健診センター[アニュアルレポート] | 病院のご案内 | 自治医科大学附属病院
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健診センター【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2021年4月1日現在)

部長 (センター長・教授) 宮下  洋(循環器内科兼務)
医員 (病院講師) 三枝 充代(消化器内科兼務)
(助教) 島田 瑞穂
(病院助教) 光田 清佳(呼吸器外科兼務)
(病院助教) 宮原 晶子(消化器内科兼務)
(臨床助教) 志村名佳子
(臨床助教) 吉田 友直(消化器内科兼務)
非常勤医員 4名
看護師 11名(内 パート看護師9名)
保健師 2名
管理栄養士 2名
臨床検査技師 4名
超音波技師 4名(兼任)
診療放射線技師 26名(専任1名;交代26名)
事務職員 9名(内業務委託8名)

2.健診センターの特徴

総合健診(一日ドック)の専門施設として、以下の理念と5つの運営方針(2020年4月改訂)の下、健診業務を行っている:
理念:受診者満足を最優先し、健診・保健指導の質的向上をとおして人類全体の健康増進に貢献します。
運営方針:

  1. 快適・安全な環境と高品質な健診サービスを提供します。
  2. 自治医科大学附属病院と連携した精度の高い診断とフォローアップの充実に努めます。
  3. 科学的根拠に基づく疾患予防と健康増進を目指します。
  4. 高い知識と技術レベルの健診医療人材を育成します。
  5. 健診・予防医学研究による社会貢献に取り組みます。

A. 附属病院の診療とは独立した施設での新鋭検査設備による健診サービスの提供

附属病院とは独立した建物(自治医科大学1号館)内にあり、落ち着いた雰囲気の中で健診を受けることができる総合健診(日帰り人間ドック)の専門施設である。健診内容は日本総合健診医学会および日本人間ドック学会の基準に準拠し、特定健康診査項目、労働安全衛生法による定期健診の必要項目およびがん検診に関する項目がすべて含まれ、加えて希望に応じたオプション検査を行っている。多様な受診者の要望に対応できるよう、オプション検査を積極的に増やしていく方針で、本年は検体検査オプションとして心臓スクリーニング(NT-proBNP)と甲状腺機能検査(TSH+FT4)を導入し、2021年1月から運用を開始した。

特に本年は、2019年末に発生したCOVID-19のパンデミックに対応して、厳格な水際対策や換気効率の最大化、密を避ける受付時間の分散化等の感染防御策に取り組み、安心・安全な受診環境を実現している。

B. 附属病院の関連各専門診療科の協力による質の高い健診サービス

専門的な健診内容は、附属病院の産科婦人科(婦人科検診)、眼科(眼底画像読影)、循環器内科(心電図判読)、臨床検査部(腹部及び乳腺超音波判読)、病理診断部(子宮頸部および喀痰細胞診診断)、乳腺科(マンモグラフィー読影)、中央放射線部(PET-CT読影)の各専門診療科の協力により運営している。また、胸部X線検査、上部消化管X線検査、頭・胸・腹部CT検査、超音波検査は読影専門医を含め3重~5重の読影を行って診断・判定の精度向上に努めている。

平成22年度(2010年)に導入された上部消化管内視鏡検査は苦痛が少ない経鼻内視鏡を基本とし、本学消化器内科の協力のもと、内視鏡専門医によるダブルチェック体制で運用され、上部消化管検診の精度向上に寄与している。検査件数は増加を続け(表1)、1日の検査実施枠を12件から16件まで増やして対応している。消化器内科医は、内視鏡検査の実施の他、消化器関連の上部消化管X線検査読影や腹部CTおよび超音波検査の読影・判定の点検作業の精度向上にも貢献している。

平成24年度(2012年)導入の動脈硬化・心血管老化診断検査オプションは、2種類の血圧脈波検査を組み合わせて、メタボリックシンドロームや高血圧の血管硬化・血管老化への影響や心血管病のリスクを評価し、脈波解析を専門とする循環器内科医による個別の結果説明と生活習慣改善アドバイスをつけて結果報告を行っている。

PET-CTでは、附属病院中央放射線部の協力によりPET-CT画像データ(CD-R)を、結果報告とともに受診者に提供し、検査結果の有効活用と受診者サービス向上に役立てている。

C. コンピュータシステムの高度利用による迅速・的確な健診の運用・管理

健診関連学会標準の判定基準を基本としながらも詳細な問診による病歴情報を考慮した健診専門医の個別判断をも判定ロジックに組み込んだ健診結果判定エンジンは、2018年度の健診システム更新作業の中でさらに洗練され、迅速かつ精度の高い健診結果の自動判定を可能にしている。結果判定のみならず、問診による病歴、生活習慣も受診当日の結果説明までにデータとして取り込み、これらの情報を総合的に考慮した上で、標準化された指導メッセージを導出し、健診当日の医師による結果説明を支援するとともに、メタボ対策を中心とした健康指導に役立てている。この健診システムは、膨大な健診・保健指導・会計データ等の保存・管理を容易にし、特にここ10年においては、旧来の紙媒体を中心とした非効率な業務を無駄の少ないペーパーレス業務に移行させることに寄与してきた。2018年の健診システム更新では網羅的なデータ移行を実施し、過去27年にわたる健診データも一元的にこのシステム内に保管されている。これを必要に応じて随時参照・比較することができるため、受診時の1断面のデータのみならず、個々の受診者の経過や病歴・精査歴を考慮した特異度の高い判定を可能にしている。

さらに、健診システム更新に併せて附属病院情報システムとネットワーク接続され、電子カルテと同一端末上で健診システムが稼働する環境が実現し、健診と病院診療間の連携・情報共有を可能にしている。これにより、診療経過や病院での検査結果を考慮した結果判定が飛躍的に容易になり、無駄な精査や再検査の紹介を減らすことにも繋がっている。

平成22年度(2010年)までに整備されたX線検査を中心とした検査画像デジタル化とフィルムレス運用(PACSシステム)では、それ以前の過去フィルム画像もデジタイザで取り込み、システムのモニター上での比較参照を可能にしている。これにより医師の読影作業効率および精度向上、フィルム保管場所の問題解決、さらには、紹介状添付画像の充実(必要に応じてCD-Rによる画像データの提供)が実現され、紹介先医療機関における精査診療への円滑な情報提供にも役立っている。平成24年度(2012年度)にオンライン化した眼底画像管理、平成25年度(2013年度)にPACSシステムに統合された超音波画像管理等により、すべての健診画像診断のデジタル化・オンライン化を推進してきた。さらに2018年度には、胸部X線画像に関して、AI(人工知能)に基づく画像処理(骨陰影消去・経時変化の差分画像の自動作成)を導入して読影精度向上に努めている。

一部のX線画像は読影精度向上のために外部専門医に委託しているが、これもPACSシステムに統合されており、2018年度のシステム更新に併せて導入されたRISによりさらに画像読影管理の自動化が進み、業務負荷の軽減に役立っている。これらコンピュータシステムによるデータ・情報管理は履歴データや病歴情報に迅速なアクセスを可能とし、読影における異常検出感度を高めると同時に特異性の高い判断により無駄な精査紹介を減らす効果をもたらしている。

D.保健指導

特定健康診査の全項目を含む総合健診結果により、特定保健指導の「動機づけ支援」、「積極的支援」に階層化された受診者に対し、個別契約に基づいた特定保健指導を行っている。平成21年度(2009年)からは当センターの健診受診者以外の集合契約に基づいた特定保健指導の要請にも対応可能とし、継続している。保健指導は、特定保健指導に関する研修を修了した保健師と管理栄養士が担当している。

平成20~22年度(2008~2010年)の当センターのリピータ受診者のうち肥満の基準を満たす 3410名の健診データ解析から、肥満とメタボリックシンドロームの経過を解析した結果、特定保健指導を受けたことにより(指導を受けない場合に比べて)2倍以上の確率で肥満・メタボの改善が期待できることが示されている。

E.健診システムと保健指導システムの連携

当施設の特定保健指導は、契約団体(保険者)・利用者の要望を重視し、制度開始当初から健診当日の初回指導に対応してきたが、2018年度、特定健康診査・特定保健指導保健指導の制度第3期を迎え、政策的にもより高い保健指導実施率と改善効果が求められる時代となっているが、この制度改定に合わせて更新し業務再構築を行った健診システム・保健指導システムは、迅速な検査と健診コンピュータシステムによる自動判定を生かして、健診受診当日に健診結果が揃うと同時に、複雑な個別契約での保健指導利用資格条件による該当者を自動抽出し、初回指導まで支援できる機能を実装し、健診当日の漏れのない保健指導介入を可能にしている。これを活用してさらに有効性の高い保健指導を実践すべく努力を継続している。

F.施設認定・資格

認定施設

  • 日本総合健診医学会優良総合健診施設
  • 日本総合健診医学会認定 人間ドック健診専門医研修施設
  • 日本病院学会会員健診施設

学会等認定医:

人間ドック健診指導医 宮下  洋
人間ドック健診専門医 宮下  洋 他3名
人間ドック学会 認定医 島田 瑞穂
日本内科学会 総合内科専門医 島田 瑞穂 他1名
日本内科学会 認定内科医 宮下  洋 他4名
日本消化器病学会 専門医 三枝 充代 他1名
日本消化器内視鏡学会 専門医 三枝 充代
検診マンモグラフィー読影医師 三枝 充代
日本外科学会 外科専門医 光田 清佳
日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医 光田 清佳
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医 光田 清佳
日本旅行医学会 旅行医学認定医 島田 瑞穂
日本医師会 認定産業医 島田 瑞穂 他1名

3.実績・クリニカルインディケーター

総合健診は一日36名を上限として実施している。企業や健保組合等の団体との契約によるものが中心になっている。反復受診されるリピータが90%を占めていることから、受診者に満足いただいていることが窺われる。受診者には本学教職員603名が含まれ、特定保健指導と併せて、本学の福利厚生施設としての役割も担っている。

基本的健診項目は、マークシートおよび自由記載を含む問診票による症状・病歴・生活習慣等に関する詳細な問診、身体計測(身長、体重、腹囲、BMI)、視力、聴力、眼圧、眼底、血圧測定、尿検査、血液検査、呼吸機能、心電図、胸部X線検査、上部消化管X線検査、便潜血反応、腹部超音波検査などである。オプション検査としては、PET-CT検査(後日施行)、CT検査(頭部-副鼻腔を含む、胸部-甲状腺を含む、腹部-骨盤腔を含む)、胃抗体検査(ピロリ菌抗体、ペプシノーゲン検査)、腫瘍マーカー、婦人科検診(内診、子宮頸部細胞診)、乳房検診(マンモグラフィー検査、乳腺超音波検査)、骨密度検査(DEXA法)、動脈硬化・心血管老化診断検査に加え、2018年から導入したアミノインデックス(AIRS)を実施している。AIRSは早期がんのリスクスクリーニング(AICS)と糖尿病・心血管病発症リスク評価(AILS)から成り、2020年は総利用者343人のうち2人(0.6%)のがん発見に寄与した。

近年メタボリックシンドロームが問題とされる中、2012年度にオプション検査として開始した動脈硬化・心血管老化診断検査は、2種類の血圧脈波検査装置により、脈波速度(PWV)、足首上腕血圧比(ABI)、橈骨動脈血圧増大指数(AI)、推定中心血圧、心血管老化度の評価と、健診結果を総合的に考慮した個別の健康アドバイスの提供を特長とし、導入後6000件を超えて順調に運用を継続した。またCTは通常の検査に比べ撮影範囲を拡げて、頭部では副鼻腔全体、胸部では甲状腺全体、腹部では基本検査の腹部超音波検査で描出が困難な骨盤腔全体を撮影範囲に含めて評価の対象とし、全身スクリーニングを可能にしている。さらに腹部CTでは、内臓脂肪面積の計測も全例施行してそのレポートを受診者に送付し、メタボリックシンドローム予防・改善に役立てている。

表1に主要オプション検査の実施件数推移を示した。令和2年(2020年)1月から12月まで(健診実日数 215日;COVID-19緊急事態宣言による休止稼働日26日を除く)の年間受診者延人数は、健診・保健指導含めた受付件数ベースで6481件(一日平均30件)、内 総合健診受診者総数は6022人で、年間実績としてはこれまでにない減少(総合健診受診者総数で対前年比-14%)となった(表1)。この減少要因としては、やはりCOVID-19感染拡大の影響が大きい。オプション検査件数も全体的には受診者減少を映して10~20%の減少となったが、上部消化管内視鏡については、緊急事態宣言による健診運営休止からの再開後、前年までの内視鏡検査実施枠不足に対し段階的に内視鏡実施枠を12件からさらに16件/日まで拡大したことで、検査実績の減少は対前年比-7%に留められている(表1)。COVID-19感染拡大の影響による業績低下の回復を目指し、コロナ化の中でもできる限り安全安心な健診受診環境を確保すべく、中央空調の換気効率の最適化や換気能力増強、水際対策の厳格化、標準予防策の徹底等の感染防御体制を整備した上で、健診検査運営全体を再構築する抜本的運営改革を推進している。

平成19年度(2007年)から開始となったPET-CT検査、平成20年度(2008年)に導入されたデジタルマンモグラフィー、平成21年度(2009年)に多列化されたCT、そして平成22年度(2010年)導入の上部消化管経鼻内視鏡、さらに本年2月から開始したアミノインデックス検査(AICS)等は健診の精度向上に寄与し、癌の早期発見・診断精度向上に貢献をしている。この1年間の健診およびその後の精査で発見されたがんは33例(2021年3月までの精査結果報告例で疑い例も含む)と、受診者減少を反映して前年までより減少したが、その内訳を表2に示した。

表3にはメタボリックシンドロームの判定を中心とした受診者の特徴と保健指導実績の年次推移を示した。特定保健指導の利用者総数は、170%の大幅増となった前年比でも99%(2010~2019年の平均比で108%)となり、COVID-19感染拡大の影響による健診受診者の減少の影響は抑えられた。保健指導システムを含む健診システム更新後、これを積極的に利活用して特定保健指導の効率化と精度向上を図ってきた効果と考えている。

表1 受診者数と放射線画像関係および内視鏡・血圧脈波オプション検査施行実績推移(1~12月集計)

2015 2016 2017 2018 2019 2020 対2019年比
総受診者(受付件数) 8,118 7,828 7,813 7,476 7,296 6,481 89%
総合健診受診者総数1) 7,672 7,354 7,382 7,107 7,000 6,022 86%
PET-CT 76 67 55 61 58 33 57%
頭部CT 1,363 1,305 1,211 1,052 1,034 846 82%
胸部CT 1,037 1,018 946 880 859 709 83%
腹部CT 1,164 1,136 1,060 968 958 774 81%
CT部位総件数 3,564 3,459 3,217 2,900 2,851 2,329 82%
マンモグラフィー 1,434 1,370 1,412 1,341 1,284 1,154 90%
骨密度(DEXA) 560 489 546 446 412 336 82%
上部消化管内視鏡 1,977 2,143 2,631 2,702 2,803 2,611 93%
血圧脈波検査 921 920 981 874 722 590 82%

1) 総合健診受診者総数は総受診者数から人間ドック受診日とは別に行うPET検査や後日追加検査、特定保健指導を除いた数

表2 健診で発見されたがんの症例数(1月~12月集計)

がんの種類 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
乳癌 14 4 3 5 3 4
肺癌 1 4 7 12 7 5
食道癌 2 2 2 2
胃癌 4 9 7 4 8 1
十二指腸乳頭部腫瘍 1
大腸癌 7 4 3 8 5 3
直腸癌 3 1 3
膵癌 2 1 1
肝臓癌 1 1
胆嚢癌 2
腎癌 2 1 3 4
腎盂・尿管腫瘍 1 1
膀胱癌 1 2 2 1 1
前立腺癌 2 8 9 14 12 11
子宮癌 1 1 1
悪性リンパ腫/
MALTリンパ腫
1 1 1 1
多発性骨髄腫 4
慢性骨髄性白血病 1 1
間質腫瘍 1 1 1
転移性肺癌 1
卵巣癌 2 1 1 2 2
甲状腺癌 1 1 1
盲腸癌 1
直腸カルチノイド 1
肝癌 1 1
神経原性腫瘍 1
前縦隔腫瘍 1 1
後腹膜腫瘍 1
38 45 42 57 52 33

表3 受診者の特徴とメタボ判定および保健指導実績推移(1月~12月集計)

男性 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年

総合健診受診者総数1) 4219 4126 4079 3909 3889 3363
年齢(平均 標準偏差) 54.6
±10.0
54.7
±10.1
55.2
±10.4
55.8
±10.6
56.0
±10.9
56.1
±10.9



メタボ判定対象者数 3892 3817 3743 3659 3616 3146
判定 メタボ該当 1145 1119 1102 1109 1091 968
予備軍該当 873 857 839 820 816 700
階層化 積極支援 659 646 606 554 493 443
動機づけ支援 440 438 410 416 436 371








指導契約対象者数 1686 1588 1510 1765 1725 1374
実施実績 積極支援 38 55 45 36 70 66
動機づけ支援 24 53 37 27 31 31
62 108 82 63 101 97
(総計)2) (190) (228) (199) (180) (477) (405)
女性 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年

総合健診受診者総数1) 3453 3228 3303 3198 3111 2659
年齢(平均 標準偏差) 52.9
±9.6
53.2
±9.7
53.2
±9.9
54.0
±10.0
54.4
±10.4
54.3
±10.3



メタボ判定対象者数 3196 3005 3050 2946 2812 2400
判定 メタボ該当 255 252 244 259 243 192
予備軍該当 233 214 228 207 225 190
階層化 積極支援 86 95 87 82 84 68
動機づけ支援 230 210 214 199 197 187








指導契約対象者数 1827 1704 1705 1376 1286 1145
実施
実績
積極支援 11 13 11 6 18 15
動機づけ支援 28 40 31 21 33 38
39 53 42 27 51 53
(総計)2) (113) (103) (100) (45) (167) (183)
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年

総合健診受診者総数1) 7672 7354 7382 7107 7000 6022
年齢(平均 標準偏差) 53.8
±9.9
54.0
±10.0
54.3
±10.2
55.0
±10.4
55.3
±10.7
55.3
±10.7



メタボ判定対象者数 7088 6822 6793 6605 6428 5546
判定 メタボ該当 1400 1371 1346 1368 1334 1160
予備軍該当 1106 1071 1067 1027 1041 890
階層化 積極支援 745 741 693 636 577 511
動機づけ支援 670 648 624 615 633 558








指導契約対象者数 3513 3292 3215 3141 3011 2519
実施
実績
積極支援 49 68 56 42 88 81
動機づけ支援 52 93 68 48 64 69
101 161 124 90 152 150
(総計)2) (303) (331) (299) (225) (644) (588)

1)総合健診受診者総数は総受診者数から人間ドック受診日とは別に行うPET検査や後日追加検査、特定保健指導を除いた数
2) 特定保健指導の総指導件数で、初回指導+中間評価・指導+最終評価・指導件数の合計;利用券による指導(保健指導のみの利用)の件数も含む

4.2021年の目標・事業計画等

急性期医療を中心として発展を続けてきた医療が経済的には破綻に瀕している状況下、医療政策・医療システムにおける健診・予防医療の重要性の認知度が益々高まっている。このような社会情勢や多様化する受診者ニーズへ対応すべく、当健診センターは「受診者満足を最優先し、健診・保健指導の質的向上をとおして人類全体の健康増進に貢献する」ことを基本理念として運営を継続している。今後も現状維持にとどまらず常にその質的向上と運営効率改善による実績拡大を目指して努力を継続する方針である。本年中はCOVID-19感染拡大の影響で実績減少を余儀なくされたが、全体の稼働規模拡大を実現すべく、内視鏡検査を中心とした検査運用枠の拡大を発端とし、本年発足した健診センター事業タスクフォース(TF)を中心に抜本的運営改革の推進を計画している。

A.健診の課題と計画

1)COVID-19感染対策

本年の受診者減少はCOVID-19感染拡大による健診運営休止の影響が甚大であり、これに伴う受診延期の影響は次年受診者の予約時期の偏りとしても影響がみられている。この影響を最小化し、受診者増に転ずるためには感染対策を最大化し、受診者の安心安全な健診環境整備がまず必要であり、次年度には中央空調ダクト内の紫外線(高出力UV-C)照射による浮遊ウイルス不活化の導入を計画している。また、本年度末に完了した健診センターWEBサイトの全面リニューアルにより、健診受診者への広報・情報提供を積極的に行って受診予約を促進する計画である。

2)抜本的健診運営改革

2015年以来の受診者数減少傾向は、内視鏡検査実施枠の不足が主要因の一つと考えられ、その実施枠拡大を課題として取り組みを継続した結果、本年実現した検査枠の時間的拡大によりさらに16/日→20件/日まで検査枠を増やす計画である。また10年来の未解決課題である超音波検査体制および婦人科検診の医師体制の不足が運営拡大の阻害要因であり、運営拡大に向けてその他の部門の検査体制の医師体制の調整と併せ、TFでの協議を通して調整を図る計画である。次年度の前半を準備期間とし、可能な体制を整備した上で、年度後半からの本格的運営改革を目指す。本改革の最終目標は、現在1日平均 約30人の受診者を45名まで増やすこととしているが、それには、上記取り組みにより受診者満足の向上が実現され、それが翌年の受診者にpositive feedbackされる過程が必要であり、単年度での達成は困難である。次年度は受診者受け入れ枠を36→40人/日、平均受診者数を35人/日までの増加を目標と考えている。

3)健診検査内容の充実

今後の健診需要動向の展望として、持続的人口減少とともにこれまで主要な部分を占めていた職域の受診者の減少が見込まれる一方、2025年に向け団塊世代の高齢化が急速に進むのに伴い健診受診者も高齢化し、健診経験が長く裕福な高齢受診者の増加が見込まれる。これに伴い、より高度の健診内容、多様なオプション検査が求められることが予測され、これに対応すべく新システムでの運用構築に合わせた健診運営全体の見直しの中で、より幅広いオプション検査要望や、さらにはプレミアムドック・医療ツーリズムにも対応できる体制を目指している。この流れで、2021年度には複数の検体検査オプション(アレルゲン検査・LOXインデックス)を導入する計画である。また、これまで調整が困難であった本院のMRI利用によるオプション検査はTFでの検討課題の一部として導入の具体的調整をしていく計画である。

また、個々の受診者にとって受ける意味が大きいオプション検査を的確に選択できるような個別化された情報提供を実現できる仕組みが必要と考え、AI・RPA等の導入検討を継続する。

さらに、オプション検査の種類が多くなり医師の判定・診断の作業も複雑化するため、医師業務をサポートし、ヒューマンエラーを防止するシステム・ツールが必要である。これについても、RPA等の導入検討や各種チェック作業の自動化ツール内製を計画している。

♯2.運営管理の透明化と組織化

2017年から編成したスタッフ全員参加による健診センター内運営組織である「広報・受診者満足」・「環境・安全管理」・「防災」の3つのワーキングサブグループによる健診サービス品質改善の取組は、2019/3/1受審の日本総合健診学会 優良総合健診施設認定 更新実地審査をきっかけに活動を定着させることができたが、2020年はさらに継続性のある活動により、運営課題である前述の健診運営改革における現場の業務改革・効率化、健診結果によるフォローアップ体制の確立、受診者および業務環境の最適化管理、防災体制の確立等を推進していく。これによる健診サービス品質改善は受診者満足を向上させ、受診者減の対策ともなると考えられる。

B.保健指導の課題と計画

2018年に第3期となった特定健診・保健指導の制度変更に合わせて更新を行った健診システムの活用により、本年の指導実績はCOV-19禍の中でも前年増加した実績をほぼ維持した。さらに効率よく改善効果が出せる保健指導を目指した取り組みを継続することで、利用者満足と指導業務キャパシティーを拡大し、2021年には保健指導実績をさら本年の30%程度増加させることを目標としたい。

C.医学研究の課題と計画

 自治医科大学附属の健診施設として関連分野への医学的貢献は重要な課題と考え、理念・運営方針にも掲げている。28年にわたり蓄積されている健診データを対象とした臨床疫学的研究(「既存健診データを活用した疾病予防や健康管理に関する探索的観察研究」 臨大16一変070(疫10-17 疫13-9 9変更))をさらに活性化し推進していく。これまでに開始もしくは計画を進めている下記の複数の研究テーマを継続し、その成果の発表をとおして医学的貢献に繋げていく計画である:

  1. 血圧脈波指標・中心血圧の健診・予防医学的意義の検討
  2. 健診CT画像の応用解析:内臓脂肪および動脈硬化の評価
  3. 健診内視鏡検査に関連の研究:経鼻内視鏡の鼻出血リスク、ピロリ菌除菌経過
  4. 特定保健指導効果の科学的評価と指導効率の高い指導方法の検討
  5. 健診でのがん発見に関する各検査の感度および特異度評価とその最大化の検討
  6. 胸部X線画像処理(BSD+TS)の肺癌検出精度改善効果の評価
  7. 健診医の診断精度向上のためのデジタルツール開発とその効果の評価
  8. 健診医業務効率化・精度向上のためのAI・RPA応用の調査と開発研究
  9. ハードウェアに依存しない健診データの保管・管理法の検討とその構築
  10. 健診受診者の受付・検査順制御による健診業務・検査業務の最大化アルゴリズムの検討
  11. ウェアラブルセンサー・非接触センシング等による健診受診者バイタルの連続モニター法の開発研究
  12. 健診画像の読影を支援するAIの開発研
    眼科との共同研究として、眼底画像AIの開発研究が進行中で、眼底以外の健診画像に対象を拡大していく計画である。
  13. 血圧脈波波形を含む心血管信号波形から正確な血圧を連続推定・モニターするAIの開発研究
    産学共同研究として、既に血圧脈波波形オプション検査受診者を対象にAIの学習データの測定・収集が進行中で、さらにデータを蓄積してAIの精度を向上させる計画である。

健診センターにおけるこれらの研究活動は、健診医の資質や健診センター業務価値の向上による健診医育成、健診業務へのフィードバックによる健診サービスの品質向上、さらに結果として受診者満足の向上に繋がるものと考えている。研究結果の発信をとおして人類全体の健康増進に寄与することを目指したい。

5.過去実績