医療保育士の活動【アニュアルレポート】
1.医療保育士の役割
当センターでは病気を抱える子どもとその家族のQOLの向上を目指すことを目的に、複数の医療専門職と連携を図りながら保育を実践している。以下に医療保育の目標を記載する。
<医療保育の目標>
1.子どもに対しての目標
- 安全と安心を提供する
- 生活を整える
- 発達を促進する
- 恐怖や苦痛、不安、ストレスへの対処を支援する
- 地域とのつながりの維持、拡大を支援する
2.保護者に対して
- 不安、ストレスを軽減する
- 子育てのスキルを獲得し、自信を持てるようにする
- ソーシャルサポートにつなげる
- きょうだいへの支援
患児個々の成長発達状況や安静度等多方面からアセスメントをし、他職種と協働しながら必要な支援を計画し実践している。そして、個別保育や集団保育をとおして、医療保育の目標を達成できるような介入をしている。
2.院内活動
医療保育師は2A病棟2人、3A病棟3人、4A病棟3人の計8人が配属されており、当該部署およびNICU、PICUの保育も実践している。
1)2020年度の主な行事
Covid-19の感染拡大予防のため、例年行われていた子ども医療センター全体での行事は、取り止めた。10月29日(水)の「しまじろう病院訪問プロジェクト2020・いっしょに笑おうオンラインキャラバン」を部署ごとに開催した。
部署ごとの行事は、患児と家族が季節感を味わうことができるように感染予防に努めながら工夫して行った。
特定部署での行事も今年度は取り止めた。クリニクラウン協会からは、「クリニクラウンと遊ぼう」のオンラインショーの開催案内やDVDの提供があった。NPO法人絵本カーニバルは、例年通り各病棟で絵本の展示が行われた。また、人形作りの材料の提供があり、各部署で患児や家族と一緒に制作を行った。集合して行事が開催できない中で、いろいろなプロジェクトを提供いただき、患児や家族が楽しいひとときを過ごすことができた。
2)医療保育士ラダー
医療現場における保育士が、医療保育実践能力を向上させ、子どもや家族に質の高い保育を提供できることを目的に、子ども医療センター内の看護師長で実態に沿った保育士ラダーの到達目標の再設定およびキャリアパスの修正をした。保育倫理の研修に関しては、昨年開催した保育倫理【2】の課題から、年に1度保育倫理の勉強会を開催し、保育倫理研修【2】の課題に取り組むこととした。今後は、教育検討会を中心に保育士ラダーの到達目標とキャリアパスに沿った各研修内容を見直していくことが課題である。
3)保育士会
保育士会を定例で開催し保育士が行う係活動の報告、保育記録の充実やアセスメント力を高めるための勉強会を開催した。以下に係活動の内容を記載する。
(1)記録係
目標:保育の質を高めるための保育記録監査表を作成する
保育記録監査表が完成した。今後は監査表を基に保育記録の質的監査を実施し、保育の質を高めていくことが課題である。
(2)業務係
目標:保育士業務基準・手順の項目立てを作成する
項目に沿って内容を見直し修正する
項目立てを作成し、それに沿って見直しや修正を行い、文書管理システムに登載した。次年度は、高校生支援の基準・手順の作成、その他必要な基準・手順の作成をすすめていく。
(3)勉強会係
目標:保育士の質を高め、一人一人に合った保育を提供する
保育過程の展開方法を取得することを目的に保育事例展開の勉強会を実施した。今後は、自立して事例から情報を収集し、アセスメントし保育上の課題を抽出することが課題である。
3.院外活動
- 子ども療養支援協会主催 令和2年度子ども療養支援士養成コース講師「遊びと保育」「多職種との協働」
- 第20回子ども療養環境研究会 教育講演
- 第13期日本医療保育学会資格認定取得研修会 講師
- 日本医療保育学会認定「医療保育専門士」口頭試問審査
- 日本医療保育学会認定「医療保育専門士」資格更新者 2名