病院のご案内
  1. トップページ
  2. 病院のご案内
  3. アニュアルレポート
  4. 薬剤部

薬剤部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2022年4月1日現在)

薬剤部長 今井  靖(薬理学講座 臨床薬理学部門・教授、副病院長)
副薬剤部長 中澤 寛仁
釜井 聡子(感染制御部兼務)
吉岡 崇幸
片野 昌宏(医療の質向上・安全推進センター兼務)
主任薬剤師 荒川 昌史(緩和ケア部兼務)
小倉 明子
大塚由紀子
若林 宏海
荒川 祐輔
稲見  薫
奥田 泰考
小林  亮
薬剤師 78名
事務 1名
関係部署 霜多 博孝(医療の質向上・安全推進センター専従)
大友 慎也(感染制御部専従)

2.薬剤部の特徴

薬剤部では、医薬品の調剤、製剤、供給管理、情報提供、TDM(薬物血中濃度モニタリング)、病棟薬剤業務および服薬指導等を通じ、医薬品の安定供給と適正使用に貢献している。さらに、これらの業務を相互に連携させることにより、医薬品に係わるリスクの防止に努めている。

・施設認定

  • 日本臨床薬理学会認定薬剤師制度研修施設
  • 日本医療薬学会医療薬学専門薬剤師制度研修施設
  • 日本医療薬学会がん専門薬剤師研修施設
  • 日本医療薬学会薬物療法専門薬剤師研修施設
  • 日本薬剤師研修センター実務研修生受入施設
  • 日本薬剤師研修センター小児薬物療法認定薬剤師制度受入施設
  • 日本緩和医療薬学会緩和医療専門薬剤師研修施設

認定・専門薬剤師

日本臨床薬理学会指導薬剤師 1名
日本臨床薬理学会認定薬剤師 1名
日本臨床薬理学会認定CRC 7名
日本医療薬学会医療薬学指導薬剤師 1名
日本医療薬学会医療薬学専門薬剤師 3名
日本医療薬学会がん指導薬剤師 1名
日本医療薬学会がん専門薬剤師 3名
日本医療薬学会薬物療法専門薬剤師 1名
日本臨床栄養代謝学会栄養サポートチーム専門療法士 3名
日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師 2名
日本緩和医療薬学会緩和医療暫定指導薬剤師 1名
日本緩和医療薬学会緩和薬物療法認定薬剤師 1名
日本医療情報学会医療情報技師 1名
日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師 15名
日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師 2名
日本病院薬剤師会認定指導薬剤師 2名
日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師 7名
日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師 10名
日本薬剤師研修センター小児薬物療法認定薬剤師 3名
日本リウマチ財団登録薬剤師 1名
日本災害派遣医療チーム(DMAT)登録隊員 1名
栃木県災害派遣医療チーム(LDMAT)登録隊員 1名
日本アンチドーピング機構(JADA)スポーツファーマシスト 4名
日本臨床試験学会GCPエキスパート 1名
日本臨床試験学会GCPパスポート 1名
日本循環器学会心不全療養指導士 2名
日本麻酔科学会周術期管理チーム薬剤師 2名
栃木県肝疾患コーディネーター 4名

3.実績・クリニカルインディケーター

1)業務内容

①外来・入院調剤業務

調剤部門では、入院患者および外来患者の調剤を行っている。外来調剤においては1998年の院外処方箋発行開始以来、種々の業務について合理化を行ってきた。
2021年においては外来処方箋の院外処方箋発行率増加の呼びかけ、調剤部門に調剤補助員(臨時職員)を導入し業務負担軽減策を積極的に進めた。院外処方箋が発行できない一部外来患者への処方箋調剤と薬剤情報提供の他、在宅療養に必要な器材や検査・処置用薬、病棟配置薬の供給、治験薬の調剤や院外の保険調剤薬局からの疑義照会窓口として活動した。また、院外処方箋に対する疑義照会への対応においては、包括合意を含め約800店余に上る近隣/近県の保険調剤薬局との間に≪院外処方せんにおける問い合わせ等の簡素化プロトコル≫を締結し、相互の業務の円滑化及び負担軽減に貢献した。

②製剤・医薬品調製業務

製剤部門では予め使用頻度の高い薬剤の混合や分包(一般製剤・無菌製剤)、医師からの依頼による特定の患者を対象とした市販されていない剤形や規格の薬剤調製(院内特殊製剤)、リスクの高い注射薬であるTPN(中心静脈栄養)や抗がん剤の混合調製を行っており、現在は休日を含め院内で使用するTPNおよび抗がん剤の調製は全て薬剤部で実施している。

2011年、日本核医学会ほか3団体の共同作業により「放射性医薬品取り扱いガイドライン」が作成された。薬剤部では、2012年6月から薬剤師による放射性医薬品の院内調製(99Mo/99mTcジェネレーターからの99mTcの抽出、テクネMAAキットおよびテクネフチン酸キットにおける99mTcの標識など)と管理を開始し、2019年には骨転移疼痛緩和剤メタストロン注も含めた放射性医薬品の管理と調製を実施している。

過去5年間における注射薬混合調製数
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
TPN(病棟/在宅) 2,676 3,421 2,802 1,859 2,533
抗がん剤(病棟) 9,968 10,560 9,703 11,136 11,171
抗がん剤(外来) 17,277 18,283 20,891 20,972 23,039
一般薬 (病棟/外来) 10,351 10,057 14,368 10,837 9,359
放射性医薬品 850 791 529 531 436

③医薬品情報業務

医薬品情報部門では院内の医師や他の医療スタッフからの医薬品に関する問い合わせに対応している。また、医療情報システムにおける採用医薬品のマスタ管理、オンライン医薬品情報システムのメンテナンスを行っている。さらに、薬事委員会の庶務を担当し委員会の適切な運営等に当たるとともに、2019年4月からは医薬品の適応外使用審査事務局も併設した。なお、薬事委員会では厚生労働省の後発医薬品使用促進政策に基づき、2007年より後発医薬品の導入を開始し、2020年は32品目(51規格)を先発医薬品から後発医薬品へ切り替え、従来、後発医薬品数量シェア(置換え率)85%前後であったが2020年に入って90%前後、2021年度からは90%超を常に維持されるに至った。また院内における標準的薬物療法実践のためのフォーミュラリー作成を開始し8薬効群についてのフォーミュラリー作成を実施・院内に公開した。

④診療支援およびTDM(薬物血中濃度モニタリング)業務

診療支援部門では入院患者に対し、入院時の持参薬確認や処方された薬の薬効や副作用、使用上の注意等を説明するとともに、副作用等の発現状況の確認や医薬品を使用する上での相談に乗る等の業務(薬剤管理指導業務)を行っている。2017年以降、病棟薬剤業務の実施に伴い、薬剤管理指導業務に係る件数が著減したが、2020年から薬剤管理指導に注力し、件数は大幅に増加した。
また、ICU、CCU、PICU、ERなどの重症部門における医薬品の管理(調剤、処方監査・提案など)を行い診療に貢献している。病棟薬剤業務については、2019年以降、加算取得に係る施設基準を満たすことが困難なため申請を取り下げていたが、診療支援スタッフの増員および他部署からの診療参画により病棟診療支援業務を充実化し2021年11月より病棟薬剤業務実施加算I, IIの算定を開始、維持継続しており、今後さらに充実させる予定である。外来患者については薬剤師腫瘍外来を外来治療センター内に設置し、がん化学療法および緩和ケアを受ける患者への服薬指導等を継続している。また国立成育医療センターと連携し妊娠と薬外来を薬剤部・臨床薬理学部門の連携で2020年4月から運用・継続している。さらにTDM業務においては抗菌薬や移植患者に対する免疫抑制薬の個別投与設計支援を中心にテーラーメイド医療に貢献している。

過去5年間における薬剤管理指導業務量およびTDM実施数
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
病棟服薬指導患者数(人) 323 411 656 2,036 11,495
病棟服薬指導件数(件) 365 470 812 3,088 13,825
持参薬確認件数(件) 15,879 14,113 14,383 14,304 14,211
薬剤師腫瘍外来( 件) 3,047 3,216 4,538 4,235 4,260
TDM実施件数(件) 1,512 1,544 1,765 1,156 1,998

⑤薬品管理業務

医薬品管理部門では院内で使用する医薬品の安定供給および病棟に在庫する医薬品の管理に寄与している。また、2001年からは中央手術室に薬剤師1人を常駐させ、麻薬、毒薬、麻酔薬等の取り扱いに注意を要する医薬品の使用管理、血液製剤を中心とする特定生物由来製剤の記録管理を実施している。院内医療従事者および職域接種におけるCOVID-19ワクチン管理業務(納入、温度管理等)およびCOVID-19ワクチン調製業務に従事した。

⑥子ども医療センター薬剤部

子ども医療センター内に薬剤室を設置し、外来患者からのお薬相談、入院患者に対する服薬指導や医薬品管理等、医療スタッフへの医薬品情報提供も行い、小児領域での薬物治療に貢献した。

2)業務実績(2021年1月~12月)

①外来調剤に関すること

外来処方せん枚数(院内調剤) (枚) 43,644
注射処方せん枚数 (枚) 25,406
外来患者への薬剤情報提供件数 (件) 369
在宅療養用器材等交付件数 (件) 21,924
院外処方せん枚数(枚) 257,562
院外からの疑義照会等受付件数(件) 19,104

②入院調剤に関すること

入院処方せん枚数(件) 318,509
注射処方せん枚数(枚) 188,567

③製剤に関すること

製剤総件数(件) 4,390
一般試験および水質検査件数 (件) 239

④医薬品管理・医薬品情報に関すること

医薬品情報室への問い合わせ件数(件) 979
医療スタッフ等への情報提供件数(件) 295

⑤治験に関すること

治験薬受け入れ件数(新規)(件) 15

3)その他

①医薬品の安全管理体制整備

近年医療事故が多数報告され、残念ながらその多くが医薬品に関連したものとなっている。薬剤部では2011年から病棟担当薬剤師が病棟スタッフを対象に危険薬(ハイリスク薬)の取扱いについての教育・指導を実施してきた。2016年4月から副薬剤部長1名が医療安全対策部を兼務、2020年からは部長が医薬品安全管理責任者、副部長が同副責任者となり医薬品にかかる安全・安心の医療実現のための管理・啓発活動を進めている。
加えて、医療事故防止の徹底を図るため2017年4月からは薬剤師1名が医療の質向上・安全推進センター専従となり、院内における医療安全推進・医療の質の維持/向上に貢献している。

②チーム医療への参画

肝移植チーム、臨床腫瘍センター、ICT・AST、緩和ケア、NST、褥瘡対策等への支援あるいはそのチームの一員として加わる形で積極的参画し適正な薬物治療の実践に貢献している。また他部門との連携として医療の質向上・安全推進センターや感染制御部に専従薬剤師を配置している。

③治験薬の管理

これまでの臨床試験センターが2013年4月からは"とちぎ臨床試験推進部"と組織改変されたが、薬剤部では引き続き治験薬の保管や調剤等を通じて適正な臨床試験(治験)の運営に協力した。

④実習生および研修生の受け入れ

2020年以降、COVID-19感染拡大・蔓延のため実習の受け入れの一時停止あるいは、対面実習とwebを用いたハイブリッド実習にするなどの工夫の上で実施している。

2021年については、国際医療福祉大学薬学部学生 合計16名(第II期 5名、第III期 4名、第IV期 7名)の病院実務実習を行った。なおIV期の薬学生に関して感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令となった関係で2022年1月下旬以降においてはweb実習にて対応を行った。

⑤地域・僻地医療に対する貢献

公衆衛生の向上に寄与する目的から薬剤部への見学者の積極的な受け入れを行った。また、地域の薬剤師会や近隣の保険調剤薬局と連携し、がん薬物療法、フォーミュラリー、トレーシングレポートの活用等に関する研修会(Web)を実施した。また地域(栃木県営大規模接種会場及び下野市接種会場)でのCOVID-19ワクチン接種支援派遣を行い、地域におけるCOVID-19感染対策に大きく寄与した。

4.研究業績

(A)学術論文

  1. 荒川昌史、清水敦、竹内瑞枝、杉浦康史、土肥昭博、千葉さおり、黒崎史朗、丹波嘉一郎 、今井靖:内服不可能な甲状腺機能低下患者さんのホルモン補充療法の方策は?:日本病院薬剤師会関東ブロック第51回学術大会:2021年8月(Web開催)
  2. 奥田泰考:がん薬薬連携の実際~大学病院の場合~:日本病院薬剤師会関東ブロック第51回学術大会 シンポジウム:2021年8月(Web開催)
  3. 藤村昭太荒川昌史、櫻木雅子、赤津理恵、清水敦、千葉さおり、黒崎史朗、竹内瑞枝、丹波嘉一郎、今井靖:これ(医療用麻薬)をもって、シンガポールに行くことができますか?:第31回日本医療薬学会年会:2021年10月(Web開催)
  4. 三瓶祐貴奥田泰考、山口博紀、今井靖:悪性褐色細胞腫に対するCVD療法施行時の副作用管理に介入した1例:第31回日本医療薬学会年会:2021年10月(Web開催)
  5. 今井 靖、久保田香菜、上野 修市、苅尾 七臣、荒川 昌史西島 秀和片野 昌宏吉岡 崇幸釜井 聡子中澤 寛仁:肺動脈性肺高血圧の原因特定あるいは治療に苦慮した2症例:第42回日本臨床薬理学会学術総会:2021年12月(Web開催)
  6. 中澤寛仁:外来がん薬物療法における病院と保険薬局との連携~自治医科大学附属病院では・・~:第80回日本公衆衛生学会総会 シンポジウム:2021年12月(東京)
  7. 原央奈、角佳亮、中澤寛仁:専門医療機関連携薬局の認定取得までの取り組みおよび現状と課題:日本臨床腫瘍薬学会学術大会2022:2022年3月(仙台)

(B)学会発表

  1. 中澤寛仁:連携充実加算の取り組み~自治医科大学附属病院では~:薬事新報2021 10/21日号 (3224号), P7-P11
  2. 中澤寛仁:"Stay Gold"~2022年、そして光り輝く未来に向けて~:薬事新報新春特別号2022 1/1日号(3234号), P32
  3. 荒川昌史、羽金利佐子、藤村昭太、西島秀和、小川みどり、桂田健一、海老沼慶一、大友慎也、吉川温子、鈴木理奈、中村陽子、菅留理、大柿景子、奥田泰考、今関稔、須田 史朗、片野昌宏、中澤寛仁、今井靖ナーシング・スキル 特定行為研修(自治医科大学看護師特定行為研修センター監修):エルゼビアジャパン:2022年
  4. 島田和幸、川合眞一、伊豆津宏二、今井靖 編集今日の治療薬 2022 南江堂 2022.01

5.2022年の目標・事業計画等

  1. 病棟薬剤業務・外来薬剤業務に係る人員の増加及びセントラル部門の効率化・充実化
  2. 病院機能評価受審指摘事項解決に向けた取り組み
  3. 医療安全への取り組み強化
  4. 教育体制の強化
  5. 時間外労働時間(超過勤務時間)の上限規制の遵守
  6. 病院経営への貢献
  7. 保険調剤薬局との連携体制強化及び地域医療への貢献

6.過去実績