無菌治療部[アニュアルレポート] | 病院のご案内 | 自治医科大学附属病院
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無菌治療部【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2021年4月1日現在)

部長 (教授) 神田 善伸(兼)
医員 (教授) 森本  哲(兼)
藤原慎一郎(兼)
(准教授) 大嶺  謙(兼)
(講師) 佐藤 一也(兼)
畑野かおる(兼)
山本 千裕(兼)
蘆澤 正弘(兼)
翁 由紀子(兼)
(助教) 早瀬 朋美(兼)
川原 勇太(兼)
山崎 諒子(兼)
森田  薫(兼)
中野 裕史(兼)
皆方 大佑(兼)
新島  瞳(兼)
伊藤 祥子(兼)
(シニアレジデント) 9名

2.無菌治療部の特徴

無菌治療部では、急性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫等の難治性血液疾患を対象とした造血幹細胞移植の診療を行っている。当院での造血幹細胞移植は1984年に第1例目の血縁者間移植が行われ、2020年までに905件の造血幹細胞移植を行ってきた。現在、年間約60~70件の造血幹細胞移植を行っており全国でも有数の移植施設となっている。非血縁者間末梢血幹細胞移植や臍帯血移植の認定施設であり、2019年には日本造血細胞移植学会移植施設認定基準認定カテゴリー1を取得した。

新しい移植法の導入を試みている。以前は困難とされていた遺伝子の型が半分しか適合していないHLA半合致血縁者間移植に取り組んでいる。この移植法では、ほぼすべての患者さんに家族内でドナーが確保でき、今後の少子高齢化に伴うドナー不足も解決できる移植法として期待されている。

造血幹細胞移植においては長期間の血球減少や免疫力低下のため易感染性の状態が続く。移植した血液細胞が増えるまでの間、患者は無菌室にて過ごす。2014年に本館4階南病棟に無菌室の基準を満たすクラス100の病室4床とクラス10,000の病室4床を有する無菌治療部病棟が開棟した。無菌病棟は病室のみではなく病棟全体が無菌的な環境であり感染症の予防に優れた環境である。年々、移植件数が増加していることから、2016年に本館4階西病棟の16床をクラス10,000の無菌室に改修し無菌室は計24床となった。本県のみならず他県近隣施設からの移植目的の紹介患者にも対応できる環境を整えている。

造血幹細胞移植では多職種との連携が必要であり、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、歯科衛生士とカンファランス等を通して情報を共有している。2014年からは看護師を中心とした同種移植後の患者を対象とした移植後長期フォローアップの外来を開設した。また、造血幹細胞移植を受ける女性患者さんの妊孕性の温存するため、放射線科や産婦人科と連携をして全身放射線照射における卵巣遮蔽や未受精卵の凍結保存も行っている。

認定施設

  • 非血縁者間造血幹細胞移植認定施設(認定カテゴリー1)
  • 非血縁者間骨髄採取認定施設
  • 非血縁者間末梢血幹細胞採取認定施設

認定医

  • 造血細胞移植学会造血細胞移植認定医
    神田 善伸 他5名
  • 日本輸血学会認定医
    藤原慎一郎
  • 細胞治療認定管理師
    藤原慎一郎

3.実績・クリニカルインディケーター

入院患者数(移植種類別)移植件数

血液科/小児科

年間総数(2020年) 63件/3件
血縁骨髄移植 1件/0件
非血縁骨髄移植 21件/0件
血縁末梢血幹細胞移植 11件/1件
非血縁末梢血幹細胞移植 4件/0件
臍帯血移植 4件/2件
自家末梢血幹細胞移植 22件/0件

対象疾患内訳(2020年)

血液科/小児科

急性骨髄性白血病 15件/1件
急性リンパ性白血病 12件/1件
骨髄不全症候群 4件/0件
骨髄増殖性腫瘍 3件/1件
悪性リンパ腫 17件/0件
多発性骨髄腫/類縁疾患 12件/0件
固形腫瘍 0件/0件
原発性免疫不全症 0件/0件

治療成績

2014年から2020年までに実施された成人初回同種造血幹細胞移植において、急性白血病(低リスク)3年生存率69% (図1)、3年無病生存率63.7%、3年非再発死亡14.1%、3年再発率22.3%、急性白血病(高リスク)3年生存率28.9% (図1)、3年無病生存率19.4%、3年非再発死亡25.2%、3年再発率55.4%、骨髄異形成症候群 3年生存率47.3%、3年非再発死亡31.7%、3年再発率21.3%、急性GVHD(gradeⅡ-Ⅳ)Day100発症率29.6%、急性GVHD(gradeⅢ-Ⅳ)Day100発症率13.1%、慢性GVHD(100日無病生存者)1年発症率28%、2年発症率31.7%であった。HLA半合致移植においては、2年生存率 18%、2年無病生存率15.5%、急性GVHD(gradeⅡ-Ⅳ)Day100発症率31.6%、急性GVHD(gradeⅢ-Ⅳ)Day100発症率10.5%、2年非再発死亡29.3%、2年再発率55.1%であった。成人初回自家末梢血幹細胞移植において、多発性骨髄腫3年生存率77.7%、非ホジキンリンパ腫3年生存率88.1%であった。

図1 成人急性白血病の移植後生存率

造血幹細胞移植カンファランス

(参加)医師、看護師、理学療法士、薬剤師、歯科衛生士

(実績)1年間 37回

4.2021年の目標・事業計画等

年々、造血幹細胞移植件数が増加している状況である。一般病棟とも連携しできる限り多くの造血幹細胞移植適応症例に速やかに移植医療を提供できる体制を目指す。

2020年までに38件のHLA半合致移植を実施した。本邦では充分に普及していないHLA半合致移植法の確立に取り組んでいく。現在、低用量アレムツズマブを用いたHLA半合致移植の臨床試験を実施している。

造血幹細胞移植では多職種との連携が重要である。医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、歯科衛生士とカンファランスを通して情報を共有し質の高いチーム医療の実践を目指していく。

2018年から認定造血幹細胞移植コーディネーター(HCTC)によるコーディネート業務が開始された。認定HCTCと連携し、患者、ドナー及び家族の支援、QOLの向上、リスクマネージメント、倫理面への配慮等に取り組んでいく。

多くの臨床試験および治験に参加しており、それらを通じて造血幹細胞移植診療におけるエビデンスの確立に貢献していく。

主導または参加している主な臨床研究・治験

  • 低用量アレムツズマブ併用HLA不適合同種造血幹細胞移植の安全性と有効性の検討
  • HLA 1座不適合非血縁者間骨髄移植における従来型GVHD予防法と抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン併用GVHD予防法の無作為割付比較試験
  • HBV既往感染歴を有する同種造血幹細胞移植レシピエントに対する、HBワクチンによるHBV再活性化予防法のランダム化検証的試験
  • 血液疾患患者における全身化学療法および放射線照射後の抗ミュラー管ホルモンを用いた妊孕性温存の評価に対する前方視的研究
  • TP53変異陽性骨髄異形成症候群を対象としたアザシチジンと同種造血幹細胞移植の多施設共同非盲検無対照試験
  • 同種造血幹細胞移植後長期生存患者の骨塩量の評価関東造血幹細胞移植共同研究グループにおける横断的観察研究
  • 血液疾患患者における全身化学療法および放射線照射後の抗ミュラー管ホルモンを用いた妊孕性温存の評価に対する前方視的研究
  • 同種造血幹細胞移植を受ける患者の腸管急性移植片対宿主病予防におけるベドリズマブの有効性及び安全性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験
  • サイトメガロウイルス(CMV)抗体陽性(R+)の同種造血幹細胞移植(HSCT)患者へのMK-8228(レテルモビル)予防投与を移植後100日間から200日間に延長した際の安全性及び有効性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照第Ⅲ相試験
  • 同種幹細胞移植後の急性骨髄性白血病患者を対象としてベネトクラクスとアザシチジンの併用投与の安全性及び有効性を評価する無作為化、非盲検第Ⅲ相試験(VIALE-T)
  • 日本人深在性真菌症に対するAK1820の第Ⅲ相試験-AK1820 (Isavuconazole)の安全性および有効性を評価する、多施設共同、非盲検試験-
  • 一次治療、二次治療抵抗性の同種移植後移植片対宿主病患者に対する、プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)内服療法
  • ウイルス感染症に対するシドフォビル(商品名:VISTIDE)の投与

5.過去実績