合内科専門医 |
松浦 徹 他2名 |
日本人類遺伝学会専門医 |
松浦 徹 |
日本東洋医学会漢方専門医 |
村松 慎一 |
日本リハビリテーション医学会専門医 |
森田 光哉 |
3.診療実績
3-1)新来患者数・再来患者数・紹介割合
新来患者数 |
646人 |
再来患者数 |
14,887人 |
紹介率 |
115.4% |
3-2)入院患者総数:592人
脳脊髄血管障害 |
268例 |
|
(急性期 |
234例 |
神経感染症(脳炎・髄膜炎など)、脳症 |
9例 |
神経変性疾患 |
78例 |
|
筋委縮性側索硬化症 |
30例 |
パーキンソン病関連疾患 |
22例 |
脊髄小脳変性症(MSA含む) |
9例 |
認知症 |
17例 |
免疫関連性中枢神経疾患(MS、脊髄炎など) |
35例 |
代謝・中毒性疾患 |
9例 |
腫瘍性疾患 |
2例 |
内科疾患に伴う神経疾患 |
27例 |
脊椎脊髄疾患 |
5例 |
末梢神経疾患(GBS、CIDP、CMTなど) |
12例 |
筋疾患・神経筋接合部疾患 |
39例 |
てんかん |
24例 |
機能性疾患 |
6例 |
その他 |
78例 |
3-3)手術症例病名別件件数
胸腺摘除術 |
3例 |
内視鏡的胃瘻増設術 |
13例 |
気管切開術 |
4例 |
3-4)治療成績
脳梗塞rt-PA静注療法 |
25例 |
血栓回収療法 |
11例 |
3-5)合併症例
なし
3-6)死亡症例・死因・剖検数・剖検率
死亡退院症例診断名
脳脊髄血管障害 |
13例 |
運動ニューロン疾患 |
1例 |
神経感染症 |
1例 |
胸部大動脈瘤破裂 |
1例 |
計 |
16例 |
剖検症例診断名 0例
剖検率 0%
3-7)主な検査・処置・治療件数
電気生理検査
末梢神経伝達検査 |
351件 |
針筋電図 |
44件 |
脳波 |
479件 |
ポータブル脳波 |
158件 |
超音波検査
経食道心エコー |
199例 |
頸部血管エコー |
250例 |
生検
3-8)カンファランス症例
診療科内の症例検討会
新入院・退院カンファランス 年50回
他科のカンファランス
脳卒中カンファレンス(脳神経外科と合同) 年50回
3-9)キャンサーボード
なし
4.2023年の目標・事業計画等
1)脳血管障害
脳卒中は近年病態解明が進み、治療法も急速に進歩しているが、未だわが国の死因の3位、要介護原因の第1位を占めている。加えて、栃木県の脳卒中死亡率は全国上位であり、当センターに求められている役割は非常に大きい。日本脳卒中学会からは一次脳卒中センターの認定を受けており、引き続き、脳卒中の救急医療および一次予防・二次予防をさらに充実するために、センター内各部門の協力体制をこれまで以上に整えて、集学的治療・管理を行い、脳卒中医療水準の向上を図りたい。具体的には、
- 急性期脳梗塞患者の受け入れを昨年の234例から少250例に増加させる。また、稼働率100%を維持する。
- 超急性期血行再建治療適応症例を増やし、rt-PA静注療法を少なくとも30例に施行する。
- 超音波診断に力を入れ、検査施行数を増やす。
- 近隣の後方病院との連携を深め、入院期間の短縮をめざす。
- 脳血管障害の精査・治療導入の短期入院を増やす。
を目標とする。近未来的にStroke Unit(SU)の開設を目指し、脳卒中チーム医療の充実を図る。
2)神経変性疾患
引き続き、パーキンソン病、認知症、脊髄小脳変性症、脱髄性疾患、筋萎縮性側索硬化症、筋疾患、末梢神経疾患などについて、最先端の検査治療法の導入に努めていきたい。積極的な患者の受け入れをすすめるとともに、後方病院との連携、在宅医療との連携を深め、地域全体での診療体制の充実を図る。新型コロナウイルスの影響がなお残るが、神経生理検査、生検など専門的な検査件数を増やし、神経救急疾患への対応にもさらに積極的に取り組み、脳血管障害と合わせ年間600例の入院症例を確保したい。