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輸血・細胞移植部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2019年4月1日現在)

部長 (教授) 室井 一男
医員 (助教) 山本 千裕(兼)

2.輸血・細胞移植部の特徴

当部は、輸血業務と細胞移植業務の2つの業務を行っていることが大きな特徴である。輸血業務に関しては、日本輸血・細胞治療学会の認定医師1人と認定検査技師7人を擁し、専門性の高い輸血検査と適正な輸血療法の推進を行っている。輸血業務は24時間体制で行っており、時間外の輸血依頼に対して迅速かつ的確な対応をとっている。更に、平成29年1月より院内のアルブミン製剤を薬剤部から当部に移管し、診療科からの依頼・準備・出庫まですべて一元管理を行っている。また、在庫管理や診療科別使用状況なども把握し、アルブミン製剤の適正使用の推進を図っている。

自己血貯血と末梢血幹細胞採取は、輸血検査室に隣接した自己血ルームで行うため、輸血検査室との動線が短く機動的である。自己血採血に係る業務もオーダリングシステムを取り入れている。自己血採血室には看護師2人が勤務し、自己血採血に係る業務全般と末梢血幹細胞移植に携わっている。輸血検査室に隣接して臨床用細胞プロセシング室と実験室がある。臨床用細胞プロセシング室で、B細胞性リンパ腫患者への遺伝子治療に用いる細胞への遺伝子導入(CAR-T細胞の製造)が行われている。実験室では、液体窒素タンクで臍帯血移植に用いる臍帯血を保存し、-130℃の冷凍庫で末梢血幹細胞を保存している。

施設認定

日本輸血・細胞治療学会認定施設

認定医

日本輸血・細胞治療学会認定医  室井 一男

認定技師

日本輸血・細胞治療学会認定技師  岸野 光司、他5名

3.業務内容と実績

輸血業務では、血液型判定(17,878件)、不規則抗体検査、交差適合試験(22,271単位)、抗血小板抗体検査、血液製剤への放射線照射等の一般輸血検査、診療科別の使用血液製剤の把握、廃棄血の把握、在庫管理などを行った。輸血副作用の収集を行い必要な対策を講じた。腎移植と肝移植の患者とドナーのHLA検査を行った(計208件)。その他、リンパ球クロスマッチ、AおよびB型糖転移酵素活性の測定、抗Aおよび抗B抗体価の測定を行った。病院全体での1年間の輸血用血液製剤とアルブミンの使用量は、赤血球濃厚液16,634単位、新鮮凍結血漿11,028単位(うち血漿交換で使用量1,383単位)、血小板濃厚液39,047単位、アルブミン107,576gであった。自己血貯血では、自己血貯血のガイドラインに従い、163人(388件、赤血球553単位)の自己血貯血を行った。輸血管理料Iに係る比を計算すると、新鮮凍結血漿/赤血球製剤は0.61、アルブミン/赤血球製剤は2.1であった。輸血副作用を収集したが、1年間に262件の輸血副作用が報告された。その73.2%が血小板濃厚液によるもので、大部分は蕁麻疹等の軽度のアレルギー反応であった。

細胞移植業務では、手術室で同胞ドナーと骨髄バンクドナーから骨髄血を採取(12人)し、自己血採血室の血液成分採血装置を用いて末梢血幹細胞移植ドナーと患者自身から末梢血幹細胞を採取(46人、58件)した。移植用臍帯血(5件)を保管した。フローサイトメトリを用いた造血器腫瘍の診断と残存腫瘍細胞の検出を行った(1,286件)。造血前駆細胞の測定(CD34陽性細胞数、CFU-GM数)を行った。

4.研究業績

A)原著論文及びその他の論文

  1. 武井生成,今野雄斗,長尾里桃,秋山友子,大槻郁子,進藤聖子,尾島佐恵子,小林美佳, 小幡 隆,菅野直子,岸野光司:患者情報獲得により血液型不明確な患者の緊急輸血が迅速に対応できた1例.自治医科大学臨床検査技師年報41号:34‐36,2018

B)学会発表

  1. 小林美佳,岸野光司,室井一男:新生児,乳幼児におけるABO血液型ウラ検査の解析.日本輸血細胞治療学会誌 64巻2号:243, 2018.
  2. 岸野光司,室井一男:相互監査について(自治医大―東大医科研 相互監査の実施の試み).日本輸血細胞治療学会誌64巻2号:258,2018.
  3. 大槻郁子,岸野光司,菅野直子,室井一男:迅速で安全な交差適合試験の簡略化.日本輸血細胞治療学会誌64巻2号 :279,2018.
  4. 尾島佐恵子,岸野光司,菅野直子,武井生成,小幡 隆,進藤聖子,秋山友子,今野雄斗,長尾里桃,大槻郁子,小林美佳,室井一男:末梢血幹細胞解凍時における移植バッグとサンプルチューブのCD34陽性細胞数の比較検討.日本輸血細胞治療学会誌64巻2号 :353,2018.
  5. 菅野直子,岸野光司,長尾里桃,今野雄斗,武井生成,秋山友子,大槻郁子,進藤聖子,尾島佐恵子,小林美佳,小幡 隆,室井一男:ABO血液型ウラ検査におけるカラム凝集法と試験管法の反応強度の比較検討.日本輸血細胞治療学会誌64巻2号 :396,2018.

5.2019年の目標・事業計画等

2017年から院内のアルブミン製剤すべてを薬剤部より輸血・細胞移植部に移管し、一元管理をおこなっている。引き続き輸血用血液製剤と同様に安全性と適正使用の強化を図っていきたい。また、輸血管理料Ⅰにおける輸血適正使用加算も取得できるように、アルブミン製剤と新鮮凍結血漿製剤の適正使用を推進していきたい。

2年前より国際規格ISO15189の取得のため準備し、昨年(2018年11月)に臨床検査部と共に認定取得した。今後、継続できるように努力したいと考えている。

現在、当部では血液疾患であるB細胞性の白血病、リンパ腫や難治性の多発性骨髄腫に対するキメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法の治験に参加している。CAR-T療法は、患者から採取したT細胞に、標的能を持つキメラ抗原受容体(CAR)を発現させる遺伝子技術を施し増殖させた後、患者の体内に戻す自家T細胞治療である。今後、再生等医療製品や新規の細胞療法について診療科と連携・協力体制を構築していきたい。

6.過去実績