薬剤部[アニュアルレポート] | 病院のご案内 | 自治医科大学附属病院
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薬剤部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2020年4月1日現在)

薬剤部長 今井  靖(薬理学講座 臨床薬理学部門・教授)
副薬剤部長 中澤 寛仁
釜井 聡子(感染制御部兼務)
吉岡 崇幸
片野 昌宏(医療の質向上・安全推進センター兼務)
主任薬剤師 荒川 昌史(緩和ケア部兼務)
小倉 明子
大塚由紀子
若林 宏海
荒川 祐輔
稲見  薫
奥田 泰考
小林  亮
薬剤師 60名
事務 1名
関係部署 霜多 博孝(医療の質向上・安全推進センター専従)
大友 慎也(感染制御部専従)

2.薬剤部の特徴

薬剤部では、医薬品の調剤、製剤、供給管理、情報提供、TDM(薬物血中濃度モニタリング)、病棟薬剤業務および服薬指導等を通じ、医薬品の安定供給と適正使用に貢献している。さらに、これらの業務を相互に連携させることにより、医薬品に係わるリスクの防止に努めている。

・施設認定

  • 日本臨床薬理学会認定薬剤師制度研修施設
  • 日本医療薬学会医療薬学専門薬剤師制度研修施設
  • 日本医療薬学会がん専門薬剤師研修施設
  • 日本医療薬学会薬物療法専門薬剤師研修施設
  • 日本薬剤師研修センター実務研修生受入施設
  • 日本薬剤師研修センター小児薬物療法認定薬剤師制度受入施設
  • 日本緩和医療薬学会緩和医療専門薬剤師研修施設

認定・専門薬剤師

日本臨床薬理学会指導薬剤師 1名
日本臨床薬理学会認定薬剤師 1名
日本医療薬学会医療薬学指導薬剤師 1名
日本医療薬学会医療薬学専門薬剤師 3名
日本医療薬学会がん指導薬剤師 1名
日本医療薬学会がん専門薬剤師 4名
日本医療薬学会薬物療法専門薬剤師 1名
日本臨床栄養代謝学会栄養サポートチーム専門療法士 3名
日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師 2名
日本緩和医療薬学会緩和医療暫定指導薬剤師 1名
日本緩和医療薬学会緩和薬物療法認定薬剤師 1名
日本小児臨床薬理学会小児薬物療法認定薬剤師 3名
日本医療情報学会医療情報技師 1名
日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師 7名
日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師 2名
日本病院薬剤師会認定指導薬剤師 2名
日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師 6名
日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師 8名
日本リウマチ財団登録薬剤師 2名
日本災害派遣医療チーム(DMAT)登録隊員 1名
日本アンチドーピング機構(JADA)スポーツファーマシスト 1名

3.実績・クリニカルインディケーター

1)業務内容

①外来・入院調剤業務

調剤部門では、入院患者および外来患者の調剤を行っている。外来調剤においては、1998年の院外処方せん発行開始以来様々な業務の合理化を行ってきた。2019年は、院外処方せん発行率90%を目標に、院外処方せんが発行できない一部外来患者への処方せん調剤と薬剤情報提供の他、在宅療養に必要な器材や検査・処置用薬、病棟配置薬の供給、治験薬の調剤や院外の保険薬局からの疑義照会窓口として活動した。

②製剤・医薬品調製業務

製剤部門では予め使用頻度の高い薬剤の混合や分包(一般製剤・無菌製剤)、医師からの依頼による特定の患者を対象とした市販されていない剤形や規格の薬剤調製(院内特殊製剤)、リスクの高い注射薬であるTPN(中心静脈栄養)や抗がん剤の混合調製を行っており、現在は休日を含め院内で使用するTPNおよび抗がん剤の調製は全て薬剤部で実施している。

2011年、日本核医学会ほか3団体の共同作業により「放射性医薬品取り扱いガイドライン」が作成された。薬剤部では、2012年6月から薬剤師による放射性医薬品の院内調製(99Mo/99mTcジェネレーターからの99mTcの抽出、テクネMAAキットおよびテクネフチン酸キットにおける99mTcの標識など)と管理を開始し、2019年には骨転移疼痛緩和剤メタストロン注も含めた放射性医薬品の管理と調製を実施している。

過去5年間における注射薬混合調製数
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
TPN(病棟/在宅) 4,425 3,264 2,676 3,421 2,802
抗がん剤(病棟) 9,817 10,107 9,968 10,560 9,703
抗がん剤(外来) 15,146 15,945 17,277 18,283 20,891
一般薬 (病棟/外来) 17,376 11,622 10,351 10,057 14,368
放射性医薬品 750 764 850 791 529

③医薬品情報業務

医薬品情報部門では院内の医師や他の医療スタッフからの医薬品に関する問い合わせに答える他、「第19版薬効別分類医薬品集(2019)」を発行した。また、医療情報システムにおける採用医薬品のマスタ管理、オンライン医薬品情報システムのメンテナンスを行っている。さらに、薬事委員会の庶務を担当し委員会の適切な運営等に当たるとともに、2019年4月からは医薬品の適応外使用審査事務局も併設した。なお、薬事委員会では厚生労働省の後発医薬品使用促進政策に基づき、2007年より後発医薬品の導入を開始し、2019年は16品目(26規格)を先発医薬品から後発医薬品へ切り替え、2019年の後発医薬品数量シェア(置換え率)は平均84.4%であった。

④薬剤管理指導業務およびTDM(薬物血中濃度モニタリング)業務

薬剤管理指導部門では入院患者に対し、処方された薬の薬効や副作用、使用上の注意等を説明するとともに、副作用等の発現状況の確認や、医薬品を使用する上での相談に乗る等の業務(薬剤管理指導業務)を行っている。病棟薬剤業務の実施に伴い、薬剤管理指導業務に係る件数が大幅に減少したが、今後は増加を図っていく予定である。2014年4月からは薬剤師腫瘍外来を外来治療センター内に設置し、がん化学療法および緩和ケアを受ける患者への服薬指導等にあたっている。さらにTDM業務においては抗菌薬や移植患者に対する免疫抑制薬の個別投与設計支援を中心にテーラーメイド医療に貢献している。

過去5年間における薬剤管理指導業務量およびTDM実施数
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
病棟服薬指導患者数(人) 1,802 1,496 323 411 656
病棟服薬指導件数(件) 2,796 2,232 365 470 812
持参薬確認件数(件) 9,176 15,879 14,113 14,383
薬剤師腫瘍外来( 件) 2,505 2,671 3,047 3,216 4,538
TDM実施件数(件) 1,038 1,020 1,512 1,544 1,765

⑤薬品管理業務および病棟薬剤業務

医薬品管理部門では院内で使用する医薬品の安定供給および病棟に在庫する医薬品の管理に寄与している。また、2001年からは中央手術室に薬剤師1人を常駐させ、麻薬、毒薬、麻酔薬等の取り扱いに注意を要する医薬品の使用管理、血液製剤を中心とする特定生物由来製剤の記録管理を実施している。2016年4月からは全病棟で予定入院患者が持参する常用薬の確認を開始し、また、2017年7月から医療スタッフへの医薬品情報提供を中心とした病棟薬剤業務を行い、病棟薬剤業務実施加算の取得を開始した。しかし、加算取得に係る施設基準を満たすことが困難になったため、2019年8月に申請を取り下げた。

⑥子ども医療センター薬剤部

子ども医療センターの開設に併せてセンター内に2人の薬剤師を配置し、病棟薬剤業務および調剤した内服薬や外用薬の服薬指導等を外来患者と入院患者を対象に実施した。

2)業務実績(2019年1月~12月)

①外来調剤に関すること

外来処方せん枚数(院内調剤) (枚) 61,672
注射処方せん枚数 (枚) 22,574
外来患者への薬剤情報提供件数 (件) 892
在宅療養用器材等交付件数 (件) 19,241
院外処方せん枚数(枚) 252,261
院外からの疑義照会受付件数(件) 23,340

②入院調剤に関すること

入院処方せん枚数(件) 306,079
注射処方せん枚数(枚) 230,366

③製剤に関すること

製剤総件数(件) 4,253
一般試験および水質検査件数 (件) 239

④医薬品管理・医薬品情報に関すること

医薬品情報室への問い合わせ件数(件) 558
医療スタッフ等への情報提供件数(件) 186

⑤治験に関すること

治験薬受け入れ件数(新規)(件) 26

3)その他

①医薬品の安全管理体制整備

近年医療事故が多数報告され、残念ながらその多くが医薬品に関連したものとなっている。薬剤部では2011年から病棟担当薬剤師が病棟スタッフを対象に危険薬(ハイリスク薬)の取扱いについての教育・指導を実施してきた。2016年4月から副薬剤部長1名が医療安全対策部を兼務するとともに医薬品安全管理責任者となり、医薬品による医療事故防止のための研修等を全職員対象に実施している。さらなる事故防止の徹底を図るため、2017年4月からは、薬剤師1名が医療の質向上・安全推進センター専従となり、院内における医療安全に貢献した。

②チーム医療への参画

薬剤部ではこれまで移植チーム、医療情報部、腫瘍センター、感染制御部および緩和ケア部等への支援体制をとってきた。2008年からはNST(栄養サポートチーム)の病棟ラウンドが開始となり、薬剤部からもNST専門薬剤師が参加している。

③治験薬の管理

これまでの臨床試験センターが2013年4月からは"とちぎ臨床試験推進部"と組織改変されたが、薬剤部では引き続き治験薬の保管や調剤等を通じて適正な臨床試験(治験)の運営に協力した。

④実習生および研修生の受け入れ

2019年は、年間を通じて国際医療福祉大学薬学部学生24人の病院実務実習の受入を行った。さらに、小児薬物療法認定薬剤師制度に関わる研修生5人の受け入れを行った。

⑤地域・僻地医療に対する貢献

公衆衛生の向上に寄与する目的から薬剤部への見学者の積極的な受け入れを行った。また、地域の薬剤師会と連携し、がん薬物療法等に関する研修会を実施した。

4.研究業績

(A)学術論文

  1. Okada N, Sanada Y, Onishi Y, Urahashi T, Ihara Y, Yamada N, Hirata Y, Katano T, Imai T, Ushijima K, Ogaki K,, Otomo S, Mizuta K.:The Causes and Outcomes of Early Relaparotomy Following Pediatric Living Donor Liver Transplantation. Liver Transpl. 2019 Jul; 25(7): 1066-1073

(B)学会発表

  1. 大柿景子大友慎也今関 稔 , 鈴木 潤,利根 大,大西 翼,笹原鉄平,森澤雄司:FosfluconazoleによりTacrolimusの代謝阻害を認めた肝移植症例.第67回日本化学療法学会総会.2019年5月(東京)
  2. 大友慎也, 大柿景子, 水田耕一,大西康晴,眞田幸弘,山田直也,岡田憲樹,平田雄大,牛島健太郎,森澤雄司,須藤俊明 :移植患者の感染対策 肝移植における感染制御 小児,感染,TDMを担う薬剤師の視点から.第36回日本TDM学会学術大会.2019年5月(東京)
  3. 清水 敦,竹内瑞枝,齋藤暢是,荒川昌史 ,竹川航平,成田龍矢,内山 歩,小林亜美,杉山瑞穂,高橋詳史,丹波嘉一郎:ヒドロモルフォン塩酸塩の持続皮下注入にて注射部位反応を認めた2例.第24回日本緩和医療学会学術大会.2019年6月(横浜)
  4. 清水 敦,竹内瑞枝,齋藤暢是,荒川昌史, 江 秉綸,五味 遙,高橋和也,春田英律,細谷好則,佐田尚宏,丹波嘉一郎:新規オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠による有害事象.第24回日本緩和医療学会学術大会.2019年6月(横浜)
  5. 大友慎也, 大柿景子, 佐久間康成,大西康晴,眞田幸弘,山田直也,岡田憲樹,平田雄大,宮原 豪,片野 匠,大豆生田尚彦,水田耕一,今井利美,吉田幸世,藤原エリ,森澤雄司,須藤俊明,佐田尚宏:肝移植チームにおける薬剤師の役割と今後の課題~自治医科大学18年の経験から~.第37回日本肝移植学会.2019年7月(京都)
  6. 大柿景子大友慎也, 眞田幸弘,岡田憲樹,平田雄大,山田直也,宮原 豪,片野 匠,大豆生田尚彦,大西康晴,佐久間康成,佐田尚宏,水田耕一,今井利美,吉田幸世,藤原エリ,須藤俊明:タクロリムス吸収不良が疑われた肝再肝移植の一症例.第37回日本肝移植学会.2019年7月(京都)
  7. 吉田幸世,藤原エリ,眞田幸弘,大西康晴,岡田憲樹,山田直也,平田雄大,宮原 豪,片野 匠,大豆生田尚彦,大友慎也, 大柿景子, 佐久間康成:当施設における肝移植後患者への就労支援の取り組みについて~就労支援事業を利用しアドヒアランス不良症例の社会復帰を試みて~.第37回日本肝移植学会.2019年7月(京都)
  8. 奥田泰考 :(シンポジウム27)胃がんにおけるトラスツズマブバイオシミラーの使用経験と課題.日本病院薬剤師会関東ブロック第49回学術大会.2019年8月(山梨)
  9. 岡田憲樹,眞田幸弘,宮原 豪,片野 匠,平田雄大,山田直也,大西康晴,今井利美,大友慎也, 大柿景子 ,吉田幸世,藤原エリ,佐久間康成,佐田尚宏:血液型不適合肝臓移植の現状と課題 小児ABO血液型不適合肝移植における術前血漿交換の抗体除去効果の検討.第55回日本移植学会総会.2019年10月(広島)
  10. 大西康晴,眞田幸弘,岡田憲樹,山田直也,平田雄大,片野 匠,宮原 豪,藤原エリ,吉田幸世,大柿景子 ,大友慎也 ,今井利美,水田耕一,佐久間康成,佐田尚宏:当院における肝移植患者のエベロリムス使用経験.第55回日本移植学会総会.2019年10月(広島)
  11. 田村敦子,朝野春美,大海佳子,大畑紀惠,黒田光恵,小谷妙子,佐藤恵梨香,手塚園江,藤原エリ,望月明見,吉田幸世,大柿景子,眞田幸弘,水田耕一:国外における肝移植レシピエントを対象とした移行期支援プログラムに関する文献レビュー.第55回日本移植学会総会.2019年10月(広島)
  12. Yasunari Okuda, Yuuki Mikame, Makoto Sinada, Hironori Yamaguchi, Hirofumi Fujii, Toshiaki Sudoh: Assessment of Efficacy and Adverse Effects of Trastuzumab Biosimilars for Gastric Cancer. 第57回日本癌治療学会学術集会.2019年10月(福岡)
  13. 奥田泰考三瓶祐貴品田 誠髙倉祐希菅 留理齋藤賢宏毛塚ちひろ星ちはる小林直人,藤井博文,須藤俊明:オピオイド誘発性便秘症へのナルデメジン投与開始時期と薬効の検討.第28回日本医療薬学会年会.2019年11月(福岡)
  14. 荒川昌史,清水 敦,山下尊子,鈴木理奈,竹内瑞枝,黒崎史朗,丹波嘉一郎,須藤俊明:オキシコンチンTR錠の添加物による有害事象と考えられた一例.第28回日本医療薬学会年会.2019年11月(福岡)
  15. 片野昌宏原 寛典吉岡崇幸,寺山美華,相場雅代,渡井 恵,中澤寛仁須藤俊明,味村俊樹,新保昌久:手術室における筋弛緩薬の紛失を契機とした毒薬・向精神薬の管理体制の見直し.第14回医療の質・安全学会学術集会.2019年11月(京都)
  16. 山川道代,高橋浩二,古内三基子,馬場千恵子,釜井聡子,長嶺智重子,茂木さつき,三輪田哲郎,坂本博次,倉科憲太郎:舌接触補助床および人工舌が口底癌術後患者の意欲改善,QOL向上につながった1例.第35回日本臨床栄養代謝学会学術集会.2020年2月(京都)

5.2020年の目標・事業計画等

  1. 薬剤管理指導業務の充実(診療参画の増強、多職種との連携強化)
  2. 副作用情報収集の強化
  3. 注射薬1施用ごとの調剤の拡大
  4. 採用医薬品の整理(フォミュラリーの策定)
  5. 保険薬局との連携強化(トレーシングレポートなどの導入)
  6. 薬剤師のキャリア形成・専門領域の深化

6.過去実績