臨床工学部[アニュアルレポート] | 病院のご案内 | 自治医科大学附属病院
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臨床工学部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2021年4月1日現在)

2.臨床工学部の特徴

臨床工学部は大きく医療機器管理部門、体外循環部門、心臓カテーテル検査部門、血液浄化部門に分かれている。

医療機器管理部門では院内の人工呼吸器や体外式ペースメーカ、除細動器(AEDを含む)、輸液・シリンジポンプ、経腸栄養ポンプ、保育器等の中央管理を行っている。人工呼吸器、ペースメーカについては、安全な使用を遵守するために他職種との連携を図り、日常点検、使用中点検(巡視)を行っている。

体外循環部門では人工心肺操作や補助人工心臓(VAD)装着患者のリハビリ同行(体外式VAD)、外来機器点検(植込み型VAD)及び手術支援ロボット(daVinci)の保守管理、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)のサポート業務、硝子体手術で使用される3Dビジュアルシステムの術中操作・管理を行っている。

心臓カテーテル検査部門(デバイス管理業務含む)では循環器、小児科のカテーテル検査に対し主にカテラボにて心電図や心内心電図、圧波形の解析、使用物品の記録、治療に使用する周辺機器の操作等を行っている。また、植え込み型デバイス植込術の立会いなどの管理業務を行っている。

血液浄化部門では、血液透析を中心に、血漿交換、血液吸着などの血液浄化治療を行っている。また、持続緩徐式血液透析濾過(CRRT)装置の使用中点検及び使用後点検、プライミング等の中央管理を実施している。また、輸血・細胞移植部と連携し、末梢血幹細胞採取関連の業務を行っている。

医療機器管理部門

人工呼吸器管理業務

人工呼吸器管理部門は院内にある人工呼吸器115台、ネーザルハイフロー25台、テストラング、カフアシスト2台、エアロネブ5台、カフ圧計10台、自動カフ圧計5台の中央管理をしている。日常点検をはじめ、使用中点検、定期点検、トラブル時の対応、在宅人工呼吸器の対応、人工呼吸器管理安全対策チームによる一般病棟(附属病院)及び小児RSTによる子供病棟での院内巡視を他職種と連携して週1回行っている。また、人工呼吸器の取り扱い方法などの教育も行い、安全な人工呼吸療法が行われるように努力している。

医療機器管理業務

病棟や外来部門、中央施設部門で使用している除細動器やAEDは日常点検及び1ヶ月毎の作動点検、スマートポンプを含む輸液・シリンジポンプは使用毎の日常点検、1ヶ月毎の精度管理を行い、安全性と運用効率の向上を図っている。同様に経腸栄養ポンプの日常点検や閉鎖式保育器の定期点検も行っている。これらの機器は医療機器管理情報システムを活用し、業務効率の向上を図っている。モニター類は電波の混信がないようにゾーン管理を行っている。機器にトラブルが発生した場合はメーカーと協力し合いながら原因の究明と解決策を検討し、用度課と協議のうえ修理や更新計画を実施している。医療機器情報については医療安全対策部、用度課、メーカーから寄せられる情報内容に基づいて使用現場への周知を行い、自己回収(改修)計画や勉強会等の開催予定を策定している。

体外循環部門

手術室において人工心肺装置(3台)、IABP装置(2台)、ECMO装置(11台)等の操作及び保守管理や麻酔器、モニター、電気メスなどの機器管理業務を行っている。心房細動に対するmaze手術では凍結凝固装置の機器操作を行っている。拡張型心筋症などの低心機能症例に対して、補助人工心臓(VAD)を装着し、装置の日常点検及びリハビリ、検査などの移動介助を実施している。植込み型補助人工心臓装着患者に対しては、心臓移植までの期間を自宅療養できるように、多職種と連携し、地域の消防署や訪問看護師への情報引継ぎ、電源コンセントのアースチェックなどを行っている。自宅療養中は、毎月1~2回ペースに外来での機器点検を実施している。また、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)中の急変対応のためPCPS等の待機を行っている。重症呼吸不全に対しては、ICU医師を中心にECMOを実施し機器の安全管理に努めている。小児体外循環では、人工心肺充填液量削減と回路のセットアップ時間短縮のため、新生児・乳幼児用プレコネクトSSS型回路(充填量240ml)を導入し臨床使用している。緊急症例など迅速な体外循環に有用で、同時に回路の接続ミスや感染リスクの低減化が可能と考えている。

医療機器管理業務では、患者モニタリング関連物品や除細動器、輸液・シリンジポンプの管理及び機器のトラブル発生時に対処できる体制をとっている。2020年12月1日より、PCAポンプ(総数:94台、CAP-10:40台、CADD Legacy:41台、iFusor+:13台)の貸出返却の管理と不具合機器の保守を開始した。手術支援ロボット(daVinci)で治療する泌尿器科、婦人科、外科の各症例に対して安全に使用できるように、使用前の動作点検、術中のトラブル対応を行っている。2020年8月よりda Vinci Siの2台運用体制へ変更し、並列での使用を可能としている。DVT予防機器の中央管理では機器管理システムを活用している。また、硝子体手術で使用される眼科用3次元映像システムNGENUITY 3Dビジュアルシステムの術中操作および管理を実施している。時間外及び休日の緊急症例については宅直体制で対応している。

心臓カテーテル検査部門

心臓カテーテル検査・治療業務

心血管撮影室は3部屋あり、循環器内科における虚血・不整脈に対するカテーテル検査および治療、小児循環器におけるカテーテル検査および治療に携わっている。その検査および治療(PCI(冠動脈インターベンション)、EVT(末梢血管治療)、ABL(カテーテル心筋焼灼術))、その他(Coil塞栓術やASD・PDA閉鎖術など)を施行する際に使用するポリグラフ、イメージングモダリティ(IVUS(4機種)、OCT)、FFR/iFR (SyncVision)、Stimulator、3Dマッピング装置(CARTO、EnSite、Rhythmia)、クライオコンソール、Rotablator、エキシマレーザー、IABP、ECMO、人工呼吸器等の機器操作や保守点検を行っている。

冠動脈造影検査では造影において中等度狭窄症例時には薬物負荷のいらないiFR を加えて施行し、虚血評価を行っている。また同時にSyncVisionによりiFRプルバックを冠動脈造影画像とコレジストレーションさせることで虚血をビジュアル表示することができ、病変の治療結果を予測することも可能な治療戦略策定の一助となる装置の操作も行っている。PCIやEVT施行時にはイメージングモダリティを通して治療評価、合併症の予測、有無を評価し医師と協力し治療にあたっている。

カテーテルアブレーションにおいて、Stimulator や3Dマッピング装置(CARTO、EnSite、Rhythmia)、クライオコンソール、ラボ解析の操作に携わっている。

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)においてはハートチームの一員として生体弁のクリンプおよびローディングを行っている。

時間外及び休日の緊急症例では、宅直体制で対応している。特に急性心筋梗塞に対する患者の来院からPCIを行いバルーン拡張などにより再灌流を得るまでの時間(door-to-balloon time : DTBT) 90分以内を達成すべく対応している。

デバイス管理業務

体外式ペースメーカと植込み型デバイス業務を行っている。体外式ペースメーカについては、中央管理と使用中のラウンド、保守・点検・管理および貸出し業務を行っている。植込み型デバイスについては移植手術中の検査業務および入院中や外来での作動検査業務、患者データの管理を行っている。その他、イベントループレコーダーの植込み、仙骨刺激療法が開始されリード挿入、デバイス植込み、リード抜去術にも関与している。また、植込み型デバイス移植患者がその他の手術を受ける時や内視鏡治療、放射線治療を受ける際には立会いを行い、必要に応じて設定変更や作動検査を行っている。緊急症例も同様である。

血液浄化部門

入院透析センター及び外来透析センターにおいて、血液透析用の水処理装置、透析液供給装置、透析監視装置(個人用及びセントラルサプライ型)の保守、点検、管理を行い、治療にあたっている。特殊血液浄化法については、移植におけるABO血液型不適合、劇症肝炎、重症筋無力症、天疱瘡、血栓性血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、薬物中毒、腹水症などの症例に対し、血漿交換(PE)二重濾過血漿交換(DFPP)、免疫吸着(IAPP)、LDL吸着、顆粒球吸着(GMA)、血液吸着(HA)、腹水濾過濃縮再静注(CART)などの治療を行っている。PEについては、病態に合わせて選択的血漿交換(SePE)を施行しており新鮮凍結血漿(FFP)の使用量削減、副作用の低減に努めている。重症例や感染症などにより透析センターで施行できない症例については、病棟に出張して血液浄化療法を行っている。また、ICU、CCU、EMC、PICUにおいて、敗血症や急性腎障害などに対する持続緩徐式血液濾過療法(CRRT)をサポートしており、装置の管理、使用中点検、トラブル対応、関係職種に対する研修会などを行っている。すべての血液浄化業務に対し時間外及び休日は宅直体制で対応している。

輸血・細胞移植部と連携し、遠心型血液成分分離装置を用いた末梢血幹細胞採取やリンパ球採取、骨髄濃縮等を行っており、全国でもトップクラスの症例数を経験している。

認定資格

3.実績・クリニカルインディケーター

症例数

・人工呼吸器管理業務

・デバイス関連業務

(循環器内科、小児・先天性心臓血管外科、心臓血管外科のICD及びリード移動に伴う再手術を含む)

・除細動器点検業務

・保育器点検業務

・輸液・シリンジポンプ点検業務

・経腸栄養ポンプ点検業務

・人工心肺業務

・NGENUITY® 3Dビジュアルシステム

・心臓カテーテル検査・治療業務

・血液浄化療法業務

・持続緩徐式血液濾過業務

・輸血・細胞治療

4.業績

(A)論文発表

  1. Matsuoka Ryo, MasudaTakahiro, Akiyama Yuki, Muto Takafumi, Miyamoto Yuka, Imai Toshimi, Kamiyama Tomoki, Yokoyama Manami, Iwamoto Sumiya, Sugie Shun, Ono Kazutoshi, Nagayama Izumi, Kohara-Miura Marina, Komada Takanori, Suzuki Michiko, Maeshima Akito, Akimoto Tetsu, Saito Osamu, Nagata Daisuke: Protection of Dialysis Staff from COVID-19 Infection: Setting Up and Impact of Extended Blood Lines during Dialysis. ASAIO Journal. 66(10):1073-1075; DOI: https://doi.org/10.1097/MAT.0000000000001240.

(B)学会発表

  1. 宮本友佳,松岡 諒,岩本澄也,秋山裕輝,杉江舜,増田貴博,前嶋明人,齋藤 修,永田太助:アルブミン溶液と新鮮凍結血漿(FFP)の並列置換を施行した選択的血漿交換(SePE)の1例.第65回日本透析医学会学術集会,web開催,2020年11月2~24日(日本透析医学会雑:53-1,832,2020)
  2. 秋山裕輝,松岡 諒,武藤高史,岩本澄也,杉江舜,宮本友佳,増田貴博,前嶋明人,齋藤 修,長田太助:血液透析時における下肢有痛性筋痙攣発症の関連因子の検討 2年間の後方視的研究.第65回日本透析医学会学術集会,web開催,2020年11月2~24日(日本透析医学会雑:53-1,506,2020)
  3. 杉江 舜,甲谷友幸,石川希美,上野充洋,安納 一徳,鳥越祐子,木村好文,進藤靖夫,奥山貴文,渡邊裕昭,横田彩子,上岡正志,渡部智紀,小森孝洋,今井 靖,苅尾七臣:他院でフォロー中のペースメーカ患者が長期フォローアップされておらず電池消耗のためテレメトリー不可となり緊急の本体交換を要した一例. 第13回植込みデバイス関連冬季大会,大阪web開催,2021年2月5日~7日(プログラム・抄録:MP-P8)
  4. 木村好文,甲谷友幸,石川希美,杉江 舜,上野 充洋,安納一徳,鳥越祐子,進藤靖夫,奥山貴文,渡邊 裕昭,横田彩子,上岡正志,渡部智紀,小森孝洋,今井 靖,苅尾七臣:ペースメーカ植込み時のリード抵抗と本体接続後のリード抵抗の変化およびメーカーによる違い. 第13回植込みデバイス関連冬季大会,大阪web開催,2021年2月5日~7日(プログラム・MP-O11)
  5. 上野充洋,木村好文,進藤靖夫:心房の自動閾値測定が適切作動せず心不全を呈した症例第11回関東臨床工学技会,宇都宮,2021年2月28日(プログラム・抄録:O-019)
  6. 宮本友佳,松岡 諒,横山真夏美,武藤高史,秋山裕輝:COVID-19患者の血液透析業務に携わる臨床工学技士の調整.第11回関東臨床工学会,web開催,2021年2月28日
  7. 松岡 諒,武藤高史,秋山裕輝,横山真夏美,宮本友佳:遠心分離法による血漿交換療法の施行経験.第11回関東臨床工学会,web開催,2021年2月28日
  8. 秋山裕輝,松岡 諒,高橋太一,岩田治親,宮本友佳:当院における院内研修開催の工夫.第11回関東臨床工学会,web開催,2021年2月28日
  9. 武藤高史,松岡 諒,神山智基,松井大知,秋山裕輝,宮本友佳:新型コロナウイルス陽性患者の出張透析における感染対策の工夫.第11回関東臨床工学会,web開催,2021年2月28日

(C)その他

  1. 松岡 諒:栃木県アフェレーシスセミナー,「当院における選択的血漿交換の概況~過去2年間の遡及的解析~」下野,2020年1月21日:演者
  2. 松岡 諒:第53回日本臨床腎移植学会,東京,2020年2月19~21日:プログラム委員
  3. 松岡 諒 岩本澄也:アトムメディカル社情報誌「レスピオール通信」Vol.3,2020年:取材
  4. 松岡 諒:読売理工医療福祉専門学校特別講義,「臨床工学技士の魅力」東京,2020年10月26日:講師
  5. 荒井和美:令和2年度在宅人工呼吸器装着等在宅療養支援堅守会「在宅人工呼吸器管理について」,宇都宮,2020年10月5日,講師

5.2021年の目標・事業計画等

  1. 急性肝不全に対する人工肝補助療法において技術的に導入が難しい血液浄化に対し、臨床工学的知見から有効な治療法を考案する。
  2. 昨年に引き続き、補助循環用ポンプカテーテルであるIMPELLAの導入および機器の安全管理を行う。
  3. 昨年に引き続き、高難度医療技術で使用する手術支援ロボット(da Vinci)及び経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)施行中の機器の安全管理に努める。
  4. セントラルモニタ点検時にテクニカルアラームなどのデータ集計を行い、モニターアラームコントロールチームなどで活かしていく。

5.過去実績