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健診センター【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2019年4月1日現在)

部長 (センター長・准教授) 宮下  洋(循環器内科兼務)
医員 (病院講師) 三枝 充代(消化器内科兼務)
(助教) 島田 瑞穂
(病院助教) 光田 清佳(呼吸器外科兼務)
シニアレジデント 2名
非常勤医員 8名
看護師 11名(内パート看護師8名)
保健師 2名
管理栄養士 1名(兼任)
臨床検査技師 4名
超音波技師 4名(兼任)
診療放射線技師 26名(専任1名;交代26名)
事務職員 7名(内業務委託6名)

2.健診センターの特徴

総合健診(一日ドック)の専門施設として、以下の5つの運営方針(2017年4月改訂)の下、健診業務を行っている:

  1. くつろげる環境と高品質な健診サービスを提供します。
  2. 自治医科大学附属病院と連携した精度の高い診断とフォローアップの充実に努めます。
  3. 科学的根拠に基づく疾患予防と健康増進を目指します。
  4. 高い知識と技術レベルの健診医療人材を育成します。
  5. 健診・予防医学研究による社会貢献に取り組みます。

A. 附属病院の診療とは独立した施設での充実した検査設備による健診サービスの提供

附属病院とは独立した建物(自治医科大学1号館)内にあり、ゆとりあるスペースと落ち着いた雰囲気の中で健診を受けることができる総合健診(日帰り人間ドック)の専門施設である。健診内容は日本総合健診医学会および日本人間ドック学会の基準に準拠し、特定健康診査項目、労働安全衛生法による定期健診の必要項目およびがん検診に関する項目がすべて含まれる。加えて、受診者の要望に対応すべく、オプション検査を増やしていく方針で運営している。

B. 附属病院の関連各専門診療科の協力による質の高い健診サービス

専門的な健診内容は、附属病院の産科婦人科(婦人科検診)、眼科(眼底画像読影)、循環器内科(心電図判読)、臨床検査部(腹部及び乳腺超音波判読)、病理診断部(子宮頸部および喀痰細胞診診断)、外科(マンモグラフィー読影)、中央放射線部(PET-CT読影)の各診療科専門医の協力により運営している。また、胸部X線検査、上部消化管X線検査、頭・胸・腹部CT検査、超音波検査は読影専門医を含め3重~5重の読影を行って診断・判定の精度向上に努めている。

平成22年度(2010年)に導入された上部消化管内視鏡検査は苦痛が少ない経鼻内視鏡を基本とし、本学消化器内科の協力のもと、内視鏡専門医によるダブルチェック体制で運用され、上部消化管検診の質の向上に寄与している。検査件数は増加を続け、実施可能件数上限に達している(表1)が、さらに検査希望者が増加している状況にある。このため、本年は内視鏡検査運用効率を最大化するべく、検査順の効率化を図るとともに、内視鏡検査の時間枠を拡大できるよう、健診検査運営全体の再構築する準備を開始し、できる限り受診者の希望に対応していけるよう最大の努力をしている。消化器内科医は、内視鏡検査の実施の他、消化器関連の上部消化管X線検査読影や腹部CTおよび超音波検査の読影・判定の点検作業の精度向上にも貢献している。

平成24年度(2012年)導入の動脈硬化・心血管老化診断検査オプションは、2種類の血圧脈波検査機器を組み合わせて、メタボリックシンドロームや高血圧の血管硬化・血管老化への影響や心血管病のリスクを評価し、脈波解析を専門とする循環器内科医による個別の生活習慣改善アドバイスをつけての結果報告を継続しており、好評を得ている。

PET-CTでは、附属病院中央放射線部の協力によりPET-CT画像データ(CD-R)を、結果報告とともに受診者に提供し、検査結果の有効利用と受診者サービス向上に役立てている。

C. コンピュータシステムの高度利用による迅速・的確な健診の運用・管理

健診関連学会標準の判定基準を基本としながらも病歴情報を考慮した健診専門医の個別判断をも判定ロジックに組み込んだ健診結果判定エンジンは、今年度の健診システム更新作業の中でさらに洗練され、迅速かつ精度の高い健診結果の自動判定を可能にしている。結果判定のみならず、問診による病歴、生活習慣も受診当日の結果説明までにデータとして取り込み、これらの情報を総合的に考慮した上で、標準化された指導メッセージを導出し、健診当日の医師による結果説明を支援するとともに、メタボ対策を中心とした健康指導に役立てている。この健診システムは、膨大な健診・保健指導・会計データの保存・管理を容易にし、特にここ10年においては、旧来の紙媒体を中心とした非効率な業務を無駄の少ないペーパーレス業務に移行させることに寄与してきた。今年度の健診システム更新後も網羅的なデータ移行を実施し、過去26年にわたる健診データもこのシステム内に保管されている。これを必要に応じて随時参照・比較することができるため、受診時の1断面のデータのみならず、個々の受診者の経過や病歴・精査歴を考慮した特異度の高い診断と判定を可能にしている。

さらに、この健診システム更新に併せて附属病院情報システムと初めてネットワークが接続され、電子カルテと同じ端末上で健診システムが動作する環境が得られ、健診と病院診療間の情報共有を可能にすることができた。これにより、診療経過や病院での検査結果を考慮した結果判定が飛躍的に容易になり、無駄な精査や再検査の紹介を低減するのに役立っている。

平成22年度(2010年)までに整備されたX線検査を中心とした検査画像のデジタル化とフィルムレス運用(PACSシステム)では、過去のフィルム画像をデジタイザで取り込み、システムのモニター上での比較参照を可能にしている。これにより医師の読影作業効率および精度向上、フィルム保管場所の問題解決、さらには、紹介状添付画像の充実(必要に応じてCD-Rによる画像データの提供)が実現され、紹介先医療機関における精査診療への円滑な情報提供にも役立っている。平成24年度(2012年度)にオンライン化した眼底画像管理、平成25年度(2013年度)にPACSシステムに統合された超音波画像管理等により、すべての健診画像診断のデジタル化・オンライン化を推進してきた。本年は健診システム更新に併せてRIS(画像系検査のオーダリングシステム)の導入が実現したことから、これらのシステム機能の変化に適応した形で検査運用の再構築に取り組んだ。

一部のX線画像は読影精度向上のために外部専門医に委託しているが、これもPACSシステムに統合された形で運用している。これまで健診システムのファイル入力インターフェースを活用した、PACSシステムとのファイル連携で外部読影専門医への依頼業務およびその読影所見の健診システムへの入力を運用していたが、上記RISの導入によりさらに自動化が進み業務不可の軽減につながっている。これらコンピュータシステムによるデータ・情報管理は履歴データや病歴情報に迅速なアクセスを可能とし、読影における異常検出感度を高めると同時に特異性の高い判断により無駄な精査紹介を減らす効果をもたらしている。

前述のごとく、今年度の健診システム更新により1993年の設立以来初の附属病院情報システム(HIS)とのナットワーク接続が実現された。しかし、HISの配線がないエリアに健診センター主導で院内遠隔読影用に設置運用している超音波検査(臨床検査医学)、心電図(循環器内科)、眼底検査(眼科)の学内LAN-VPN接続は継続が必要で、この運用を新健診システムに適応させ、さら読影制度の向上に繋げるよう取り組んでいる。

D.保健指導

特定健康診査の全項目を含む総合健診結果により、特定保健指導の「動機づけ支援」、「積極的支援」に階層化された受診者に対し、契約に基づいた特定保健指導に対応している。平成21年度(2009年)からは当センターの健診受診者以外の集合契約に基づいた特定保健指導の要請にも対応可能とし、継続している。保健指導は、特定保健指導に関する研修を修了した保健師と管理栄養士が担当している。

平成20~22年度(2008~2010年)の当センターのリピータ受診者のうち肥満の基準を満たす3410名の健診データから、肥満とメタボリックシンドロームの経過を解析した結果、特定保健指導を受けたことにより(指導を受けない場合に比べて)2倍以上の確率で肥満・メタボの改善が期待できることが示された。

本年は特定健康診査・特定保健指導保健指導の制度第3期を迎えたのに合わせて、4月から健診システム・保健指導システムが更新となり、この変化に適応し、さらに有効性の高い保健指導を実践すべく、その業務全体の再構築に取り組んだ。

E.健診システムと保健指導システムの連携

当施設の特定保健指導は、契約団体(保険者)・利用者の要望を重視し、制度開始当初から健診当日の初回指導に対応してきた。迅速な検査と健診コンピュータシステムによる自動判定を生かして、健診受診当日に健診結果が揃うと同時に特定保健指導対象者を自動抽出、初回指導まで提供できる体制を整えている。これまで独自のオフラインツールにより対応してきたが、今年度のシステム更新によりその機能の健診システムへの実装が実現し、業務精度の向上にも役立っている。しかし、更新作業の遅れにより、本年4月のシステム切り替えに間に合わず、保健指導利用者の受け入れ制限を余儀なくされ、後述のように利用件数の減少を招いた。

F.施設認定・資格

認定施設

  • 日本総合健診医学会優良総合健診施設
  • 日本総合健診医学会認定人間ドック健診専門医研修施設
  • 日本病院学会会員健診施設

認定医

人間ドック健診指導医 宮下  洋
人間ドック健診専門医 宮下  洋 他1名
日本内科学会総合内科専門医 島田 瑞穂
日本内科学会認定内科医 宮下  洋 他3名
日本消化器病学会専門医 三枝 充代 他1名
日本消化器内視鏡学会専門医 三枝 充代
検診マンモグラフィー読影医師 三枝 充代
日本外科学会外科専門医 光田 清佳
日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医 光田 清佳
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医 光田 清佳
日本旅行医学会旅行医学認定医 島田 瑞穂
日本医師会認定産業医 島田 瑞穂 他1名

3.実績・クリニカルインディケーター

総合健診は一日36名を上限として実施している。大手企業や健保組合等の団体との契約によるものが中心になっている。反復受診されるリピータが92%を占めていることから、受診者に満足いただいていることが窺われる。受診者には本学教職員425名が含まれ、特定保健指導と併せて、本学の福利厚生施設としての役割も担っている。

基本的健診項目は、マークシート式および自由記載式問診票による病歴・症状・生活習慣等に関する詳細な問診、身体計測(身長、体重、腹囲、BMI)、視力、聴力、眼圧、眼底、血圧測定、尿検査、血液検査、呼吸機能、心電図、胸部X線検査、上部消化管X線検査、便潜血反応、腹部超音波検査などである。オプション検査としては、PET-CT検査(後日施行)、CT検査(頭部-副鼻腔を含む、胸部-甲状腺を含む、腹部-骨盤腔を含む)、胃抗体検査(ピロリ菌抗体、ペプシノーゲン検査)、腫瘍マーカー、婦人科検診(内診、子宮頸部細胞診)、乳房検診(マンモグラフィー検査、乳腺超音波検査)、骨密度検査(DEXA法)、動脈硬化・心血管老化診断検査に加え、2018年2月よりアミノインデックス(AIRS)を導入した。これは早期がんのリスクスクリーニングとして期待でき、既に2018年中の利用者299人のうち5人(1.7%;内2人は疑い診断)のがん発見に寄与した。

メタボリックシンドロームが問題とされる近年の状況下、2012年度にオプション検査として開始した動脈硬化・心血管老化診断検査は、2種類の血圧脈波検査装置により、脈波速度(PWV)、足首上腕血圧比(ABI)、血圧増大指数(AI)、推定中心血圧、心血管老化度の評価と、健診結果を総合的に考慮した個別の健康アドバイスの提供を特長とし、導入後5000件を超えて順調に運用を継続した。またCTは通常の検査に比べ撮影範囲を拡げて、頭部では副鼻腔全体、胸部では甲状腺全体、腹部では経腹壁の超音波検査で描出が困難な骨盤腔全体を撮影範囲に含めて評価の対象とし、全身スクリーニングを可能にしている。さらに腹部CTでは、内臓脂肪面積の計測も全例施行してそのレポートを受診者に送付し、メタボリックシンドローム予防・改善に役立てている。

表1に主要オプション検査の実施件数推移を示した。平成30年(2018年)1月から12月まで(健診実日数244日)の年間受診者延人数は、健診・保健指導含めた受付件数ベースで7476件(一日平均31件、内保健指導248件)、内総合健診受診者総数は7107人で、いずれも前年より減少した。この減少要因としては、前年までの内視鏡実施枠不足の影響に加え、本年度の健診システム更新と機能構築の遅れによる受け入れ制限が影響した可能性が高い。本年の検査件数は、全体にはこの受診者減少を映して8%程度の減少となったが、上部消化管内視鏡は増加を続けており、内視鏡検査枠の不足に対する最大限の運用努力(当日の検査実施枠を導入当初の7件→段階的に12件まで拡大するとともに昨年2月から週1回の午後検査の運用追加)の効果と考えられる。しかし、それでも総受診者数の増加・回復には至っておらず、依然受診者受け入れ数の制限要因となっていることを示唆している。2列化による実施件数枠の拡大が必要と考え、その実現に向け具体的な検討と取り組みを継続した。

平成19年度(2007年)から開始となったPET-CT検査、平成20年度(2008年)に導入されたデジタルマンモグラフィー、平成21年度(2009年)に多列化されたCT、そして平成22年度(2010年)導入の上部消化管経鼻内視鏡、さらに本年2月から開始したアミノインデックス検査(AICS)等は健診の精度向上に寄与し、癌の早期発見・診断精度向上に貢献をしている。この1年間の健診およびその後の精査で発見されたがんは57例(2019年2月までの精査結果報告例で疑い例も含む)あり、その内訳を表2に示した。本年は特に前立腺癌・肺癌の発見が増えており、大腸癌の発見も例年より比較的多かった。その要因として、読影・健診結果判定精度向上等の効果が考えられる。

表3にはメタボリックシンドロームの判定を中心とした受診者の特徴と保健指導実績を示した。特定保健指導の利用者総数は受診者全体の減少傾向とシステム更新の影響から前年比減少となった。

表1 受診者数と放射線画像関係および内視鏡・血圧脈波オプション検査施行実績推移(1~12月集計)

2013 2014 2015 2016 2017 2018 対2017年比
総受診者(受付件数) 8,404 8,364 8,118 7,828 7,813 7,476 96%
総合健診受診者総数1) 7,866 7,871 7,672 7,354 7,382 7,107 96%
PET-CT 72 63 76 67 55 61 111%
頭部CT 1,372 1,330 1,363 1,305 1,211 1,052 87%
胸部CT 1,011 964 1,037 1,018 946 880 93%
腹部CT 1,161 1,093 1,164 1,136 1,060 968 91%
CT部位総件数 3,544 3,387 3,564 3,459 3,217 2,900 90%
マンモグラフィー 1,308 1,304 1,434 1,370 1,412 1,341 95%
骨密度(DEXA) 413 470 560 489 546 446 82%
上部消化管内視鏡 1,954 1,837 1,977 2,143 2,631 2,702 103%
血圧脈波検査 538 835 921 920 981 874 89%

1) 総合健診受診者総数は総受診者数から人間ドック受診日とは別に行うPET検査や後日追加検査、特定保健指導を除いた数

表2 健診で発見されたがんの症例数(1月~12月集計)

がんの種類 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
乳癌 6 6 14 4 3 5
肺癌 1 4 1 4 7 12
食道癌 2 2 2
胃癌 4 4 4 9 7 4
十二指腸乳頭部腫瘍 1
大腸癌 6 7 4 3 8
直腸癌 1 3 1
膵癌 2
肝臓癌 1 1 1
胆嚢癌 1 2
腎癌 1 2 1 3
腎盂・尿管腫瘍 1
膀胱癌 1 1 2 2 1
前立腺癌 7 2 2 8 9 14
子宮癌 1 1 1
悪性リンパ腫/
MALTリンパ腫
1 2 1 1 1
多発性骨髄腫 1 4
慢性骨髄性白血病 1
間質腫瘍 1 1
転移性肺癌 1
卵巣癌 2 1 1
甲状腺癌 1 1 1
盲腸癌 1
直腸カルチノイド 1
肝癌 1
神経原性腫瘍 1
前縦隔腫瘍 1
後腹膜腫瘍 1
27 26 38 45 42 57

表3  受診者の特徴とメタボ判定および保健指導実績推移(1月~12月集計)

男性 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

総合健診受診者総数1) 4466 4425 4219 4126 4079 3909
年齢(平均 標準偏差) 53.4
±9.8
54.4
±10.0
54.6
±10.0
54.7
±10.1
55.2
±10.4
55.8
±10.6



メタボ判定対象者数 4000 4053 3892 3817 3743 3659
判定 メタボ該当 1128 1129 1145 1119 1102 1109
予備軍該当 913 906 873 857 839 820
階層化 積極支援 711 683 659 646 606 554
動機づけ支援 438 449 440 438 410 416








実施
実績
積極支援 71 54 38 55 45 36
動機づけ支援 37 48 24 53 37 27
108 102 62 108 82 63
(総計)2) (293) (255) (190) (228) (199) (180)
女性 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

総合健診受診者総数1) 3400 3446 3453 3228 3303 3198
年齢(平均 標準偏差) 52.0
±9.8
52.4
±9.7
52.9
±9.6
53.2
±9.7
53.2
±9.9
54.0
±10.0



メタボ判定対象者数 3074 3126 3196 3005 3050 2946
判定 メタボ該当 225 223 255 252 244 259
予備軍該当 186 206 233 214 228 207
階層化 積極支援 92 88 86 95 87 82
動機づけ支援 208 220 230 210 214 199








実施
実績
積極支援 12 16 11 13 11 6
動機づけ支援 31 50 28 40 31 21
43 66 39 53 42 27
(総計)2) (118) (114) (113) (103) (100) (45)
2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

総合健診受診者総数1) 7866 7871 7672 7354 7382 7107
年齢(平均 標準偏差) 52.6
±9.8
53.3
±9.9
55.2
±8.6
55.2
±8.7
55.6
±8.8
55.0
±10.4



メタボ判定対象者数 7074 7179 7088 6822 6793 6605
判定 メタボ該当 1353 1352 1400 1371 1346 1368
予備軍該当 1099 1112 1106 1071 1067 1027
階層化 積極支援 803 771 745 741 693 636
動機づけ支援 646 669 670 648 624 615








実施
実績
積極支援 83 70 49 68 56 42
動機づけ支援 68 98 52 93 68 48
151 168 101 161 124 90
(総計)2) (411) (369) (303) (331) (299) (225)

1)総合健診受診者総数は総受診者数から人間ドック受診日とは別に行うPET検査や後日追加検査、特定保健指導を除いた数
2) 特定保健指導の総指導件数で、初回指導+中間評価・指導+最終評価・指導件数の合計;利用券による指導(保健指導のみの利用)の件数も含む

4.2019年の目標・事業計画等

急性期医療を中心として発展を続けている医療が経済的には破綻に瀕している状況下、医療政策・医療システムにおける特定健診をはじめとする健診・予防医療の重要性増大が明らかとなっている。このような社会情勢や多様化する受診者ニーズへ対応すべく、当健診センターは「受診者満足を最優先し、健診・保健指導の質的向上をとおして人類全体の健康増進に貢献する」ことを基本理念として運営を継続している。今後も現状維持にとどまらず常にその質的向上と運営効率改善による実績拡大を目指して継続的に努力していく方針である。

A.健診の課題と計画

1)健診サービスの品質向上

2015年以来の受診者数減少傾向の要因は、主に内視鏡実施枠の不足によるものと考えられ(表1 ・2)、その実施枠拡大を課題として取り組んできた。前年までの対応策として、運営努力により9→12件/日までの実施枠拡大は実現したが、「実績・クリニカルインディケーター」に記載の如くその効果は不十分と言わざるを得ない状況である。昨年は2列化予算を要望したが、不採用に終わった経緯がある。引き続き2列化を継続課題としているが、本年は健診業務システム全面更新があったことから、新システムにおける運用再構築での検査実施枠の時間拡大による検査稼働時間の拡大による対応をまず検討することとした。2019年はシステム機能がようやく完成した段階に当たり、2020年までに健診運営全体の見直しによる、内視鏡を含む検査運用効率最大化を目指して検討・調整の期間とする。

2017年からスタッフ全員参加による組織的健診運営改善として開始した「広報・受診者満足」・「環境・安全管理」・「防災」の各ワーキングサブグループによる品質改善の取組は、本年の日本総合健診学会優良総合健診施設認定 更新実地審査受審(2019/3/1)に対する準備をきっかけに活動が定着してきたが、2019年は同審査受審を成功させるべく、2014 年から開始している「健診センター業務改善ワーキンググループ」と併せて健診運営改善活動を促進していく計画である。これによる健診サービス品質改善は受診者満足を向上させ、受診者減の対策ともなると考えられる。

今後の健診需要動向の展望として、持続的人口減少とともにこれまで主要な部分を占めていた職域の受診者の減少が見込まれる一方、2025年に向け団塊世代の高齢化が進むのに伴い健診受診者も高齢化、健診経験が長く裕福な高齢受診者の増加が見込まれる。これに伴い、より高度の健診内容、豊富なオプション検査が求められることが予想され、これに対応すべく新システムでの運用構築に合わせた健診運営全体の見直しの中で、より幅広いオプション検査要望や、さらにはプレミアムドック・医療ツーリズムへも対応できる体制、本院の先端的検査リソースの健診利用による対応・調整等を含めていく計画である。また、個々の受診者にとって受ける意味が大きいオプション検査を的確に選択できるような個別化された情報提供・ナビゲーションを実現できる業務構築も必要と考え、AI・RPA等の導入も視野に検討していく計画である。これらが達成できる2021年以降での受診者数と収益の大幅増加が期待できるものと考えている。

2)健診システム更新後の利活用

2018年度事業として行った病院情報システム(HIS)との接続・連携を含む健診システムのこれまでにない大規模更新は、構築作業が計画より大幅に遅れたが、本年度末までに漸く計画した機能構築が完成に至るとともに、過渡的な運用と業務の再構築努力の中でシステム機能に関する理解を深めてきた。今回のシステム更新により旧システムの機能不足や附属病院との連携欠如による非効率業務等の多くの問題に関し、以下改善・解決が実現できた:

  1. IT・デジタル化のメリットを活用した自動化・省力化・情報共有
  2. 健診委託契約・制度・学会ガイドライン等の変更、機器更新・追加等の変化への柔軟な対応
  3. 附属病院HIS との連携による健診-病院診療間の情報共有

これにより、業務でのヒューマンエラーリスクの低減、限られた医療・人員リソースでも余裕をもった業務キャパシティーの実現、健診サービスの精度・品質向上等を可能にするインフラが整備されたと考えられる。2019 年はこの新システムとHIS 連携を基本とし、これを活用した健診・保健指導業務の再構築が最大の課題となる。前述のごとく、この業務再構築は前述の「健診サービスの品質向上」における中期的健診運営改革を含んでおり、2021年以降の受診者数と収益の大幅増加を目指している。

旧システムにおける医師業務に不可欠となっていた独自開発(内製)による医師の判定・読影業務の精度管理、ヒューマンエラーチェック用のツールは、前述のようにシステム更新作業の遅延の影響を受けて新システムに適応した形で改良するに至っていないため、これを新システムとそれに伴い今後も再構築を継続予定の業務に対応させることが2019年の大きな課題である。

B.保健指導の課題と計画

2018年からの第3期となった特定健診・保健指導の制度変更に合わせての健診システム更新を行ったところであるが、これに適応した形で業務見直し、効率よく改善効果が出せる保健指導を目指した取り組みを継続する。これによる利用者満足と指導業務キャパシティー拡大効果により、2020年度以降の保健指導実績を現在の2倍程度に増化させることを目標としたい。

C.医学研究の課題と計画

前述の理念・運営方針にも掲げている如く、自治医科大学附属の健診施設として関連分野への医学的貢献は重要な課題と考え、26年にわたり蓄積されてきた健診データを対象とした臨床疫学的研究の促進・活性化を継続する。2019年度で研究期間が終了する疫学研究計画(「既存健診データを活用した疾病予防や健康管理に関する探索的観察研究」 臨大16 一変070(疫10-17 疫13-9 9変更))の倫理承認の下、これまでに開始もしくは計画を進めている下記の複数の研究テーマを継続し、成果の発表をとおして医学的貢献に繋げていく計画である:

  1. 血圧脈波指標・中心血圧の健診・予防医学的意義の検討
  2. 健診CT画像の応用解析:内臓脂肪および動脈硬化の評価
  3. 健診内視鏡検査に関連の研究:経鼻内視鏡の鼻出血リスク、ピロリ除菌経過
  4. 特定保健指導効果の科学的評価
  5. 健診でのがん発見に関する各検査の感度および特異度最大化の検討
  6. 健診医の診断精度向上のためのデジタルツール開発
  7. 健診医業務効率化・精度向上のためのAI・RPA応用の調査と開発研究
  8. ハードウェアに依存しない健診データの保管・管理法の検討とその構築
  9. 健診受診者の検査順制御による健診業務・検査業務の最大化の検討
  10. ウェアラブルセンサー・非接触センシングによる健診受診者バイタルの連続モニター法の調査と開発研究

健診センターにおけるこれらの研究活動は、健診医の資質や健診センター業務の価値向上、健診業務へのフィードバックによる健診サービスの質の改善、さらに結果として受診者満足の向上に繋がるものと考えている。研究結果の発信をとおして人類全体の健康増進に寄与することを目指している。

5.過去実績