耳鼻咽喉科[アニュアルレポート] | 病院のご案内 | 自治医科大学附属病院
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耳鼻咽喉科【アニュアルレポート】

1.スタッフ (2020年4月1日現在)

科長 (教授) 西野 宏
副科長 (准教授) 佐々木 徹
外来医長 (准教授) 佐々木 徹
病棟医長 (病院助教) 長友 孝文
医員 (教授) (兼)伊藤 真人(子ども医療センター)
(助教) 上村佐恵子(医局長)
(助教) 島田 茉莉
(病院助教) 長谷川智宏
(兼)野田 昌生(子ども医療センター)
シニアレジデント   6名

2.診療科の特徴

悪性腫瘍領域

Cancer Boardにおいて臨床腫瘍部、放射線治療部、放射線診断部、形成外科、歯科口腔外科、消化器外科、脳神経外科、胸部外科、病理診断部、呼吸器内科、消化器肝臓内科、泌尿器科と症例検討をおこなっている。症例の検討時には医師のみではなく、看護師、歯科衛生士、NSTなどを含む多職種で討論を行っている。治療の目標は、癌の根治性と治療後の生活の質の両立である。時代を反映して独居老人や身寄りのない患者さんおよび経済的に生活が破綻している患者さんなどが増えている。治療前に生活基盤を整える必要があり、患者サポートセンターと協力して対応をしている。上顎洞癌に対する集学治療は、国内外より高い評価を得ている。定位放射線治療、化学放射線治療、分子標的薬治療、免疫チェックポイント阻害薬、頭蓋底手術など幅広い治療方法の選択が可能である。JCOGのメンバーとして、頭頸部癌治療の標準化作業と新規治療をおこなっている。東京大学医科学研究所先端医療研究センター先端がん治療分野と共同研究としてoncolytic virus therapyを行っている。

耳領域

中耳炎外来、補聴器外来の2つの専門外来にて広く耳疾患の診療を行っている。中耳炎外来で慢性中耳炎、真珠腫等に対する中耳手術の適応を検討の上、多数施行している。補聴器外来は、2020年中に「難聴外来」に名称変更予定であるが、成人難聴患者に対する補聴器の適応を検討の上、補聴器のフィッティグを行っている。補聴器適合検査有資格施設である。また言語聴覚士が小児難聴症例に対する補聴器装用訓練、言語訓練を行っている。また聾・高度難聴症例対しては人工内耳埋込手術を成人・小児とも施行している。日本耳鼻咽喉科学会指定の新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査機関としてスクリーニング後の精密検査、診断、および難聴者の療育も行っている。遺伝子診断自体はすでに保険診療となっているが、当科では、遺伝カウンセリング室と協力し、先天性難聴の遺伝学的検査ならびに遺伝カウンセリングを行っている。これにより、難聴の原因診断と、適切な介入を行っている。

鼻領域

内視鏡下鼻副鼻腔手術による鼻副鼻腔疾患の治療成績は向上し、患者の満足度も高い。難易度の高い手術の経験も増え、ナビゲーションシステムや手術機器の発達も伴い、難易度の高い手術の安全性も高まった。アレルギー性鼻炎に対しての基礎的、臨床的研究が進行している。外来診療の一環としてレーザーによる下鼻甲介焼灼法を施行している。これで十分な結果が得られない場合には鼻中隔矯正術;粘膜下下鼻甲介骨切除術;粘膜下層のレーザー焼灼術;後鼻神経切断術を行っており、満足の行く結果が得られている。減感作治療に関しては従来行われていた皮下免疫治療に加え、舌下免疫治療の経験も増多している。下垂体腫瘍についても脳神経外科と共同で年間数十例ほど経鼻内視鏡下手術を行っている。髄液漏に対しても経鼻的手術での対応を行い、良好な経過を得ている。

口腔咽頭領域

睡眠時無呼吸症候群の重症度評価を専門外来にておこなっている。Nasal CPAPおよび口腔装具の導入および導入後評価を関連診療科とともに行っている。

嚥下領域

今後の耳鼻咽喉科診療の重点項目と認識し、人材の育成および歯科口腔外科、リハビリテーション科との診療連携をすすめている。嚥下リハビリ、嚥下改善手術、誤嚥防止手術を施行している。県内を中心とした関連職種への啓蒙や、摂食・嚥下医療福祉の地域連携を確立すべく活動をしている。

頸部領域

甲状腺機能亢進症および原発性副甲状腺機能亢進症の外科手術に取り組んでいる。

小児耳鼻咽喉科領域

慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、聴器腫瘍、先天性などの小児難聴(人工内耳手術、先天性中耳・内耳形成異常)、小児滲出性中耳炎、反復性中耳炎、睡眠時無呼吸症、顔面神経麻痺や上気道狭窄の評価・治療などを行っている。手術では、耳科領域では慢性(化膿性)中耳炎、真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術や、人工内耳を手術困難例や重複障害にも積極的に行っている。安全・確実に耳の病変を治すとともに、聴力改善を目指した手術治療を行っている。また小児滲出性中耳炎に対しては、日本耳科学会の「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン」担当理事として、ガイドライン初版および改訂版の作成にあたり、エビデンスに基づいた適正治療に勤めている。睡眠時無呼吸症に対しても、安全で術後疼痛も軽度な皮膜内切除術を積極的に採用している。

施設認定

  • 日本耳鼻咽喉科学会認定医制度指定施設
  • 日本アレルギー学会認定医制度指定施設
  • 日本頭頸部外科学会認定頭頸部がん専門医制度研修施
  • 日本耳科学会認可研修施設

専門医

日本耳鼻咽喉科学専門医 西野  宏 他7名
日本癌治療学会臨床試験登録医 西野  宏
日本アレルギー学会専門医 今吉正一郎
日本耳鼻咽喉科学会騒音性難聴担当医 西野  宏
日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医 西野  宏 他4名
日本がん治療認定医機構がん治療認定医 西野  宏
金澤 丈治
長友 孝文
日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医 西野  宏
金澤 丈治
日本耳科学会認定手術指導医 伊藤 真人

3.診療実績・クリニカルインディケーター

1)新来患者数・再来患者数・紹介率

新来患者数 1,660人
再来患者数 17,515人
紹介率 92.2%

2)入院患者

2019年 入院患者数内訳(病名別)
入院件数:752件
領域 病名 患者数
突発性難聴、急性感音難聴 23
先天性真珠腫、真珠腫性中耳炎 21
慢性中耳炎 12
耳硬化症、伝音難聴 10
先天性耳瘻孔 4
外耳道腫瘍 1
外耳道癌 8
中耳癌 2
顔面神経麻痺 15
メニエール病 1
内耳癌 4
感音難聴 6
内耳性めまい 6
その他 3
小計 116
鼻・副鼻腔 鼻出血 13
急性副鼻腔炎 5
鼻中隔彎曲症 5
慢性副鼻腔炎 36
術後性上顎嚢胞、副鼻腔嚢胞 4
鼻副鼻腔腫瘍 19
鼻腔癌 8
上顎洞癌 20
篩骨洞癌 23
その他 15
小計 114
口腔・咽喉頭・頸部 急性咽喉頭炎・急性扁桃炎 19
扁桃周囲炎・膿瘍 43
反復性・慢性扁桃炎 7
急性喉頭蓋炎 14
声帯ポリープ・結節 6
喉頭蓋嚢胞 4
反回神経麻痺 4
喉頭腫瘍 9
口腔咽頭腫瘍 8
舌腫瘍 3
顎下腺腫瘍 3
耳下腺腫瘍 18
甲状腺腫瘍 32
副甲状腺腫 5
バセドウ病 4
正中頸嚢胞 2
頸部腫瘍 6
頸部膿瘍 8
頸部リンパ節腫脹 6
上咽頭癌 25
中咽頭癌 26
下咽頭癌 50
喉頭癌 36
甲状腺癌 65
耳下腺癌 8
顎下腺癌 3
舌癌 21
頸部リンパ節転移 15
原発不明癌 5
気道狭窄 9
気管癌 2
その他 22
小計 488

3-1)手術 術式件数:566件

領域 術式 件数
鼓室形成術 40
乳突削開術 7
鼓膜換気チューブ留置術 1
鼓膜形成術 1
人工内耳埋込術 4
アブミ骨手術 2
外耳道形成術 3
顔面神経減荷術 1
耳瘻管摘出術 4
その他 2
小計 65
鼻・副鼻腔 内視鏡下副鼻腔手術 77
内視鏡下鼻中隔手術 17
粘膜下下鼻甲介骨切除術 9
鼻副鼻腔腫瘍摘出術 2
鼻腔涙嚢吻合術 4
上顎洞試験開洞術 3
鼻副鼻腔悪性腫瘍手術(切除) 4
鼻副鼻腔悪性腫瘍(切除・再建術) 3
その他 3
小計 122
咽喉頭・頸部 口蓋扁桃摘出術 23
口蓋咽頭腫瘍摘出術 5
喉頭微細手術(ポリープ切除、腫瘍生検) 7
喉頭腫瘍摘出術(直達鏡下) 14
喉頭狭窄症手術 2
気管切開術 45
頸嚢摘出術 3
耳下腺腫瘍摘出術 19
顎下腺摘出術 4
喉頭形成手術 7
副甲状腺腺腫摘出術 5
甲状腺悪性腫瘍手術(切除) 22
甲状腺悪性腫瘍手術(全摘) 31
甲状腺部分切除 33
舌腫瘍摘出術 5
舌悪性腫瘍手術(半切、亜全摘、全摘) 6
扁桃悪性腫瘍手術(切除) 2
喉頭悪性腫瘍手術(切除) 4
喉頭・下咽頭悪性腫瘍手術(全摘) 12
下咽頭腫瘍摘出術 2
食道ESD 7
頸部郭清術 56
リンパ節摘出術 6
深頸部腫瘍切開術 14
嚥下機能手術 15
その他 30
小計 379

3-2)術後合併症

反回神経麻痺(完全麻痺) 9例
リンパ漏 3例
術後出血 2例
顔面神経麻痺 2例
縫合不全 2例
創部感染 2例
唾液漏 1例
副神経麻痺 1例

4)化学療法症例・数

臨床腫瘍部および皮膚科と連携し全身薬物療法を施行している。日本がん治療認定医機構がん治療認定医および日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医の資格をもつ耳鼻咽喉科医師のもとに全身薬物療法がおこなわれている。全身薬物療法療法は81名におこなわれ、内容はNivolumab:26名、Docetaxel+Cisplatin+5-FU:6名(14コース)、Lenbatinib:7名、weekly-Paclitaxel+Cetuximabまたはweekly-Paclitaxel:10名、Cisplatin+5-FU +Cetuximab:11名(23コース)、Cisplatin+5-FU:14名(37コース)、Tegafur/Gimeracil/Oteracil:5名、Docetaxel:1名(1コース)、Adriacin+Ifosamide:1名(7コース)であった。

5)放射線療法症例・数

放射線治療は70名におこなわれた。26名が放射線治療単独(根治14名、術後3名、緩和9人)、35名が抗がん薬同時併用の放射線治療(根治31名、術後4名/Cisplatin:21名、Docetaxel:11名、Carboplatin:2名、Cisplatin+Docetaxel:1名)、9名が分子標的薬同時併用の放射線治療であった。

6)悪性腫瘍の疾患別および臨床進行期別ならびに治療法別治療成績

カプランマイ法を用いた5年全生存割合(%)を表にしめす治療法の選択は、病理型、病期、社会的背景、患者さんの希望などを総合的に判断し、個々の症例できめている。そのため、治療の標準化が難しい領域と考える。治療の目標は、癌の根治性を損なう事なく、形態と機能保存をおこなうことである。治療成績の向上とともに異時性重複癌をみとめる場合が過去と比べ多くなってきている。今後はこの異時性重複癌の治療が課題と考える。

病期 I II III IV
上顎洞癌 なし 100 77 58
声門癌 100 93 95 88
声門上癌 100 97 82 76
上咽頭癌 100 なし 67 82
中咽頭癌 100 77 75 67
下咽頭癌 100 67 73 63
口腔癌 88 91 88 56
甲状腺癌 100 100 95 100
唾液腺癌 100 94 100 72

7)死亡症例

死亡症例     31例
死因 原病死
剖検数 0例

8)外来手術

術式 件数
鼓膜切開術 34
鼓膜チューブ留置術 34
外耳道腫瘤摘出術 2
外耳道生検 2
外耳生検 10
外耳道異物除去術 1
鼓膜形成術 6
鼓膜穿孔閉鎖術 1
中耳生検術 1
鼻粘膜焼灼術 5
鼻茸切除術 7
鼻腔生検 61
副鼻腔生検 7
鼻骨骨折整復術 5
下鼻介粘膜レーザー焼灼 1
篩骨洞生検 1
鼻内上顎洞開窓術 2
上顎洞生検 8
上顎洞穿刺、洗浄 3
鼻前庭膿瘍切開排膿術 1
歯肉生検 1
扁桃生検 11
舌生検 14
舌部分切除術 2
上咽頭生検術 21
中咽頭生検術 44
下咽頭生検 22
喉頭生検術 24
声帯生検 35
声帯ポリープ摘出術 1
口腔生検 3
頬粘膜生検 2
頬粘膜腫瘍摘出術 1
口唇腫瘍切除術 1
口蓋生検 32
口腔底膿瘍切開術 1
頸部リンパ節摘出・生検 65
気管孔閉鎖術 12
耳下腺生検 7
顎下腺生検 1
唾石摘出術 3
皮下腫瘤切除術 1
皮下組織生検 2
魚骨摘出術 8
軟部組織生検 1
リンパ管腫局所注入 1
甲状腺生検 3
気管食道シャント閉鎖術 1
小唾液腺生検 1
嚢胞開放術 1
頸部腫瘤穿刺 1
合計件数 484

9)カンファレンス症例

①診療科内

術前カンファレンス:毎週木曜日(8時~)

②他科との合同

放射線科・臨床腫瘍部合同カンファレンス:毎週月曜日(17時~)

③他職種との合同

病棟看護師とのカンファレンス:入院患者カンファレンスに準じる

10)キャンサーボード

月1回科を横断しての症例検討を行っている。当科からは3~5例の検討症例が提示されている。

【参加診療科】 臨床腫瘍科 放射線科 消化器外科 歯科口腔外科 病理診断科 耳鼻咽喉科呼吸器内科 泌尿器科 脳神経外科 緩和科 消化器肝臓内科
【実績】年 12回

1月 2月 3月 4月 5月 6月
1回 1回 1回 1回 1回 1回
7月 8月 9月 10月 11月 12月
1回 1回 1回 1回 1回 1回

4.2020年の目標・事業計画等

新患者数の確保:耳鼻咽喉科各領域の患者数は専門医教育に十分な人数が確保されている。

スタッフの増員:診療体制と学生・専攻医の教育の充実にはスタッフ人数の充実が大切である。引き続きスタッフの確保をはかる。

診療結果のフィードバック:治験、臨床試験、治療結果を検証し報告する。

新たな診療技術の習得:内転型痙攣性発声障害の症状改善外科手術チタンブリッジを用いた甲状軟骨形成術2型、中咽頭癌に対するロボット手術および内視鏡下甲状腺手術の術者育成と施設基準獲得の準備を引き続き進める。

5.過去実績