小児画像診断部【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2023年4月1日現在)
部長(教授) | 松木 充 |
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副部長(講師) | 古川理恵子 |
医員(病院講師) | 中田 和佳 |
2.診療科の特徴
医療が臓器別に専門分化が進む現在、全身を診る唯一の診療科が小児科であるが、我々小児画像診断部もそれにならい、全身の疾患を画像診断の対象としている。その特徴を一言で言えば「適応から判断し検査計画の立案から始まる画像診断」となる。そのために、超音波検査も装置を自前で所有し引き受けている。
小児画像診断部は自前のカンファレンス室を有している。JUMP(電子カルテ)、PACS(画像診断電子保存供覧システム)を大画面プロジェクター(DICOM対応)で映写し、出席者に供覧して議論することが可能である。このカンファレンス室ではとちぎ子ども医療センターの医師と定期画像診断カンファレンス[3-2)参照]を開催し、依頼医との関係が「オーダーと読影レポートの往復」で終わらない工夫をしている。
専門医
日本医学放射線学会画像診断専門医 | 松木 充 |
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古川理恵子 | |
中田 和佳 | |
日本核医学会核医学専門医 | 中田 和佳 |
日本医学放射線学会研修指導者 | 松木 充 |
古川理恵子 | |
中田 和佳 |
3.診療実績(検査を行い読影レポートを付したもの)
1)検査件数
単純X線写真 | 438 |
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CT | 497 |
超音波 | 762 |
MRI | 1,316 このうち、胎児MRI 30件 麻酔科医による全身麻酔下でのMRI 7件 1泊検査入院によるMRI 20件 |
他院検査の取り込み画像に対するレポート作成 | 18件 |
鎮静を試みたが入眠剤せずMRIを行った検査実績を下に示す:
鎮静を試みた検査件数 | 431件 (全検査件数は1,334件註1]) |
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入眠せず検査が中止(のべ) | 36件註2] |
中止割合 | 8.4% |
1日平均中止件数 | 0.29件(有効数字2桁) |
検査中止までの平均拘束時間 | 133分 |
検査中止までの最大拘束時間 | 240分 |
検査中止2回以上かつ2時間以上の待機を要した事例 | 1件 |
註1] 中止となった検査を含む。
註2] 鎮静せずに検査を試みたが静止が得られなかった、あるいは鎮静剤服用前の絶飲食時間が守れなかった、患者都合などによる中止が計46件あった。
麻酔科医による全身麻酔下でのMRI | 7件 |
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2)画像診断カンファレンス
(会場: 小児画像診断部カンファレンス室)
小児科 | 月曜、木曜 13:00から |
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小児外科 | 月曜 16:00から |
尿路(小児科、小児泌尿器科) | 火曜 17:30から |
小児整形外科 | 月曜 17:30から |
NICU | 金曜 12:45から |
Tumor board | 第3月曜 15:30から |
その他症例により関係各科が随時時間を調整し集まっている。
3)附属病院放射線科との関係
血管造影検査、血管内治療、IVRは附属病院放射線科が担当している。
4)機器更新
なし。
4.2023年の目標・事業計画等
1)3テスラMRIの活用
子ども医療センターのMRIが従来の1.5T(テスラ)から3.0Tに更新し、2023年4月から稼働となった。3.0T MRIによって、中枢神経系を比較的短い時間で、高分解能撮影することが可能になった。また拡散強調像、MRスペクトロスコピーを用いた定量評価も精度が増し、functionalMRIも実用化できるようになった。今後は、中神経系を中心に臨床・研究に努める。一方、胸部、腹部領域はアーチファクトが顕在化し、1.5Tより劣る部分がある。特に沈静下、息止め不良の小児には不向きであるが、その点を解決できるよう撮影法の工夫・改善に取り組んでいく。
2)更衣室、待合室の設置
MRIの収益向上のため1日のMRIの件数を増やすことが必要である。しかし、今日の少子化で、これ以上に件数を増やすことは困難と考える。そのためには時間を工夫して、合間に成人例を撮影することが必要である。しかし今まで、成人の待合室や更衣室がないため、困難なことが多かった。そこで現在、1.5T MRIが撤去されたスペースに更衣室、待合室を設置するよう申請し、認可を受けた。それによって検査数の増加、収益の向上に努める。
3)1泊入院のMRI検査の宣伝・啓蒙
鎮静下でのMRI検査の効率改善、安全性向上、入院による収益改善を目的として2019年に小児MRI入院検討WGを立ち上げ(座長・小児画像診断部副部長・古川)、2021年にかけて検討を行ってきた。これにより、MRI検査入院は2021年は45件であったが2022年20件に減少した。1泊2日の入院によって医療収入の向上、静注薬による鎮静によって入眠に至るまでの待機時間の短縮が可能となり、これによって放射線部における検査効率は向上する。また、眠剤使用前は絶食となるため乳幼児では脱水が危惧されていたが、あらかじめ点滴が確保されていることにより脱水の予防もできる。さらに、検査前後の児の観察を病棟スタッフに行ってもらうことで、眠剤投与による影響の有無を確実に評価することができるため、安全性が向上した。
今後、さらに診療科およびメディカルクラークなどと連携し、入院以外の検査についても、検査(準備段階から)の効率改善、患者とその家族への説明の充実を図っていきたいと考えている。今後、これらのことをさらに小児科医に宣伝・啓蒙し、件数の増加に努める。