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救命救急センター【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2023年4月1日現在)

センター長 (教授) 間藤  卓
副センター長 (学内教授) 米川  力
外来医長 (助教) 田中 保平
病棟医長 (助教) 藤屋 将眞
医員 (准教授) 伊澤 祥光
(准教授) 松村 福広
(助教) 新庄 貴文
(助教) 鷹栖 相崇
シニアレジデント   9名
研究生   2名

2.救命救急センターの特徴

自治医科大学救命救急センターは2002年9月1日に県内5番目の救命救急センターとして認可された。救命救急センターである。その立地条件やこれまでの経験から、救命救急センターのスタッフだけではなく、内科系、外科系のセンター当直体制とのハイブリッド体制により救急患者を診療する体制を作り、MC管内をはじめ北関東の救急要請を極力受け入れること拒否することなく、地域の基幹病院としての役割を果たしながら救命救急センターの運営を目指していることが特徴である。病院の中央部門として運営されており救命救急センター運営委員会がその内容をチェックする機構になっている。

夜間休日の診療は、救命救急センタースタッフ1~2名を2022年度からは常時2名体制とし、土日祭日は日勤を追加する体制となり、さらに症例に応じて外科系・内科系の救命センター当直がレジデントとともに共に救急患者の窓口として対応している。三次要請だけでなく、患者の重症度・緊急度に応じて救命救急センターのスタッフが必要と判断した二次要請については、救命救急センタースタッフが主に対応している。またその他の患者は内科・外科センター当直が対応することとなっている。そのほかに外科、整形外科、脳外科、麻酔科などは常時夜勤・当直医がおかれ、S評価としての基準を満たしているほか、その他の科も当直・宅直混合体制により、夜間休日といえども高度な医療を提供できる体制を目指している。

近年、二次医療機関で対応できず救命救急センターへ救急患者が集中するのは全国的な傾向である。患者の大病院志向、一次救急を診る診療所の減少、二次救急施設の疲弊、などいろいろな理由が考えられているが、残念ながら本来の大学病院、本来の救命救急センターとしての機能が十分に発揮できないところまで来てしまっている。最近は救急車の集中や手術室の空き状況などにより、搬送依頼を断らざるを得ない状況が見られるようになってきている。これに対して自治医大としては、地域の医師会、二次医療機関、消防機関、行政との連携をはかり、メディカルコントロール(MC)体制を確立し、初期救急医療施設が周辺の医師会の主導で設立されるとともに、二次病院・三次医療機関へ適切な振り分けを推進し、その結果、軽症患者の減少、二次・三次医療機関がそれぞれ適切な役割が果たせるようになってきた。この流れが、最近の救急患者総数の減少、入院数の増加、軽症救急車搬送数の減少、そして入院率の増加につながって来ている。

しかしながら、2020年末からのCOVID-19大流行で、再び救急医療体制は混沌とした状況になりつつある。当初はCOVID-19患者の中等症、重症患者を診る病床が不足し、救命救急センターも病棟の一部を専用とせざるを得なかった。さらに2022年に入っては、二次病院のコロナ病床確保のあおりを受けて、県内の二次病院の救急医療体制が著しい機能低下を興し、その結果、三次要請以外に二次要請が救命救急センターに押し寄せるとんでもない状況となっている。この状況が2023年もつづき、Sustainableな救命救急センターを目指すために多大な労力を割くこととなった。

本来、救急医療は、一病院、一救命救急センターだけで行うものではなく、救命救急センター、二次医療機関、初期医療機関、救急搬送機関、医師会、行政、地域の住民が一体となってシステムとして作り上げるものであるが、COVID-19の大流行は、長年かけて築き上げてきたその体制を崩壊させようとしている。現にCOVID-19患者が減少しても搬送困難例数の減少はそれに歩を合わせておらず、二次病院スルー問題、出口問題などを残したまま、アフターコロナ時代へと差し掛かっていることは危惧されるところである。

施設認定

  • 日本救急医学会指導医認定施設
  • 日本救急医学会専門医認定施設
  • 日本外傷学会専門医認定施設

専門医

日本救急医学会専門医・指導医 間藤  卓
米川  力
伊澤 祥光
日本救急医学会専門医 新庄 貴文
渡邊 伸貴
鷹栖 相崇
藤屋 将眞
古橋 柚莉
日本集中治療医学会専門医 間藤  卓
日本外科学会専門医・指導医 伊澤 祥光
日本外科学会専門医 新庄 貴文
渡邊 伸貴
日本外傷学会専門医 伊澤 祥光
日本ACS認定外科医 伊澤 祥光
新庄 貴文
日本腹部救急医学会認定医 伊澤 祥光
日本整形外科学会専門医 松村 福広
日本整形外科学会認定リウマチ医 松村 福広
日本整形外科学会認定脊椎脊髄医 松村 福広
日本整形外科学会認定スポーツ医 松村 福広
社会医学系指導医・専門医 新庄 貴文

3.実績・クリニカルインディケーター

図に示すとおりで、救急患者数は過去10数年にわたって増加の一途であったが、この数年は横ばいから明らかに減少傾向になった。他方、入院率は向上し50%近くとなり全体としては目指すとおりの望ましい傾向を示している。入院患者は、外傷(頭部外傷、胸部外傷、腹部外傷、四肢外傷、脊髄・脊髄損傷、多発外傷など)、熱傷、中毒(医薬品、農薬等)、内因性疾患(脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、血気胸、肺炎、消化管穿孔、敗血症、不明熱、肝膿瘍、イレウス、アナフィラキシー、ショック、蘇生後脳症など)、など多岐にわたっているが、特に今後、他院での診療が困難な、重症多発外傷患者をより多く受け入れることが、救急医療体制においても周囲の病院にとっても望ましいと考える。

ただし2020年末からのCOVID-19大流行で、再び救急医療体制は混沌とした状況になりつつある。当初はCOVID-19患者の中等症、重症患者を診る病床が不足し、救命救急センターも病棟の一部を専用とせざるを得ず、救命救急センターとしての病室は最悪8床まで減少した。またコロナ患者が増加時は一般の救急患者は著しく、その端境期はその逆となるシーソー現象を繰り返したため、よってこれまでの統計・実績との比較は困難である。さらに2022年に入っては、二次病院のコロナ病床確保のあおりを受けて、県内の二次病院の救急医療体制が著しい機能低下を興し、その結果三次要請以外に二次要請が救命救急センターに押し寄せるとんでもない状況となっている。

なお、厚生労働省の救命救急センター評価においては、2018年県内唯一のS評価を取得した。

また平成22年1月12日よりドクターカーの運行を開始して実績を上げている。

救急患者統計

  H12 H13 H14 H15 H16
救急患者数(人) 21,155 24,098 29,612 33,913 35,339
救急患者数
(即入院以外)(人)
18,233 20,960 25,263 28,958 30,432
即入院患者数 (人) 2,922 3,138 4,349 4,955 4,907
即入院率 (%) 13.8 13.0 14.7 14.6 13.9
救急車搬送数 (件) 2,351 2,798 4,490 5,158 5,136
  H17 H18 H19 H20 H21
救急患者数(人) 35,606 34,593 32,620 25,458 23,599
救急患者数
(即入院以外)(人)
30,581 29,683 27,401 20,400 18,438
即入院患者数 (人) 5,025 4,910 5,219 5,058 5,161
即入院率 (%) 14.1 14.2 16.0 19.9 21.9
救急車搬送数 (件) 4,970 4,649 4,515 4,383 4,563
  H22 H23 H24 H25 H26
救急患者数(人) 22,682 22,434 20,986 20,131 19,025
救急患者数
(即入院以外)(人)
17,046 16,798 15,368 14,803 13,802
即入院患者数 (人) 5,636 5,636 5,618 5,328 5,223
即入院率 (%) 24.8 25.1 26.8 26.5 27.5
救急車搬送数 (件) 5,225 5,577 5,573 4,953 4,912
  H27 H28 H29 H30 R1
救急患者数(人) 16,858 15,238 14,448 14,226 12,966
救急患者数
(即入院以外)(人)
11,885 10,478 9,796 9,492 8,281
即入院患者数 (人) 4,973 4,760 4,652 4,734 4,685
即入院率 (%) 29.5 31.2 32.2 33.3 36.1
救急車搬送数 (件) 4,489 4,327 4,351 3,941 3,818
  R2 R3 R4
救急患者数(人) 9,839 9,628 9,420
救急患者数
(即入院以外)(人)
5,614 4,946 5,385
即入院患者数 (人) 4,225 4,682 4,591
即入院率 (%) 42.9 48.6 48.7
救急車搬送数 (件) 3,450 3,625 4,035

注1)平成13年度までは、診療時間外に限った統計である。
注2)即入院患者数は、救急患者数の内数である。

救急患者数、入院率推移

4.2023年の目標・事業計画等

COVID-19の流行は8波を数え、2023年度には9波が始まろうとしている。今後も救命救急センターは、その対応に苦慮する状況が続くことが予想されるが、なんとかSustainableな救命救急センターを目指していきたい。さらに2023年末のヘリポートの稼働、さらに2023年度の第4初療室(透視室兼用のセミハイブリッドタイプ)の整備を踏まえ、MC管内の二次急性期医療機関と共同でウイズコロナの時代の新たな救急医療体制の構築を模索してゆく。

5.過去実績