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小児歯科口腔外科【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2022年4月1日現在)

科長 (学内教授(兼)) 野口 忠秀
医員 (講師) 七條なつ子
シニアレジデント 1名
非常勤医師 4名

2.診療科の特徴

小児歯科口腔外科は平成27年4月より、とちぎ子ども医療センターの新たな診療科となった。小児の顎顔面・口腔の形態回復や機能向上により心身の健康発育を達成することを目標に掲げて、専門的な診療を行っている。

1)診療内容・対象疾患

歯科口腔外科各専門スタッフで行っている。主に、唇顎口蓋裂(口唇裂・口蓋裂、その他の先天異常を含む)の顎発育誘導および矯正治療、哺乳障害・幼児摂食障害に対する嚥下摂食リハビリ、小児有病者・障害者に対する歯科治療に取り組んでいる。

2)診療体制

唇顎口蓋裂・矯正治療外来、摂食嚥下外来、小児有病者・障害者の歯科治療外来の各専門外来を設けている。

①唇顎口蓋裂・矯正治療外来

口蓋裂患者に対して出生後早期からホッツ型口蓋床を使用した哺乳補助および顎発育誘導を行っている。
また、口唇裂・口蓋裂に対する手術のほか顎裂部の骨移植術を担当し、腸骨移植による良好な顎発育の基盤づくりと顎裂部への歯科矯正的歯牙誘導やインプラント治療・補綴治療を行っている。必要に応じて保存修復学的な審美治療も行っている。

出生直後から乳歯列期、乳歯と永久歯の混合歯列期、永久歯列期へと、ダイナミックに変化する口腔内環境に応じて、長期的かつ総合的な治療・管理を行うことで、良好な歯列改善や咬合機能回復に貢献している。また、集学的な治療を行うには経験豊富な専門医によるチーム医療が必要であり、当院は形成外科、耳鼻咽喉科、小児科、リハビリテーション科、臨床心理士、矯正歯科、歯科口腔外科など各科診療科の専門医でCleft care team : CCTという治療チームを構成し、定期的なカンファレンスを開いて適切な医療を提供している。

②摂食嚥下外来

主な対象疾患は哺乳障害を認める新生児や乳児、また脳性麻痺や染色体異常により食べる機能や飲み込む機能が獲得できない幼児から小児を対象に、摂食嚥下指導をご家族とともに行っている。摂食嚥下指導の内容は以下の通りである。食環境の指導(食事姿勢・介助法・食器具の使用法)、食事内容の指導(食形態)、また発達段階に応じた口腔機能の発達・獲得を目的とした機能訓練を行っている。

また、患児の被曝を考慮し、必要に応じて嚥下造影検査(VF)を用いた口腔から食道までの摂食嚥下機能検査を行っている。なお、小児摂食嚥下外来の担当は日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士を取得した歯科医師、歯科衛生士が対応している。

③小児有病者・障害者の歯科治療外来

一般歯科医院で治療が困難な小児に対し、外来歯科治療や全身麻酔下での歯科治療を行っている。

④その他小児の口腔外科的手術症例の治療

過剰埋伏歯や小帯付着異常など外来局所麻酔下での治療の他、骨折や歯性感染による蜂窩織炎に対する消炎治療を入院下で行っている。

3.診療実績

1)新来患者数・再来患者数・紹介率

新来患者数 4,954人
再来患者数 30,416人
紹介率 58.7%(歯科口腔外科・矯正歯科全体のデータ)

2)入院患者数

36人

3)手術実績

全手術件数

手術症例疾患件数

唇顎口蓋裂 18
埋伏歯 3
う蝕 7
嚢胞/腫瘍 2
その他 1
31

手術術式

顎裂部骨移植術 17
埋伏歯抜歯術 3
う蝕治療 7
顎骨嚢胞開窓術 1
舌小帯短縮術 1
口蓋形成術 1
上唇腫瘍切除術 1
31

4.2022年の目標・事業計画等

外来患者数ならびに全身麻酔下での手術件数は経年的に増加し、扱う疾患は多岐にわたっている。今後の課題としては以下の項目が挙げられる。

1)臨床面での充実

とちぎ子ども医療センター歯科口腔外科専任スタッフならびに専任歯科衛生士の充実。

口唇口蓋裂外来では、PNAM(術前鼻歯槽形成)装置による鼻形態の矯正を行っているが、今後も症例数を増やし、治療効果についての検討を行う。

県内外の唇顎口蓋裂の小児をとちぎ子ども医療センターに集約させるネットワークを構築する。

2)教育面での充実

医学部学生、歯科衛生士学校の学生に対する教育向上を目指す。

口唇口蓋裂外来では、GCU・NICUと連携して家族向けのパンフレットを改定し患者教育に努める。

3)研究面での充実

唇顎口蓋裂および小児摂食嚥下に関する臨床研究を遂行中である。

本年度は、顎裂部骨移植の臨床報告について、学会発表ならびに論文報告予定である。

また、口蓋形成術の術式による長期的な顎発育への影響について、形成外科と合同で研究を進めている。

5.過去実績