透析センター[アニュアルレポート] | 病院のご案内 | 自治医科大学附属病院
病院のご案内
  1. トップページ
  2. 病院のご案内
  3. アニュアルレポート
  4. 透析センター

透析センター【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2020年4月1日現在)

部長 (学内教授) 齋藤  修
副部長 (教授) 長田 太助
医員 (特命教授) 秋元  哲(兼)
(准教授) 前嶋 明人
武田 真一(派遣中)
(特命准教授) 小林 高久(兼)
(講師) 鈴木 倫子
岩津 好隆(兼)
増田 貴博
(学内講師) 大西  央(兼)(派遣中)
吉澤 寛道
(助教) 今井 利美(兼)
(病院助教) 岡田 麻里
三木 敦史
菱田英里華(派遣中)
シニアレジデント 12名(うち4名派遣中)

2.診療部の特徴

入院透析センターでは、18台の血液透析機器および2台の個人用透析機器、3台の特殊血液浄化機器を用い、医師、看護師、臨床工学士からなるチーム医療による透析診療をおこなっている。年間新規透析導入患者数は県内導入患者総数の約2割を占め、本年度も血液透析新規導入90名、腹膜透析新規導入8名の計98名を透析療法に導入した。

一方で、虚血性心疾患をはじめとする透析患者の合併症治療のため、周術期の透析を精力的に行っている。また、特殊血液浄化療法についても劇症肝炎、膠原病、重症潰瘍性大腸炎、自己免疫性神経・筋疾患、難治性腹水、生体肝移植患児や血液型不適合腎移植患者に対する治療をおこなっている。在宅透析医療としては、腹膜透析導入および外来診療も積極的におこなっている。

2013年1月からは外来血液透析センターを開設し、現在、計20台の血液透析機器を有し、外来血液透析患者の維持血液透析をおこなっている。この外来透析施設は単に維持透析を目的とした施設ではなく、腎移植後透析再導入患者や、腹膜透析、血液透析併用ハイブリッド透析患者などが多く加療する特色のある外来透析施設である。

認定施設

  • 日本腎臓学会研修施設
  • 日本透析医学会認定施設

認定医、専門医、指導医

日本内科学会認定内科医 長田 太助 他26名
日本内科学会総合内科専門医 長田 太助 他14名
日本内科学会総合内科指導医 長田 太助 他8名
日本腎臓学会認定腎臓専門医 長田 太助 他20名
日本腎臓学会認定指導医 長田 太助 他7名
日本透析医学会認定専門医 齋藤  修 他16名
日本透析医学会認定指導医 齋藤  修 他5名
日本高血圧学会専門医 長田 太助
日本高血圧学会指導医 長田 太助
日本内分泌学会内分泌代謝専門医 長田 太助
American Society of Nephrology, Corresponding member 長田 太助 他1名
International Society of Nephrology, Active member 長田 太助 他1名

3.実績・クリニカルインディケーター

入院透析センターは、月・水・金曜日は午前・午後の2クール、火・木・土曜日は午前1クールで、血液透析および特殊血液浄化療法を施行している。ICU、CCU、HCU管理や感染症などで隔離管理を要する患者に対しては出張による血液透析を施行している。夜間や休日は、腎臓内科医師と臨床工学士が当宅直体制で対応し、臨時、緊急透析を施行している。

外来透析センターは、維持期透析患者を対象に月曜日から土曜日の午前1クールで血液透析を施行している。腹膜透析患者は、火・木曜日に入院透析センターにおいて定期外来診療を行ない、主に入院血液透析センターにて腹膜透析、血液透析併用患者の加療を行っている。

透析患者に関する診療カンファレンスは、医師、臨床工学士、看護師で毎日実施しており、効率的で安全なチーム医療を行うための情報共有に努めている。

血液浄化療法(1月~12月の延べ数)

入院透析センター
血液(濾過)透析 5,147
特殊血液浄化 298
そのうちの病棟出張件数 193
5,638件
外来透析センター
血液透析 2,798
2,798
腹膜透析外来総数 461

新規透析導入患者数(1月~12月)

血液透析 90
腹膜透析 8
98

特殊血液浄化療法(1月~12月の延べ数)

単純血漿交換法 176
二重膜濾過血漿交換法 25
血漿吸着法 0
血液吸着法 46
LDL吸着法 12
腹水濃縮 39
298

入院透析センターにおける血液(濾過)透析、特殊血液浄化療法の施行件数は5638回であった。2016年以来、年間試行回数6000回以上で推移していたが、今年度はそれを下回った。これは、当院からリハビリ可能な施設などへの転院先が増えた結果、より急性期に集約した透析療法が行われるようになったことを反映しての結果と考えられる。入院患者数全体では栃木及び近隣県の透析合併症患者を積極的に受け入れた結果、入院加療が必要な重症例や周術期出張透析例は依然、増加しており、今後更に需要が増えると考えられる。実際に入院透析患者では虚血性心疾患、弁膜症、不整脈などの循環器疾患、消化管出血、肝癌等の消化器・肝臓疾患、脳梗塞、脳出血等の神経疾患、骨折、膝関節、股関節症や脊柱管狭窄症などの運動器疾患や眼科疾患での入院が多く、各診療科の主治医と連携しながら、重症透析患者の加療に尽力している。また、ブラッドアクセストラブルについても近隣施設との病診連携が進み、外来での修復が可能な例は近隣施設で、困難な例や人工血管挿入術などが必要な症例は、入院の上、当院腎臓外科医によるグラフト挿入術や、腎臓内科医によるシャントPTAや長期留置型カテーテル留置などを併用して加療に当たっている。このような病診連携の効果が広く知られ、本年度は栃木、埼玉、茨城は元より、一部、群馬県や福島県にも及ぶ広範囲な患者の治療受け入れが可能となっている。

医療安全の面では、これまでにも慢性腎不全の合併症加療目的で入院が必要となった透析患者を各科と密接に連携しながら加療を行ってきた。

2019年度はこの点において大きな進歩を見せる取り組みが行われた。2018年度までは入院透析センターへの移動が困難であった患者でもICUやCCUへの入室適応がない場合、各科病棟で出張透析を行っていた。しかし、治療スペースや患者モニタ機材の問題から決して医療安全が整った環境での透析とは言えず、早急な改善が必要であった。この問題を解決すべく、2019年度より当院にHCUが開設されたのを契機に、これまで多病棟で行われていた出張透析をHCUに集約する事を実践し、現在では病棟透析が必要な場合はHCUでの透析が可能となる体制を確立した。この結果、2019年度からは、重症患者に対しても、より安全な透析治療が可能となった。

4.2020年の目標・事業計画等

  1. 入院透析センターでは、2019年の患者増加数は現状のスタッフ人数では既に限界に達しようとしている。質的にもより重症度が高い患者の加療や周術期の出張透析数増加など、人的、物理的限界を来しつつある。この問題は当院だけでの解決は困難で、医療連携のもと、改善を図り現在では地域中核病院や透析が可能なリハビリ施設への転院を促し、徐々に効果が得られてきている。2020年度は、この病診連携を更に進めていくと同時に、より急性期に特化した透析治療に邁進していく。
    一方で、入院患者の高齢化に伴い、急性腎障害(acute kidney injury; AKI)の院内発症が当院でも、年々増加の一途を辿っている。AKI重症例には透析による腎補助療法が必要になるが、慢性腎臓病と異なり、腎機能の回復にも尽力する必要がある。このため、2020年度は、腎臓内科の医師と協力し、AKIに対する集学的治療をより一層、入院透析センターでも取り組んでいきたいと考えている。
  2. 外来透析センターについては2013年に開設され、2015年度までは月、水、金曜日のみの施行であったが2016年度より火、木、土曜日のクールも稼働し、より多くの患者の加療にあたっている。現在では、腹膜透析と血液透析を併用するハイブリッド透析患者数が増加の一途を辿っており、このような患者はこれまで入院透析センターで加療に当たったが、外来透析センターへの移行が可能となり、入院透析センターのベッド数に影響を与えることなく、より集約的な外来透析治療を行えるようになってきている。
    2020年度の新たな取り組みとしては、当院外来透析センターでの、透析導入期治療の充実を目標に掲げている。これまでは血液透析に導入した患者は早期に各地域の維持透析施設での外来治療に移行していたが、透析導入期は、透析以外にも多岐に渡る腎不全合併症のスクリーニングや治療開始が必要になってくる。2020年度は、透析開始だけではなく、透析導入後の予後や患者教育を意識した、真の意味での透析導入に取り組み、之基準を満たした患者を維持透析先に紹介する、より積極的な透析病院として外来透析センターを進化させたいと考えている。
  3. 腹膜透析については、わが国の慢性透析患者の約97%は血液透析療法を受けているが、外国との比較や、厚生労働省が推進する在宅医療普及の観点から、腹膜透析のより一層の普及が求められる。腹膜透析は、若年患者では腎移植までの橋渡し治療法として、高齢者には在宅透析の有効な手段として、大きな利点がある。その一方で、栃木県は全国でも腹膜透析普及率が低いことが知られており、普及率の向上が望まれている。当院では、新規透析導入患者に占める腹膜透析患者は2018年度が9.8%であったが、2019年度には10.2%と更に上昇している。現在の栃木県の腎不全医療を取り巻く状況では県北や、両毛地域では腹膜透析導入病院が点在するものの小山、下野、上三川、宇都宮を結ぶ地域では当院以外にはほとんど腹膜透析を導入していない状況である。この点からも、当院が腹膜透析導入率をアップしていくことは、在宅腹膜透析医療の普及が遅れている栃木県において、当院に課せられた重要な課題と考えている。2020年度には、当院での腹膜透析導入患者数の増加は元より、より多くの透析施設で腹膜透析治療が可能になるよう尽力していく所存である。そのためにも、2020年度は患者数のみならず、医療従事者への教育、啓発や関連施設および訪問診療医や地域訪問看護センターとの更なる連携をはかりながら、腹膜透析の普及を牽引したいと考えている。
  4. 当センターでは、透析看護認定看護師を含む専門スタッフが中心となり、慢性腎臓病患者や家族を対象とした勉強会(名称:とちまめ会)を月2回定期開催している。慢性腎臓病対策の普及・推進活動を今後も継続して行っていく予定である。また、2016年からはこれまでの透析療法従事者研修に加え看護師特定行為研修も広く受け入れを開始しており、本学のみならず地域医療における透析療法の教育に尽力している。本年度もより多くの研修希望者を受け入れ教育にも尽力していく所存である。

5.過去実績